Web施策を次に活かす効果測定とは?行動喚起ユーザー倍増に成功した解析手法を紹介|セミナーレポート

Web施策を次に活かす効果測定とは?行動喚起ユーザー倍増に成功した解析手法を紹介|セミナーレポート

Webキャンペーンやコンテンツ拡充などのデジタル施策は、「ターゲットへ届いたか」「狙った行動喚起に繋げられたか」などの効果測定を適切に行うことで、新たな発見を得られ、それを踏まえた次の施策を検討することができます。 そして、それらのフィードバックには自社サイトで得られる閲覧状況を把握するだけでなく、サイト外でのユーザー行動分析が有効です。9/16にヴァリューズが開催したオンラインセミナーでは、これらの効果測定に役立つWEB行動ログデータを活用したユーザー調査手法を紹介。実際のECサイトでの分析事例をもとに解説されました。本稿は、そのレポートをお届けします。


ECサイトでのキャンペーン分析事例

今回取り上げられた事例は、ECサイトでの食品カテゴリのキャンペーン分析です。2018年に実施した施策のユーザー分析を行い、その結果をもとに改修した施策を翌年に実施。前年のフィードバックがどう活きて、その結果どうなったかの効果測定までを行いました。本セミナーでは、実施内容および成果を紹介します。

対象ECサイトでは毎年特定の時期にキャンペーンを行っており、食品カテゴリ(※資料の牛肉は仮のイメージです)において商品の特集ページ(ランディングページ、以下LP)を作成。そこへ集客し、最終的にECサイトでの購入に繋げる狙いでした。

担当者からは、「ECサイトでの購買増加や純粋なページの閲覧数だけでなく、閲覧者がページに接触したことでどのような行動に移ったのか。商品関連の行動喚起がどれくらいあったのかを知りたい」というリクエストがあったといいます。

これらの要望を元に、川島は以下の2つの方針を策定し、4つのステップで調査を進行しました。

【方針】
・商品カテゴリの関連行動が喚起された人の割合を数値化し把握できるように、条件を設定し集計する。
・実際の行動内容や行動している人の特性を深掘りしてデータを抽出することで、来期以降の取り組みにフィードバックできるようにする。

【調査項目】
・Step1:行動喚起の定義を決定し、ボリュームを集計
・Step2:実際の行動がどのような内容だったのかを深堀り
・Step3:キャンペーンに接触した人や目的通りの行動喚起ができた人の人物像を調査
・Step4:具体的な行動が起きる流れをログデータを使い時系列で調査

Step1で行動喚起された人のボリュームを数値化し、Step2~4は次に活かすために「誰が行動に移っていて誰が移っていないのか」を明らかにする調査です。
ここからは、4つのStepについて詳しく紹介していきます。

Step1.行動喚起の定義決定とボリューム集計

はじめにStep1、定義決定とボリュームを集計です。行動喚起の定義は「商品カテゴリ名を含む検索、もしくは商品カテゴリ名を含むタイトルのWebページへの接触」という条件を定め、対象期間はLPに接触した前後1時間としました。

LPに接触した後に牛肉のレシピを調べるなどの動きがあれば、「買ってみようかな」という行動を起こせたと捉えるイメージです。「ECサイトでの購買にまで繋がっていれば最も望ましいことですが、まず中間的に『少しでも欲しいと思って行動してほしい』という目標があるため、そのように定義付けました」と川島は説明しました。

集計の結果、LP接触後に行動した人は、接触前の1.6倍に増加。ページ閲覧による行動喚起が確認されました。「このようにボリュームを数値化しておくと、LP接触によって行動を起こす人をどの程度増やせるのか、数字で議論できます。また、恒例キャンペーンの場合、経年での評価にも活用できます。ユーザー軸で捉え、自社のサイト以外のデータも確認することで実行できる効果検証です」と川島は解説しました。

Step2.行動内容の深掘り

Step2では、LP接触後にどのような行動が見られたのかを深堀りしていきます。
接触前後で検索キーワードやページタイトルを比較すると、接触前は「牛肉(食品名そのもの)」や「牛肉 レシピ(料理名との組み合わせ)」の検索が多く見られました。接触後には、「米沢牛」「牛ステーキ 東京」など、地名やお店との組み合わせが増加。閲覧ページも、お取り寄せページやお店の公式サイトなどが目立ちました。

これらの結果から、「実際にお取り寄せをしていいものを買ってみたい」「種類を詳しく見てみたい」「お店に食べに行ってみよう」といったページ閲覧後のユーザー思考が推測でき、LPがそれらの影響を与えたと考えられます。

Step3.人物像の把握

続くStep3では、行動を起こした人の人物像を調べていきます。
人物像把握には、ヴァリューズで定期的に取得しているアンケートデータを使用。基本属性に加え、家族構成や職業、消費傾向などの項目が揃うアンケートデータを元に、回答者全体とキャンペーン接触者、さらに関連行動を起こした人の回答率を比較しました。

調査の結果、行動喚起できた層は
・30~40代女性
・職業は派遣社員や専業主婦の方が多い
・世帯年収は低め
・単身ではなく家族のいる人が多い
という特徴が明らかになりました。

さらに、情報収集はSNSや雑誌からよりもネット広告やテレビ番組からが多く、「情報に対して受動的で、生活動線で目に届くところに情報発信できれば、ちゃんと見てもらえる層」と川島は分析しました。

また、消費傾向については、行動喚起ができた人は食費への支出が多く、旅行やお酒への支出が少ない。キャンペーンページ全体の接触者は、食費や旅行、外食への支出が少ない傾向が明らかになりました。

これらの調査から、取れている層と取れていない層の特徴が明らかになり、やるべきことが整理されました。それぞれの層への対策を、川島は以下のようにまとめました。

「主婦層にはメッセージが届き、LPを見て「欲しい」と思って行動を起こしてくれています。このような人達をより多く呼び込むとともに、来てくれている人には段階を一歩進め、ECでの購入へ繋げられれば、より施策が洗練されると考えられます。

また、接触したものの行動に繋がらなかった層には、興味を深められるコンテンツの工夫が有効でしょう。例えば、旅行好きの人が多いと想定されるので、旅行先の牛肉のレストランの情報を載せるなどの案が考えられます。

そもそもキャンペーンページに呼べていない層は、意外にも食費外食にお金を使う人でした。これらの層の集客する場合、集客方法やページ構成を興味を持ってもらえる内容に変えていく必要があると言えそうです」

Step4.具体的な行動の把握

Step4は、n=1のカスタマージャーニー分析です。キャンペーンページに集客した前後2週間のログデータを取得し、接触する前の関心およびECサイトの利用の仕方(もともと肉料理への関心が強かったり、ECサイトのコアユーザーなどの背景があるのか)や、ページ接触後にどのようなページを閲覧しているのかを見ていきます。

今回はStep2,3で出てきた関連行動や人物像を、より具体的にみてみる、イメージをはっきりさせる、行動の裏付けをとるというような目的で調査した結果、以下のような発見が得られました。

・料理をする人は一定数LPに来てくれている。
・LPを見て「ギフト」や「お取り寄せ」に興味を持つが、現状はページにそれらの情報が不十分で離脱してしまう人がいる。
・外部サイトでは別のECサイトへの接触もあり、他社で購入されてしまうこともある。

ここからは、これらの効果測定で得られた発見を活かし改修した翌年の施策と成果を紹介します。

翌年の取り組みと成果

翌年は、「昨年取れなかった層を呼び込む」「取れている層は自社ECでの購買に繋げる」の2つの方針で施策が改修されました。

具体的な改修ポイントは、キャンペーンページのバリエーションを増やし、レシピや旅行などの特集テーマを設定。それぞれのターゲットを呼び寄せ、興味を深める狙いで構成されました。また、グルメ系・旅行系のサイトと一部コラボレーションした企画や、ECサイト購入への導線やインセンティブも用意されました。

その結果、キャンペーンページの接触者はおよそ2倍に拡大(広告の配信量も影響)。さらに、関連行動を起こしたユーザーの割合は0.5%から0.9%へと1.8倍に大幅増加しました。

また、前年と同じように効果測定を行ったところ、ユーザー行動や人物像にも変化が表れました。

LP接触後、前年は地名やお店との組み合わせ検索が主でしたが、翌年には牛肉を使った料理名や栄養成分、牛肉味のお菓子など、検索ワードが増加。興味関心の広がりが見られました。

人物像については、もともと行動喚起ができていた主婦層に加え、翌年は男性比率が増加。高年収層や単身者などの比率も高まり、取れていなかった層の行動喚起にも繋がっていました。また、お店やレシピ関連の企画を取り入れたことで、旅行好きの人や食費にお金を使う人の呼び込みにも成功。方針として掲げた「取れていなかった層の呼び込み」に見事成果を上げました。

全体を通して、ボリューム感を数値で把握しユーザー行動や人物像を見ていくことで、次のプランニングに繋がる効果測定となり、成果が得られました。

また、このような効果測定を継続して行う意味について川島は、「調査を重ねることで結果が蓄積され、『こういう風に出せばこういう人が集まる』という理解が深まり、施策がより洗練される」と解説しました。

まとめ

今回のキャンペーンでは、自社外での行動を含む効果検証ができたことで、翌年の成果に繋がりました。キャンペーンだけでなく、オウンドメディアなどでコンテンツを発信する際、直接的な売り上げ貢献よりも「理解を深めたい」「行動を起こしてほしい」という中間コンバージョンを目的にする場合もあるでしょう。それらの効果測定には、今回実施した「ボリュームの数値化とログデータによる行動内容および人物像の把握」が、ひとつ有効な手法だと言えそうです。

また今回、自社サービス利用前後の5W1Hを組み立てる調査を実施したことにより「何が足りていないのか」「次はどこで誰にそれを見せていけばいいのか」を整理でき、次に取り組むべき課題が浮かび上がるデータとなりました。

ログデータは、検索キーワードや行動から"聞いても記憶にない動き"が見られたり、マーケター側の仮説にはない発見があるところも特長です。ユーザーがどんな人物なのかを探り、ユーザー視点に立つことができるのがこの調査の面白味であり、次に繋がる決め手となりました」と川島はコメントし、セミナーを締めくくりました。

デジタル施策は、企画や運用と同じように効果測定にも力を入れることで、次の展開で実りが得られます。チェックだけで留まっていては、ユーザー行動から読み取れるヒントを無駄にしてしまうかもしれません。「次に活きる施策」にするために、今回のセミナーで解説された効果測定手法を参考にしてていただければ幸いです。

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フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

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