ユーザーストーリーガイド(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

ユーザーストーリーガイド(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。今回はユーザーストーリーガイド(リサーチのデータベース)について寄稿いただきました。※本記事は菅原さんの書籍『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)と連動した内容を掲載しています。


1.ユーザーストーリーガイドとは

●全体像イメージ

ユーザーストーリーガイド

●概要

ユーザーストーリーガイドとは

ユーザーストーリーガイドとは、総合調査として実施する定性調査・定量調査の結果データを重要成果物ベースでまとめるアウトプットです。言い換えると、UXリサーチとマーケティングリサーチによる複合成果物でもあります。

この資料は、①市場理解・②顧客理解・③体験設計の観点からユーザー調査の結果をまとめ、プロダクト戦略に必要なマーケット情報からインサイト情報までを1つのファイルに収めることで報告・討議をスムーズにする効果があります。

※この成果物の名称は私独自の呼び方です。

●構成要素

ユーザーストーリーガイドの作り方(構成要素)

ユーザーストーリーガイドの構成要素は以下のようになります。

①市場理解

・業界・競合・自社に関する情報
・主に定量調査の調査結果から構成する

<重要成果物>
・ファネル分析
・想起集合
・市場カバレッジ
・ブランドイメージ
・ポジショニングマップ
・ユーザーゲイン
・ユーザーペイン
・ユーザープロファイル
・セグメンテーションマップ

②顧客理解

・ターゲットユーザーに関する情報
・主に定性調査の調査結果から構成する

<重要成果物>
・ペルソナ(プライマリ)
・ペルソナ(セカンダリ)
・価値マップ

③体験設計

・ユーザー利用プロセスのシナリオ
・定性・定量のデータを総合的に駆使して構成する

<重要成果物>
・カスタマージャーニーマップ
・バリュープロポジションキャンバス

●よくある課題

ユーザーストーリーガイド よくある課題

「ユーザー・競合・自社についてまとまった資料はないか?」
⇒この質問に一枚で答えるためのアウトプット

①何度も類似した調査の企画が持ち上がるケース

ユーザー・競合・自社にまつわるデータは、何度も類似した調査の企画が持ち上がります。これらの情報はどこかには存在するものの、過去の調査結果やワークショップの資料の中に埋もれていてとても追いきれないからです。

そうまでして全社で参照したい情報というのは共通しています。ブランドイメージ、認知度、満足度、ユーザープロファイル、ペルソナ、カスタマージャーニーなどです。出元が様々なので、これらの情報は散り散りになっています。

②定性調査と定量調査の担当部門が異なるケース

多くの組織では部門によって定性調査と定量調査の管轄が分かれています。言い換えると、UXリサーチとマーケティングリサーチは担当部門の業務分掌として定義されています。これは調査の計画・実行の段階では問題ありません。

しかし、複数のリサーチデータが混じり合うことを前提とするプロジェクト(例:中期計画、刷新活動)では障壁となり、異なるドキュメント形態で作られる内容をプロジェクトメンバーが突き合わせて理解に努めねばなりません。

2.作り方

ユーザーストーリーガイドの作り方(作成手順)

①資料の目的・用途を説明する

・冒頭に「ユーザーストーリーガイドとは」のページを設け、資料の目的・用途を説明する
・記載する事項は本項の「概要」の内容に相当する

②調査概要ページを用意する

・資料の序盤で報告の元になっているユーザー調査の概要ページを用意する
・「調査概要(プレビュー)」を使用すると、定性・定量のミックス型、2フェーズにわたる定性調査なども1ページで簡潔にまとまる

③プレビューとリンクを貼る

・目次ページ内で重要成果物のページキャプチャをプレビューとして貼付する
・重要成果物ごとにページへのリンクを設定する(2度目の閲覧以降、目次から目的のページに移動できるように)

④重要成果物をリストで見せる

・扉ページ内で重要成果物をリストで並べる
・重要成果物ごとにページへのリンクを設定する(2度目の閲覧以降、目次から目的のページに移動できるように)

3.使い方

ユーザーストーリーガイドの使い方

①ユーザーモデリングの成果物バイブルとして使う

ユーザーストーリーガイドは、ターゲットを理解・定義していくステップとファクトがすべて追える資料構成になっています。この資料の目次の並びにあるような情報を一堂に集結させて関係者との共通理解を作ることができます。

中でも、ユーザープロファイル、セグメンテーションマップ、ペルソナ、カスタマージャーニー、価値マップなどのユーザーをモデリングをする成果物は相互補完的な関係性があり、この資料形式でこそ高い機能性を発揮します。

②定性調査・定量調査の結果を一気通貫で報告する

ユーザーストーリーガイドは元データが定性調査か定量調査かを問わず、重要成果物ベースで調査結果を一気通貫で報告する資料構成を取っています。この仕様により、関係者は調査の知識や経験を問わず読み込むことができます。

リサーチ担当者にとってもこの方法は調査活動の価値が最大化する見せ方になります。仮に個々の調査結果をあまり見てもらえなくても、重要成果物を集中して構成するととても見応えが出てきて経営者との討議にも耐えられます。

この記事のライター

株式会社アイスリーデザイン
chapter UI/UXデザイングループ スペシャリスト
菅原大介

リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で出版社の学研を経て、日系最大手のマーケティングリサーチ会社で月次500問以上を運用する定量調査のディレクター業務を経験。総合ECサイト・アプリを運営する大手事業会社でデジタルプロダクトの戦略企画を担当したのち、現在は株式会社アイスリーデザインでUI/UXデザインの支援・研究に携わる。

デザインリサーチとマーケティングリサーチのトレンドをウォッチするニュースレター「リサーチハック101」を個人で発行するほか、定量・定性の調査実務に精通したリサーチのメンターとして活動や記事の監修も行っている。著書『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)、『リサーチからはじめる仮説ドリブン・マーケティング』(WAVE出版)

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