中国の若者が「固形石鹸」に再注目、そのトレンドは?

中国の若者が「固形石鹸」に再注目、そのトレンドは?

ボディケア用品というと現在の主流は液体の製品ですが、近年中国の若者の間では固形石鹸が人気を集めるようになっています。その背景には 、例えば、さまざまな市場において情緒的な消費トレンドが成長している中、石鹸のニーズにおいても単に洗浄力などボディケアの側面だけでなく、感情的な価値をもたらす側面へと広がっていることが挙げられます。この記事では、固形石鹸の消費が拡大している要因とその様子を紹介します。


固形石鹸市場が発展中

貝哲斯の研究レポートによると、2025年の中国石鹸市場は804.8億元に達しています。その中では液体のボディケア用品が主流となっていますが、固形石鹸は「携帯の便利さ」「コスパの高さ」「使用シーンの多様さ」などの利点により市場に根強く残っています。
近年の理性的な消費スタイルによって、消費者は必須でない部分の消費を削減する傾向にありますが、固形石鹸には多少割高であっても「暮らしの中での幸福感を高める」ための消費がされています。

固形石鹸市場が拡大している要因は主に「消費のランクアップ」「健康理念の普及」「ECルートからの後押し」です。
人々の生活水準が向上するにつれて消費者のケア用品に対する要求も高くなり、基本的な洗浄力だけでなく製品が有するスキンケア効果やカスタマイズされたデザインなど、高品質で多様化した製品が注目されるようになりました。
また消費者はますます化学的な添加物に対して注意を払うようになり、無添加や天然成分を使った製品を好むようになっています。
さらに、ECプラットフォームの発達によってさらに広い消費者層にアクセスできるようになりました。

以下では、このように発展を続けている固形石鹸市場における製品の特徴的な傾向を紹介します。

■石鹸にも反映される健康意識の高まり

中国では近年消費者の間で健康意識が高まっており、さまざまな消費分野で健康に気を遣った製品が売り上げを伸ばしています。石鹸も例に漏れず、天然成分が配合された製品が注目されています。
一般的な固形石鹸に比べ、手作り石鹸には原料に天然成分が含まれていることが多く、 手作り石鹸の市場は2020年から2024年にかけて86億元から151億元に急激に成長しており、特に天然成分を含む製品の割合は42%から68%に上昇しました。
中研普華産業研究院のデータによると、72%の消費者がラウリル硫酸ナトリウム(洗浄力は高いが肌への刺激が強い成分)や防腐剤が含まれていない手作り石鹸を選ぶ傾向にあり、それに伴い、企業によるオリーブオイルや椿油などの天然油脂の仕入れ量は210%増加しました。
また手作り石鹸は市販のものだけでなく、消費者が自身の手で「DIYする」ことも流行しており、REDにおける「手作り石鹸DIY」のトピック閲覧数は36億回に達しました。

↑REDの「手作り石鹸DIY」に関する投稿

■環境にやさしいエコ石鹸注目の裏にある環境保護意識

世界的に環境保護に対する意識が高まる中、中国の石鹸業界においても環境に配慮したエコ製品への方向転換が積極的に進んでおり、微生物によって分解される生分解性の材料で作られた石鹸や簡易包装・無包装の製品が徐々に消費者の人気を得るようになっています。

例えば海外ブランドのLUSHは「ゼロ包装」の理念を掲げており、リピート購入率は65%に達しています。
また、企業側はエコ技術の活用を重視しており、低炭素生産プロセスなどによって生産過程におけるエネルギー消費や廃棄物排出を減らし、持続可能性の発展を実現させています。

環境保護理念の普及は広がっており、中国のとある場所では子供たちにむけてコーヒーかすを再利用して石鹸を作るという体験イベントが開催されました。材料となるこのコーヒーかすですが、コーヒーの年間消費数は全世界で4000億杯にのぼり、そこから生まれるコーヒーかすは220万トンに及んでいます。
コーヒーかすは処理の際に温室効果ガスが排出される一方、いまだに環境配慮型の処理方法がないため環境汚染につながっているのが現状です。コーヒーかすを再利用して石鹸を作るという試みは新たなエコ製品開発の可能性につながり、石鹸市場にも発展の余地が十分に残されていると言えるでしょう。

■「儀式感」重視の石鹸が人気

Z世代の若者は石鹸に対して、物理的なボディケア効果を超えて「癒し」「リラックス」といった感情的な体験を求めるようになっており、2025年の感情価値型石鹸市場は前年同期比38%増加の90億元に達しました。この感情的な体験というのも方向性が多岐に渡っています。

例えば、2025年4月には大手ECプラットフォームの京東によって、「京東世界石鹸博物館」が北京で開催されました。オフラインとオンラインで連動したイベントとなっており、オフラインでは博物館展示や石鹸の手作り体験などが行われ、オンラインでは WeiboやREDで数量限定のプレゼント企画が行われました。
博物館展示では、世界最古とされるアレッポの石鹸やヨーロッパ貴族御用達のマルセイユ石鹸、上海の老舗ブランドによる石鹸など600種類余りの特色ある石鹸が集まり、文化のルーツ探索、芸術共創と消費体験が一体となった没入型交流空間が作り出されました。
石鹸の手作りコーナーでは、来館者が自分でオリジナルの石鹸を作ることができ、精油の配合から模様の刻印に至るまでの全工程を行うことで創作の体験を楽しめるようになっています。

また、感情価値型の製品としてプレゼント用の石鹸も人気を集めています。
石鹸業界の新興ブランド・韓宝莉は、季節行事用ギフトのニーズに応えたテーマ性のあるシリーズ商品を多数展開しており、例えば結婚式用ギフトの「人間喜事」シリーズなどが多くの若者の人気を集めています。

↑韓宝莉のRED商品ページ

↑韓宝莉の結婚式用ギフトのREDレビュー投稿

まとめ

この記事では、主に若者の間に広まっている固形石鹸の人気について紹介しました。
石鹸に含まれる成分からその使用によって得られる体験まで、当該市場には多様なニーズが生まれています。
今後もさらにカスタマイズされたニーズに応えていくであろう固形石鹸市場の発展が注目されます。

【無料レポート】2026年 訪日インバウンド観光客調査〜中国・台湾・タイ・韓国|ダウンロードページ

https://manamina.valuesccg.com/articles/4873

2025年の訪日外国人客数(インバウンド)は、前年比15.8%増の約4,268万人となり、過去最高を記録した2024年を大幅に上回って過去最多を更新しました。背景には、大阪・関西万博の開催や円安による消費拡大も理由として考えられます。そんなインバウンド観光客の中でも、本レポートでは中国・台湾・タイ・韓国の観光客にフォーカスし、彼らの観光実態をアンケート調査しました。※本レポートは記事内のフォームから無料でダウンロードいただけます。

参考URL

单月GMV暴涨2805%!一块传统香皂如何征服年轻人?
https://finance.sina.com.cn/cj/2025-10-16/doc-infuacvt7320384.shtml
2025年手工皂行业现状与发展前景分析预测
https://www.chinairn.com/news/20250329/153941635.shtml
中国首个香皂文化地标落地北京 798 京东全球香皂博物馆启幕 重塑洗护仪式感
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1829205522559917430&wfr=spider&for=pc
2025年手工皂行业现状与发展前景分析预测
https://www.chinairn.com/news/20250329/153941635.shtml
咖啡渣手工皂制作:环保创新与实践
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1842682961196440712&wfr=spider&for=pc
2025—年香皂行业深度分析:功能细分、场景多元与文化符号化的逆势增长 QYResearch
https://www.qyresearch.com.cn/news/24663/hand-soap
2025中国香皂市场深度调查研究报告
https://www.chinairn.com/hyzx/20251125/172301270.shtml

この記事のライター

早稲田大学大学院在学中。中国文学を学んでいます。

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