マーケティング担当によるAI情報収集の信頼度、生成AI活用は約6割、AI Overviewsは約8割に
はじめに、「生成AIを活用して行った情報収集の内容をどのくらい参考にしているか」について尋ねました。
最多は「内容を参考にしつつ、内容の整合性は確認する(46.8%)」で、「一次検索として、他の媒体でも情報解禁を行う(18.4%)」「そのまま業務や意思決定に活用している(17.3%)」と続きました。
生成AIを通じた情報収集を「一定程度参考にしている」と回答した層が全体の6割を超えている点は注目に値します。AI検索がすでに多くの人の一次的な情報収集手段として定着しつつあることがうかがえます。
その一方で、約半数が「内容の整合性を確認する」と回答していることから、AI情報の利便性を認めながらも、信頼性の担保を重視する慎重な姿勢も見て取れます。
続いて、Googleが導入したAI Overviews(AIによる概要表示)の活用実態を尋ねました。
結果は、「内容を確認し、検索を完結する(34.2%)」が最多で、「参考にしつつ、他の情報を自分でも調べる(28.9%)」「内容をきっかけにAIモードまで活用する(15.4%)」と続きました。
AI Overviewsによる情報を参考にしている方は約8割と、前問の結果よりさらに多いことが明らかになりました。
また、それぞれの結果から生成AIやAI Overviewsを活用してAI検索のみで情報収集を完結する層が一定数存在することが分かります。
AIの回答をあくまで参考とする利用者が多い一方で、「AIの提示情報で満足できる」とするユーザーも増えており、AI検索への信頼度が着実に高まっていると考えられます。検索行動の主役が、従来のリンク探索からAIによる要約理解へと移行しつつある流れがうかがえるでしょう。
AI検索への信頼度が高まる一方で、生成AIが事実に基づかない、または存在しない情報を、あたかも真実のように提示してしまう「ハルシネーション」と呼ばれる現象も指摘されています。マーケティング担当者はどの程度、このリスクを認識しているのでしょうか。
「ハルシネーション」を理解しているのは4分の1
「ハルシネーションという言葉を知っているか」について尋ねたところ、約7割が「理解していて説明できる」「知っている程度」と回答しましたが、「知っている程度」という回答が最多になったことから、理解度が十分とは言い難い結果です。
ハルシネーションは、生成AIの活用における最大の課題の一つであり、誤情報対策を講じる企業とそうでない企業の差が今後の信頼性を左右すると考えられます。
誤情報による“機会損失”の経験は「間違った情報の引用」が最多
「AIが生成した誤情報によって自社が機会損失を被ったと感じる経験」については、「競合や別企業が出している間違った情報がAIに引用されていた(28.6%)」が最多になり、「クレームや信頼性への懸念が発生した(26.5%)」「自社サイトの内容がAIに一部誤って要約・解釈されていた(23.5%)」と続きました。
ハルシネーションによって競合他社の誤った情報がAI上で提示されると、本来自社に向けられるはずの問い合わせや関心が他社に流れてしまう可能性があります。
こうした事象は、直接的な売上減少や機会損失につながるリスクを内包していると考えられます。特に、情報の正確性が購買や取引判断に直結する業界では、AI出力の監視や情報提供側の対策が今後ますます重要になるでしょう。
AI活用による情報収集層が多くなる中で注目されているのが、生成AIや検索AIに正確な情報を認識・引用させるための取り組みである「LLMO(Large Language Model Optimization)」です。
自社サイトや公式発信の内容をAIに正しく理解・反映させるための最適化を進めることで、誤情報の拡散を防ぎ、AI検索上でのブランド信頼性を高める狙いがあります。すでにLLMO対策を実施する企業ではどういった取り組みを行っているのでしょうか。
AIに“信頼される情報源”となるための施策は「独自調査」や「構造化データ」
LLMOを「実施している」と回答した方に、「AIに信頼できる情報源として引用・参照されやすくするための取り組み」を尋ねたところ、「独自の調査データやアンケート結果を盛り込んだレポート・記事の公開(47.9%)」が最多で、「構造化データマークアップを実装し、AIが情報を理解しやすいように最適化(39.3%)」「専門家(第一人者、有資格者など)の監修やインタビューを取り入れたコンテンツ制作(38.9%)」と続きました。
LLMO施策を実施する企業の多くは、AIに「信頼できる情報源」として認識されるために、コンテンツの質や構造そのものを改善する方向へ動いていることがうかがえます。
特に「独自の調査データやアンケート結果」を重視する企業が多く、AIが情報を再構成・要約する時代だからこそ、他社との差別化には「自社でしか得られないデータ」や「検証可能なエビデンス」の発信が重視されていると考えられます。
成果実感は金額が上がるほど「リード獲得コスト削減」「検索順位改善」が上位
LLMOを「実施している」と回答した方に、「LLMO対策で実際に得られた成果」について尋ねたところ、月あたりの単価・コスト感別に以下のような回答結果になりました。
■~10万円未満
「自然検索からの流入が増加した(47.1%)」
「AI検索経由の問い合わせが増加した(23.5%)」
「SEO施策の効率が上がった(作業時間やコスト削減)(23.5%)」
■10万円~30万円未満
「AI検索経由の問い合わせが増加した(33.8%)」
「リード獲得コストが削減された(28.6%)」
「コンテンツの品質向上につながった(23.4%)」
■30万円~50万円未満
「自社サイトの検索順位が改善した(41.0%)」
「リード獲得コストが削減された(34.7%)」
「AI検索経由の問い合わせが増加した(27.8%)」
■50万円~70万円未満
「リード獲得コストが削減された(39.4%)」
「自社サイトの検索順位が改善した(37.4%)」
「AI検索経由の問い合わせが増加した(32.3%)」
■70万円~100万円未満
「リード獲得コストが削減された(47.1%)」
「AI検索経由の問い合わせが増加した(37.3%)」
「自社サイトの検索順位が改善した(31.4%)」
LLMOへの投資規模が大きくなるほど、「リード獲得コストの削減」や「検索順位の改善」といった成果を実感する割合が高まっていることがうかがえます。特に、月額50万円以上の取り組みでは、AI検索を経由した新規リードの増加とともに、コンバージョン効率や費用対効果の向上が明確に見られました。
一方で、10万円未満の低コスト層では自然検索の増加が中心であり、戦略的なAI最適化よりも基礎的SEOの延長としての活用が多い傾向が見られます。
この結果から、LLMO施策は単なる「AI対策」ではなく、一定以上の投資を行うことでリード効率と検索可視性の両立を実現する新たなマーケティング手法として機能していることが示唆されます。
調査概要
【調査テーマ】「LLMO施策の実態調査」
【調査期間】2025年10月6日(月)~2025年10月8日(水)
【調査方法】PRIZMAが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
【調査人数】1,023人
【調査対象】調査回答時に従業員100名以上かつ企業のマーケティング担当者と回答したモニター
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
出典元:株式会社PRIZMA
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