LLMマーケティングは情報収集・試験導入段階が中心!実運用はまだ少数派
「情報収集中」(35.0%)や「一部で試験的に取り組んでいる」(22.3%)と回答した企業が比較的多く、LLMマーケティングに対して様子見や試行段階にある企業が全体の半数を超えていることがわかりました。
新しい技術であるLLM(大規模言語モデル)をマーケティングに活用するにあたっては、具体的な活用方法や社内リソース、リスクの面で慎重に検討している段階ではあるものの、多くの企業が強い関心を寄せているといえるでしょう。
一方で、「すでに定着し、本格的な運用段階にある」と答えた企業は5.1%と、ごく一部にとどまっています。
これは、LLMマーケティングがまだ黎明期であることを示す結果ですが、すでに活用を進めている企業では、社内のナレッジ整備や業務フローの確立など、一定の仕組み化は進んでいるようです。
こうした先行事例が増えることで導入のハードルが下がり、各社での取り組みが加速していくことも期待されます。
業務効率化だけじゃない!LLMを事業の競争力強化に活かす企業が続々
LLMマーケティングにおいて取り組みたい(取り組んでいる)施策としては、「コンテンツの自動生成」(54.2%)や「マーケティング分析」(34.0%)、「マーケティング業務の効率化」(17.2%)といった、業務効率化を目的とした活用の検討をしている企業が多いようです。
一方で、「チャットボット等による顧客体験の向上施策」(42.7%)や「LLMO施策(ChatGPTやAI Overviewsで引用を目指す施策)」(33.2%)といった、事業の競争力を高める施策にも多くの企業が関心を寄せているのは注目すべきポイントでしょう。
生成AIを使って顧客との接点の質を高めたり、新たな流入経路の開拓に取り組んだりする動きは、今後企業間の差別化要素になる可能性もあります。
生成AI活用に対する企業の期待が、単なる効率化にとどまらず、直接的に事業成長に寄与する領域にも広がっているようです。
生成AI検索でサイトに訪問するユーザーの温度感に変化?流入とCVの動きに注目
生成AI検索の普及による影響については、「流入数もコンバージョン数も増えた」(24.0%)と回答した企業は一定数ありましたが、「流入数は増えたがコンバージョン数は減った」(26.3%)、「流入数は減ったがコンバージョン数は増えた」(17.6%)といった真逆の傾向が見られている企業もあるようです。
この結果からは、生成AI検索によって従来よりも情報収集段階のユーザーが多く流入しているケースが多い一方、AI上で基本情報を理解し、中でも購買意欲の高いユーザーだけがWebサイトへ訪問してコンバージョンしているケースもあると推測できます。
つまり、AIが直接的に情報を提供することで、Webサイトを訪問するユーザーの「温度感」が2つに分かれやすくなっているといえるでしょう。
ただ、「大きな変化は見られない」(13.4%)と回答した企業もあり、生成AI検索の影響は、企業のビジネスモデルや商材特性によって表れ方が異なる状況のようです。
LLMOの最適解はこれから!多くが情報収集・試行錯誤の真っ最中
LLMO(大規模言語モデル最適化)への取り組み状況については、「情報収集中」(48.5%)と回答した企業が半数近くを占め、まだ多くの企業が様子を見ながら情報収集を進めている段階にあることがわかります。
AIによる検索結果の生成が進む中で、具体的にどう対策を進めるべきかを検討している企業が多いようです。
一方、「実験的に対策を進めている」(19.8%)、「KPIなどを設けて対策を進めている」(9.2%)と、一部の企業ではすでに実務的な取り組みが始まりつつある模様。
まだ割合としては少数ですが、先行してノウハウを蓄積しようとする動きはうかがえます。
この結果からは、多くの企業ではLLMOへの最適なアプローチがまだ定まっておらず、正解が見えないフェーズにあることが浮き彫りになっているといえるでしょう。
ただ、今後AI検索の影響がより表面化するにつれて、情報収集段階にある企業も、徐々に実践フェーズへ移行する動きが広がっていく可能性は高いと考えられます。
課題は「ノウハウ不足」と「体制面のハードル」、LLM活用の実務整備が今後の焦点に
LLMマーケティングやLLMOを進める上での最大の課題としては、「ノウハウ/スキル不足」(32.1%)が最も多く挙げられました。
技術としては注目しているものの、どのように施策に落とし込むのかなど、実務面での迷いが多くの企業で課題になっている様子がうかがえます。
次いで、「社内のリソース不足」(16.0%)や「予算確保」(16.0%)が続き、限られた人員・予算の中で、新たな取り組みに手をつけづらい企業も少なくないことがわかります。
LLM関連の取り組みは新しい領域で、知見のある人材が現状はかなり限られている状況。
情報のキャッチアップにも時間がかかるため、通常業務との両立の難しさも影響しているのでしょう。
また、「成果計測」(13.0%)や「プライバシー、法務、ガバナンスリスク」(11.1%)といった声も一定数あり、実際に導入・運用を進める中で直面する、実務上の課題も浮かび上がっている状況です。
全体としては、技術的なハードルよりも「どう始めればいいかわからない」「社内で体制を作ることができない」といった準備段階の課題感が強いフェーズにあることがわかります。
調査概要
調査期間:2025年5月26~30日
調査方法:インターネット調査(Fastask利用)
調査対象:全国の10~60代の男女274名
出典元:ナイル株式会社/ナイルのSEO相談室調べ

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