ギフト利用動向調査 ~ ギフト市場における「贈答文化」の変容とeギフトの潜在性

ギフト利用動向調査 ~ ギフト市場における「贈答文化」の変容とeギフトの潜在性

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、国内の15歳以上の41,501人を対象に、ギフト利用に関する消費者アンケート調査を実施しました。また、eギフト(ソーシャルギフト)の利用実態と拡大戦略を探るため、国内最大規模のWeb行動ログ×アンケートデータを活用した生活者分析ツール「Perscope(ペルスコープ)」を用いて、eギフト利用者の検索キーワードやアプリ利用傾向も分析。価値観や今後拡大が見込まれるギフト利用シーンを考察しました。


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若年層がギフト市場の成長を牽引

ギフト利用の現状を聞くと、直近1年間で、結婚/出産祝い・入学/卒業祝い・誕生日・クリスマス・お中元/お歳暮など何らかのギフトを贈ったことがある人は約半数でした。その中でギフトを送付する年代は、平均と比べると10~20代の若年層がやや多いことがわかりました。若年層に関しては、お中元やお歳暮など季節の贈り物よりも個人的な記念日でのギフト体験が多いと考えられます。

【図1】ギフト利用の現状

【図1】ギフト利用の現状

また、直近5年間でギフトを贈る機会が増加したと回答した割合は、10代が29.8%、20代が26.5%と、他の年代と比較して突出して高い結果となりました。伝統的なギフト文化が縮小する一方で、若年層が新たなギフトシーンを創出していることが推察されます。

【図2】ギフト市場の未来

【図2】ギフト市場の未来

ギフトシーンごとでは、特に「住まい関連ギフト(引っ越し・新築祝いなど)」や「健康関連ギフト(快気祝いなど)」、「キャリア関連ギフト(就職・昇進・退職祝いなど)」といった比較的ニッチな領域で「直近5年間でギフトの送付が増えた」と回答した人の割合が高くなっており、ギフトの贈答が広がる兆しが見られます。

【図3】ギフト文化拡張の兆し

【図3】ギフト文化拡張の兆し

ギフトを贈る人と受け取る人の二極化

ギフトを贈る人は、同時にギフトを受け取る可能性も非常に高いことが明らかになりました。直近1年間にギフトを贈った人の約85%はギフトを受け取っており、これは「ギフト圏内者」と呼べる層が、市場の核を形成していることを示唆しています。ギフト市場の拡大には、この「贈る人」を増やすことが鍵と言えるでしょう。

【図4】ギフト消費者は二極化

【図4】ギフト消費者は二極化

世代ごとのギフト選定における価値観

ギフトを選ぶ際に重視するポイントは、世代によって違いがあることがわかりました。

■ 若年層(10〜20代): 「デザイン・見た目」「センス」「話題性」を重視する傾向にあり、ギフトを贈る行為が自身の個性やセンスを表現する場となっています。

■ 中年層(30〜40代): 「選びやすさ」や「コストパフォーマンス」など、効率性を重視する傾向が見られます。

■ 高年層(50〜60代以上): 「相手の好み」や「実用性」を重視し、相手に寄り添った思慮深いギフト選びをしていることがわかります。

各世代のギフト選定の重視点を踏まえ、考察される訴求ポイントを、下図にまとめました。

【図5】ギフト選定の重視点

【図5】ギフト選定の重視点

eギフトの潜在力:カジュアルシーンが市場拡大を加速

昨今では、相手の住所を知らなくてもSNSやメールを介して手軽にプレゼントを贈ることできるオンラインギフトサービスeギフト(ソーシャルギフト)の利用も見られるようになりました。

直近1年でeギフトを贈ったことがある人の割合を聴取したところ約9%に留まり、認知しているものの利用に至らない「慎重な観察者」が約70%を占めています。

【図6】eギフト利用率

【図6】eギフト利用率

eギフトを送らない理由を年代別に見てみると、若年層では「形のない贈り物への物足りなさ」、中年層は「仕組みや種類への理解不足」、高年層は「そもそも選択肢に入っていない」が挙げられました。

【図7】eギフトを送らない理由

【図7】eギフトを送らない理由

eギフトはどのようなシーンで利用されているのでしょうか。各ギフトシーンにおけるeギフト送付割合を調べたところ、最も多かったのは「住まい関連ギフト(引っ越し・新築祝いなど)」で、「キャリア関連ギフト(就職・昇進・退職祝いなど)」「健康関連ギフト(快気祝いなど)」が続きました。これらは、前述した「直近5年間でギフトの送付が増えた」と回答した人の割合が高いギフトシーンと一致し、手軽に送ることができるeギフトが、贈答を促進する後押しとなっていることも考えられます。

一方、贈られる総数でみると、誕生日や日常のお礼など、手軽なシーンでの利用が多い様子がうかがえます。

【図8】eギフト利用シーン

【図8】eギフト利用シーン

eギフトの利用拡大を考える上で、eギフトを利用する人たちの特徴・情報収集行動を理解するため、Web行動ログ×アンケートデータを活用した生活者分析ツール「Perscope」を用いて、eギフト利用者の検索キーワードやアプリ利用傾向を分析しました。

eギフト利用層は「流行や話題の商品・サービス、新技術に敏感な実利派」と言え、「食・健康・金融など、生活の多様な分野で便利さや“体験”を大切にするタイプ」であることがわかりました。大手ショッピング・キャッシュレス決済・クーポンアプリ、銭湯・レジャー・旅行予約など“日常を楽しくする”用途のアプリもよく利用しており、情報への関心が高く、新しい商品やサービスに対して前向きな姿勢を持っていると考えられます。

【図9】eギフト送付者

【図9】eギフト送付者

まとめ

本調査により、ギフト市場は単なる「モノの授受」から、「気持ちの伝達」を重視する多様なコミュニケーションへと進化していることがうかがえます。伝統的な贈答習慣が縮小する一方で、若年層が中心となり、日々の生活の中での感謝やねぎらいを表現するカジュアルなギフト文化が広がりつつあります。

また、eギフトは、手軽さや利便性という強みを持ちながらも、利用者と非利用者の間に隔たりが存在します。今後eギフトが市場をさらに拡大するためには、世代ごとの異なるニーズや心理的障壁を理解し、それぞれに寄り添ったアプローチを展開していくことが重要となるでしょう。

ヴァリューズでは、今後も本調査結果を活用し、現代の消費者の価値観や行動様式を深く理解することで、企業やブランドのマーケティング活動を支援してまいります。

調査・分析概要

  • 調査目的 現代におけるギフトの利用状況や価値観の変化を捉え、今後のトレンドを明らかにする
  • 調査対象者 株式会社ヴァリューズのモニターパネル 15歳以上の男女(41,501サンプル)
  • 調査地域 全国
  • 調査期間 2025年5月16日~5月23日
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている
※Web行動ログはPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測

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