クリックされない時代に選ばれるには
AIが今後ますます浸透していくなかで、平均的、均一的なテキストの価値はほぼゼロに向かうと思われます。こうした現象をコモディティ化といいます。そうなった際に重要なのは「著者性」であると私は考えています。
今回ご紹介する書籍「AIで集客する仕組み ~クリックされない時代に選ばれるAI検索のセオリー~」(著:住太陽氏。以下、住さんとお呼びします)は、専門用語をできるだけ用いずに、本質的に「集客する」とはどういうことか?についてまとめた良書です。
(筆者撮影)
AIで集客する仕組み
~クリックされない時代に
選ばれるAI検索のセオリー~
著者である住さんがこの著書に込めたメッセージは、「中小事業会社の経営者はまぎれもなく専門性をもっており、その専門性を前面に出し、評判を獲得していきましょう」というものであると受け止めています。この考えに私も大いに賛成し、共感しながら拝読しました。AI時代において、企業、特に中小規模の企業はどのように評判を獲得し、集客に結びつけていくことができるのでしょうか。
AIが生み出す文章にはない「著者性」を高める
著書の一説で最も印象的だったのは下記の言葉です。
「あなたがあなたの分野における専門家としての地位を築けるかどうかは、あなたが専門家としての情報発信をするかどうかにかかっているのです」
著書で語られるように、これはすべてのビジネスカテゴリーに当てはまる訳ではありません。ただし、知識や判断に責任が伴う職種においては、大きく関連するトピックです。私はX(旧:Twitter)上で、住さんと直接やり取りさせていただくことがありますが、この「専門家としての情報発信」を強く意識し、自ら実践しているのが住さん自身に他なりません。
AIが生む文章にはヒトによる「著者性」はありません。今後はますます著者性を前面に押し出さねばならないし、そうでなければヒトが書く意味はなくなっていくと私は考えています。少し大きな捉え方をすると、フーコーのいう「作者機能」という言葉にも近い考え方と言えます。
その著者性とセットになるのが「専門性」です。何に詳しい人物/企業なのか?その人物/企業の発言や判断は信頼できるのか?著者性と専門性によって、そうしたイメージが裏付けられるものと思います。
「専門性」はすでに自分に内在している
専門性というと、少し気が引けるかもしれません。しかし、自ら会社を起こし、だれかの役に立ちたいと願う本書のターゲットである「忙しい中小企業の経営者」には、専門性はもう内在しているはずです。
「焼き直しのコンテンツを作る意味はない」
「見込み客が『あなたから』知りたいことは何か?」
住さんも、上記のような見出しを用いながら、著書の中で「評判」を生み出すコンテンツの重要性を説いています(※P110のコラム「専門性と特化性の違い」もぜひ読んでいただきたいと思います)。
20年前から変わらない住さんの哲学
ここで少し、私個人の話をさせてください。2006年4月、オンライントレード業界黎明期、創業間もない会社に私は入社しました。配属された部署は集客に関して「何でもやる」部署で、胃がキリキリ痛むような日々を過ごしながら、その後、WEB戦略チームとして自社サイトの更新や管理を任されることになりました。
当時色々と情報収集をしていた際に、住さんがWEB上で公開されていたSEOツールにたどり着きました。渡辺隆広氏のブログに当時の住さんによるツールに関する記録が残っていますが、そこには住さんの当時の言葉がこう記されています。
「広告を効果的に活用できず資金力もない中小規模の事業者であり、こうしたユーザーの役に立ちたいと思う」
日々の住さんの発信を見ている人からすると、これがつい先週の発言だと言われてもなんら違和感はないでしょう。住さんの20年前の主張は、今も全く変わりません。今回の書籍もまさにそのテーマであり、AIが誕生し、かつてない変化の激しさに揉まれる業界に身を置きながら、20年間ブレない姿勢は本当に凄いことであると思います。
「住さんがそばにいる」かのような本
ありがたいことに今回住さん、技術評論社の傳智之氏から献本いただき、私の人生初の献本と書評となりました。お二方には改めてお礼申し上げます。
住さんの20年間の一貫性は、裏を返せば、中小規模の事業会社/経営者の課題が終わらない旅であるとも言えるように思います。いつか、住さんと一緒にこのテーマに対してご一緒に価値貢献できたら素敵だなと勝手に考えています。
「AIで集客する仕組み」は構成上、比較的すぐ読める内容となっていますが、「住さんは何と言ってたかな?」と読み返せるような本となっていて、きっと私も何度となくページを開くだろうと思います。そう考えればだいぶお買い得な本とも言えます。そうです、著者性を持つ本というのは「安すぎる」のです。
SEO業界に閉じることなく、集客全般に関する著者性あふれる本、ぜひお買い求めください。
書籍情報:
「AIで集客する仕組み ~クリックされない時代に選ばれるAI検索のセオリー~」
https://www.amazon.co.jp/dp/4297155974







株式会社ヴァリューズ データプロモーション局 ゼネラルマネジャー
株式会社ヴァリューズクリエイターズ 執行役員
麻布高校、一橋大学(一條和生ゼミ)卒業。ネット証券会社黎明期にデジタルマーケティング立ち上げに携わり、約10年にわたってWEB戦略を推進。2014年の東証一部上場を経て、マーケティング部長、経営企画室長を務めたのち、2018年にヴァリューズに入社。データプロモーション事業の責任者として売上昨対比2倍を3年連続で実現。2019年2月より現職。