人気デリバリーアプリ4つのポジション分析|コロナ初期からの変化は?

人気デリバリーアプリ4つのポジション分析|コロナ初期からの変化は?

人気出前アプリの「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」。コロナウイルスの蔓延も影響してここ数年で急激にニーズが高まった出前アプリですが、アフターコロナに向かいつつある現在はどのような利用実態になっているのでしょうか? 今回は人気出前アプリ4社を比較し、その動向やアプリごとのユーザー像を分析。また、コロナ初期と今でのシェアの違いについても調査します。


【2024年最新版】 人気デリバリーアプリ「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」のポジション分析 | コロナ初期からの変化は?| [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン

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ここ数年で需要が高まったデリバリーアプリ。コロナ禍に利用し始めた人も多いのではないでしょうか。デリバリーサービスが注目され始めて数年が経った今、需要はどう変化したのか、また各社アプリを今利用しているのはどのような人たちなのか、人気デリバリーアプリの「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」を比較しながら分析します。

アプリユーザー数は出前館が最多。Uberがそれを追う

まずは、各スマホアプリの利用者数を比較してみましょう。

出前サービスアプリのユーザー数

出前サービスアプリのユーザー数
集計期間:2022年11月~2023年1月
デバイス:スマートフォン

2022年11月〜2023年1月のアプリユーザー数を調査すると、出前館が995万人と最多。Uber Eatsがそれに追随する形になっています。

割合でいうと、「Uber Eats 7.6:出前館 10:menu 2:Wolt 2」。ちなみにユーザー数が少ない2つのアプリは後発のサービスで、Woltは2020年3月に日本でサービス開始、menuは2020年4月7日にサービス開始しています。

サイト流入も1位の出前館は、UXとSEO対策が功を奏している?

続いて、アプリメイン・サイトメインのサービスがあるのか調べるため、各Webサイトのユーザー数も確認してみます。

出前サービスWebサイトのユーザー数

出前サービスWebサイトのユーザー数
集計期間:2022年11月~2023年1月
デバイス:PC・スマートフォン

Webサイトも926万人と出前館のユーザーが最多となりました。ただ、アプリ以上に後続との差があり、2位のUber Eatsとは650万人もの差があります。menuはWebサイトから注文することができないため、ユーザー数が少なくなっています。

この違いには、サイトの使いやすさが影響しているのでしょうか?

Uber EatsWebサイトのトップ画像

Uber Eatsは、地名を入力する項目のみのシンプルな構造です。一方で出前館では、どのようなものが注文できるか視覚的に一目でわかるようになっていて、お届け先から探すメニューも「郵便番号」「都道府県」「マップ」と種類が豊富です。

出前館Webサイトのトップ

TOPページの情報の充実度の差がそのままWebサイトのユーザー数の差になっているのかもしれません。

またWebサイトは検索結果によってもユーザー数が左右される可能性があるため、「出前」「デリバリー」で検索された時に流入者が多いWebサイトについても調べてみました。

「出前」「デリバリー」の検索流入サイト

「出前」「デリバリー」の検索流入サイト
集計期間:2022年11月~2023年1月
デバイス:PC・スマートフォン

どちらも出前館がUber Eatsを上回る結果となりました。
出前館のタイトルタグをみてみると「【出前館】ピザ・弁当などの宅配デリバリーサイト」となっており、「出前館」とそもそも名前に「出前」が入っているため、SEOで「出前」「デリバリー」どちらも対策をしていることが伺えます。

対してUber Eatsのタイトルタグは「Uber Eats 日本 | 料理の配達とお持ち帰り - 近くのレストランからオンラインで注文」となっており、「出前」「デリバリー」のワードではあまり対策が取られていないようです。

サイトUIはもちろんですが、出前館はWeb検索に対しても戦略的に対策を行い、Webサイトの流入を増やす施策をしているのかもしれません。

出前館の囲い込み、後発アプリの併用が目立つ

出前サービスアプリの併用率

出前サービスアプリの併用率
集計期間:2022年11月~2023年1月
デバイス:スマートフォン

各アプリの併用率を調査すると、どのアプリもある程度他の出前アプリを併用していることがわかります。唯一、出前館のみが50%を超えるユーザーが併用していないことから、うまくユーザーを囲い込むことができていると考えられます。

後発のmemu、Woltは「併用なし」が30%を下回っていることから、出前館やUber Eatsの利用経験者が試しに使ってみているような状況にあるのかもしれません。menuは出前館、WoltはUber Eatsの併用割合がより高くなっていることは、面白い点ですね。

コロナ初期はUber Eatsが優勢、2022年は出前館がトップとなるも、デリバリー需要は下降気味

ではコロナ直前と比べた時に、アプリユーザー数や使われているWebサイトに変化はあったのでしょうか?
2020年〜2022年のユーザーの推移を調査していきます。

2020年1月~2020年12月出前サービスアプリのユーザー数推移

出前サービスアプリのユーザー数推移
集計期間:2020年1月~2020年12月
デバイス:スマートフォン

どのサービスも緊急事態宣言が発令され外出が制限された3月からユーザー数を増やしており、Uber Eatは2020年5月にユーザー数が400万人近くになっています。対して出前館は、ユーザー数自体は増えているものの、総数はUber Eatsの約1/2となっています。

2021年1月~2021年12月出前サービスアプリのユーザー数推移

出前サービスアプリのユーザー数推移
集計期間:2021年1月~2021年12月
デバイス:スマートフォン

2020年はUber Eatsの利用者が目出ちましたが、出前館も徐々にユーザー数を伸ばし、2021年11月、ついにトップに躍り出ます。

2022年1月~2022年12月出前サービスアプリのユーザー数推移

出前サービスアプリのユーザー数推移
集計期間:2022年1月~2022年12月
デバイス:スマートフォン

2022年は、全体的にどのサービスも伸び悩んでいることがわかります。コロナウイルスの感染状況が収束に向かい、デリバリーサービスの需要が少しずつ下がってきている、また値上げの連続で、世間が節約志向になってきている、などが理由として考えられます。そんな中、出前館は多くの月でトップを維持しています。

出前館の逆転には2つの理由があった

推移を見てみると首位の逆転が見られましたが、この背景には出前館の戦略があったと言えそうです。
ユーザー数の推移を詳しくみてみると、緊急事態宣言以外に2つの大きな伸びがあります。

2020年1月~2020年12月出前サービスアプリのユーザー数推移11月出前館の伸びに着目

出前サービスアプリのユーザー数推移
集計期間:2020年1月~2020年12月
デバイス:スマートフォン

1つ目は2020年11月。1ヶ月で約100万人もユーザーが増加しています。
出前館は2020年11月からLINEとの連携を開始し、ユーザーはLINEでログインして商品をオーダーできるようになり、利便性が高まりました。

2021年1月~2021年12月出前サービスアプリのユーザー数推移8月から12月に着目

出前サービスアプリのユーザー数推移
集計期間:2021年1月~2021年12月
デバイス:スマートフォン

2つ目は2021年9月〜12月。3ヶ月で150万人ものユーザーを増やして10月にはUber Eatsを追い抜き、ユーザー数トップに躍り出ました。

出前館は2021年8月末からお店専用のデリバリーサイトを簡単に作れるサービス「DeDirect」を開始して順調に加盟店を増やし、11月には「一都三県送料無料+週替わり商品半額」キャンペーンを行い、後半には「ウルトラ半額祭」のキャンペーンを行っています。

このようにユーザーの利便性を考えてサービスを強化したり、キャンペーンを打ち出したりと、常にユーザーを増やす努力をしていたことが、コロナ初期から現在まで順調に推移してきた理由なのかもしれません。

ユーザー属性はアプリの特徴で分かれる結果に

ではここからは、各アプリのユーザー属性を調査していきます。

menuは男性ユーザーが多め

出前サービスアプリのユーザーの男女比率

出前サービスアプリのユーザーの男女比率
集計期間:2022年11月~2023年1月
デバイス:スマートフォン

各アプリの男女比率を比較すると、Uber Eatsと出前館の男女比率はほぼ同じで、女性の方が少し多く利用している結果となりました。対してmenu、Woltは男性の比率が少し高くなり、特にmenuは54.6%と男性比率が最も高くなっています。

menuは都市部の一部エリアでは24時間配送に対応しています。その他のアプリは遅くても午前0時までです。深夜まで仕事をしている男性、というユーザー像がmenu利用者の1つにあるのかもしれません。また、後発のアプリをいち早く試している人に男性がやや多いことも考えられます。

出前館のみ異なる年代にアプローチ

出前サービスアプリの利用者の年代

出前サービスアプリの利用者の年代
集計期間:2022年11月~2023年1月
デバイス:スマートフォン

年代別の利用者を比較していきます。同じような傾向がみられたのはUber Eats、menu、Wolt。20代が1番多く利用しており、それ以降は右肩下がりに割合が下がっていきます。

例外は30代、40代が1番山が高くなっている出前館。

出前サービスアプリの未既婚、子供の有無の割合

出前サービスアプリの未既婚、子供の有無の割合
集計期間:2022年11月~2023年1月
デバイス:スマートフォン

「未婚、既婚」「子供の有無」でデータをみてみると、出前館は既婚者によく使われており、子供ありのファミリー層にも好んで使われていることがわかります。

出前館アプリスクリーンショット

出前館アプリスクリーンショット

出前館ではキッズメニューがある店舗を条件で選ぶことができます。どちらかというと、大人向けのメニューが多い出前アプリでキッズメニューも探すことができるのは、ファミリー層に嬉しいポイント。

また、「PUI PUI モルカー」や「SPY×FAMILY」とコラボし、子供が好むプロモーションも打ち出しているなど、ファミリー向けにも認知を広げているのが他のアプリとの差別化になっているのかもしれません。

さらに、2023年2月にはアカチャンホンポと提携して赤ちゃん向けの商品も買えるようになるため、さらにファミリー層に好まれるようになるでしょう。

まとめ

今回は人気出前アプリの「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」を比較分析しました。

分析の結果、コロナ直後はUber Eatsのユーザーが多かったものの、出前館が徐々に盛り返し、2023年2月現在ではトップになっていることがわかりました。出前館はさまざまな施策を打ち出した結果、ユーザー増加につながっているようです。

出前アプリは新興サービスで変化も激しい業界です。出前館のように、新たなサービスとの連携や施策次第で、他のアプリのユーザー数も大幅に増加することが考えられます。

現在は、コロナ最盛期にあったような出前の需要もある程度落ち着きつつあるため、アフターコロナに向けた施策が今後のポイントになるかもしれません。

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参考資料

・『出前館』、お店専用のデリバリーサイトをかんたんに作成できる 「DeDirect」を開始!!
https://corporate.demae-can.co.jp/pr/news/demaecan/dedirect.html
・一都三県「送料無料」&「週替り半額WEEK」を 2021年11月より同時開催‼
https://corporate.demae-can.co.jp/pr/news/demaecan/campaign211101_220131.html
・『出前館』、「週替わり半額WEEK」の第1弾~第3弾の対象店舗が決定! さらに「ウルトラ半額祭」を11月19日(金)から5日間開催‼
https://corporate.demae-can.co.jp/pr/news/demaecan/hangakuweek_1105.html
・『出前館』、LINEアカウント連携数 約20日間で100万人突破!!
https://corporate.demae-can.co.jp/pr/news/demaecan/line_20100.html
・『出前館』、大人気TVアニメ「PUI PUI モルカー」とコラボキャンペーンを開催!
https://corporate.demae-can.co.jp/pr/news/demaecan/PUIPUI_molcar.html
・『出前館』、大人気TVアニメ「SPY×FAMILY」とコラボキャンペーンを2022年11月より3か月間にわたって開催!
https://corporate.demae-can.co.jp/pr/news/demaecan/SPY_FAMILY1.html
・「出前館」で「アカチャンホンポ」のデリバリーを開始!
https://corporate.demae-can.co.jp/pr/news/demaecan/akachan_open.html

この記事のライター

アメリカ留学中にWebの仕事に出会い、帰国後に起業。自社で物販を行う側、ライターとして活動。アウトドアが趣味

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