人気デリバリーアプリ「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」のポジション分析 | コロナ初期からの変化は?【2024年最新版】

人気デリバリーアプリ「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」のポジション分析 | コロナ初期からの変化は?【2024年最新版】

ここ数年で需要が高まったデリバリーアプリ。コロナ禍に利用し始めた人も多いのではないでしょうか。デリバリーサービスが注目され始めて数年が経った今、需要はどう変化したのか、また各社アプリを今利用しているのはどのような人たちなのか、人気デリバリーアプリの「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」を比較しながら分析します。


出前館がアプリ、サイトともにユーザー数最多をキープ

直近1年間の各デリバリーアプリのユーザー数はどのくらいになっているのでしょうか。また現時点でサービスごとにどのくらい規模の違いがあるのか比較していきます。

なお今回の分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツールDockpitを用います。

アプリ ユーザー数

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリのユーザー数
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:スマートフォン

直近1年間のアプリユーザー数は、出前館が1,660万人と最も多い結果となりました。Uber Eatsもほぼ同規模で1,550万人となっています。次にmenuが524万人、Woltが375万人と続きます。出前館とUber Eatsの規模の大きさがうかがえます。

サイト ユーザー数

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」Webサイトの訪問者数
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:PC&スマートフォン

Webサイトに関しても最も訪問者数が多いのは出前館で、年間1,650万人となっています。そして450万人の差をつけてUber Eatsが続きます。次にWolt、menuの順となっており、Woltとmenuのランキングがアプリの結果と入れ替わる形となりました。Uber Eats、出前館、WoltはWebサイトからもお店の検索や注文ができますが、menuはアプリからのみ可能となっています。menuはアプリ中心のサービスとなっていることが大きな違いと言えるでしょう。そのため、menuのWebサイト訪問者数はアプリユーザー数の半数以下となっています。一方Woltに関しては、Webサイトの訪問者数がアプリユーザー数の約1.6倍となっていることが特徴的でした。アプリだけでなく、Webサイトのサービスとしても伸びていることがうかがえます。

次にアプリの併用率を見ていきます。

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリの併用率
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:スマートフォン

Uber Eatsと出前館のアプリユーザーは、併用なしが約半数を占めています。そして約4割のユーザーがUber Eatsまたは出前館を併用しているという結果になりました。一方で、menuのアプリユーザーは併用なしが約3割、Woltのアプリユーザーは併用なしが約2割と、他アプリを併用している割合は高めです。menuとWoltのアプリユーザーの併用アプリとしては、出前館よりUber Eatsの方がやや高くなっています。menu・Woltのアプリユーザーは、「デリバリーならこれ」とサービスを固定してしまうのでなく、食べたいものや利用したいお店によって積極的にサービスを使い分ける人が多そうです。

2022年初めをピークに需要が下降。現在は横ばいの状態が続く

続いて、コロナ禍初期の2020年1月から現在に至るまでのデリバリーアプリ需要の推移を見ていきたいと思います。

まずは2020年の各アプリのユーザー数推移を見ていきます。

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリのユーザー数推移
調査期間:2020年1月~2020年12月
デバイス:スマートフォン

2020年3月、コロナ禍で緊急事態宣言が発令された時期からデリバリーアプリのユーザー数が全体的に上昇しました。Uber Eatsは月間400万人近くとなり、他のアプリよりいち早く集客に成功しています。

次に2021年の推移です。

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリのユーザー数推移
調査期間:2021年1月~2021年12月
デバイス:スマートフォン

しばらくUber Eatsのユーザー数が最も多い状態が続いていましたが、2021年には出前館がだんだんと追い上げていき、11月にはUber Eatsのユーザー数を上回りました。その背景として、年末年始に出前館は一都三県「送料無料」や「週替わり半額WEEK」のキャンペーンを実施していたことがあげられます。また、宣伝にHIKAKINさんやはじめしゃちょーさんを起用したことも良い印象に繋がったほか、『劇場版 呪術廻戦0』とのコラボも同時期に行っていました。menuとWoltに関しても、1年を通して着実にユーザー数を増やしています。2021年はデリバリーアプリ全体で需要が上向きとなった年でした。

続いて2022年の推移です。

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリのユーザー数推移
調査期間:2022年1月~2022年12月
デバイス:スマートフォン

2022年に入り、全体的なユーザー数は下降傾向となりました。2021年に追い上げを見せた出前館は、少しずつユーザー数を落としつつにはなりましたが、Uber Eatsより上位の状態を保ち続けていました。そして再び年末年始に向けてユーザー数を上昇させています。この時期には送料無料やピザ半額祭、またSPY×FAMILYとのコラボを行っています。一方Woltは、この年においても徐々にユーザー数を増やし続け、menuと同規模にまで追い上げました。

そして最新の2023年1月〜2024年5月の推移を見ていきます。

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリのユーザー数推移
調査期間:2023年1月~2024年5月
デバイス:スマートフォン

2023年からはほぼ現状維持の状態が続いています。コロナによる外出自粛ムードが落ち着いた後にも、一定のニーズが定着したと言えそうです。サービスごとに細かく見ると、出前館は年始以降ユーザー数を落としており、Uber Eatsとほぼ同規模となっています。2023年から2024年にかけての年末年始に注目してみると、特に出前館とmenuがユーザー数を伸ばすことに成功しています。毎年年末年始のかき入れ時にいかに多くの人の興味を引けるかがデリバリーアプリのユーザー獲得の鍵となっていると言えそうです。そして直近2024年5月の月間ユーザー数は、Uber Eatsが424万人、出前館が420万人、menuが106万人、Woltが69.2万人となっています。

ファミリー層からの利用も多い出前館 Uber Eatsは20代に人気

次に、どのような人がデリバリーサービスを利用しているのか、調査していきたいと思います。まずは「グルメ デリバリー」業界内(※)で各サービスのユーザー属性の傾向が分かるポジショニングマップを見ていきます。

※株式会社ヴァリューズが独自に定義するサイトカテゴリに準ずる

ポジショニングマップ

「グルメ デリバリー」業界のポジショニングマップ
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:PC&スマートフォン

最も年齢層が高いのはmenu、年齢層が低いのはUber Eatsという分布になっています。また出前館とUber Eatsに関しては、女性ユーザーがより多い傾向がありそうです。

さらに詳しく見ていきましょう。

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリユーザーの男女比
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:スマートフォン

Uber Eats、出前館、Woltは女性ユーザーの方が多い一方で、menuはやや男性ユーザーの方が多いことが特徴的です。

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリユーザーの年代割合
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:スマートフォン

年齢層に関しては、ネット利用者全体と比べると、デリバリーアプリ全体で若年層の利用割合が高い傾向があります。中でも特にUber EatsとWoltは20代中心に若年層の割合が高くなっています。一方、出前館とmenuは30代、40代もボリューム層となっており、より幅広い年齢層に広がっていると言えそうです。

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリユーザーの未既婚状況
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:スマートフォン

グラフ

「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」アプリユーザーの子供の有無
調査期間:2023年6月~2024年5月
デバイス:スマートフォン

次に、未婚・既婚と子供の有無に関する割合を見てみます。全体的には未婚の人の割合が高めで、出前館は既婚の人が他サービスより多いという特徴があります。出前館と年齢分布が近かったmenuではありますが、出前館より未婚の人の割合が高い傾向があります。また、出前館は子供のいる家庭で利用されている傾向があることから、他のサービスと比べてファミリー層にも利用されているという点で差別化が図れていると言えるでしょう。

まとめ

今回は、コロナ禍初期から直近2024年5月までのデリバリーアプリの動向を見てきました。
2020年に急上昇したデリバリー業界でしたが、2022年初期をピークにその後は勢いが落ち着き、2023年からはほぼ横ばいの状態であることが明らかになりました。

サービス別に見ると、コロナ禍初期はUber Eatsが最もユーザー数が多い状況がしばらく続いていましたが、その後出前館が追い上げています。また、デリバリーアプリのユーザーとしては若年層の利用が多いなか、出前館はファミリー層のユーザーも獲得していることが特徴的でした。

デリバリー業界は今後需要を伸ばしていくことはできるのか、引き続き注目していきたいと思います。

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ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「ライフスタイル・消費トレンド編」ページ数|153P)

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この記事のライター

大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
海外情報に関する記事を通じて、何かヒントに繋がる新たな視点や面白い発見をお届けできればと思います。

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