応用編ではデスクリサーチにAIツールの「スケジュールタスク機能」を活用するにあたって、ビジネス領域・デザイン領域に従事するビジネスパーソンにおすすめのユースケースを紹介します。ご自身が拡張していきたい領域や能力に合わせて活用してみてください。
※なお、例文や図表に登場するプロンプト内のキーワード及びメディアは抜粋した状態のものを記載しています。個別の具体例の紹介というよりもフォーマットの有用性を理解していただくための構成にしていますのでご了承ください。
1.ドメイン知識に関する情報収集
1つ目は、ドメイン知識(特定領域の知見・見識)に関する情報収集です。事業分野、業務知識に関連するキーワードを登録する方法で、業界知識やトレンドをインプットする時に有効です。例えば、「Go-to-Market」「エンタープライズAI」などが該当します。
【例文】AI駆動開発プロセスに関する情報収集
プロダクト開発を行う事業会社・支援会社において、AIの環境設計・品質保証に関連する以下のキーワードリストに基づいて、下記の「AIネイティブなトップランナー企業のオウンドメディア」及び「開発者・技術者ブログメディア」で関連する記事や情報が公開された場合に、平日毎朝8時にリスト形式で送ってください。
-AI-DLC
-PoC
-Go-to-Market
-エンタープライズAI
情報収集ルーティンの中でもドメイン知識の習得は最もベーシックなテーマであり、リサーチをビジネス的な意味で成功させるためには継続的な学習が欠かせません。プロンプトで指定するキーワード、メディアは細かく設定してチューニングを繰り返します。
2.リサーチスキルに関する情報収集
2つ目は、リサーチスキルに関する情報収集です。リサーチのスキルセットに関連するキーワードを登録する方法で、専門技能のキャッチアップや新たなスキル獲得に有効です。例えば、「ユーザビリティテスト」「デザインワークショップ」などが該当します。
【例文】デザインリサーチのナレッジに関する情報収集
プロダクト開発の文脈において、デザインリサーチやサービスデザインの技能に関連する以下のキーワードリストに基づいて、下記のメディアリストで関連する記事や情報が公開された場合に、毎週水曜8時にリスト形式で送ってください。
-UXリサーチ
-ユーザーインタビュー
-ユーザビリティテスト
-デザインワークショップ
長く同じ職能で活躍するには、積極的に最新の技法に触れることのほか、自身がこれまで触れてきていない伝統的な技法に触れることが大事です。リサーチの分野は、もともとの書き手が少ないので、企業・個人単位で知見に明るいアカウントをチェックします。
3.人材募集に関する情報収集
3つ目は、人材募集に関する情報収集です。職種・職能に関連するキーワードを登録する方法で、専門性が高い職種の情報、新しく出てきた職種の情報をキャッチアップする時に有効です。例えば、直近で話題のAI新職種では「GTMエンジニア」などが該当します。
【例文】AIプロダクトを扱う新職種に関する情報収集
プロダクト開発を行う事業会社・支援会社において、AIの導入・推進を担う以下の新しい職種について、関連する人材募集や仕事記事が公開された場合に、平日毎朝8時にリスト形式で送ってください。
-Forward Deployed Engineer
-GTMエンジニア
直接的には採用計画を立てる際のインプットとして役立ち、間接的には広い職能理解に役立ちます。採用情報を見ていると企業理解(競合企業や顧客企業)にとても役立つので、採用にかかわっていないとしてもマーケティング観点で有意義な知識を得られます。
4.スケジュールタスクで情報が出て来ない場合のリカバリー方法
前回の基礎編で紹介している通り、いくら注目の話題を設定していても情報が頻繁に出てくるとは限りません。最新の・希少な情報を集めるべく範囲や粒度をプロンプトで制御していることもあって、しばらくの間は有益な情報が出てこないこともよくあります。
情報が集まらないとルーティンでチャット履歴やデスクトップ通知を見るのが面倒になり、この状態が長く続くと情報収集のモチベーションが保てない要因になります。そこで、スケジュールタスクで情報が無かった場合のリカバリー法を以下に紹介しましょう。
■①キーワードリストを拡充する
実際にスケジュールタスクを設定して記事を見ていると、学びの取れ高が大きいテーマキーワードが出てきます。それを随時追加していくようにしましょう。
例えば私の場合、SaaSプロダクトの状況をウォッチしていたい立場にあり、「BtoBマーケティング」だとビッグキーワードすぎてしまうため、「GTM」「PoC」「エンタープライズAI」のようなキーワードにチューニングするようにしていきました。領域としてはほぼ同様の趣旨になりますが、知りたいことの確度は上がっています。
■②メディアリストの粒度を調節する
メディアリストは、noteのような大型の記事プラットフォームや多数の記事が掲載されるビジネスメディアだと幅が広すぎてしまうため、カテゴリータグのような単位でプロンプトに指定します。例えば、「note ○○記事まとめ」「○○マガジン」のようなピックアップ記事に頼るのも手です。
逆に、メディアがテーマに特化した志向性を持っているなら粗く保っていた方が情報効率がよく、例えば、Qiita、Zennといった技術者ブログのプラットフォームは全体としてリストに指定しているのが良いです。
■③タスクの実行周期を見直す
学習テーマによってはそれほど頻度高く更新されるわけではないこともあります。その場合はAIがタスクを実行する(サイトを巡回する)頻度を下げます。それにより1通知あたりの情報濃度が上がれば(速報性は犠牲になりますが)習慣が長続きします。
■④AIツールを変えてみる
基礎編で紹介している通り、スケジュールタスクの機能は各AIツールにあります。情報収集用途で各AIツールを試してみて、イメージと合っていたら切り替えるのも手です。
こうして見ているとAIデスクリサーチ以外でも並行して情報収集を行うことの重要性に気づきます。実際、スケジュールタスク機能は魔法のように何でも集まるというより、定常的に行う情報収集に抜け漏れがないかを点検する位置づけと捉えるのが正しいでしょう。






株式会社アイスリーデザイン
chapter UI/UXデザイングループ スペシャリスト
菅原大介
リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で出版社の学研を経て、日系最大手のマーケティングリサーチ会社で月次500問以上を運用する定量調査のディレクター業務を経験。総合ECサイト・アプリを運営する大手事業会社でデジタルプロダクトの戦略企画を担当したのち、現在は株式会社アイスリーデザインでUI/UXデザインの支援・研究に携わる。
デザインリサーチとマーケティングリサーチのトレンドをウォッチするニュースレター「リサーチハック101」を個人で発行するほか、定量・定性の調査実務に精通したリサーチのメンターとして活動や記事の監修も行っている。著書『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)、『リサーチからはじめる仮説ドリブン・マーケティング』(WAVE出版)
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