被リンク数と検索順位の関係:Googleが評価するのは「ユーザーが動くかどうか」|「2022年12月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

被リンク数と検索順位の関係:Googleが評価するのは「ユーザーが動くかどうか」|「2022年12月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

SEOに関わるマーケターの中では、被リンク指標と検索順位には相関関係があると言われていますが、被リンク数が検索順位に与えるインパクトはどれくらい大きなものなのでしょうか。また、どういった被リンクが効果があるのでしょうか。消費者のWeb行動ログデータを用いてユーザーのアクションの有無を検証しながら、今後のマーケターが取るべき施策について解説します。


【解説者紹介】

被リンクと検索順位の関係を、量・質の両面から調査





安部:12月のコンテンツマーケティング最新動向レポートでは、被リンク指標と検索順位の関係について解説しています。

被リンクとは、外部のページに貼られている自社サイトへのリンクを指します。例えば、コンテンツマーケティングを行っている会社が、ある調査結果に関する記事を作成したとしましょう。その調査結果を他メディアが引用したい場合に、出典元として記事リンクを貼ってもらうことが当てはまります。








安部:SEOにおいて被リンクは重要というのが定説です。今回は、実際それがどれほど重要なのかを探るために、検索順位と被リンクの量・質を照らし合わせて傾向があるか調査しました。全体の被リンクと、実際にユーザーが動いた被リンクとを分けたことは、本調査独自の切り口だと思います。











岩間:なるほど。ユーザーがクリックして遷移した被リンクかどうか、ということも検証していったということですね。でも、どうして実際にユーザーが動いている被リンクが判別できるのですか?










安部:ヴァリューズが持っているデータは、消費者のWeb行動ログデータ、すなわち実際にユーザーが動いているデータです。そのため、その被リンクからユーザーが実際にサイトを訪れたのか、という観点を調査の指標とすることができました。




順位が高いページ群は、被リンク数が多い傾向





岩間:調査の結果、どんなことがわかったのですか?










安部:まず被リンク数について解説します。通説では、被リンクの質は重視されつつ、被リンク数が多いサイトのほうが検索結果の上位に表示される傾向があると言われていますね。

調査した結果は通説通りで、表示順位が高いページ群は、平均の被リンク数も多い傾向があると判明。2022年6月から11月で、多少の変動はありつつも、やはり被リンク数と検索順位には相関関係があることがわかりました。

ここで注意したいのが、鶏が先か卵が先かの話で、上位にあるサイトだから被リンクが集まっているといった見方もできること。上位に表示されているからこそ、参考情報として使われやすい可能性もあるということです。被リンクの数が多いから上位に表示されるといった見方だけでなく、上位に表示されているから被リンクも集まってくることも意識する必要があるでしょう。








安部:続いてはドメイン数について。被リンクのドメイン数とは、自社サイトへのリンクが張られているサイト数のことです。こちらも順位が高いページ群は、平均の被リンクのドメイン数も多い傾向にあり、相関関係にあることがわかりました。2022年6月と11月を比較すると、11月のほうがより顕著に表れていますね。




実際にユーザーにクリックされる被リンクが高評価





岩間:ユーザーの動きの観点ではどうですか?










安部:こちらは被リンクの数ではなくドメインの数という形で出しています。どれくらい多くの外部サイトから自社サイトへの訪問が獲得できているか、ということですね。

結果としては、検索順位が高いページ群は、実際にユーザーが動いている被リンクの平均ドメイン数が多いことがわかりました。細かく見ると、6月から11月に1-10位のドメイン数は増加し、11-20位、21位-30位は減少しています。より上位化が顕著になったと見ることができるでしょう。








安部:最後は、実際にユーザーが動いている被リンク経由のセッション数についてです。先ほどは流入があった外部サイトの数を見ましたが、ここでは外部サイトからの訪問数を見ています。

結果を見ると、順位が高いページ群は、被リンク経由のセッション数も多く、6月より11月のほうがその傾向が顕著になっていることがわかりました。








岩間:被リンク数が多いほうが、検索順位も上位である傾向は通説通りでしたね。一方で、実際にユーザーが動いている被リンクとなると、上位化の傾向がより強くなっているという印象を受けました。










安部:そうですね。6月→11月の期間での推移から見ても、今後もその傾向が強まっていく可能性は十分あるのではないでしょうか。




2022年、Googleはユーザーの行動をより重視するように





岩間:今回解説してもらった被リンクはもちろんですが、Googleはユーザーの実際の行動を重視していると改めて感じました。










安部:この流れは最近始まったわけではなく、ずっと前からであると考えています。以下の資料は2010年のものなのですが、Googleは、ユーザーが行動しているリンクをもとにしたランキングアルゴリズムの特許を取得しています。








安部:このようにユーザーの実際の行動を重視した仕組みがすでにある・準備していることを考えても、今回の調査結果は違和感なく受け入れられるでしょう。ユーザーファーストなGoogleの方向性は変わらないように思います。










岩間:それにしても、どうして2022年というタイミングなのでしょうね。今回解説してもらったユーザーにクリックされている被リンクを評価する動きや、表示速度などを評価するコアウェブバイタルをPC版に組み込む今年3月の動きなど、2022年になってUXを重視したGoogleの仕組みづくりが目立っているような…。










安部:仮説にはなりますが、Googleとしても、最近になっていろいろな体制が整ってきたのではないでしょうか。これまでも本当に価値のある被リンクを評価したかったのでしょうが、様々な方法でアルゴリズムの穴を抜けようとする人が少なくありませんでした。被リンクの「数」だけを評価しているなら、ダミーサイトを作って被リンクをたくさん集めるなどが過去の例ですね。このようなことはユーザー重視の観点から見ても、決してよいことではありません。

そういったことへの対策の一環として、ユーザーの行動を重視した被リンクの評価、というのが行われている可能性があるかもしれません




「ユーザーが動く被リンク」の獲得方法とは





岩間:今回の解説を踏まえて、マーケターはどう行動すればよいでしょうか。










安部:まず実際にユーザーが動く被リンクとはどんなものか、考えてみましょう。自社でコントロールできる範囲は広くないですが、次のような、大枠3つの観点があると考えています。




①どのようなページに
掲載されるか
流入があるページに掲載されることが大前提。
元のユーザー数の母数が大きいほうが動くユーザーが多い可能性が高いため、たくさんの流入がある外部ページに被リンクが掲載される。
➁目を引く形で
掲載されているか
わかりやすい掲載のされ方になっていること。
ページの上部にリンクがある、目立つデザインであるなど。
③テーマと遷移先の関連性がどのくらいあるか 良い例:スマホの比較サイトからスマホのメーカーのサイトに飛ぶ場合。
良くない例:今日の出来事を書いているブログから、いきなりカードローン申し込みのサイトに飛ぶ場合。





岩間:ありがとうございます。被リンクの獲得の仕方というと、例えば、ある協会の会員になって、協会のサイトに自社サイトのリンクを貼ってもらう方法や、官公庁のサイトに掲載をお願いしたりする方法がありますね。もちろんそのようなことも大事ですが、一覧の中にただ入っているだけでは、なかなかクリックしてもらえない可能性があります。










安部:そうですね。今後は、関連サイトや自治体サイトにリンク設置をお願いする獲得施策より、リバースアウトリーチのような実際にユーザーが動くことが見込める被リンク数を求める動きのほうが、施策としてもよりよいといえそうです。








安部:また、外部サイトから、自社サイトに来てもらえる仕掛けも必要だと思います。例えば、自社サイトに調査記事を投稿、それを簡単に要約した記事や調査内容に関するインタビュー記事を他のサイトに寄稿し、「調査内容の詳しい情報はこちらのサイトへ」とリンクを貼ってもらえば、ユーザーとしても動く意味はあるでしょう。

以上、12月のコンテンツマーケティング動向「SEO編」でした。来年も引き続き最新情報を更新していきますので、楽しみにお待ちください。




(本調査はあくまでも傾向に注目し、今後の施策における仮説立てや優先順位の検討に有効活用するためのものであり、因果関係を示すものではない旨、ご留意ください)

本記事でご紹介した、コンテンツマーケティング最新動向レポートは下記フォームから無料でダウンロードできます。ぜひお申し込みください。

ホワイトペーパーダウンロード【無料】|コンテンツマーケティング最新動向レポート(2022年12月版)

資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

この記事のライター

IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。

関連する投稿


2024年にあたらしく取り組んだSEO対策は"生成AI活用によるコンテンツ制作"が約5割!検索上位表示に向けたキーワード分析にも生成AIを活用【インフォネット調査】

2024年にあたらしく取り組んだSEO対策は"生成AI活用によるコンテンツ制作"が約5割!検索上位表示に向けたキーワード分析にも生成AIを活用【インフォネット調査】

株式会社インフォネットは、自社のSEOマーケティングに携わっているマーケティング担当者を対象に、【2024年版】企業のSEO対策トレンド実態調査を実施し、結果を公開しました。


【December 2024 core update】Googleコアアルゴリズムアップデートをリリース(2024年12月)

【December 2024 core update】Googleコアアルゴリズムアップデートをリリース(2024年12月)

Googleが2024年12月のコアアルゴリズムアップデート(December 2024 core update)をリリースしました。


コンテンツマーケで成果を上げるには営業部門との連携がカギ!?約9割のマーケターが営業視点を取り入れた効果とは【PRIZMA調査】

コンテンツマーケで成果を上げるには営業部門との連携がカギ!?約9割のマーケターが営業視点を取り入れた効果とは【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、コンテンツマーケティングに携わっているBtoB企業のマーケティング担当者を対象に、「コンテンツマーケティングに関する調査」を実施し、結果を公開しました。


【November 2024 core update】Googleコアアルゴリズムアップデートをリリース(2024年11月)

【November 2024 core update】Googleコアアルゴリズムアップデートをリリース(2024年11月)

Googleが2024年11月のコアアルゴリズムアップデート(November 2024 core update)をリリースしました。


AIライティングツールのSEO効果を感じている人は約85%!AIライティングツールの品質に対する期待は非常に高い【eclore調査】

AIライティングツールのSEO効果を感じている人は約85%!AIライティングツールの品質に対する期待は非常に高い【eclore調査】

株式会社ecloreは同社が運営する「ランクエスト」にて、AIライティングツール利用者を対象に、SEO対策としてのAIライティングの有効性について調査を実施し、結果を公開しました。


最新の投稿


20代の9割がアプリのプッシュ通知設定をオフにした経験あり!通知オフする理由は「配信内容」【アイリッジ調査】

20代の9割がアプリのプッシュ通知設定をオフにした経験あり!通知オフする理由は「配信内容」【アイリッジ調査】

株式会社アイリッジは、15歳から69歳の男女を対象に「スマートフォンアプリのプッシュ通知に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


【2025年1月13日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2025年1月13日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


業務の自動化を望むECサイト運用事業者は約9割!業務自動化を進める上での最大の障壁は「費用」【エートゥジェイ調査】

業務の自動化を望むECサイト運用事業者は約9割!業務自動化を進める上での最大の障壁は「費用」【エートゥジェイ調査】

株式会社エートゥジェイは、ECサイトの運用経験のある全国の20代~50代の男女を対象に、ECサイトの運営の業務効率に関する調査を実施し、結果を公開しました。


みんなの注目キーワードは?週間検索トレンドランキング(2024/12/02〜2024/12/08)

みんなの注目キーワードは?週間検索トレンドランキング(2024/12/02〜2024/12/08)

ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」をもとに、週次の検索急上昇ワードランキングを作成し、トレンドになっているキーワードを取り上げます。


タイのコーヒーの特徴とは?タイのコーヒー市場の現状やショップを紹介

タイのコーヒーの特徴とは?タイのコーヒー市場の現状やショップを紹介

近年タイではコーヒーブームが起こっています。バンコクには次々と新しいカフェができており、SNS映えする店内だけではなくコーヒーの味にもこだわりを持つカフェが増えています。実際に、起業してカフェオーナー兼バリスタになるのはタイでは一つのトレンドです。 近年、タイのコーヒー市場は右肩上がりに伸びており、タイのコーヒー市場は日本円で1440億円を超えると言われています。 そこで本記事では、タイのコーヒー市場の現状を読み解くとともに、タイでなぜコーヒーの人気が高まっているのかを、タイのコーヒーブームの歴史と共に解説します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ