Panasonic「ラムダッシュ パームイン」ヒットに見る電気シェーバー市場の可能性

Panasonic「ラムダッシュ パームイン」ヒットに見る電気シェーバー市場の可能性

電気シェーバーは男性のヒゲ剃り用途を中心とした家電でしたが、近年さまざまなニーズに対応するグルーミング製品へと広がりを見せています。今回は、検索データなどをもとに電気シェーバー市場の今後の可能性を考察します。シェーバー関連検索者の検索キーワードや流入サイト、属性を分析し、市場の展開を探りました。


ラムダッシュ パームインが示す電気シェーバー市場の変化

Panasonic「ラムダッシュ パームイン」

パナソニックの「ラムダッシュ パームイン」のヒットは、電気シェーバーへの消費者の意識の変化を象徴する出来事といえます。ここでは、同製品が支持された理由と、電気シェーバー市場が成長を続ける背景を見ていきましょう。

シェーバーの価値を変えたラムダッシュ パームイン

ラムダッシュ パームイン」は、パナソニックが展開する手のひらサイズのコンパクトな電気シェーバーです。高い剃り性能と携帯性、洗練されたデザインを兼ね備えたことから話題となり、電気シェーバー市場で大きな存在感を示しました。2024年にパナソニックは、電気シェーバーの国内出荷金額シェア1位を獲得しています(※1)。

ヒットの背景には、高い剃り性能だけではない、新しい価値提案があります。従来の電気シェーバーは、深剃りや肌への優しさといった機能性が重視されていました。一方、ラムダッシュ パームインは、5枚刃や高速リニアモーターといった上位モデルの性能を維持しながら、手のひらサイズのコンパクトなデザインを実現しています。

さらに、USBプラグ Type-C充電や携帯性、インテリアになじむデザインなど「持ち歩きたくなる」「見せたくなる」プロダクトへと進化しました。同社が発売日(2023年9月)〜2024年11月に実施したインターネットアンケート調査では、購入の決め手となった機能や特長の1位が「本体サイズ・形状」で、デザイン性や携帯性が高く評価されていることがわかります(※2)。

(※1)パナソニックグループ「パナソニックのシェーバー事業が創業70周年」
(※2)パナソニックグループ「ラムダッシュ パームインシリーズ国内累計販売台数20万台を突破」

電気シェーバー市場は今後も成長が見込まれる

日本の電気シェーバー市場は、2025年の約3億3,740万米ドルから、2034年には約5億6,620万米ドルまで拡大し、年平均成長率(CAGR)は5.92%と予測されています(※3)。

市場を牽引する要因として挙げられるのが、男女問わず身だしなみへの意識が高まっていることです。美容意識の向上から、肌への優しさや使いやすさを備えた製品へのニーズが拡大しているほか、コンパクトで持ち運びやすい製品は、これまでとは異なる利用シーンやユーザー層を取り込み、市場の成長を支えると考えられます。また、ECの普及により、消費者が製品を比較・購入しやすくなったことも市場の成長を後押ししています。

市場の拡大が続くなか、ラムダッシュ パームインのヒットは、電気シェーバーに求められる価値の変化を示す事例といえるでしょう。

(※3)
NEWSCAST「電気シェーバーの日本市場(2026年~2034年)、市場規模(ホイル、ロータリー、ウェット/ドライ)・分析レポートを発表(株式会社マーケットリサーチセンター調査)」

シェーバー関連検索者の特徴をデータから分析

電気シェーバー市場の変化を別の角度から調べるために、シェーバーにまつわるワードのWeb検索者の特徴を分析します。ここでは、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用いました。

※シェーバー関連=「シェーバー」部分一致、「ひげ剃り」、「髭剃り」をor条件で調査

図:シェーバー関連検索者の掛け合わせワード(1〜10位)

図:シェーバー関連検索者の掛け合わせワード(1〜10位)
期間:2025年7月〜2026年6月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

掛け合わせワードを見ると「ブラウン」の検索ボリュームが大きいことがわかります。ブラウンは、電気シェーバー市場の主要メーカーのひとつです。電気シェーバーは、メーカーごとに搭載技術や剃り心地、価格帯などに違いがあるため、購入前にブランドを比較しながら検討するユーザーが多いと考えられます。

実際にシェーバー関連検索者の流入サイトを見ると、各電気シェーバーのスペックを比較するサイトが上位にランクインしています。

図:シェーバー関連検索者の流入サイト(1〜10位)

図:シェーバー関連検索者の流入サイト(1〜10位)
期間:2025年7月〜2026年6月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

流入サイトの上位には、Amazonや楽天市場などのECサイトに加え、価格.comやmybestなどの比較・レビューサイトがあります。シェーバー関連検索者は、単に商品を探しているだけでなく、口コミや価格、性能を確認しながら購入候補を絞り込んでいると考えられるでしょう。

続いて、検索者の性別を分析します。

図:シェーバー関連検索者の性別

図:シェーバー関連検索者の性別
期間:2025年7月〜2026年6月
分析ツール:Dockpit
デバイス:PC、スマートフォン

シェーバー関連検索者の男女比を見ると、男性が71.9%、女性が28.1%です。男性検索者が中心ではあるものの、女性からの検索も一定数あり、性別を問わずシェーバー情報を調べるユーザーが存在することがわかります。

ラムダッシュ パームインに関心を寄せるユーザー層

では、どのような人がラムダッシュ パームインに関心を寄せるのでしょうか?以下では、Web行動データとアンケートデータを用いた分析ができるヴァリューズの分析ツール「Perscope」を活用して「ラムダッシュ パームイン」公式サイト訪問者の特徴を分析します。

図:ラムダッシュ パームイン公式サイト訪問者の年代

図:ラムダッシュ パームイン公式サイト訪問者の年代
期間:2025年7月〜2026年6月
分析ツール:Perscope
デバイス:PC、スマートフォン

年代を見ると60代の割合がもっとも高いことがわかりました。ラムダッシュ パームインはシニア層からも高い関心を集めている様子がうかがえます。

「デザイン性の高いコンパクトシェーバー=若者向け」というイメージもありますが、意外に高世代層にも普及した商品のようです。長年シェーバーを使ってきたシニア層だからこそ、新製品に関心をもつのかもしれません。

次に、ラムダッシュ パームイン公式サイト訪問者が、特徴的によく閲覧するサイトを見てみましょう。

図:ラムダッシュ パームイン公式サイト検索者の閲覧サイト

図:ラムダッシュ パームイン公式サイト検索者の閲覧サイト
期間:2025年7月〜2026年6月
分析ツール:Perscope
デバイス:PC、スマートフォン

アメトーークCLUB」が上位にランクインしているのが特徴的です。ラムダッシュ パームインは、2023年末の『アメトーーク!』の家電芸人で取り上げられたほか、家電アワードや各種メディアでも高い評価を獲得しています。こうした評価やメディア露出が重なった結果、商品の認知が広がり、関心をもった人もいるのでしょう。

グルーミング需要の拡大が電気シェーバー市場を後押し

電気シェーバーは、男性のヒゲ剃りだけでなく、女性向けのフェイスケアやボディケアなど、用途が広がりつつあります。用途の広がりは、身だしなみを整える「グルーミング」への関心の高まりとも関連するでしょう。

グルーミングとは、身だしなみを整えるためのケア全般を指し、スキンケアやヘアケア、ムダ毛、眉毛の手入れなどが含まれます。近年は、美容やセルフケアへの関心の高まりを背景に、女性向けグルーミング市場も拡大しています。

アメリカの女性グルーミング市場は、2024年の74億6,800万米ドルから、2035年には約163億9,200万米ドルへ拡大し、2025年〜2035年の年平均成長率(CAGR)は7.41%と予測されています(※4)。また、女性のグルーミング需要の高まりを背景に、女性向け電動眉毛トリマー市場も成長が見込まれており、フェイスケアやムダ毛ケア向け製品への需要拡大が期待されるでしょう。

こうした流れを受け、電気シェーバーも従来のヒゲを剃るための製品から、フェイスケアやボディケアまで対応する製品へと役割が広がっているようです。近年は、パナソニックのボディトリマーのように全身のムダ毛ケアに対応した製品も展開されており、手軽にセルフケアできるアイテムとして注目を集めています。

今後の電気シェーバー市場では、グルーミング領域の拡大にともない、これまでとは異なる層や用途での需要拡大が見込まれます。

(※4)Spherical Insights「United States Women's Grooming Market Size, Analysis To 2035」

電気シェーバー市場では、パナソニックのラムダッシュ パームインのように、従来の剃り性能だけでなく、デザイン性や携帯性といった新たな価値を提案する製品が注目を集めています。今後は、グルーミング領域の広がりにより、新たな需要を創出できる可能性があります

電気シェーバー市場は、美容意識の高まりを背景に、用途やターゲット層の拡大が進むと考えられます。従来のヒゲ剃り用途に加え、女性向けのフェイスケアやボディケアといったグルーミング需要を取り込むことで、市場のさらなる成長が期待されるでしょう。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

Webライター。転職、キャリア、美容、不動産、金融ジャンルの記事を執筆中。新卒からシステムエンジニアとして働いていました。ライティングにおいては、わかりやすい文章を書くことはもちろん、どこかくすっと笑えるような、読み手が温かい気持ちになれる記事を書くことを心がけています。

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