東南アジアの美容市場におけるタイの位置付け
Statista の統計によると、東南アジアのスキンケア市場は2024年時点で約95〜100億米ドル規模とされており、今後も年平均成長率(CAGR)約4%前後での安定的な成長が見込まれています。さらに、主要ECサイトである Shopee や Lazada のデータをもとにした市場分析によると、東南アジア6大経済圏におけるスキンケア関連商品の月間売上規模は約2億ドル超に達しています。そのうちShopee が売上の大半を占め、Lazada がそれに続くと推定されています。国別では、特にインドネシアとベトナムのシェアが高く、次いでタイが主要市場の一つとして位置づけられています。
参考:
Skin Care - ASEAN | Statista Market Forecast
(2024) Trends in Southeast Asia’s Skincare eCommerce Market - TMO Group
タイの美容トレンド①スキンケアの単純化
■時短ニーズとオールインワン人気の拡大
スキンケアの「単純化」という流れのなかで、代表的な存在として注目されているのがオールインワンステップ製品です。オールインワンステップ製品では、洗顔料・化粧水・保湿クリームなど複数のステップを一度に済ませられます。そのため、便利さと時短を重視する現代のライフスタイルに合致しており、タイでも人気が高まっています。
ヴァリューズの2024年の調査によると、タイの消費者のスキンケアにかける平均時間は朝22分、夜28分と比較的長いことがわかっています。
さらに月平均で約23,000円(約5,300バーツ)をスキンケア関連に費やしていることがわかりました。こうした美意識の高さと同時に、「もっと手軽にケアしたい」というニーズが、オールインワンステップ製品の人気を後押ししています。
上記調査は東南アジアにおけるスキンケアアイテムの使用に関する実態調査 (タイ・ベトナム・インドネシア)から無料で資料をダウンロードいただけます。
■多機能化で広がるオールインワンの価値
オールインワンステップ製品の魅力は、単なる時間短縮にとどまりません。使用アイテム数がひとつの製品に減ることでコスト削減につながり、コンパクトで持ち運びやすいという利便性もあります。
さらに、保湿・美白・エイジングケアなど、複数の機能を兼ね備えた多機能性も支持を集める理由のひとつです。特に忙しい日常を送る都市部の消費者を中心に、2025年以降にはより高機能かつ軽量なオールインワンジェル、オールインワンクリームの開発が進む見込みです。メイクとスキンケアを融合したハイブリッドアイテムなど、新たなカテゴリーの登場も期待されています。
タイの美容トレンド②韓国美容からの流れ「次世代スキンケア」
ここ数年、アジアの美容を牽引してきた韓国美容(K-Beauty)のトレンドは、2025年もタイで大きな存在感を放っています。「美容=韓国」といわれるほど、スキンケアからコスメ、施術系トリートメントに至るまで、韓国発の最新技術や成分が次々とタイ市場に流入。特に2025年は、「PDRN」と「エクソソーム(Exosome)」が注目を集めています。
■「PDRN」とは?
PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)は、もともとは医療分野で研究されていた成分です。刺激が少なく敏感肌でも使いやすいとされています。
韓国では「REJURAN(リジュラン)」シリーズをきっかけにPDRNが注目され、美容医療からスキンケア製品まで広く応用されるようになりました。保湿・弾力アップなどの効果が期待できるとされ、タイでもPDRN配合の美容液やクリームが続々と登場しています。最近ではサーモン由来に加え、環境や倫理面を考慮した植物性PDRNも話題になっています。
■次なるブレイク「エクソソーム」美容
一方、次の美容トレンドとして急速に注目されているのが「エクソソーム(Exosome)」です。肌にハリやうるおいを与える効果が期待できるといわれています。韓国ではすでにエクソソームを配合したスキンケア製品が数多く登場し、タイの美容クリニックやコスメブランドでも取り入れられています。
「PDRN」や「エクソソーム」は、韓国発の新たなスキンケア革命として、タイ美容市場でも一大トピックになる見込みです。韓国美容の科学的なアプローチとトレンド感度の高さが、今後もタイの美容トレンドをけん引していくでしょう。
参考:
LIPS「REJURAN COSMETICS」
PR TIMES「自体R&D及び独自成分c-PDRN®※を製造する韓国唯一のブランド「REJURAN COSMETICS」日本本格上陸!」
NBC NEWS「Trend alert: Why everyone’s talking about exosomes in skin care」
タイの美容トレンド③拡大するメンズ美容市場
近年、タイでは美容やセルフケアに関心を持つ男性が急増しています。かつては「美容=女性」というイメージが根強かったものの、ジェンダー規範の変化とともに、男性の美意識は大きく変化。スキンケアやボディケアを日常的に取り入れる男性が増え、企業もこうした社会の流れに対応した、包括的なマーケティング戦略を打ち出しています。
■男性のスキンケア使用率は47%、前年比+5%
Nielsen Thailandの調査によると、男性消費者の約47%がスキンケア製品を使用しており、前年比で5%増加。なかでも大きく伸びているカテゴリーは以下の通りです。
顔用日焼け止め:+15%
体用日焼け止め:+15%
美白製品:+15%
洗顔フォーム:+11%
保湿クリーム:+11%
これらのデータからも、男性の間で「定期的にスキンケアを行う」文化が確実に根づき始めていることがわかります。
■「美意識の高い男性」が新たな消費の主役に!
注目すべきは、男性が女性よりもフェイスクリームを購入する頻度が高いという点です。これまで美容製品を「女性のもの」として見ていた層も、いまでは肌の健康や印象管理の一環としてスキンケアを取り入れています。
また、男性は多くのセグメントで女性より平均収入が高い傾向にあり、美容市場においても購買力の高いターゲットとして企業が注目しています。特に、清潔感や若々しさを重視するビジネスパーソン層を中心に、美意識の高まりが見られます。
■成長が続くメンズ美容市場
メンズ美容市場のジェンダーニュートラルな価値観の浸透により、今後もメンズスキンケア市場の拡大は続くと予想されます。日焼け止めや保湿アイテムに加え、エイジングケア、美白、美容サプリメントなど、より多様なカテゴリーで男性向け商品の開発が進行中です。2025年のタイ美容トレンドのなかでも、「メンズ美容」は見逃せない成長分野になります。
参考:
StrategyHelix「ตลาดผลิตภัณฑ์ความงามและการดูแลส่วนบุคคลของประเทศไทย 2025」
Everyday Marketing「10 Beauty & Wellness Trend Insights 2025 เทรนด์ไหนมาแรง」
CREATIVE TALK「เจาะลึก 10 เทรนด์ Beauty & Wellness ปี 2025 โดย Nielsen Thailand」
タイの美容トレンド④オーガニック
タイでは、自然志向の高まりとともに「オーガニック美容」が着実に定着しつつあります。Future Market Insightsによると、タイのオーガニック化粧品市場規模は約1億6,800万ドルに達し、2025〜2035年にかけて年平均7.1%という堅調な成長が見込まれています。とりわけ、ハーバル(伝統植物)や植物由来成分を配合したスキンケア製品が人気を集めていて、自然由来成分を重視する消費者が増えていることがうかがえます。
オーガニック製品の需要を後押ししているのが、健康意識の高まりや化学成分への不安です。さらに、ShopeeやLazadaなどのEコマースを通じて購入するケースも増加しており、オンラインチャネルが市場拡大を支えている点も特徴的です。こうした背景から、オーガニックは単なる一過性の流行ではなく、タイにおける“クリーンビューティ”の一環として、今後ますます存在感を強めていくと考えられます。
参考:
FutureMarketingInsight「ASEAN Organic Cosmetics Market Size, Trends 2025-2035」
タイの美容トレンド⑤Beauty Tech
2025年の美容業界では、AI(人工知能)の導入がこれまで以上に広まっています。 特に注目されているのが、個々の肌状態を分析するAI技術です。たとえば「AIパワード・スキンアナリシス(AI-Powered Skin Analysis)」のような技術では、肌の状態をより正確に分析し、肌トラブルの特定や保湿レベル、弾力性の測定、さらには肌の変化を継続的にチェック可能です。 また、AIの活用で、一人ひとりの肌に合わせた最適なスキンケア処方の開発や、使用後の肌状態のモニタリング・改善が可能となり、よりパーソナライズされた美容体験となります。
まとめ
2025年のタイの美容市場では、オールインワンステップ製品やメンズ美容、オーガニックなど、幅広いカテゴリーが注目されています。なかでも韓国美容は、タイの美容市場に大きな影響を与えている様子がうかがえます。また、女性よりも平均収入が高い男性の美容市場は、今後の成長分野として見逃せません。さらにAIの活用で、より正確でパーソナライズされた美容体験が期待されています。
参考:
Derma INNOVATION「จับตา 10 เทรนด์ธุรกิจความงามที่กำลังจะมาแรง! สร้างความได้เปรียบในตลาด」
THE STANDARD「สำรวจ 7 เทรนด์ความงาม ที่อาจมาแรงแห่งปี 2025」
【無料レポート】タイ・インドネシアなど|東南アジアにおけるスキンケアアイテムの使用に関する実態調査
https://manamina.valuesccg.com/articles/3586経済成長が著しい東南アジア市場。日本への好意度も高く、多くの日本企業の関心が高まっています。特に、インドネシアやベトナムなどでは若年層の比率も高く、今後の成長が強く見込まれる魅力的な市場です。一方では、国によって言語や文化が異なり、1つのエリアとして捉えるのが難しい複雑な市場でもあります。本調査では、今後大きな成長が期待されるタイ・ベトナム・インドネシアの消費者を対象にアンケート調査を実施。スキンケアアイテムの利用実態や商品認知と購買の際の情報源、SNS利用実態などを明らかにし、日本ブランドの認知度・購入実態、美容・スキンケアに対する価値観もご紹介します。※調査レポートは記事末尾のフォームより無料でダウンロードいただけます。








2024年に半年間、タイのタマサート大学に留学し、現地でタイ語と文化を学んだ。