2025年夏に人気だったメガ割ブランド・アイテム
2024/2025年の6月に行われたメガ割について、トレンドの変化を分析しました。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール『Dockpit』を用います。
■人気ブランドの傾向は「低刺激」+「有効性」へ
まず、2024年と2025年に人気だったブランドをランキング形式で見てみましょう。各ランキングはDockpitで集計した、「Qoo10公式サイト内で流入数の多いページ」から抽出して作成しています。
| 項目 | 2024年6月 | 2025年6月 |
1位 | CJ FOODS 「美酢(ミチョ)」や韓国惣菜ブランド「bibigo(ビビゴ)」で有名な食品メーカー | MEDIHEAL(メディヒール) 低刺激シートマスク・パック専門ブランド |
| 2位 | P.CALM(ピーカム) ゆらぎ肌に特化したスキンケアブランド | VT(ブイティー) 抗炎症・保湿成分CICA(シカ)や、塗る美容針で有名なスキンケアブランド |
| 3位 | VANINI(バニニ) 肌弾力ケアに特化した美容オイルを扱うスキンケアブランド | LEPOREM(ルポレム) まつ毛美容液や、アゼライン酸(抗炎症・整肌成分)スキンケアで人気のコスメブランド |
| 4位 | APM24 毎日手軽に使えるふき取りパッドやフェイスマスクが人気のショップ | dinsee(ディンシー) トーンアップ日焼け止めで人気のヴィーガンコスメブランド |
| 5位 | NACIFIC(ナシフィック) 植物由来の成分や天然素材にこだわったスキンケアブランド | zigtag(ジグタグ) 個性的なパッケージと低刺激美容成分で人気のスキンケアブランド |
2024年に一番人気だったショップは、「美酢(ミチョ)」や韓国惣菜ブランド「bibigo(ビビゴ)」で有名なCJ FOODSでした。美酢(ミチョ)は美容・健康飲料として人気があるため、2024年はQoo10のメガ割でも体の内側から美肌を目指すインナーケアの需要が高かったのかもしれません。2024年の2位から5位はすべてスキンケアブランドでした。それぞれのブランドの特徴を見ると、季節や体調で肌状態が変化する「ゆらぎ肌」ケア、保湿力の高いオイルでのケアなど、肌にとって刺激の少ない「肌をいたわるケア」が人気だったようです。
2025年のランキングは、すべてスキンケアブランドでした。1位のMEDIHEAL(メディヒール)のブランド名には、医学(Medical)と治癒(Heal)という意味が込められてます。また、各ブランドの特徴を見ると、ニキビ・毛穴に効果的な抗炎症成分の名前や、塗る美容針などがあります。
2025年は、特定の肌悩みに働きかけて肌質を改善するような「高い効果を期待するスキンケア」が人気だったようです。また、その中でも低刺激を謳うブランドが人気で、「有効性」×「低刺激」がキーワードでした。また、2025年は美容成分の名称をキーワードとしたブランドが人気でした。美容成分の名称とその効果が広まり、美容成分から商品を探す人が増えたのかもしれません。
■2025年は”悩み改善”アイテムが人気に
次に、2024年と2025年に人気だったアイテムをランキング形式で見てみましょう。
| 項目 | 2024年6月 | 2025年6月 | ||
| ブランド | アイテム | ブランド | アイテム | |
| 1位 | Torriden(トリデン) | 3種類から選べるマスク20枚セット | DERMAFIRM(ダーマファーム) | トーニングセラム(美白美容液) |
| 2位 | MEDICUBE(メディキューブ) | 月明かりに照らされる美肌BOX | BIOHEAL BOH(バイオヒール ボ) | 3Dリフティング(ハリ・弾力ケアクリーム) |
| 3位 | LUAFEE(ルアペ) | ホワイトアプリコット(香水) | VT(ブイティー) | 不動の1位パック 30枚 |
| 4位 | EPUNOL(エピュノール) | セラブルーチンスプレー(洗い流さないトリートメント) | Anua(アヌア) | 選べるベストマスクパックセット |
| 5位 | VT(ブイティー) | 肌悩みニャンでもおまかせセット | Anua(アヌア) | 選べる自然由来トナー4種 |
2024年はスキンケア、香水、ヘアケアアイテムがランクインしました。スキンケアでランクインしたものは全てセット商品で、2位のMEDICUBE(メディキューブ)と5位VT(ブイティー)のアイテムはメガ割期間限定のセットでした。
また、3位LUAFEE(ルアペ)の香水は、韓国最大級のヘルス&ビューティーストア「オリーブヤング」で1位を獲得しSNSでも話題になったアイテムです。2024年6月時点では日本へ本格上陸しておらず、購入場所が限られていました。Qoo10ならではの商品であったことが、メガ割人気の理由かもしれません。
2025年に人気だったアイテムは、すべてスキンケアアイテムでした。2024年はフェイスマスクやスキンケアセットといった、デイリーケアとして手軽に使えるアイテムが人気であったのに対し、2025年は特定の肌悩みに対して集中ケアが出来るアイテムが人気でした。
例えば、1位のDERMAFIRM(ダーマファーム)/トーニングセラムはシミ・そばかす予防をうたっており、2位のBIOHEAL BOH(バイオヒール ボ)/3Dリフティングは独自開発成分によるエイジングケアを謳っています。また、3位以降のスキンケアアイテムも、デイリーケアという立場を維持しつつ、商品名に”選べる”というキーワードが入っていたりと、ユーザーが目的別に自分に合ったものを選べる商品が人気でした。
マーケティングコンサルタント
住吉
■2025年夏Qoo10アイテムランキングのポイント
Anuaは2024年10月より、なにわ男子の大橋和也さんをイメージキャラクターとして起用、日本版CMも放映開始しています。また2位のBIOHEAL BOHも、2025年5月に俳優の白石麻衣さん・渡邊圭祐さんをアンバサダーとして起用しており、3DリフティングクリームをCM内で訴求しています。アイテムとしての質の高さによる話題性のほか、日本市場に特化したプロモーション施策の影響も伺えるランキングという印象です。
■住吉のプロフィール
役職:株式会社ヴァリューズ マーケティングコンサルタント アシスタントマネージャー。クライアント:大手美容/サプリ/製薬メーカーなど中心に担当。Qoo10歴:5年、特に大学生のころに愛用。色々と試しながら買い物のコツを掴み、セール等でお世話になってました。
過去1年でQoo10にどんな変化があった?
これまではブランド・アイテム別にメガ割トレンドの変化を見てきました。それでは次に、Qoo10サイト訪問者の変化について見ていきましょう。
■サイト訪問者数の浮き沈みは緩和
まず、過去1年のQoo10の公式サイトの訪問者数を見てみましょう。
Qoo10公式サイト「 www.qoo10.jp 」の訪問者数
調査期間:2024年6月~2025年7月
調査デバイス:PC&スマートフォン
メガ割開催期間の6月、9月、11月、3月は、突出して訪問者数が多いことがわかります。6月のサイト訪問者数を2024年と2025年で比較すると、2024年は訪問者数1,000万人を超えていたのに対し、2025年では750万人まで減少しています。またメガ割期間前後の訪問者数の増減も2025年では緩和しています。
これは、メガ割とは別のQoo10のセール企画「メガポ」が2025年から頻繁に開催されるようになったことが関係していると考えられます。メガ割に訪問者が集中しているのではなく、メガポで複数の月に分散している可能性があります。
■Qoo10利用者には変化があった?
続いて、サイト訪問者の性別と年代を見てみましょう。
「 www.qoo10.jp 」訪問者の性別
調査期間:2024年6月
調査デバイス:PC&スマートフォン
「 www.qoo10.jp 」訪問者の性別
調査期間:2025年6月
調査デバイス:PC&スマートフォン
Qoo10サイト訪問者の性別は、2024年6月と2025年6月で変化はありませんが、女性が約6割、男性が約4割と男性比率が意外にも高い結果となりました。Qoo10は化粧品を多く取り扱っていますが、食品、衣料品、生活雑貨など多様な商品展開があるため、そちらの需要も高いのかもしれません。また近年のメンズコスメの流行も、男性比率の高さに影響していそうです。
次にサイト訪問者の年代も見てみましょう。
「 www.qoo10.jp 」訪問者の年代
調査期間:2024年6月
調査デバイス:PC&スマートフォン
「 www.qoo10.jp 」訪問者の年代
調査期間:2025年6月
調査デバイス:PC&スマートフォン
2024年6月は、ネット利用者全体と比較して20代が少なく40代、50代が多くなっています。これに対し、2025年6月では20代の割合が増加し、ネット利用者全体とほとんど一致しています。この1年で年代のムラがなくなり、幅広い年代に利用されるようになったようです。
マーケティングコンサルタント
住吉
■Qoo10の「ポジショニングの変化」についての考察
以前は韓国コスメ/グッズ特化のイメージが強かったですが、近年はその特色を残しつつ、取扱ブランドやラインナップの拡充、また利用者層の拡大が顕著である印象を受けます。
2025年はMEDIHEALやVTなど、美容市場で話題になったブランドが、そのままQoo10でも売れ筋になっていました。
韓国コスメ/グッズが日本市場の中で一般化しつつあることも追い風となり、「コスメをお得に買える場」としてQoo10がより一層大衆化していることが、これまでのデータから読み取れるのではないでしょうか。
まとめ
2025年夏のメガ割は、2024年と比較してスキンケアを重視するトレンド傾向でした。「低刺激」+「有効性」の傾向を見ると、肌をいたわりつつ素肌をより綺麗にしたいという需要が高まっていることが分かります。Qoo10サイト訪問者の属性には大きな変化はなかったものの、訪問者数には大きな変化がありました。「メガポ」の台頭によりメガ割の立ち位置が変化していく可能性も考えられます。今後のQoo10メガ割の動向にも注目です。






26卒内定者アルバイトの大学院生。大学では害虫防除の研究をしています。