Web行動ログデータから見る消費者行動のリアル!withコロナ時代の「Web×保険」とは|セミナーレポート

Web行動ログデータから見る消費者行動のリアル!withコロナ時代の「Web×保険」とは|セミナーレポート

withコロナ時代の消費者変化を、Web行動ログから考察したオンラインセミナーが8月に開催されました。今回フォーカスされたのは「保険業界」。コロナ禍による「おうち時間」などから在宅時間も長くなり、忙しい毎日ではなかなか落ち着いて考えることも少なかった「保険」に関して、これを機に見直しや新たな商品を求めようと行動した人も少なくないのではないでしょうか。そんな保険業界の今を、アンケート調査とWeb行動ログデータの変化から「Web×保険」のあり方と題して分析・解説しました。
セミナー資料は無料でダウンロードできます。記事下部にあるフォームからお申込みください


図:スピーカー紹介

図:スピーカー紹介

データで見るコロナ禍における保険市場の動向と消費者行動とは?

コロナ禍で消費者が興味を持ったことは?

まずは「新型コロナウイルスの影響拡大後にあなたが興味関心を持つようになったこと」と題したアンケート調査の結果に、コロナ禍で健康を始め、生活の不安などが多く生まれたことが大きく反映されていると推測。「「節約意識」や「マネー・投資」といったものへの関心が非常に高まっている、というトレンドは間違いなく存在していると言えます。」とデータマーケティング局マネジャーの入場(にゅうば)が解説を始めました。

図:コロナ禍で興味を持ったもの 

図:コロナ禍で興味を持ったもの 

コロナ禍で中止した行動・実施した行動とは?

続いて2020年3月以降に予定していた行動について、それらの予定が実行出来たか、または中止としたかという現状についてのアンケート結果を検証。

結果、予定していた行動ランキングで1位となっていた「国内旅行」を始め、外出などにまつわる行為、「遊園地にいく」「コンサートにいく」などの9割は実施を取りやめたという結果になっています。

一方で、「金融商品の購入」や「保険の加入」に関しては7割が実施したという結果となっており、コロナ禍において保険を含む金融商品に興味関心を持つ人が増えたり、元々検討をしていた人も予定を変更せず金融商品の購入や保険の加入などを実施していることがうかがえます。

図:コロナ禍で中止・実施した行動

図:コロナ禍で中止・実施した行動

コロナ禍における生命保険各社サイトの集客状況は?

続いてはアンケート結果によって「興味がわいた」「実施した」と現れた「金融商品の購入」のうち、「保険商品」に焦点を絞ってみることに。

以下は「コロナ禍における生保各社サイトの集客状況概観」です。
前月比・前年同月比をみても、双方ともに増加していたのは、オリックス生命保険・第一生命保険・アクサ生命とわずかな様子。

入場:「全体をみて、劇的にサイトへの訪問者数が増加したとは言えず、長期的なデータで見直してみても、突出したサイト訪問者数の増加は見られませんでした。

図:コロナ禍における生保各社サイトの集客状況概観

図:コロナ禍における生保各社サイトの集客状況概観

単純に数値の増減だけではわからない、サイト訪問者の質とは?

とはいえ、これらのデータだけで単純に「サイト訪問者数が増えていないから興味関心がない」と判断するのは早計だということが、下記の流入データからわかると入場は解説を続けます。

上段が2019年4月から5月の流入経路データ。下段が2020年4月から5月の同様のデータとなります。「一般広告」の青いグラフを見てみると、2019年には700万以上あった訪問者数が、2020年には250万と3分の1に減少しています。

一方で、「自然検索」は(同じく青いグラフに注目)18万だった訪問者が2020年には35万と約2倍に増えています。これらの数値から、広告での集客数を減らしているにもかかわらず、自然検索が増えているのではないかという状況が見えてきました。

入場:「これらの動向から、サイト訪問者総数は変わらなくても、サイトに訪問してきている顧客の質が変わったと言えるのではないでしょうか。」

図:大手4社サイト 流入経路内訳

図:大手4社サイト 流入経路内訳

生命保険に向けられた消費者のweb行動、様々なケース

では消費者の意識としてはどのような動きがあったのか、さらにWeb行動ログを詳しく見てみると、まずは、コロナに感染した場合の不安から保障を気にしている様子が多く現れたとのこと。例えば「コロナ」と検索後に急に「生命保険」を検索しているといったケースが多く現れました。
また、給与面などの不安などが生まれ、生活の固定費の見直しや節約意識が高まったケースや、中にはお金全般の情報に関心が高かった人が、さらに関心が活発化しているといったケースも見受けられました。

入場:「コロナ禍になり保険市場においては、サイト訪問者数だけでは盛り上がりは観測しづらいものの、構成している訪問者の質が変わったことに注目すべきと考えます。
また、金融商品全般に関心を持ち始めている消費者の動向の一つに、「FP監修・解説」といった有識者から発信される情報に注目が集まっていたというポイントも踏まえて、保険各社のアプローチ方法を、消費者の行動に順応していく必要があるとも言えそうです。」

図:コロナ禍における保険市場の動向 まとめ

図:コロナ禍における保険市場の動向 まとめ

今後の「Web×保険」に関する考察 ネットが前提条件になる?

コロナ禍により、求められているモノ・コトが変わった

コロナ禍により、大きな意味で人々の欲求に変化が生じていると言えそうです。
以前であれば、SNSでの自己評価への欲求や、社会的地位確立の欲求と言った、いわゆるマズローの法則にもある5段階欲求の上部での欲求に比重が占めがちであった生活から一変、コロナ禍という不安要素から、安全な場所にいたいといった欲求、さらには生存の欲求と言った階層にまで意識が変化していると言っても過言ではなさそうです。

入場:「「あらゆるカテゴリーのサービスで「衛生であることが担保されている」「健康に危害が及ぶ可能性が低い」といった観点が前提条件・必須条件となっています。どんな商品にも新しい前提条件が生まれていくと考えます。」

図:欲しい商品①

図:欲しい商品①

図:欲しい商品②

図:欲しい商品②

では「保険商品」にとって、新しい前提条件・必須条件とは何を指すのでしょうか。

求められる商品の前提条件・必須条件とは?

新しい前提条件・必須条件のヒントとして挙げられたのは、コロナ禍における「デジタルデバイスへの接触量変化」のデータです。
テレビへの接触が首位となっていますが、注目すべきはインターネットへの接触量の増加です。これが保険商品とどう結びつくのか見ていきます。

図:デジタルデバイスへの接触量変化

図:デジタルデバイスへの接触量変化

前項で述べたとおり、保険商品への注目度に変わりはなく需要があると見られます。しかし、以下の資料によれば、消費者の関心は増加するものの、対応する企業側の受け皿に弱点が見受けられます。これは属人的な窓口・対応だけでは、このコロナ禍では限界が生じていると推測します。
ここで入場が必要不可欠な前提条件となりえると考えたのが、ネットの役割です。

図:コロナで変わった保険への意識 消費者と企業

図:コロナで変わった保険への意識 消費者と企業

図:コロナで変わった保険への意識 ネットで調べてみよう

図:コロナで変わった保険への意識 ネットで調べてみよう

Afterコロナで考える、大事なデジタルとの関係

以前であれば、保険を契約する際には多くが対面式で情報を得て、外交員や代理店窓口に信頼をおいて契約するといったジャーニーが見られましたが、コロナ禍で巣ごもり消費が根付き、デジタル媒体に触れる機会が多くなったwithコロナ時代で、このジャーニーに変化が生じているようです。

入場:「ECの利用が増え、テレワークにも慣れ、通勤においては移動時間が短縮されたなど、このコロナ期に享受したデジタルの利便性は不可逆な変化として今後も残っていくと思われます。

そのような中、保険商品販売の対面のコミュニケーションは選択肢の一つでしかなくなる可能性があり、今まで以上にWebで情報を集めていくということが、当たり前になっていくと思われます。

少し大袈裟な表現となりますが、Webで興味を持って検索比較をして、ヒットしなかった情報は検討する選択肢から埋没してしまうと言っても過言ではない時代と言えます。

そのため、まずは「前提条件」としてWebで情報を揃えるという状況を作っていくというのが非常に大切だと思われます。その上で対面販売の良さや、Web販売の良さは「付加価値」として評価されるようになっていくのではないでしょうか。」

図:コロナが保険業界にもたらしたもの

図:コロナが保険業界にもたらしたもの

まとめ

コロナ禍により、より関心や興味が増えた「保険業界」。ただし増加した消費者の関心興味に今の「保険業界」がどれほど順応できているのかという疑問を呈した今回のセミナー。

対面の強み」を前提条件としていた「保険業界」にも、コロナ禍により変化した消費者の「デジタル化への定着」意識には、十分に順応する必要があるといったことが強く語られました。
前提条件にWebをいかに活用するかが、対面型保険にとっても非対面型(ダイレクト型)保険にとっても、優位性に大きく影響する一手となると言えそうです。

入場:「これからはWebで情報を集められることが「差別化要素」ではなく「前提条件」になると考えられます。Web検索の初期段階できちんと消費者とコンタクトを取ることができれば、次に自社の強みを存分に伝える機会に繋がります。そのためにはまず、ターゲットがどのようなWeb行動をしているかを丁寧に観察することが重要と考えます。」

図:セミナーサマリ

図:セミナーサマリ

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この記事のライター

マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。

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