保険難民が増加? withコロナ時代突入により変わり始める保険の選び方

保険難民が増加? withコロナ時代突入により変わり始める保険の選び方

一昔前、保険は自宅や職場に訪れる各保険会社の営業担当者から加入するのが一般的でした。しかし、現在ではそういった光景は減りつつあり、代りにさまざまな会社の保険を扱う来店型の保険ショップや、Web 上の保険比較サイトが増加しています。また、ネットで手続きを行うダイレクト型保険も浸透し、より手軽に保険へ加入できるようになりました。そんな中、新型コロナウイルスの蔓延により、人との接触をできる限り減らす新しい生活様式での日常がスタートしました。withコロナの生活は人々の保険の選び方にどのような影響を与えているのか、eMark+を用いて分析してみました。


ダイレクト型保険の需要は横ばい。来店型保険ショップは右肩下がり。

今回は①来店型保険ショップ、②ダイレクト型保険、③保険比較サイトについて、それぞれ以下のサイトをピックアップし、比較を行います。

①来店型保険ショップ
ほけんの窓口   www.hokennomadoguchi.com/
保険見直し本舗 www.hokepon.com
保険クリニック www.hoken-clinic.com/
ほけんの110番  www.e-hoken110.com/
イオンの保険  www.hokenmarket.net/shop/

②ダイレクト型保険
アクサダイレクト生命 https://www.axa-direct-life.co.jp/
オリックス生命    https://www.orixlife.co.jp/
ライフネット生命   https://www.lifenet-seimei.co.jp/
チューリッヒ生命   https://www.zurichlife.co.jp/
メディケア生命    https://www.medicarelife.com/

③保険比較サイト
価格.com保険 https://hoken.kakaku.com
保険市場   https://www.hokende.com/
保険ライフィ https://lify.jp/

まず、2019年・2020年それぞれ3月~5月の3ヶ月間 において、来店型保険ショップとダイレクト型保険のサイト訪問者数を比較しました【図1】。
※サイト訪問者数はそれぞれ主要5社のユーザー数を合算し、算出しています。

【図1】来店型保険ショップ・ダイレクト型保険のサイト訪問者数比較
デバイス:PC・スマートフォン

来店型、ダイレクト型ともに3ヶ月間を通じて昨年よりもサイト訪問者数はやや減少傾向にあるようです。しかし、ダイレクト型については両年ともにユーザー数が増加した5月を除いて殆ど大きな変化はなく、特に3月・4月のサイト訪問者数は昨年同時期と比べて減少幅はかなり小さいことがわかります。

一方、来店型は昨年同時期と比べると3月から一貫してサイト訪問者数が少なく、昨年比70%前後に留まっています。

2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて不要不急の外出を控える人が増え、4月には緊急事態宣言が出されたことでさらに大きく外出が制限されることとなりました。店舗での相談検討者の減少には、少なからず新型コロナウイルスの蔓延が影響を与えているのではないかと考えられます。

ダイレクト型保険、2強はアクサダイレクト生命とライフネット生命

続いて、2019年12月~2020年5月までの半年間におけるダイレクト型保険5社のユーザー数を比較してみました【図2】。

【図2】ダイレクト型保険ユーザー数比較
デバイス:PC・スマートフォン

アクサダイレクト生命、ライフネット生命の2社 が他3社を引き離して多くのユーザーを獲得していることがわかりました。ライフネット生命については4月の契約件数が200%増との報道もされており、ユーザー数のみに留まらず、申込者数も大幅に増加しているものと思われます。

5社のユーザー数比較を通し、ダイレクト型保険の中でもサイト訪問者数には差があり、申込者数は各社で差が生じている可能性があることがわかりました。

比較サイトのユーザー数が増加中。保険の検討はWebが人気。

最後に、2018年6月~2020年5月の2年間における、来店型保険ショップと保険比較サイトのユーザー数を比べてみました【図3】【図4】。
※それぞれ各サイトのユーザー数を合算し、来店型保険ショップと保険比較サイトのユーザー数としています。
※来店型保険ショップについては、店舗詳細ページ接触者をユーザー数とします。

【図3】来店型保険ショップユーザー数推移(5社合算)
デバイス:PC・スマートフォン

来店型保険ショップの店舗詳細ページ閲覧者は概ね減少傾向にあり、特に2020年5月には昨年比47%にまで減少していました。

【図4】保険比較サイトユーザー数推移(3サイト合算)
デバイス:PC・スマートフォン

一方、保険比較サイトのユーザー数は2年間で大きく増加しており、特に2019年11月以降は安定して高水準を保っています。11月は保険月間として各社が営業を強化するため、一時的にユーザー数が上昇する傾向が見られますが、その後も大きな減少がみられないことから、比較サイトの需要が高まっていると考えられます。

また、2018年6月~2019年5月と、2019年6月~2020年5月の1年間単位でユーザー数の合計を比較すると、 来店型保険ショップのユーザー数は約157万人→約110万人 で約40%減少していますが、比較サイトのユーザー数は約1891万人→約2424万人と約28%増加していることがわかりました。

店舗相談検討者が減少する一方で、比較サイト利用者は増加しており、Webでの保険検討者が増加している様子がうかがえます。

さらに、ダイレクト型保険のサイト訪問者は横ばいであったにも関わらず、比較サイト訪問者数が増加していることから、「保険をネットで検討するが、どこにするか決め切れていない人」が大幅に増加している可能性があることもわかりました。

コンビニでも保険に加入できるように

比較検討の場や加入方法の選択肢が増え、ますます多様化してきた保険。
最近では保険ショップやWeb上に限らず、コンビニ でも保険に加入できるようになりました。

セブン-イレブン・ジャパンでは、これまでも三井住友海上火災保険の自賠責保険や自動車保険などいくつかの保険商品を扱っていましたが、6月16日よりコンビニでは初となる「がん保険」の 販売が開始となりました。

加入方法は非常にシンプルで、PCやスマートフォンを用い「セブン-イレブンで入る保険サイト」から必要情報を入力し、店頭のマルチコピー機を使用して「保険料払込票」を出力します。その後レジで第1回保険料充当金を支払うことで、保険の加入手続きは完了です。

これまでよりも手軽に保険への加入が可能となることに加え、ほとんど対面での手続きが必要ないことは、withコロナ時代において大きな強みとなりそうです。

今後は加入手続きのみに限らず、保険相談の場においても非対面のニーズの高まりが予想されますが、保険を決め切れない人に対してどのようにアプローチしていくかが大きな鍵となりそうです。

本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのeMark+を使用しています。

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分析概要

全国のモニター会員(20代以上)の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2018年6月~2020年5月におけるユーザーの行動を分析しました。
※ユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

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この記事のライター

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