ガスコンロ・ボンベだけではない新商品を開発
――岩谷産業様には、日頃からWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」とペルソナ分析ツール「Perscope」を活用いただいています。また、ヴァリューズコンサルタントとのディスカッションなどを通じ、共に課題解決を行っていく「プレミアムサポートプラン」もご利用いただいています。本日は改めてお取り組みの詳細をお伺いできればと考えていますが、まずは事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
岩谷産業 本山孝祐氏(以下、本山):岩谷産業というとカセットコンロ、カセットボンベのイメージが強いですが、実はtoCでも調理家電や健康食品など、多岐に渡る商品を展開しています。もともとは新商品開発部と市場調査部という2つの組織で活動していたのですが、会社として新しい事業やサービス、商品をもっと生み出していきたいという想いから、2024年4月にマーケティング部が新たな組織として発足しました。
そして現在、新規商品として開発するあらゆるプロジェクトで、ヴァリューズさんには関わっていただいています。すでに3年以上にわたりご一緒しています。
岩谷産業株式会社 マーケティング部長 本山孝祐氏。
手軽に暖炉の雰囲気が楽しめる「MYDANRO」の開発を担当。
―― ヴァリューズと取り組みを始めた経緯をお聞かせください。
岩谷産業 山崎すみれ氏(以下、山崎):新商品開発の際、「本当にニーズがあるんだろうか」、「自分の感覚が世の中のニーズと合っているのか」という点に確信を持つのはなかなか困難なことです。そこで、キーワード分析から世の中のニーズを調べてみようということで、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」の導入を開始しました。
ただ、検索ニーズやユーザー属性など商品開発に活きるデータが得られる一方で、自分たちだけで数字を見ているだけでは、どうしてもデータを表面的にしか捉えられないという課題を感じるようになってきました。そのタイミングで、ヴァリューズのコンサルタントさんと共にデータを読み解き、課題解決につなげられる「プレミアムサポートプラン」をご提案いただきました。今は月1回の定例会でヴァリューズさんに分析いただいたデータを見ながら、議論をする体制で取り組んでいます。
岩谷産業株式会社 マーケティング部 新商品開発担当 山崎すみれ氏
岩谷産業 坪井隆史氏:社内の商品開発会議には、ヴァリューズのコンサルタントである岩村さん、平野さんにも参加していただき、アイデアを深掘りするためのデータを見ながら様々な議論します。我々のアイデアをお話しすると岩村さんたちが「面白いですね!」と様々なデータを持ってきてくださるんですよね。一緒に開発に取り組むパートナーのような関係性で進めさせていただいております。
岩谷産業株式会社 マーケティング部 部長 新商品開発担当 坪井隆史氏
―ペルソナ分析ツール「Perscope」も導入されていますが、使ってみての感想を教えてください。
本山:最初に「Perscope」の説明を聞いた時は、実はあまりピンと来なかったんですよね。我々はこれまで多数のニーズを獲得することを目指しており、少人数の具体的なニーズを捉えるという考え方はあまりしていませんでした。ただ、お話を聞いているうちに、結局ものづくりは、1人を納得させられないと、世の中の多くの人を説得できるわけがないと考えるようになりました。
ものづくりにおいては、自分がほしいと思えるかどうかがものすごく大切です。そのときにペルソナをしっかりとらえ、その人が前に何を調べて、次に何を調べるかというのはとても参考になりましたし、気づきは大きかったですね。実際に存在する人のデータがわかることで、イメージがしやすくなりました。
ものづくりを支える顧客ニーズの理解
――これまでに手がけられた商品開発の事例について教えてください。
山崎:例えば、Makuakeにて3時間で300台を売り上げた「MYDANRO」、1日で2,000万円を達成した「MY ROAST」などがあります。「MYDANRO」の開発では、商品自体の構想はあったものの、どのような層にどのようなニーズがあるのか明確ではありませんでした。
そこで「Dockpit」による検索データと、数千人規模のアンケートを組み合わせたハイブリッド調査を実施しました。以前もユーザーアンケートは定期的にやっていたのですが、Web検索からターゲットやペルソナを読み解くような分析までは行っていなかったんです。設問設計から分析までヴァリューズさんが担ってくださったので、これまでに比べて負荷が少なくアンケート実施ができました。定例会議の中で「この結果はどういうことなんだろう」、「この数字も取れますか?」と相談すると、すぐに追加で出してくださるのもありがたかったです。
カセットガスを燃料に暖炉の雰囲気が楽しめる「MYDANRO」。
Makuakeでのクラウドファンディングではなんと3時間で300台を売り上げた
―データや分析結果は商品開発のヒントになるのでしょうか?
本山:もちろんです。商品コンセプトと近い関心を持つ人々を調査していただいたのですが、かなり参考になりましたね。MYDANROの開発時は、アウトドア好きの層とインテリアにこだわる層、二つの属性を分析してもらいました。また、アロマ好きの層にも刺さるかもしれないという分析結果から、アロマ機能の追加も行いました。分析結果を生かして商品化するだけでなく、さらに販売後の反応を分析するといろいろなことが見えてくる。それが次の商品開発にもつながっています。
山崎:我々は小売店での販売がメインなので 、お客様 のニーズがわかりづらいという課題がありました。アンケートや「Dockpit」、「Perscope」のデータを通して、お客様への解像度が高くなったと感じています。お客様像はひとつではないですし、ニーズも多様です。その点が見えてくることで、「こんな人をターゲットにしてみよう」という戦略も打ち出しやすくなったと思います。
インタビュー風景
―商品開発以外で、ヴァリューズとの取り組みが生きたシーンはありますか?
本山:社内での説得も円滑になりました。「今までにない商品を」というミッションを持った部署ですが、ただ挑戦的な商品を開発しただけでは発売まで行き着きません。「この商品にはニーズがある」、「売れる見込みがある」という根拠が必要です。
コンサルタントである岩村さん、平野さんがわかりやすい資料にまとめてくださるので、営業担当も興味を持ってくれています。営業がヴァリューズさんのデータをビジネス展示会に活用したほか、最近では商品開発の段階から営業が議論に関わるケースも出てきました。営業と一緒に商品戦略を練られるようになったのは、とてもいい傾向だなと思います。
月1回の定例会が部内のコミュニケーションの活性化に
ー毎月、ヴァリューズのコンサルタントが参加する定例会を実施することで、部内に変化はありましたか?
本山:社内会議が活性化したのが驚くべき変化だと感じています。商品開発初期は、部内でアイデアをぶつけ合いながらブラッシュアップしていくのですが、実際に開発フェーズになると、その時間がどんどん取れなくなります。すると会議も形骸化し、参加者や頻度が減ってしまうケースが過去にはありました。しかし、毎月の定例会にヴァリューズさんにも入っていただき、意見を交わすようになったことで、部内のベクトルを合わせ、全員でひとつのテーマを共有できるようになりました。定例会議のあとにみんなでお酒を飲みながら話すのも楽しい時間です。
山崎:毎月集まることで、分析をどう生かすかを考える習慣ができましたし、雑談から新しいアイデアが生まれることも。ヴァリューズさんも消費者としての意見やアイデアをくださいますし、「これは面白いですね!」と背中を押してくれるので、それも自信にもなっています。
ヴァリューズのマーケティングコンサルタント、平野瑞葉(右手前)と岩村大輝(右奥)。
顧客データによるマーケ戦略立案を得意としている
アイデアとものづくりへの真摯な姿勢で、新しいものを世の中に
―マーケティング部の今後の展望について教えてください。
本山:継続的に魅力的な商品を開発してローンチし続けることは変わりません。ただ、常にアイデアが湧くわけではないので、悩みや思考を共有できる関係性がありがたいです。1人で悩むのではなく会議でフラットに気づきを共有し、データをもとにアイデアを深掘りして、意見を出し合うということがすごく大切なのだと、ヴァリューズさんとご一緒するなかで痛感しました。次の開発のヒントにもなりますしね。なので、引き続きこういったよい関係を継続できるとうれしいです。
我々の仕事は、世に出してみないとわからないところもあります。だからこそ面白いのですが、新しいものを出すまでのアイデアを一緒に深めて、一緒に試せて、考えていただけるパートナーがいることはとても心強いですね。
取材協力:岩谷産業株式会社





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