物価上昇・値上げが続く
総務省が発表している「2020年基準 消費者物価指数 全国2025年(令和7年)2月分」によると、消費者物価指数は、2024年2月から毎月、昨年同月比2%以上で上昇しています。
「総合指数(生鮮食品、エネルギーを含む)の前年同月比」の2024年2月からの1年間のデータ(筆者作成)
消費者物価指数とは「消費者が購入するモノやサービス等の物価の動き」を把握するため、各種の価格の平均的な変動を測定したものです。食料や光熱・水道、衣料など、様々な物価の変動が含まれています。
2024年2月からの1年間を見ても、物価の上昇は続いていることが見て取れます。
2025年の値上げで気にされてるのは
様々な分野で値上げがされているなか、消費者が気にしているのはどの品目の値上げでしょうか。「値上げ」に関連する検索のなかで、どんな言葉が一緒に検索されているのかを分析していきます。
分析には、検索キーワードやWebサイトのユーザー分析ができる、株式会社ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。
2025年1月、2月に値上げ関連ワードで検索されたワードのTOP10は下記です。

値上げ関連(値上げ、値上がり、価格上昇、高騰)の検索キーワード(1~10位)
期間:2025年1月~2025年2月
デバイス:パソコン・スマートフォン
■1番多いのは「ガソリン 値上げ」
値上げ関連の検索ワードを見ると、「ガソリン 値上げ」が検索者数が最も多いことが分かりました。2位の「郵便料金 値上げ 2024 早見表」と比較すると5倍以上と、特に注目されている品目といえるでしょう。
2025年1月16日にはガソリン価格への補助金※が縮小され、小売価格が上昇しています。値上げのニュースを見た人、ガソリンスタンドで値上げに驚いた人がその期間に検索し、ユーザー数が多くなったことが考えられます。
※正式名称は「燃料油価格激変緩和補助金」。政府から石油元売会社に支給される補助金。
検索者は40代以上。関東が少なく、四国が多い
「ガソリン 値上げ」を検索するユーザーを細かく見ていきます。まずは年代分布です。

「ガソリン 値上げ」検索者の年代分布
期間:2025年1月~2025年2月
デバイス:パソコン・スマートフォン
「ガソリン 値上げ」検索者の年代分布では、10~20代が少なく、40代以上の割合が高いことがわかります。また、居住地域別のデータも見ていきましょう。

「ガソリン 値上げ」検索者の居住エリア分布
期間:2025年1月~2025年2月
デバイス:パソコン・スマートフォン
ネット利用者全体の分布と比較すると、関東地方に居住しているユーザーの割合が低く、四国地方に居住しているユーザーの割合が高いことがわかります。こちらは自家用車での移動距離・乗車頻度などの生活習慣の違いが関連していると考えられます。
■郵便料金、ミスド、iPhoneなど、サービス・商品の検索も多い
値上げ関連ワードで検索されたワードの2位以下を見ていきましょう。

※再掲 値上げ関連(値上げ、値上がり、価格上昇、高騰)の検索キーワード(1~10位)
期間:2025年1月~2025年2月
デバイス:パソコン・スマートフォン
2位には「郵便料金 値上げ 2024 早見表」となっており、2024年10月に値上げした郵便料金のキーワードがランクインしています。また、3位には「ミスド 値上がり」、やや開いて10位に「iPhone 値上がり」がランクインしており、原材料ではなく「サービスや商品の値上がり」も検索されていることが分かります。
■食品では「米」「キャベツ」が検索されている
食料品では「米」が4位、5位、「キャベツ」がランクインしており、食料品のなかでもその2つが特に関心度の高い値上げであることがわかります。米とキャベツは食卓でも並ぶ機会が多く、その上昨年と比較すると値上がり幅も大きく、消費者から検索がされているのだと考えられます。
2024年の値上がりで検索されているのは
続いて2024年の1年間で値上げ関連の検索ワードの上位を見ていきましょう。下記は2024年の1年間の検索数TOP10です。

値上げ関連(値上げ、値上がり、価格上昇、高騰)の検索キーワード(1~10位)
期間:2024年1月~2024年12月
デバイス:パソコン・スマートフォン
TOP10の約半数は2025年と同様、郵便関連のワードがランクインしていることが分かります。そのほか特徴的なものとして、「マック」「PS5」「スタバ」などサービス関連の値上げワード、10位には食料品関連として、「オリーブオイル」がランクインしています。
■時期別の振り返り。マック、電力、ソニー、灯油など
2024年の1年の間でも、時期によって関心を寄せる値上げ対象は異なります。2024年を4分割し、各時期の「値上げ」関連の掛け合わせワードを見ていきましょう。まずは2024年1~3月です。

値上げ関連(値上げ、値上がり、価格上昇、高騰)の掛け合わせワードのマップ
期間:2024年1月~2024年3月
デバイス:パソコン・スマートフォン
2024年1~3月の間では、「ニコニコ動画」や「名鉄電車」などがあるなかで、「マクドナルド」関連のワードが多いことが特徴です。続いて2024年4~6月のマップです。

値上げ関連(値上げ、値上がり、価格上昇、高騰)の掛け合わせワードのマップ
期間:2024年4月~2024年6月
デバイス:パソコン・スマートフォン
2024年4~6月の間では、「コメダ珈琲」や「餃子の王将」など飲食チェーンが目立つなか、「北陸電力」「関西電力」「九州電力」「四国電力」など、電力の値上げの関心が高いことが分かります。また「固定資産税」「国民年金保険料」なども、年度の変わるタイミングに合わせて検索が多くされているようです。続いて2024年7~9月のマップです。

値上げ関連(値上げ、値上がり、価格上昇、高騰)の掛け合わせワードのマップ
期間:2024年7月~2024年9月
デバイス:パソコン・スマートフォン
2024年7~9月の間では、「吉野家」「松のや」「焼肉きんぐ」など、引き続き飲食チェーンが目立つなか、「PS5」「SONY」「ソニー」など、ソニー製品の値上げの関心が高いことが分かります。続いて2024年10~12月のマップです。

値上げ関連(値上げ、値上がり、価格上昇、高騰)の掛け合わせワードのマップ
期間:2024年10月~2024年12月
デバイス:パソコン・スマートフォン
2024年10~12月の間では、「銀だこ」「はま寿司」「かっぱ寿司」などの飲食チェーンと、「灯油」「ガソリン」「ガソリン代」など、灯油やガソリンの値上げの関心が高いことが分かります。灯油は特に冬の時期ということも関連していと考えられます。
時期で比較すると、飲食チェーンは値上げのタイミングで一時的に関心を集め、その他年度の変わるタイミングで税や保険料、冬の時期に灯油が検索されるなど、時期ごとに多少特徴があるようです。
■ガジェットは若年層の男性、保険は高齢層が関心か
2024年の値上げワードをユーザー属性ごとの傾向で見ていきます。下記は性別・年齢の属性別マップです。横軸が男女を表しており、左側が男性、右側が女性が検索しやすいキーワードです。縦軸が年齢を表しており、上が高齢層、下が若年層が検索しやすいキーワードとなっています。

値上げ関連(値上げ、値上がり、価格上昇、高騰)の検索キーワードのユーザー属性別マップ
期間:2024年1月~2024年12月
デバイス:パソコン・スマートフォン
全体を見てみると、中心に集まっている検索ワード(共通して調べられるワード)と、外側に分布している検索ワード(性別・年齢で検索のされ方に違いのあるワード)があることが分かります。
左下の男性・若年層では、「PS5」「HDD」などガジェット系が特徴であることが分かります。右下の女性・若年層では「ミスド」「無印」「ディズニー」「カルティエ」などのサービス・ブランドが特徴として表れています。
その他の傾向として、「自動車保険」「火災保険」などの保険は比較的高齢層、「すき家」「吉野家」などの牛丼チェーンは男性などの傾向があるようです。
複数のデータから、消費者理解を深めよう
2025年の1~2月と、2024年の1年間の値上げ関連の検索を見てきました。2025年では「ガソリン 値上げ」が最も多く、その他にはサービス・商品では郵便料金やミスド、食品では米、キャベツが検索されていました。
2024年も変わらず郵便料金が上位を占めるなか、年度の変わるタイミングや季節によって、検索されるワードに違いが見られることが分かりました。
今回のデータは「値上げ」関連で検索されたワードのデータです。検索されやすい品目、検索されにくい品目もあると考えられ、消費者の関心を示す根拠データの内のあくまで一つと捉えるとよいでしょう。例えば、食料品の値上げワードについて、「日々の買い物では気になっているが、お店によって値段が変わる」「一つあたりの価格が安い」などの理由から検索されにくいなどもあるかもしれません。
検索されているワードに加え、価格の値上がり幅などのその他のデータと合わせて分析していくと、より消費者の理解が深まるでしょう。
マナミナ編集部員。コンテンツマーケ、SEO、SNS周りに携わっています。小説と音楽が好きです。