ユーザーリサーチのFAQ(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

ユーザーリサーチのFAQ(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。今回はユーザーリサーチのFAQ(リサーチのデータベース)について寄稿いただきました。※本記事は菅原さんの書籍『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)と連動した内容を掲載しています。


1.ユーザーリサーチのFAQとは

●全体像イメージ

ユーザーリサーチのFAQ

●概要

ユーザーリサーチのFAQとは

ユーザーリサーチのFAQとは、リサーチ業務について組織内でよくある質問・疑問への回答をまとめたウェブページです。リサーチの担当者が作成し、リサーチリポジトリか社内イントラネット上に公開し、常時更新できるようにします。

リサーチ業務のポイントは、手法や職種ごとに勘所が異なり、事業や組織の成長ステージによっても対応すべきこと(発注など)は増えていきます。そのため、FAQで実務における判断基準の考え方や目安を示してサポートしていきます。

●構成要素

ユーザーリサーチのFAQの作り方(構成要素)

ユーザーリサーチのFAQの構成要素(代表例)は以下のようになります。

①アンケート

・ユーザーアンケートの運営でよくある質問

<代表例>
・実施するタイミングはいつが適切ですか?
・実施〜回収までどれくらいの期間ですか?
・質問数は何問までに収めるとよいですか?
・自由回答は何問まで入れてもよいですか?
・回収数はどれくらい集めるとよいですか?

※このほか、データの表記ルールや謝礼手配に関する項目などを入れる

②インタビュー

・ユーザーインタビューの運営でよくある質問

<代表例>
・対象者は何人以上に実施すれば問題無いですか?
・対象者のユーザーが従業員だと問題ありますか?
・ノンユーザーを対象にして実施してよいですか?
・回答謝礼はどれくらいが適切ですか?
・実査では一回にどれくらいの話題を聞けますか?

※このほか、外部パネル使用時のルールなどを入れる

③定性調査と定量調査

・定性調査・定量調査の運営でよくある質問

<代表例>
・インタビューとアンケートで得られる結果の違いは何ですか?
・インタビューとアンケートはどちらを先に行うとよいですか?
・定性調査と定量調査でユーザーの評価が割れた時にどちらの結果を優先しますか?

●よくある課題

ユーザーリサーチのFAQ  よくある課題

「リサーチについて何もわからない中で関わるのが不安…」
⇒この悩みに一枚で答えるためのアウトプット

①上司が実務の知識や勘所を知らないケース

リサーチの実行部隊には多種多様なキャリアを持つ上司が監督者となり得ます。そのため、必ずしも上司がリサーチについての知識や経験を有しているとは限らず、業務の知識や勘所を教わるには無理があることもしばしば発生します。

逆に、上司の業務に対する無理解から、「もっと期日を短縮して」「もっと経費を削減して」と頭ごなしに注文が付いて戸惑ってしまうこともあります。このような環境は担当者に不安を与え、リサーチ活動が後退する要因になります。

②ユーザーリサーチに初めて取り組むケース

ユーザーリサーチ業務は次第に拡大関係者(業務協力者)が増えていきます。自身がリサーチ担当者になるほか、業務の一環でインタビュアーを担当したり、ユーザーへの謝礼を手配したりと、ライトに関わるメンバーも複数現れます。

この時、多くの人にとってユーザーリサーチは業務自体が未知のため、なかなか前もって準備することができません。一方で業務ではユーザーと接する緊張感を伴うため、フォローアップ機会が無いと心理的なハードルは高いものです。

2.作り方

ユーザーリサーチのFAQの作り方(作成手順)

①実際にあった質問をリストアップする

・組織内で実際に複数件上がった質問をモデルにする
・できるだけ質問のキーワードを冒頭側に配置する
・文章を疑問形にして探したい質問を選びやすくする

②想定質問を調査業務の工程順に並べる

・質問の並べ方は設計〜実査(または実施前〜実施後)の工程順を意識する

③知識と経験の両面から回答を作成する

・業務知識と過去経験を総合的に勘案して回答を作成する
・根拠とする記事・書籍などの参考情報があれば記載する

3.使い方

ユーザーリサーチのFAQの使い方

①新人担当者の教育コンテンツとして活用する

FAQがあると新人担当者の教育コンテンツとして活用することができます。もちろん、上司や先輩が付いて教えられるとベストですが、業務の特殊性・専門性から、なかなかそうもいかないことは前出のよくある課題の通りです。

専門書籍から学べることとの違いとして、組織に合った対応方法がわかるのがFAQならではの利点です。リサーチ業務について手順書的な面(業務プロセスの補足)を持つほか、知恵袋的な面(擬似的な壁打ち環境)も備えます。

②事前ロールプレイの想定Q&Aとして活用する

FAQはリサーチプロジェクトのメンバーミーティングで準備事項を確認する用途にも使えます。ページを見て全員がひと通り運営の勘所を認識する機会になるでしょう。上司の立場でもメンバーの理解度を確認できるので安心です。

おすすめは、新人スタッフからベテランスタッフに質問を行うロールプレイ方式の進め方です。単にFAQを流し読みするのではなく、想定Q&Aをトークテーマに過去の経験を聴くことでミーティングの場が充実したものになります。

この記事のライター

株式会社アイスリーデザイン
chapter UI/UXデザイングループ スペシャリスト
菅原大介

リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で出版社の学研を経て、日系最大手のマーケティングリサーチ会社で月次500問以上を運用する定量調査のディレクター業務を経験。総合ECサイト・アプリを運営する大手事業会社でデジタルプロダクトの戦略企画を担当したのち、現在は株式会社アイスリーデザインでUI/UXデザインの支援・研究に携わる。

デザインリサーチとマーケティングリサーチのトレンドをウォッチするニュースレター「リサーチハック101」を個人で発行するほか、定量・定性の調査実務に精通したリサーチのメンターとして活動や記事の監修も行っている。著書『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)、『リサーチからはじめる仮説ドリブン・マーケティング』(WAVE出版)

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