調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。今回は調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)について寄稿いただきました。※本記事は菅原さんの書籍『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)と連動した内容を掲載しています。


1.調査結果のランディングページとは

●全体像イメージ

調査結果のランディングページ

●概要

調査結果のランディングページとは

調査結果のランディングページとは、リサーチ担当者がリサーチリポジトリ(プロジェクトデータベース)内のWiki機能(または社内イントラネットのブログ機能)を使って調査結果の要点や見どころをハイライト形式で説明するページです。

前項で解説したリサーチリポジトリでフォルダ・ファイルの格納場所を設定しても、報告・納品データがそのまま入っているだけでは中身はわからないため、記事タイプの説明ページをランディングページとして作成しておきます。

●構成要素

調査結果のランディングページの作り方(構成要素)

調査結果のランディングページの構成要素は以下のようになります。

①調査概要

・調査概要(実施要項・企画内容)
(調査企画の全体像がわかる情報)

②調査目的

・調査目的(仮説・課題なども含む)
(調査当時の実施意図、ねらい、フォーカスしているポイントがわかる情報)

③リサーチプロセス

・リサーチプロセス(調査のアプローチモデル)
(フェーズ設定、アウトプット、期待成果などがわかる情報)

④調査対象者

・定性調査、定量調査それぞれの調査対象者
(対象者の定義、要件などがわかる情報)

⑤定量調査のアウトプット

・定量調査から作成する代表的なフレームワーク(または要約となる図表)
(調査テーマに対して定量的なアプローチからの結果がわかる情報)

⑥定量調査の企画書・報告書

・定量調査の企画書・報告書ファイルなど
(調査内容をまとめているスライド・ドキュメントなどの資料)

⑦定性調査のアウトプット

・定性調査から作成する代表的なフレームワーク(または要約となる図表)
(調査テーマに対して定性的なアプローチからの結果がわかる情報)

⑧定性調査の企画書・報告書

・定性調査の企画書・報告書ファイルなど
(調査内容をまとめているスライド・ドキュメントなどの資料)

⑨まとめ

・調査から得られた示唆、リサーチ担当者の考察

●よくある課題

調査結果のランディングページ よくある課題

「この調査はどのような意図で行われたのか?」
⇒この質問に一枚で答えるためのアウトプット

①中間・最終の成果物が無造作に置かれているケース

リサーチプロジェクトの案件フォルダには、中間成果物または最終成果物が無造作に置かれているケースが少なくありません。

中間成果物としては、ユーザーテストのインタビューガイドが詳細に作成されているのに、調査全体のプランニングは不明なケースなどが該当します。

最終成果物としては、ペルソナのファイルだけ置かれていて、どういう経緯で作成されたのか後からはわからない状態で残っているケースなどが該当します。

②プロジェクト情報が断片的で参考にならないケース

既にデータベース内に同様のページを作成する取り組みをしている場合にも注意が必要です。そのページが「プロジェクトの管理ページ」(スケジュール・役割分担体制などの情報が中心)になっていることがよくあるからです。

つまり、調査内容や調査結果が書かれておらず、リサーチ観点で参照できる要素が少ない状態です。こうしたケースではしばしばLPが「リンク集」になっていることが多く、同ページ内では理解が完結しない構成になっています。

2.作り方

調査結果のランディングページの作り方(作成手順)

①調査概要と成果物の名称で目次を作る

・ページのファーストビュー領域に目次を設定する
・主要な調査概要と成果物の名称を見出しに立てる
・どの案件でも同じページ構成スタイルを踏襲する

②調査結果はチャートを中心に解説する

・調査結果はハイライト形式で紹介する
・フレームワークの画像を適宜駆使するとページ内のアイキャッチとしても有効
※収録するチャートの種類の例は「分析」の章を参照

3.使い方

調査結果のランディングページの使い方

①記事ページのように調査結果を見てもらう

調査結果のランディングページの良さは記事ページのように編集された調査結果を気軽に読めることです。調査結果にアクセスするメンバーもとりあえず要点を知りたいというレベル感であることが多いのでハイライト情報でだいたい事足ります。

また、このページは意外とブレストやワークショップの場面で活きます。対話形式の場ではあまり結果を長く説明できず、聴く側も瞬時に理解したいのでスライドのプレゼンは向きません。ウェブページであればこの用途にかないます。

②プロジェクト情報のゲートキーパーとする

リサーチの情報は様々な立場の人が参照します。プロジェクトを引き継ぐことになったメンバー、事業や機能に対する知見を深めたいメンバーなど、いずれもプロジェクトまたはプロダクトを理解する意欲を持っているのが特徴です。

すなわち、調査結果のランディングページをプロジェクト情報のゲートキーパーとすることで、当人が必ずしもリサーチに関心が無いとしても、プロジェクトとの連携を通じて結果的に調査結果の参照率を上げていくことができるということです。

この記事のライター

株式会社アイスリーデザイン
chapter UI/UXデザイングループ スペシャリスト
菅原大介

リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で出版社の学研を経て、日系最大手のマーケティングリサーチ会社で月次500問以上を運用する定量調査のディレクター業務を経験。総合ECサイト・アプリを運営する大手事業会社でデジタルプロダクトの戦略企画を担当したのち、現在は株式会社アイスリーデザインでUI/UXデザインの支援・研究に携わる。

デザインリサーチとマーケティングリサーチのトレンドをウォッチするニュースレター「リサーチハック101」を個人で発行するほか、定量・定性の調査実務に精通したリサーチのメンターとして活動や記事の監修も行っている。著書『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)、『リサーチからはじめる仮説ドリブン・マーケティング』(WAVE出版)

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