活用編ではAIツールの「スケジュールタスク機能」で集めた情報資産をどのように日常業務(あるいはライフワーク)の中に取り入れていくのかを、日次・週次・月次の時間軸を意識したアクションとして紹介します。
ご自身の業務の中にぜひ取り入れてみてください。
※本稿は『リサーチからはじめる仮説ドリブン・マーケティング』(WAVE出版・菅原大介)「 第3章:情報収集の習慣化」の内容をもとに、AIデスクリサーチ用途に再構成した内容を記載しています。
1.AIデスクリサーチの習慣化では「時間軸×発信源」を意識する
AIデスクリサーチを習慣化するには、日次、月次、年次の時間軸の観点を意識して情報収集に臨みます。AIツールの「スケジュールタスク機能」で行う日次の情報収集はすべての応用の起点となりますが、活用機会とリンクさせるには中長期の時間軸も意識します。
この時、各時間軸に合った発信源の組合せを決めておくと確実な活用や反響につなげることができます。自身や組織の中で使用しているコミュニケーションメディアを上手く活かして発信していきましょう(該当するメディアが無い場合にも以下で触れていきます)。
2.日次で行う情報収集・情報発信
日次で行う情報収集では、サービスリリースや専門的なナレッジなどから個社の動向や職種の技能をインプットします。情報発信では、X、Slackなどを通じてアウトプットを行います。後々のことも考えて事実を正確に認識して情報をストックすることがポイントです。
また私自身の経験からおすすめしたい使い方として、1on1のアジェンダに設定する方法があります。部下としては自身の関心事を伝えて上司とテーマの意識合わせを行い、上司としては部下の関心を聴き出し委任領域・挑戦領域を検討する使い方をすると効果的です。
3.月次で行う情報収集・情報発信
月次で行う情報収集では、同時期の企業リリース情報、同一テーマのノウハウなどから見える動向を最新トレンドとして考察します。情報発信では、ブログ記事やメルマガなどの形でアウトプットを行い、個別の重要テーマ単位に対する知識・見識を磨いておきます。
情報はニュース単体だとその出来事についてのインパクトの共有以上にはならないのですが、複数集まると組織で行おうとしている動きにつながってきます。この段階では企画書・提案書の作成や、オウンドメディアの記事制作などの具体的な活動に応用させます。
4.年次で行う情報収集・情報発信
年次で行う情報収集では、業界の動向、界隈の傾向を年間トレンドとして考察し(壁打ちにはGemini Notebookが役立ちます)、ホワイトペーパーや登壇スライドなどの形で大きなアウトプットに仕立て、総括・展望など抽象度が高めの発信に挑戦していきましょう。
立場柄、外部向けに発信する機会が特にない人も一定程度いることでしょう。その場合、自身の目標設定(業務計画)を行う際に情報資産を活用してみてください。組織運営や企画提案に際して、ベンチマークとする取り組みや技能情報がきっと役立つはずです。
5.AIによる情報の自動化をどこまで取り入れるべきか?
AIデスクリサーチを極めると、情報収集、企画の選定、記事や投稿の作成、公開・投稿までの一連のサイクルを全自動化することが可能になります。情報収集と情報発信に係る作業はもちろんのこと、リストを半自動で更新・管理するメリットも大きいでしょう。
ただ個人的には全自動化はあまりおすすめしません。書き手の持ち味がなくなり、肝心のアウトプットで評価を得られにくくなるからです。実際に私自身の経験でも、手間をかける部分をかなり残していることで、作業としては非効率ながら評価を保てています。
※AIによる自動投稿フローを完全に構築・制御できている方は別です。
テレビ番組のリサーチャーとして有名な喜多あおいさん(株式会社ズノー執行役員)は、取材記事の中で情報収集の原則について次のように述べています。
最初から欲しい情報や、おもしろい情報を得ようとしないこと。必ず「そもそもドーナツとは?」という基本の“き”からスタートします。ここが核になる揺るぎない部分ですから、辞書・事典を引くことから始めます。すると「ドーナツの定義」や「真ん中に穴が空いたのはこの時点だったのか」といったことなどがわかります。
※参考:テレビ番組からマーケティングまで 最新のリアルを調べ上げるリサーチャー|おしごとはくぶつかん(朝日学生新聞社・朝日新聞社)
AIデスクリサーチは便利ですが、自動化しすぎると意図せず「好奇心・主体性・想像力」を制限することにつながります。デスクリサーチにAIを使用した方が良いことは確かなので「思考を奪っている」とまでは言いませんが自動化の程度はよく考慮しましょう。
私たちはストレートなニュースサイトの運営を行いたいわけではなく、何らかの形で個性を出したい立場にあります。SNSの投稿や企画の提出、会議での発表などの場において何らかの工夫を認めて欲しいと願うなら、自身が味付けする領域を残しておきましょう。






株式会社アイスリーデザイン
chapter UI/UXデザイングループ スペシャリスト
菅原大介
リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で出版社の学研を経て、日系最大手のマーケティングリサーチ会社で月次500問以上を運用する定量調査のディレクター業務を経験。総合ECサイト・アプリを運営する大手事業会社でデジタルプロダクトの戦略企画を担当したのち、現在は株式会社アイスリーデザインでUI/UXデザインの支援・研究に携わる。
デザインリサーチとマーケティングリサーチのトレンドをウォッチするニュースレター「リサーチハック101」を個人で発行するほか、定量・定性の調査実務に精通したリサーチのメンターとして活動や記事の監修も行っている。著書『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)、『リサーチからはじめる仮説ドリブン・マーケティング』(WAVE出版)
X|https://twitter.com/diisuket
note|https://note.com/diisuket
ニュースレター|https://diisuket.theletter.jp