ChatGPTなど生成系AIの台頭。海外諸国の動向と、今後求められるスキルとは|「2023年5月 コンテンツマーケティング最新動向」レポート

ChatGPTなど生成系AIの台頭。海外諸国の動向と、今後求められるスキルとは|「2023年5月 コンテンツマーケティング最新動向」レポート

2022年11月のリリース後、瞬く間に世界中で利用されるようになったChatGPT。その影響力の大きさから、利用に慎重な姿勢を見せる国々もあります。誰でもクリエイターになり得る可能性を広げつつある生成系AIは、社会にどのような影響をもたらすのか。ヴァリューズのマーケティングコンサルタントが解説していきます。


【解説者紹介】

世界中を驚かせたChatGPTの登場





蒋:「2023年5月 コンテンツマーケティング最新動向」レポートでは、生成系AIについて解説しています。

生成系AIと聞いて、多くの人が思い浮かべるのがChatGPTではないでしょうか。
ChatGPTは、アメリカのOpenAI社が開発した「対話に特化した自然言語処理ツール」。まるで人間同士のように流暢で自然な対話ができるチャットボットのようなものです。










岩間:僕も使い方をいろいろと試しています。日本はChatGPTに対してポジティブな姿勢のようですが、海外では規制を強めている国もあると聞きました。










蒋:ChatGPTへの対応は国によって様々です。ChatGPTなど生成系AIの影響を、まず海外の状況を見ながら考えていきましょう。




個人情報保護を懸念するヨーロッパ各国





蒋:今回は、顕著な動きが見られる国としてイタリアをはじめとするヨーロッパ、そして中国を中心に見ていきます。

まずヨーロッパは、もともと個人データ保護法制が厳しいとされています。イタリアをはじめとする各国は、アメリカ発のAIツールであるChatGPTに対し、どのようにデータを収集しているかが不明瞭である、といったリスクがあるとみているのです。実際イタリア政府は個人情報保護の法令に違反するとみて、3月末に一時的にChatGPTへのアクセスを禁止。規制強化が進む可能性もあるでしょう(イタリアでは4月末にアクセス制限解除)。








岩間:岩間:そもそもの話になってしまうのですが、ChatGPTのどういった面が個人情報保護に抵触するのでしょうか。










蒋:例えば収集データに個人情報が含まれている可能性があるほか、ChatGPTやGPT4などを外部ソフトと連携する際に情報悪用のリスクも発生するでしょう。

また、ChatGPTに入力したデータも、教師データに今後のチューニングとして含むとなっています。例えば会社の機密情報や個人情報などが含まれたデータをChatGPTに入力すると、それがアメリカのサーバーに行き、他企業で収集されてしまう可能性があるんです。

そのため、会社のポリシーとして、機密情報や個人情報はもちろん、むやみに情報をChatGPTには入れないと定めているケースも多いです。




中国でChatGPTを利用できない理由





蒋:ここからは中国本土の状況についてお伝えします。

中国本土では、そもそもChatGPTを使えない状況です。私は、この背景を政治とテクノロジー発展という2つの観点で説明できると考えています。

政治的な事情に関しては、Googleや各SNSのようなアメリカのサービスへの対抗という意味合いが強いと思います。自国民のデータをアメリカに扱われることをリスクとみなし、厳しい対応を取っているのでしょう。

そして中国はビッグデータの収集技術が非常に発展している国でもあります。自国で収集したほうが、中国のテクノロジーの発展に役に立つと考えているのでしょう。Googleの利用も同様の理由で制限されています。










岩間:他国のサービスではなく、自国のサービスをということですね。AIについても、中国では独自のサービスが普及しているのでしょうか。










蒋:例えば、中国の会話式AIサービス市場は、既に50億元ほどの市場規模になっており、2025年には125億元を達成すると予測されるなど、どんどん拡大し続けています。

サービス提供企業として大きなシェアを占めているのが「アリババ」と「BAIDU(バイデュ)」です。主に金融業界や政府サービス、そしてリテールプラットフォームの顧客対応など様々な領域で活用されており、消費者の利用体験を向上させると同時に、ユーザーデータの収集につながっています。

一方で、中国ではAIの発展をある程度抑えるような対応もしています。AIの発展が労働者の仕事を奪うことで、社会の格差をより広げてしまうことを防ぐためです。










岩間:AIの発展をある程度抑えるとは、具体的にどのようなことをしているのですか。










蒋:例えばBtoCのAIなどは、いきなり市場全般に開放するのではなく、限られた企業でのみ使えるようにしています。

これはAIに限った話ではなく、ほかのテクノロジーも同様です。社会の進歩に合わせて、テクノロジーの発展をコントロールしているのです。




ChatGPTだけじゃない!海外の生成系AIツール





岩間:ChatGPTに対する各国の対応をキャッチアップできました。生成系AIをとりまく海外の状況を理解するため、ほかに押さえておいたほうがいいポイントはありますか。










蒋:海外のクリエイター向けの生成系AIツールをご紹介しますね。

まずはYouTubeを見てみましょう。2023年3月に新CEOが就任した際にリリースされた就任書簡には、中長期的にクリエイター向けにジェネレーティブAI採用のツールを提供することが書かれています。今後はYouTuberが動画などを制作するとき、AIツールを使えばバーチャルの衣装や背景を自由に変更できるようになるでしょう。








蒋:他にも様々なクリエイター向けのAIツールがあります。単純な画像加工だけでなく、柄・パターンを制作できたり、ビデオ、アイコン、イラストといった幅広いビジュアル表現を作ることができるようになっています。




誰でもクリエイターになれる時代、求められるスキルは?





岩間:AIツールの発展によって、クリエイターに求められるスキルも変わってきそうですね。










蒋:そうですね。アイデアさえあれば、誰でもYouTuberになったり、クリエイティブを作ったりできるようになるのではないでしょうか。










岩間:なるほど。ただ、AIツールで制作したものは、パターン化されていて独自性がないような気がします…。










蒋:確かにそのような面もありますが、私個人としては、近いうちに様々な場面で活用されていくだろうと考えています。

例えば最近中国では、AIが生成した漫画がリリースされています。漫画を描くスキルがなくても、ストーリーを考える力があれば漫画家になれるのです。










岩間:これからクリエイターに求められるものは、アイデアを考える発想力ということですね。










蒋:発想力に加えて、分析能力やストーリーを作る能力も求められていくと思います。例えば、データを根拠にコンセプトの精査やクリエイティブ制作を行うこともあるでしょう。また、コンセプトをもとにデザインを考えるなど、ストーリーを描くことも大切です。

まとめると、今後クリエイターに求められるのは、独自の発想力と分析能力、そしてストーリーの創造力だと思います。クリエイターというより、クリエイティブディレクターが活躍する時代が来るかもしれません。

以上、5月のコンテンツマーケティング動向「生成系AI編」でした。次月のネタも楽しみにお待ちください。






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この記事のライター

IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。

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