どんな理由で一人暮らしを始める? パラサイト・シングルが増える中、実家を出る20代独身者の理由とは

どんな理由で一人暮らしを始める? パラサイト・シングルが増える中、実家を出る20代独身者の理由とは

一人暮らしを始める理由としてまず考えられるのは、進学や就職です。ライフステージが変わることが、実家を出る一つの理由となります。しかし、ライフステージが変わるタイミングで一人暮らしをする必要がなかった人は、何が理由で実家を出るのでしょうか。20代独身者が実家を出る理由を、Web検索行動から考察します。


パラサイト・シングルとは

パラサイト・シングルとは、成人になっても親元から離れずに暮らす独身の若者のことを言います。実家に暮らすことで時間的にも経済的にも豊かな生活を送ることができるというメリットが、パラサイト・シングルの増加に起因しています。

実家で暮らすことのメリットが広く認識されており、パラサイト・シングルが増える中、実家を出て一人暮らしを選択する20代独身者にはどんな背景があるのでしょうか?20代独身者で「一人暮らし」、「実家暮らし」のキーワードを検索している人は、どのようなユーザー属性、検索行動をしているのか調査したいと思います。

毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて分析していきます。

「一人暮らし」を検索しているのはどんな人?

「一人暮らし」検索者、圧倒的に多いのは20代

「一人暮らし」検索者:年代属性 調査期間:2022年8月~2023年7月 デバイス:PC・スマートフォン

「一人暮らし」検索者:年代属性
調査期間:2022年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

「一人暮らし」を検索するのは20代の割合が非常に高いことがわかりました。社会人という新たなステージに立ったことで、検討者が増えていることが推察できます。

どんな言葉と検索している?

ここからは、20代独身者に絞ってデータを見ていきたいと思います。
「一人暮らし」はどのようなワードと同時に検索をされているのか、検索者の具体的な関心ごとやニーズを読み取るため、ワードネットワーク図で見てみましょう。

「一人暮らし」検索者:ワードネットワーク 対象者:未婚・20代 調査期間:2022年8月~2023年7月 デバイス:PC・スマートフォン

「一人暮らし」検索者:ワードネットワーク
対象者:未婚・20代
調査期間:2022年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

上位のワードとして、「東京」が上がっています。都内の特定の地域を指定することなく「東京」という広いくくりで情報を収集しているようです。

また、「新卒」というキーワードが上がっていることから、社会人になるタイミングで一人暮らしを検討する人が多いことがわかります。

どんなワードに関心を持っている?

続いて、一人暮らしの検索者がどのようなワードに関心を持っているか見てみたいと思います。

「一人暮らし」検索者:関心ワード 調査期間:2022年8月~2023年7月 デバイス:PC・スマートフォン

「一人暮らし」検索者:関心ワード
調査期間:2022年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

「家電セット」、「学生マンション」等の一人暮らしに関連するワードが上位に並ぶ中、「実家暮らし」にも関心が持たれていることがわかります。

そこで、「実家暮らし」をどのような意図で検索しているのか、Web行動を見てみましょう。

「実家暮らし」を検索しているのはどんな人?

どんな言葉と検索している?

実家暮らし」はどのようなワードと同時に検索をされているのか、ワードネットワーク図で確認します。

「実家暮らし」検索者:ワードネットワーク 対象者:未婚・20代 調査期間:2022年8月~2023年7月 デバイス:PC・スマートフォン (一人暮らし程検索者が多くないため、ワードネットワークの語彙数は少なくなっています。)

「実家暮らし」検索者:ワードネットワーク
対象者:未婚・20代
調査期間:2022年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン
(一人暮らし程検索者が多くないため、ワードネットワークの語彙数は少なくなっています。)

「やばい」という単語が目につきます。実家暮らしであることを、ネガティブに感じている人が一定数いるのでしょうか。実家を出ることの一つの要因として、世間体を気にしている様子が背景にありそうです。

また、「マッチングアプリ」という単語も上がってきています。このことから、実家暮らしであることと恋愛への影響を考えていることがわかります。

どんなワードに関心を持っている?

続いて、実家暮らしの検索者がどのようなワードに関心を持っているか見てみたいと思います。

「実家暮らし」検索者:関心ワード 調査期間:2022年8月~2023年7月 デバイス:PC・スマートフォン

「実家暮らし」検索者:関心ワード
調査期間:2022年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

気になるワード① 恋愛関連
独身、彼氏、彼女、という言葉が上位に上っています。実家暮らしを検索している人は、より独身や、彼氏彼女について気にしていることが読み取れます。

気になるワード② 親
また、親というワードも上位に上っています。実家暮らしであるが故、親との関係を気にしている人が多いのでしょうか。親から離れて自由になりたい、適度な距離感が欲しいといった事柄も、実家を出ることの一つの要因となることが推察できます。

どんなサイトに関心を持っている?

実家暮らしの検索者は、どんなユーザーなのかをさらに調べていきます。具体的には、実家暮らしの検索者が閲覧しているサイトのランキングを見てみましょう。

なお分析にはWeb行動データとアンケートデータを用いて、ターゲットユーザーにおける特定のWeb行動の前後の動きと属性を集計できる、ヴァリューズの分析ツール「story bank」を用いました。

「実家暮らし」検索者:閲覧サイト 対象者:未婚・20代 調査期間:2022年8月~2023年7月 デバイス:PC・スマートフォン

「実家暮らし」検索者:閲覧サイト
対象者:未婚・20代
調査期間:2022年8月~2023年7月
デバイス:PC・スマートフォン

街コン、恋活・婚活パーティーのポータルサイトである「街コンジャパン公式サイト」が3位にランクインしています。

実家暮らし検索者は恋愛により興味を持っていると推察できます。実家暮らしでは恋愛がしにくいと感じる人も一定数おり、恋愛をしたいという理由も実家を出ることの一つの要因となっていそうです。

まとめ

今回は、20代独身者の一人暮らしを始める要因について調べてみました。その結果、一人暮らし検索者は、実家暮らしにも関心を持っていることがわかりました。

さらに、実家暮らし検索者の関心から、以下の3点が実家を出る要因となっている可能性が推察されました。
①「実家暮らし」に対する世間体を気にして
②親からの自由、適度な距離感を求めて
③恋愛をするため


実家を出て一人暮らしを始める人は、上記の理由等が絡み合って一人暮らしに踏み切るのではないでしょうか。

パラサイト・シングルの時代とも言われていますが、今後も20代独身者が選択する居住形態については要注目です。

▼今回の調査にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

2000年生まれ、埼玉県出身。
お茶の水女子大学で数学を学び、2023年に新卒でヴァリューズに入社。
現在は、アシスタントデータアナリストとしてデータ分析を担当。

関連するキーワード


Dockpit storybank

関連する投稿


「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

検索エンジンで調べ物をするときによく使われる「〇〇とは」検索。今回は、直近1年間で検索数が多かった注目ワードや、時期によって急上昇したトレンドワードをご紹介します。「とは」検索から見えてくる最新の流行りやみんなの関心事を読み解いていきます。


いま「note」がアツい!人気の秘訣はSEO?noteの集客動向を調査<後編>

いま「note」がアツい!人気の秘訣はSEO?noteの集客動向を調査<後編>

2023年夏頃から集客数を急激に伸ばしているメディアプラットフォーム「note」。人気を後押ししているのはどのような人々なのでしょうか?前編では、noteが集客しているユーザーの特徴を深掘り調査し、後編では、noteが規模を拡大している要因を探っていきます。


Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Chinese and Taiwanese manufacturers have been growing their market share and number of users, and they are expected to compete with Japanese companies. We will analyze the current sales trends of HUAWEI, Xiaomi, and ASUS in Japan and predict their future while comparing with Japanese brands.


海外家電メーカーのマーケティング戦略は?中華圏メーカーHUAWEI、Xiaomi、ASUSの3社を調査

海外家電メーカーのマーケティング戦略は?中華圏メーカーHUAWEI、Xiaomi、ASUSの3社を調査

近年、世界で着実にシェアを伸ばしつつある中華圏メーカー。日本においてもその製品の利用者は増加しており、日本企業と競合していくことが予想されます。そこで今回は日本にも進出している代表的な3つの中華圏メーカー、HUAWEI、Xiaomi、ASUSについて、日本における現時点での販売動向を分析し、国産ブランドとも比較しながら3社の今後を占っていきます。


サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

位置情報共有アプリ、Zenly。かつて一般的ではなかった「位置情報を共有する便利さ」をユーザーに伝え、位置情報共有アプリという新ジャンルを開拓しました。友人や家族との待ち合わせに使ったり、スマホの紛失に備えたり、災害時の安否確認として使ったり…とユーザーに様々な需要を生み出したZenlyですが、2023年2月3日にサービスを終了しました。ではその後、Zenlyユーザーはどのアプリを利用しているのでしょうか?この記事では、Zenlyに代わる位置情報共有アプリの現在を、サービス終了直後の分析結果と比較しながら考察します。


最新の投稿


日本テレビ、AR撮影装置を活用した「没入体験型CM」の実証実験を開始 GW期間内に大型ショッピングモール内にて

日本テレビ、AR撮影装置を活用した「没入体験型CM」の実証実験を開始 GW期間内に大型ショッピングモール内にて

日本テレビ放送網株式会社は、日本テレビが事業展開する XR分野のコンテンツ制作および開発支援サービス『日テレXR』において、新たな広告没入体験ができるサービスの実証実験を開始しました。


ギブリー、生成AIがマーケティング業務を支援するサービス「マーケGAI」の提供を開始

ギブリー、生成AIがマーケティング業務を支援するサービス「マーケGAI」の提供を開始

株式会社ギブリーは、生成AI技術を活用してマーケティング業務を自動化・効率化するAIマーケティング支援ツール「マーケGAI」の提供を開始したことを発表しました。


「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

「○○とは」検索に見るトレンドや生活者の気になりごとは?「インボイス」「NISA」「猫ミーム」など

検索エンジンで調べ物をするときによく使われる「〇〇とは」検索。今回は、直近1年間で検索数が多かった注目ワードや、時期によって急上昇したトレンドワードをご紹介します。「とは」検索から見えてくる最新の流行りやみんなの関心事を読み解いていきます。


GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

GWに10連休を取得する人は約2割!連休の予定はインバウンドの影響か「国内旅行」が下降し「家事」が上昇【mitoriz調査】

株式会社mitorizは、消費者購買行動データサービス「Point of Buy®」の会員に対し「大型連休に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

Supportive fans are willing to spend money? “Oshikatsu” insights & applying it to marketing strategy

“Oshikatsu” stimulates consumption in Japan. In fact, more than 80-90% of teens answered that they have an “Oshi.” We will deepen our understanding by investigating the current state of the “Oshikatsu” market, behaviors like time and money spent on “Oshikatsu,” and its connection with collaborations, etc. in marketing.


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ