コンテンツへの支出がコロナ禍以降で最高に。リアルイベントやレジャーが伸長
生活者のコンテンツへの年間平均支出額は前年調査から7,874円増加し68,527円で、コロナ禍以降最も高くなりました。
図1:コンテンツへの平均支出金額の推移
カテゴリ別で分析すると(図2)、2022年調査ではリアルイベントやレジャー、ファンクラブ市場でコロナ禍による落ち込みから回復の兆し、いわゆるリベンジ消費が見られましたが、2023年調査ではリアルイベント市場は前年からさらに大きく伸び、コロナ禍前の規模に迫っています。また、レジャー市場やファンクラブ市場も前年から拡大が続いています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、音楽ライブやスポーツの試合などリアルイベントでは会場の収容人数や声出しに制限がありましたが、2022年半ばから徐々に緩和され、今年にかけては条件付きながら声を出してアーティストやアスリートを応援することができる「声出し解禁」が進みました。
音楽のライブ・コンサートの推定市場規模は前年から53%増加(+602億円)、野球の生観戦は67%増加(+183億円)など、リアルの場に熱気が戻った結果、リアルイベントそのものへの支出が増え、ファンクラブやグッズなどへの支出も増加したとみられます。
図2:各カテゴリの推計市場規模の推移
多様な接点を作りながら“象徴的な瞬間”を逃さなかったコンテンツが支出を呼び込む
図3:2023年リーチ力・支出喚起力ランキングTOP20
どれだけ多くの生活者に接触できるかを示す「リーチ力」ランキングでは、『鬼滅の刃』が2年連続1位になりました。2022年初めまでテレビアニメの放送があったほか、新作の放送開始までの間も再編集された過去の作品が劇場上映されたり、絶えずグッズやコラボレーション商品が販売されていたりと多くの生活者の目に触れ続けたことで、依然高いリーチ力を保っています。
マンガ発の新作テレビアニメのヒットも目立ちました。『SPY×FAMILY』が2位、『チェンソーマン』が11位に初ランクイン。『SPY×FAMILY』はテレビアニメのヒットでマンガの販売も伸びたほか、主人公のセリフがTikTokでトレンドになるなど様々な年代にもリーチし、2022年を代表するコンテンツを印象付けました。また、『チェンソーマン』も深夜帯のテレビアニメながら、毎話異なるエンディングテーマ曲を流すなど意欲的なプロモーションで話題をつくりました。
「支出喚起力」ランキングでは、接点を充実させてきた中で“象徴的な瞬間”を逃さずヒットにつなげたコンテンツのランクアップが目立ちました。
1位の『ポケットモンスター』(2022年調査:4位)は、ゲーム・テレビアニメ・グッズを展開し、さらに自治体とのコラボレーションなどフィジカルの接点も拡大して、生活者との関係を深めました。2022年は家庭用ゲーム機向けに新作ソフトを2タイトル発売する重要な年になりましたが、その発表などの節目にSNSでトレンド入りするなど話題づくりに成功。いずれも大ヒットを記録しました。
8位の『東京卍リベンジャーズ』と16位の『ゴールデンカムイ』は初のランクイン。いずれもテレビアニメ化や映画化、公的機関も含めた多様なコラボレーションを果たすなど、マンガにとどまらない接点を増やし人気が高まりました。マンガは昨年完結を迎えましたが、完結後も積極的なイベント開催や映画化など一段と幅広くビジネスを展開しています。
これまで着実に足場を固め生活者との接点を広げてきたコンテンツが、新作ゲームやマンガの完結といった“象徴的な瞬間”をプロモーションによってしっかり話題化することで、生活者の支出につなげたといえそうです。
※リーチ力・支出喚起力
企業のコンテンツ活用を促進するために、コンテンツビジネスラボが開発した独自指標のこと。
・リーチ力:そのコンテンツが一年間に到達できる人数を表す指標。コンテンツの力を活かして幅広い生活者に自社商品やサービスを知らせる際に参照。この指標が高いと、キャラクタータイアップ・CM への起用・PR などの活用に向いている。
・支出喚起力:コアファンによる、年間の関連市場規模の指標。自社の商品やサービスそのものにコンテンツを組み込んだオリジナルの企画を開発し、コンテンツファンの実際の購買を目的とする際に、どのくらいの売上規模が見込めるかを推計することができる。
調査概要
・調査方法:インターネット調査
・調査地区/対象者:全国15~69歳の男女 (全国7エリアを性年代別人口構成比で割付)
・有効回収サンプル数:10000サンプル
・調査時期:2023年3月10日(金)~15日(水)
・調査機関:株式会社H.M.マーケティングリサーチ
出典元:博報堂
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