ロサンゼルスの高級スーパー「エレウォン」がウェルネス×ラグジュアリー路線でアメリカのZ世代の憧れに | 海外トレンドに見るビジネスの種(2025年7月)

ロサンゼルスの高級スーパー「エレウォン」がウェルネス×ラグジュアリー路線でアメリカのZ世代の憧れに | 海外トレンドに見るビジネスの種(2025年7月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、アメリカロサンゼルスの高級スーパー「エレウォン(Erewhon)」について取り上げます。エレウォンはアメリカでどのような位置付けのスーパーなのか、人気の理由や、話題の商品についても見ていきたいと思います。


セレブに人気の高級スーパー エレウォン(Erewhon)とは?

アメリカ西海岸のロサンゼルスに10店舗のみ展開している高級オーガニックスーパー「エレウォン(Erewhon)」。サステナビリティやウェルネスに特化した食品や日用品を取り扱っています。有名なセレブや健康意識の高い層が利用していることから、特にアメリカの若い世代からは一種の憧れの眼差しで注目されているスーパーマーケットです。

エレウォン店舗の外観

実はエレウォンのビジネスは1960年代に日本人夫婦が創業した食料品店から始まっています。アメリカでマクロビオティックという健康的な食事法を推し進めていた久司道夫、アヴェリーヌ偕子夫妻によって1966年ボストンに1号店が創業されました。その後ロサンゼルスに店舗を広げるなどの変遷を経て、2011年には新しいオーナーが就任。そこからラグジュアリーで健康志向なスーパーという現在の形に至っています。

近年SNS上では度々エレウォンで販売している商品の動画が拡散され話題となりました。特にセレブとコラボしたスムージーや、お惣菜などの購入品紹介動画がよく投稿されています。

またバレンシアガとのコラボを果たしたことでも話題となりました。2024年秋コレクションにてエレウォンの紙袋のようなレザーバッグが披露されています。スーパーマーケットとしての枠を超え、ライフスタイルブランドとしての地位も確立してきていることがうかがえます。

バレンシアガとのコラボバッグ

高価格帯でも今のZ世代にヒットする理由は?

「生活のちょっとした贅沢」ニーズの高まり

エレウォンが人々の注目を集めている理由として、「リトル・トリート・カルチャー(Little Treat Culture)」があげられます。リトル・トリート・カルチャーとは、自分の手に届く範囲内の少しの贅沢を生活に取り入れる消費行動のことです。

その背景には、現在アメリカの若い世代が直面している経済難があります。物価高やローン返済などにより、派手な出費をすることが難しい状況下で、日々の買い物の中でちょっとした贅沢をしたいというニーズが高まっています。

また、少し高いお金を払ってでも、地球にやさしい商品や、より質の良い商品を購入したいと考えるZ世代も少なくないと言われています。アメリカのZ世代を対象に行ったYouGovの調査(※)によると、Z世代回答者の55%がよりサステナブルな商品に、70%がより品質の良い食べ物にさらなる出費を惜しまないと回答しています。

(※)
Gen Z Is Hungry for Transparency in Food Sustainability and Quality Amid Climate Concerns, According to New Whole Foods Market Survey
2024年9月の調査。アメリカのZ世代(18〜27歳)1,032人が対象。
https://media.wholefoodsmarket.com/gen-z-is-hungry-for-transparency-in-food-sustainability-and-quality-amid-climate-concerns-according-to-new-whole-foods-market-survey/

憧れのライフスタイルを真似できる手軽さ

取り扱っている商品の魅力だけではなく、エレウォンで買い物をするという体験自体に価値を見出されていることも人気の理由としてあげられます。

自分もセレブのように健康的でラグジュアリーなライフスタイルを送りたいという憧れの気持ちが、エレウォンを訪れてみたいという心理につながっています。

スーパーマーケットの中ではかなり高価格帯ではありますが、ラグジュアリーな体験という点では食料品や日用品は比較的手が届きやすいと言えます。プチ贅沢を通じて憧れのセレブと同じ物を手に入れることができるという点で、人々の関心を惹きつけています。

今エレウォンで話題の商品は?

セレブとのコラボスムージー

ヘイリー・ビーバーとのコラボスムージー「ストロベリー・グレイズ・スキン」

エレウォンの看板商品といえばスムージー。数々のモデルや歌手、インフルエンサーとのコラボ商品を展開しているのが特徴です。中でも最も話題となった商品が、ヘイリー・ビーバーとコラボしたストロベリー・グレイズ・スキン(Strawberry Glaze Skin)というスムージーです。20ドルというスムージーにしては高めの価格設定も話題となりました。

エレウォンで購入できるスムージーは、中に入っている原材料にも健康へのこだわりがあります。例えばストロベリー・グレイズ・スキンには、アーモンドミルク、苺、バナナ、アボカド、デーツなどに加え、コラーゲンやシーモスジェルといったウェルネス食品が含まれています。

シーモス(海藻)

スムージーに配合されているシーモスジェルとは、乾燥した海藻をジェル状にしたもので、エレウォンのプライベートブランドから色とりどりのラインナップが販売されています。ビタミンやミネラルの摂取が期待できるとのことで、人気商品にもなっているスーパーフードです。

シーモスジェルの商品ラインナップ

このようにエレウォンでは目新しい健康食品を積極的に取り扱っており、最新のウェルネストレンドを牽引しています。

日本産の高級苺「エリー・アマイ」

エリー・アマイの苺

2025年に入ってから注目されている商品に日本産の苺があります。「エリー・アマイ(ELLY AMAI)」というブランドのもので、エレウォン店舗にて1粒19ドルで販売されているとのこと。

オーナーの親戚であるAlyssa Antociさんが2025年2月に投稿した苺のレビュー動画が話題のきっかけとなりました。2025年7月時点で1,830万回再生されています。他の人のリアクション動画も続々と投稿されており、あまりの価格の高さに対する論争も巻き起こりました。トーク番組のジミーキンメルライブなどテレビ番組でも取り上げられ注目されています。

まとめ

今回は、アメリカで注目の高級スーパー「エレウォン」についてご紹介しました。

エレウォンは日本人夫妻のビジネスから始まり、現在はロサンゼルスで10店舗展開しています。セレブやインフルエンサーに愛されており、そのブランドイメージから若い世代にとっては憧れのライフスタイルのお店という位置付けにもなっています。

若い世代から関心を集める背景には、ちょっとした贅沢を生活に取り入れたいというニーズの高まりや、サステナブルでクオリティの高いものを少し値段が高くなっても買いたいという価値観の現れがありそうです。

SNSの拡散によって知名度を上げたことも特徴的で、特にセレブとのコラボスムージーや、健康食品のシーモス、日本産の苺が話題となりました。今後もエレウォンを筆頭にして新たなウェルネストレンドの登場が期待できそうです。

【参考】
https://www.elle.com/uk/life-and-culture/culture/a60310866/erewhon/
https://www.delish.com/food/a62640515/gen-z-expensive-groceries/
https://www.theguardian.com/commentisfree/2024/oct/16/we-live-in-a-treat-culture-and-gen-z-is-splurging-on-snacks
https://www.today.com/food/trends/erewhon-19-dollar-strawberry-rcna193719
https://ship.erewhon.com/pages/about
https://bostonuncovered.com/erewhon-boston-history/

この記事のライター

大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
海外情報に関する記事を通じて、何かヒントに繋がる新たな視点や面白い発見をお届けできればと思います。

関連するキーワード


Z世代 海外トレンド

関連する投稿


Z世代がAIを人に例えると、社会人は「カウンセラー」、大学生は「友達」【マイナビ調査】

Z世代がAIを人に例えると、社会人は「カウンセラー」、大学生は「友達」【マイナビ調査】

株式会社マイナビは、同社が運営する『マイナビティーンズラボ』にて、Z世代のAI活用状況調査(社会人・大学生)を実施し、結果を公開しました。


Z世代の約7割が提出前の「AIチェック」を実践!狙いはタイパより「上司との対話の質向上」【LINEヤフーコミュニケーションズ調べ】

Z世代の約7割が提出前の「AIチェック」を実践!狙いはタイパより「上司との対話の質向上」【LINEヤフーコミュニケーションズ調べ】

LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社は、生成AIを導入している企業で働くZ世代(22〜28歳)の会社員を対象に、「生成AI時代の業務意識と上司への期待に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


日本の「サンド」が世界進出! 訪日客とSNSが広げた新たな食文化 | 海外トレンドに見るビジネスの種(2026年1月)

日本の「サンド」が世界進出! 訪日客とSNSが広げた新たな食文化 | 海外トレンドに見るビジネスの種(2026年1月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、たまごサンドやフルーツサンドといった日本発サンドイッチの世界的人気について取り上げます。訪日外国人の「コンビニグルメ」人気から火がつき、今や「Sando」という新ジャンルとして欧米で独自の進化を遂げています。大手チェーンでの販売も始まった、そのヒットの背景と今後の可能性を解説します。


インド人の生活実態調査レポート|世帯年収別で見る消費実態と価値観

インド人の生活実態調査レポート|世帯年収別で見る消費実態と価値観

2023年に人口が世界1位となったインドは、近年巨大市場として注目されています。しかしながら、14億人強が居住するインドは独自の文化や社会構造があり、それらが複雑多岐であることから、マーケティングが難しい国の一つでもあります。そこで今回はアンケートリサーチを用い、インドの消費者について、主に世帯年収別に基礎情報や消費実態を明らかにしました。※本レポートは記事末尾のフォームから無料でダウンロードいただけます。


授業は聞かない、デート準備もAI任せ?Z世代大学生へ聞いた「リアルなAI活用術」

授業は聞かない、デート準備もAI任せ?Z世代大学生へ聞いた「リアルなAI活用術」

Z世代にとって、AIはもはや特別なツールではありません。高校の受験勉強に始まり、大学のレポート、就職活動、さらにはプライベートの選択まで、AIは彼らの生活に深く浸透しています。本記事では、現役大学生3名へのインタビューを通じて、その驚くべき活用実態と思考法を解き明かします。効率化の先に見出したAIの限界とは何でしょうか。そして、彼らが考える「人に教わる価値」とは何なのでしょうか。


最新の投稿


スマートフォン時代になぜ「チェキ」は選ばれ続ける?顧客起点の富士フイルムの変革

スマートフォン時代になぜ「チェキ」は選ばれ続ける?顧客起点の富士フイルムの変革

スマートフォンの普及により、かつて「記録」の代名詞だった写真は、無料で楽しめるものへと激変した。それに伴い、主力だったプリント事業が厳しい局面を迎えた富士フイルムだが、昨今は「チェキ」をはじめ、こだわりを持つ若い層を中心に支持が広がり、売上を伸ばしている。この復活の裏側には、これまでの「きれい·早い·安い」という常識を捨て去る、写真価値の再定義があった。データマーケティング支援を行うヴァリューズの辻本秀幸社長(元マクロミル代表)が、富士フイルムイメージングシステムズ 代表取締役社長の松本考司氏に話を聞いた。


クレジットカードの平均保有枚数は2.84枚 入会のきっかけは「年会費が無料」がトップ【クロス・マーケティング調査】

クレジットカードの平均保有枚数は2.84枚 入会のきっかけは「年会費が無料」がトップ【クロス・マーケティング調査】

株式会社クロス・マーケティングは、全国20歳~69歳の男女を対象に「クレジットカードに関する調査(2026年)」を実施し、結果を公開しました。


クレジットカードは作成前と利用後で評価が変化?カード選定基準と後悔から見えた利用実態【フォーイット調査】

クレジットカードは作成前と利用後で評価が変化?カード選定基準と後悔から見えた利用実態【フォーイット調査】

株式会社フォーイットは、同社が運営するWeb3メディア「Mediverse(メディバース)」にて、全国18歳以上の男女を対象に『クレジットカードに関するアンケート』を実施し、結果を公開しました


YouTubeがきっかけで商品を購入した経験のある人は43.3%、女性若年層では5割超【エクスクリエ調査】

YouTubeがきっかけで商品を購入した経験のある人は43.3%、女性若年層では5割超【エクスクリエ調査】

株式会社エクスクリエは、全国15歳~69歳男女(1,200人)を対象に「YouTubeにおける購買行動調査(2026年)」を実施し、結果を公開しました。


顧客の声を「戦略」に落とし込む。富士フイルムが選んだ、ヴァリューズのAIインタビュー×伴走支援

顧客の声を「戦略」に落とし込む。富士フイルムが選んだ、ヴァリューズのAIインタビュー×伴走支援

スマートフォンの台頭で変化するデジタルカメラ市場において、富士フイルムは「GFX」「Xシリーズ」のラインアップを展開。フィルム製造の長い歴史から培ってきた色再現の技術や、独自の設計哲学でファンを獲得しています。今後の事業展開を検討するにあたり、ファン心理をより深く理解するため、ヴァリューズのアンケートとWeb行動ログ調査、そして生成AIによるインタビューを活用したリサーチプラットフォーム「NautsHub」を導入。調査から得た知見と今後の戦略について、国内デジタルカメラ販売を担当する高梨氏に伺いました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ