半数のクリエイターが、週に1回以上生成AIを利用している
「生成AIを利用したことはありますか?」という問いに対して、47.3%のクリエイターが「週に1回以上利用している」と答えました。
世代別では、「毎日利用している」と回答した割合が最も高かったのは50~54歳(13.19%)、次いで35~39歳(12.46%)であり、これらの世代は仕事の生産性向上や効率化のために生成AIを積極的に導入していることがうかがえます。
一方で20代においては、「利用したことがない」割合が高く、教育機関での生成AI利用が限定的であったり、SNSでの批判的な意見を目にする機会が多かったりするため、より慎重になっている傾向があると考えられます。
世代別に生成AIの利用用途を集計したところ、いくつかの特徴的な傾向が見られました。
特に「コード生成」の割合は全体としては少ないものの、20代から30代の世代においては10%を上回っており、プログラミングスキルがキャリア形成において重要視されている世代では、生成AIが良き学習相手・相談相手として活用されていることがうかがえます。
一方で、20代における「画像生成」や「動画生成」の利用が低い点も着目すべきところです。
30代以降の世代がビジネスの効率性を重視し、時間を節約しながらプロフェッショナルな結果を得るために生成AIツールを活用しているのに対し、20代では既存のSNSプラットフォームやアプリが充実しており、これらを利用して手軽に制作が可能なこと、著作権に関する懸念やリスクを総合的に判断した結果、他世代に比べて生成AIの利用を控える傾向がある可能性もあります。
圧倒的人気のChatGPTとAdobe Firefly
最も利用している生成AIサービスを問う設問では、「ChatGPT」が全体の71.7%、「Adobe Firefly」が38.8%と、特にこの2つのツールが多く利用されていることが分かります。
中でも「ChatGPT」は割合が高く、文章生成や対話型AIのニーズが強いことが示されています。
また「Adobe Firefly」の利用率が高い理由については、回答者がデジタルハリウッドの受講生であることから、常に最新のテクノロジーを取り入れ、実務や学習に活用している様子がうかがえます。
グラフィック制作に携わるクリエイターはやや消極的
「イラストや音楽をはじめとした【クリエイティブな活動における生成AIの利用】について、あなたはどのように考えていますか?」という設問では、全体の約58%が「活用したい」と回答しました。
年齢別では、年齢が上がるにつれて生成AIの利用に対する積極的な姿勢が強まっており、特に40歳前後の層が生成AI活用に対して最も積極的であることがわかります。また、年齢が上がってもAI活用に対する関心が低下せず、50歳以上でも前向きな姿勢が多く見られます。
その一方、クリエイティブ分野別で見たときに、動画編集に携わっているクリエイターの43.2%、Web制作に携わっているクリエイターの39.6%が「生成AIを積極的に活用したい」と答えているのに対して、グラフィック制作に携わっているユーザーは33.4%にとどまっており、より慎重になっている様子がうかがえます。
学習モデルへの利用47%が受容もガイドラインの整備が必要
自分の創作物が生成AIの学習データとして使われることに対しては、47%の人がポジティブな反応を示し、13%はニュートラル(中立)、40%はネガティブな反応を示しました。
ポジティブな意見の中でも「データの許可・不許可が選べること」や「報酬が発生する仕組みがあること」が条件として挙げられることも多く、「(受け入れはしつつも)時代の流れなので仕方がない」といった声も見られました。また、テキストデータならOK、写真ならOKといった、創作物のカテゴリによっても異なる反応がありました。
ポジティブ・ネガティブを問わず、共通して生成物の著作権やクリエイターの権利に関する不明確さが問題視されており、法整備やガイドラインの確立が、安心して生成AIを利用できる環境の構築に必要であることがわかりました。
また、Adobe製品の利用歴別では、1年未満の初心者から10年目を迎えるまでは、段階的にネガティブな傾向が強まる傾向が見られました。
利用開始から6年以降、10年目のクリエイターは、ちょうど創作活動が軌道に乗ってくる時期であり、生成AIによる学習に対して危機感を抱くことが多いと考えられます。
一方、11年以上Adobe製品を使っているクリエイターはポジティブな割合に転じており、業界全体の発展に貢献したいという思いが強い傾向にあることが示唆されました。
とはいえ、ネガティブ・ポジティブどちらも50%未満の割合であることには注意が必要です。
情報源は主にSNS、「いやでも耳に入ってくる」状況
「生成AIに関する情報を積極的に集めていますか?」という質問に対しては、「集めている」と答えた割合が30%、「どちらともいえない」が38%、「興味がない」が22%と、多くのクリエイターが生成AIを利用しているにもかかわらず、積極的に情報収集をしていないことが明らかになりました。
また、「生成AIに関する情報を知るために、参考にしているメディアやウェブサイトはありますか?」という問いに対しては、「特定のメディアはない」が42%、SNS(22%)、YouTube(13%)、ニュースメディア(6%)の順となりました。
生成AIに関する主な情報源としてSNSが活用されている状況下では、自分と同じ考えや意見ばかりが強調される環境で情報を収集してしまうエコーチェンバー効果を懸念する必要があります。
人によって認識している問題点や情報が大きく違うことが、生成AIに対する不安や対立をより深めているという見方もできそうです。
クリエイターが「生成AIに任せたくない」分野は?
あえて「ここは生成AIに任せたくない」と考えていることはありますか?という質問に対しては、「アイデアやコンセプト、独自性を確保するといった制作の基となる部分」という回答がある一方で、「作品の最終仕上げやクリエイティブな判断とする部分」という回答もあり、特定の領域というよりは、「自分がこだわりたい部分はAIに任せたくない」という傾向が浮き彫りになりました。
技術が進歩し、どのような部分も(技術的に)任せられる状況になったとき、真にクリエイティブな時代が訪れるのかもしれません。
調査概要
「クリエイターと生成AIに関する意識調査2024」
調査期間:2024年9月14日(土)~2024年9月19日(木)まで
調査機関:デジハリ・オンラインスクールの独自調査
調査対象:2023年9月1日から2024年8月31日までにデジハリ・オンラインスクールのクリエイティブツール(Adobe Creative Cloud)を利用する講座へお申込みいただいた方
有効回答数:2,034件
調査方法:Webアンケート
出典元:デジタルハリウッド株式会社
※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。
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