【トレンド調査】おやつのサブスク「スナックミー」が提供する「体験価値」を分析

【トレンド調査】おやつのサブスク「スナックミー」が提供する「体験価値」を分析

ここ最近話題のサービスを掘り下げ、人気の背景を分析する「トレンド調査」企画。今回は、おやつのサブスクリプションサービス「snaq.me(スナックミー)」を取り上げます。「スナックミー」は、ハッピーなおやつ体験を提供するお菓子のサブスクサービス。お菓子を定期的に届けるというサブスク機能よりも、「新しいおやつ体験」という体験価値がサービスの売りだといいます。コロナ禍によっておうち時間が増えたことも追い風となり、数あるD2Cサービスの中でも話題のスナックミーの強みや提供価値について、Web行動ログ分析ツールDockpitのデータを参考にしながら分析します。


スナックミーとは?

スナックミーは、おやつが定期(2週に1回もしくは4週に1回)で届くおやつのサブスクリプションサービス。「おやつ診断」でパーソナライズされた厳選おやつの詰め合わせ「おやつ体験ボックス」が届きます。

毎月変わる100種類以上のスナックから、食べきりサイズのスナック8つを厳選。開けてみないと何が入っているか分からないワクワク感や、新しいおやつとの出会いもあり、「食べている時間よりも、実はBOXを開けた瞬間が一番テンションが上がる」というユーザーからの声が聞かれるといいます。

Web行動ログ分析ツール「Dockpit」でスナックミーのユーザー動向を見ると、以下のようになっています。

分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2020年5月〜2021年4月、対象デバイス:PC、スマートフォン

今年の夏に大きくユーザー数が伸びています。スナックミーでは、コロナ復興支援として廃棄されてしまう素材を使用し、コロナで売上が減少した菓子メーカーと共同開発したアイスキャンディーを発売するなど、時代の流れにマッチした取り組みが注目されました。

さらに、コロナ禍の宅飲みを充実させるおつまみの宅配「otuma.me(オツマミー)」を2020年11月末に開始したほか、2021年1月には初のポップアップストアを渋谷ロフトで開店。時代の需要を汲み取って舵を切り、あえてオフラインでの顧客接点を持つ等のプロモーションも積極的に取り入れることで、ユーザーの拡大に繋がったのではないでしょうか。

スナックミーがこだわる体験価値

スナックミーのユーザー数の拡大が見えてきましたが、サービスのどういった部分がユーザーの心を掴んでいるのでしょうか。

スナックミーのサイトには「おやつの時間を価値あるものに。」というサービスコンセプトとともに、以下のような言葉が書かれています。

snaq.meがお届けするのは、お菓子という単なる「モノ」ではなく、おやつ時間、そしてワクワクしたり楽しんだりする体験、つまり『おやつ体験』です。

単なる「お菓子のサブスク」として「お菓子」というモノを提供するのではなく、ワクワクしたり楽しんだりする時間や体験を提供するのだ、というコンセプトが打ち出されています。

また、株式会社スナックミーの代表である服部慎太郎氏は、noteにて次のようなことを書かれています。

自分たちはモノではなく、体験を提供できるし、そうすべき、ということに改めて気がついた。

その頃から、スナックミー体験、という言葉を使い始めた気がする。

お菓子はモノ、おやつは体験と言葉も使い分け、スナックミーはお菓子じゃなくておやつを提供するということを強く意識するようになった。

スナックミーが行ったユーザーアンケートには、「食べている時間よりも、実はBOXを開けた瞬間が一番テンションが上がる」「snaq.meが届いたという通知があると、その日は仕事が頑張れる」などの声が届いたといいます。

どんなお菓子がパーソナライズされて、入っているのか。開けてみないと分からないワクワク感や、新しいお菓子や食べ方を発見する楽しみ。これらの体験価値に、スナックミーは着目しているそうです。

昨今コロナ禍でお家時間が見直され、ステイホームを充実させるサービス・アイテムの需要が高まりました。特に食においては、外食の機会が減ったことで、自宅にいながら美味しいものが食べられるD2Cサービスの利用者が拡大。スナックミーもその一つですが、「体験」に軸足を置くことで、他のサービスとの差別化を図っています。

多くのサービスが、家庭で非日常の贅沢な時間を楽しむことができる食材・料理を打ち出している一方、スナックミーが提供するのは、「一度の贅沢」ではなく、「日常をちょっとワクワクさせるもの」です。普段の生活に「おやつ体験」で新鮮な楽しさを提供し、その演出をライフスタイルに溶け込ませたところが、定期便(サブスクリプション)として継続される理由ではないでしょうか。

スナックミーのユーザー属性とは

では、どのようなユーザーがスナックミーの体験価値を感じているのでしょうか。参考のために、ユーザー属性を見てみましょう。

分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2020年5月〜2021年4月、対象デバイス:PC、スマートフォン

性別比は、女性が8割を超えています。女性の方が普段から健康や美容に気を使い、おやつも「罪悪感のないもの」や「体にいいもの」を選びたいという人が多いのでしょう。

分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2020年5月〜2021年4月、対象デバイス:PC、スマートフォン

年代は20~30代の若年層を主体としながら、40代、50代にもある程度ユーザーがいることが分かります。コロナ禍で家庭で過ごす時間が増えている昨今、日常を楽しませ、健康にも配慮できるサービスとして、中高年層からの支持も今後広がっていくかもしれません。

まとめ

モノ(お菓子)を届けるというよりも、ワクワクさせる「おやつ体験」を届けるスナックミー。外出機会が減ったコロナ禍においては、日常を彩るサービスとしてD2Cの中でも特に存在感を放ち、新しいライフスタイルを世の中に浸透させました。アフターコロナの時代には、この「おやつ体験」を習慣として一層根付かせるとともに、また新しいワクワク感を届け続けてくれるのではないでしょうか。この先どんな展開を見せてくれるのか。スナックミーの今後に注目です。

<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「Dockpit」を使用し、2020年5月~2021年4月のネット行動ログデータを分析しました。※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

関連する投稿


データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開

データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎えます。今回は2023年下半期から2024年に公開した調査から厳選し、金融業界のデジタル動向をまとめた「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開しました。ダウンロード特典として、銀行、証券など金融各業界のサイトランキングも収録しています。(「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」ページ数|90P)


キリン晴れ風、好調の背景にエコ志向の取り組みが Web行動データから人気の理由を考察!

キリン晴れ風、好調の背景にエコ志向の取り組みが Web行動データから人気の理由を考察!

これからの時代のスタンダードビールとして、「キリンラガー」や「キリン一番搾り生ビール」に続く、新たな定番となりつつある「キリンビール 晴れ風」。2023年4月に販売開始されて以来、ヒット商品として多数のメディアで取り上げられています。日々、続々と各ビールメーカーから新商品が登場するなかで、「晴れ風」はどのように人気を集めたのでしょうか。「晴れ風」の成功要因をデータから考察します。


スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

書店や文房具店にズラリと並ぶ手帳。2024年は、手帳の売り上げが前年から4割も増えた店舗もあったとか。なぜ今、紙の手帳が盛り上がりを見せているのか、どんな人が注目しているのか、ニーズや使い方とあわせて調査しました。


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2024年もさまざまなトレンドを記事として取り上げてきました。今回は調査記事の総集編として、2024年のトレンドを振り返ります。


最新の投稿


推し活人口は1384万人、市場規模は3兆5千億円に【CDG調査】

推し活人口は1384万人、市場規模は3兆5千億円に【CDG調査】

株式会社CDGと、株式会社Oshicocoは、第2回となる推し活実態アンケート調査を実施し、調査結果を公開しました。


BPaaSの活用意向は約7割!デジタルマーケ業務での導入効果は「広告運用の効率化」が最多【バレットグループ調査】

BPaaSの活用意向は約7割!デジタルマーケ業務での導入効果は「広告運用の効率化」が最多【バレットグループ調査】

バレットグループ株式会社は、マーケティング担当者および管理者、経営層を対象に「マーケティングとBPaaSについての調査」を実施し、結果を公開しました。BPaaS(Business Process as a Service)とは、BPO(業務プロセスのアウトソーシング)とSaaS(クラウドツール)を組み合わせ、業務プロセス全体を包括的に提供するサービスのことを指します。


第2次トランプ政権が発足 日本企業への影響は

第2次トランプ政権が発足 日本企業への影響は

2025年1月20日。ついに第2次トランプ政権が発足しました。大統領選挙前後からすでにトランプ政権に対するさまざまな憶測が飛び交っており、就任式でいくつもの大統領令へ署名をする姿には大きな反響も。そのような第2次トランプ政権の大きな肝となる政策は一体何なのでしょうか。本稿ではトランプ大統領がことあるごとに強く押し出している「関税」にフォーカスし、国際政治学者としてだけでなく、地政学リスク分野で企業へ助言を行うコンサルティング会社の代表取締役でもある和田大樹氏が解説します。


Adjust、アプリの年末年始休暇に関する最新インサイトを発表

Adjust、アプリの年末年始休暇に関する最新インサイトを発表

Adjustは、2024年の年末年始休暇におけるモバイルアプリ利用のトレンドや最新のインサイトを発表しました。


LINEリサーチ、募集開始から最短当日中にオンラインインタビューができるセルフ型ツールの提供を開始

LINEリサーチ、募集開始から最短当日中にオンラインインタビューができるセルフ型ツールの提供を開始

LINEヤフー株式会社は、同社が提供するスマートフォン専用のリサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」にて、募集開始から最短当日中にオンラインインタビューができるセルフ型ツール「Quickインタビュー」の提供を開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ