【解説者紹介】
制作の効率化につながる?話題のAIコンテンツとは
安部:2023年5月のコンテンツマーケティング最新動向レポートでは、事業会社や代理店のマーケターに向けて「ChatGPTなどのAIやAIコンテンツはSEOへ活かせるのか?」を解説しています。
岩間:最近では、ChatGPTなど生成系AIに関するニュースを毎日のように目にしますね。日々の業務への影響が気になるマーケターも多そうです。
そもそもAIコンテンツとは何か、改めて教えてもらえますか。
安部:AIコンテンツの明確な定義はないので、一般的に言われている2つの特徴を紹介します。
まずAIコンテンツは、人間ではなくAIによって作られるコンテンツです。テキストのほか、画像や動画といったコンテンツがあります。簡単な指示でコンテンツが生成できるため、少ない工数で制作可能です。
またその他に、他のサイトにある情報をそのまま転載したり、自動的に要約したりしているコンテンツを指す場合もあります。
岩間:少ない工数で制作できるとは、効率化に役立ちそうですね。SEOに携わっているマーケターとして非常に気になります。
AIか人間か。Googleが評価しているのは?
岩間:GoogleのAIコンテンツに対する考えはどのようなものなのでしょうか。
安部:公式アナウンスでは、制作方法を問わず高品質なコンテンツを評価するとされています。高品質なコンテンツとは、Googleがコンテンツにおいて重要な要素としている「E-E-A-T」「独自性」「ユーザーファースト」の3つを満たすものですね。
前提として、今のところGoogleは、そのコンテンツが人間とAIのどちらによって作られたかを判断する手段を持っていないと考えられます。そのため「AIが作ったコンテンツだからSEO的に絶対に上がらない」「人間が作ったコンテンツは全部上がりやすい」とは言えないでしょう。
岩間:つまり作ったのがAIか人間かに関わらず、高品質なコンテンツであればSEOの観点でも問題ないということでしょうか。
安部:そうですね。実際にAIが要件を満たすコンテンツを作ることが可能かという問題はありますが…。
岩間:どういうことでしょうか?
安部:ChatGPTをはじめとするOpenAI社の「GPT」やGoogle社の「Bard」といった生成系AIは、E-E-A-Tの観点で評価されにくいほか、独自性が低いコンテンツと捉えられる可能性があります。
まずE-E-A-Tの観点で評価されにくい理由を説明します。E-E-A-Tとは、E(経験)-E(専門性)-A(権威性)-T(信頼)のことでしたね。AIは自身で何かを経験しているわけではないので「経験」の部分を満たすことは難しいでしょう。また、特別な資格を取得しているわけでもないため、「専門性」や「権威性」も担保されていません。加えて、情報の精度もまだ高くないものがあるため、E-E-A-Tの観点で評価されにくいでしょう。
そして独自性の低さについて。定義のところでも説明した通り、AIコンテンツとは、他のサイトにある情報をそのまま転載したり、自動的に要約したりしているコンテンツとも言えます。すでにWeb上にあるコンテンツをまとめたり、切り貼りしたりして作っているイメージが近いかもしれません。そのため、新しいものを生み出したり、一次情報を出したりすることはできないため、独自性が低いコンテンツと判断される可能性が高いです。
岩間:やはりAIが作ったコンテンツでは、検索結果で上位表示されにくいということですね。
安部:「AIで作ったから上位表示されやすい」ことはまずないと思っており、同時に「AIで作ったから絶対に上位表示されない」とも言い切れないと感じています。
実は検索ボリュームがあまり大きくない一部の分野のキーワードで、AIが作ったコンテンツで上位表示ができたという話もあるんです。キーワード次第では上位表示される余地はあるのではないかと思っています。
ただ、検索ボリュームが大きく、競合性の高いキーワードの場合、人間の手をまったく介さずに作った記事を上位表示させることは現状なかなか難しいでしょう。
岩間:最近では、ChatGPTを使ったライティングサービスも出てきていますが、安部さんはヴァリューズのコンテンツ制作を主幹している立場として、そのようなサービスを利用してみたいと思いますか。
安部:SEO観点では、記事を1から作るようなところではなく、日本語の校正などはAIが得意と感じているため、そのような分野ではサービスを活用していきたいですね。
また、SEO文脈ではないですが、個人的には、チャットやメール、パワポなど独自性が求められない内容でも、まだ人間が作成しているものが多いと思うので、そのような作業を効率化できるサービスを使いたいと思っています。
AIコンテンツにおける、著作権や商用利用の問題
岩間:AIコンテンツというと、著作権や商用利用について気になるマーケターも多いのではないでしょうか。100%ではなくても、記事の一部をAIを使って作る場合、企業はどう向き合っていくべきと考えますか。
安部:商用利用に関してはクリアされているケースもあります。実際ChatGPTでは利用規約で商用利用について問題ないと記載しています。
ただ、ChatGPTなどの生成系AIが作ったコンテンツをそのまま記事にした場合、他の記事とまったく同じような表現や内容になってしまう可能性がゼロではないため、著作権を意図せず侵害していることもあるでしょう。また、著作権的には問題なくても、元記事を作った人が「パクられた」として炎上するリスクもあります。
岩間:コピペチェックツールを活用すれば、クリアできそうな気もします。
安部:まだ事例があるわけではないですが、理論上は可能だと思います。コピペチェックツールで指摘された箇所をAIが直す仕組みを作っていく方法もあるでしょう。ただ、完全にコピペがない状態に修正できるか、きちんとチェックしていくことを求められます。
岩間:著作権関連でいうと、最近EUにおいて、AI作成の文章などに「Made with AI」とつける案が議論されていると聞きました。この話を聞いてふと思ったのは「これはAIが作りました」と逃げ切るケースも出てくるのではないかということです。ちょっと企業の倫理観として厳しいかなと…。
安部:そうですね、僕も厳しいと考えています。それが許されてしまうと、逆に人間が作ったコンテンツでも「AIが作りました」と言えば、著作権の問題は回避できてしまいそうですよね。そうなると著作権とはそもそも何なのか問題になってしまうので、「AIコンテンツの発信者が持つべき責任」はまだ議論しつくされていない印象を受けています。
現状、全てのSEOコンテンツがAIに代替されるのは考えにくい。しかし…
岩間:ここまでの話を聞いて、AIやAIコンテンツの最新情報をキャッチアップできました。まだ100%頼ることは難しそうですね。
今後はどうなっていくと考えますか。
安部:答えがない話なので、僕個人の考えになりますが、AIに任せるべきコンテンツと人間に任せるべきコンテンツの棲み分けは、よりされていくんだろうなと思います。多少の精度の問題はあるものの、要約などはAIが得意な分野であるので、工数観点で、AIに制作させる傾向が強まることが予想されます。また、今後AIの使い方もより発展していくはずなので、要約以外の分野でもAIコンテンツが適する場面は増えていくかもしれません。
ただ、全てのコンテンツがAIに代替されるわけではないとも思っており、独自の情報だったり、経験則で語られるべき内容だったりするコンテンツは、人間が引き続き制作していくでしょう。
また、SEO施策の作業効率化の観点や、より網羅的に考えを広げるにあたっては、ChatGPTを中心としたAI活用の場面は大いにあります。2023年5月のコンテンツマーケティング最新動向レポートでは、詳しい活用方法を紹介していますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください!
以上、5月のコンテンツマーケティング動向「SEO編」でした。次月のネタも楽しみにお待ちください。
(本調査はあくまでも傾向に注目し、今後の施策における仮説立てや優先順位の検討に有効活用するためのものであり、因果関係を示すものではないこと、また、各トピックの内容やVALUESの見解は、資料作成時のものであり、今後の情勢やアルゴリズムの変化によって変わることがある旨、ご留意ください)
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IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。