キャッシュレスアプリ徹底分析2020!コロナ禍で地方でも利用者増の実態とは…年間成長率トップは北海道&シニア層という結果に

キャッシュレスアプリ徹底分析2020!コロナ禍で地方でも利用者増の実態とは…年間成長率トップは北海道&シニア層という結果に

政府主導のポイント還元事業を機に、急速に普及したキャッシュレスアプリ。数百億規模のキャッシュバックキャンペーンで一躍注目を浴びたPayPayをはじめ、d払いやauペイ、楽天Pay、LINEPayが肩を並べています。導入負担の少なさから、加盟店も続々と拡大。最近では、新型コロナ感染予防策としてキャッシュレス決済を利用する人も増えています。本稿では、そんなキャッシュレスアプリに着目。主要アプリのユーザー数推移や、地域・年代別の利用傾向を調査しました。


主要キャッシュレスアプリのユーザー数推移

近年急速に普及し、現金、クレジットカードと並ぶ決済手段の一つとして浸透しつつあるキャッシュレスアプリ。拡大に火をつけた政府主導のキャッシュレス・ポイント還元事業(以下、ポイント還元事業)が実施されてから約1年が経ち、業界はどう変化したのか。キャッシュレスアプリのトレンドを読み解きます。

それではまず、主要キャッシュレスアプリ【PayPay、au PAY、d払い、楽天ペイ、LINE Pay】の過去2年のユーザー数推移を見てみましょう。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2018年12月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン
(※「LINE Pay」は決済機専用アプリのログのみで、「LINE」アプリから「LINE Pay」機能を使用した分は含まない)

全体的に右肩上がりで成長していますが、特に2019年8月から10月にかけて、PayPay、d払い、楽天ペイの伸びが顕著です。2019年10月のポイント還元事業開始に向けて、業界への注目が高まったことが影響していると考えられます。さらに、還元事業と関連させたキャンペーンを各社が実施。その話題性や加盟店数、ポイントの利用の多様性などによって伸び率に差が表れたと推測できます。

2019年10月に他社と大きく差を付けたPayPayは、ポイント還元事業と関連したキャンペーンの他に、1周年感謝祭として「50回に1回全額戻ってくる」キャンペーンを開催。大胆なプロモーションはたちまちSNSで拡散され、メディアでも注目の的に。この話題がユーザー拡大に拍車をかけたと考えられます。

一方、d払いと楽天ペイは、グループが展開する事業領域の広さと、ポイントの使い道が多岐に渡る点が共通しています。どちらもECモールや旅行、エンタメなどの幅広い姉妹サービスを1つのアカウントで利用でき、貯まったポイントはグループ内はもちろん、コンビニや家電量販店、ホテルなどの提携施設で使用可能。同じ還元率でも、より利便性を感じたユーザーがいるのではないでしょうか。また、グループ内でのユーザーの回遊を促すプロモーションを仕掛け、それが成功したとも考えられます。

ポイント還元事業以降はいずれも緩やかな右肩上がりです。順位はPayPay、d払い、au PAYと続いており、楽天ペイも近差ではありますが、現状は4位。大手通信キャリアが展開・連携するサービスはスマホと連携させやすく、本体のユーザーを囲い込める点が強みと言えそうです。

PayPayの地域別傾向をチェック

それでは次に、地域・年代別の傾向を見ていきます。ここでは業界を代表してPayPayを対象に分析。まず下のグラフでは、PayPayユーザー数の前年同月比について、年間での平均値を地域別に調査しました。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2018年12月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

全国的に前年同月比平均が300%近く、日本全体で急速に普及していることが分かります。中でも顕著だったのは四国や北海道、東北エリアで、東京を含む関東地方よりも大きく伸びていました。

キャッシュレスアプリは人口やお店が多い都会で広がっているイメージがありますが、実はいまや地方にも広がっている現状が分かります。都心エリアでは駅やコンビニなどで手軽にATMが利用できますが、地方では現金を引き落とす場所が限られ、意外とキャッシュレスアプリの需要は高いのかもしれません。

また、QRコード表示だけで決済できるキャッシュレスアプリは、小規模の事業者でも取り入れやすい特長があります。特に観光地では、国内外のお客様の利用に備え、導入するお店も多かったのではないでしょうか。

さらに、PayPayでは、コロナで苦しむお店へを応援する支援策として、地方自治体と連携したキャンペーンを全国各地で実施しています。こうした施策も、成長の後押しになったと考えられます。

北海道厚真町と連携したPayPayキャンペーンページ

また、特に伸びていた北海道と東北エリアの年代別ユーザー増加率を見てみると、20代と50代以降の増加率が高く、全体を引き上げる要因になっていました。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2019年12月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

これらの年代での増加傾向は、全体にも見られるのでしょうか。

PayPayの年代別傾向をチェック

次に、年代別の利用状況を確認してみましょう。こちらは、PayPayの年代別ユーザー数推移です。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2018年12月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

サービス開始初期は40代、30代、20代と続き、高年代層は比較的少ない傾向でしたが、昨年夏ごろからグラフ青色の50代、緑色の60代以上が勢いよく伸びていることが分かります。

50代は2019年6月に20代を上回り、さらに今夏には30代を抜くという高水準。60代以上も2019年8月に20代を抜き、今も30代に迫る勢いで伸び続けています。

また、前年同月比の年間平均を見てみると、年代が上の層ほど伸び率も高い傾向でした。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2019年12月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

「デジタルツール、新しいサービス=都会や若い人」という先入観を持ってしまいがちですが、意外にも地方や高年代層での利用が顕著に伸びていることが分かりました。

年代を問わずスマホ利用が一般化していることや、インターネットの普及などにより都会に居なくても最先端のサービスが利用できる環境が整っていることなど、昨今の社会を映し出している印象を受けます。

キャッシュレスアプリの併用率は?

最後に併用率を見ていきます。こちらは、【PayPay、au PAY、d払い、楽天ペイ、LINE Pay】の主要キャッシュレス5アプリのユーザーが、併用している他のキャッシュレスアプリの比率を表したグラフです。

分析ツール:「eMark+」、分析期間:2020年6月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン
※「サイト」の表記はアプリのことを指します

このグラフを見ると、約半分の人が複数(2つ以上)のキャッシュレスアプリを併用していることが分かります。メインで使うアプリを持ちつつ、キャンペーン開催時などお得なタイミングで使い分けたり、お店によって利用できるアプリが限られる場合に備え、併用する人が多いと推測します。

では続いて、サービスごとの併用状況を確認してみましょう。上から、PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ、LINE Payの併用状況となっています。また、下記では各グラフ内の一番下の棒グラフが「併用なし」となっており、当該アプリのみを利用するユーザーの数を示しています。

PayPay併用状況、分析ツール:「eMark+」、分析期間:2020年6月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

d払い併用状況、分析ツール:「eMark+」、分析期間:2020年6月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

au PAY併用状況、分析ツール:「eMark+」、分析期間:2020年6月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

楽天ペイ併用状況、分析ツール:「eMark+」、分析期間:2020年6月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

LINE Pay併用状況、分析ツール:「eMark+」、分析期間:2020年6月〜2020年11月、対象デバイス:スマートフォン

PayPayユーザーはまんべんなく他サービスを併用していますが、その他の4サービスの併用アプリは、圧倒的にPayPayが多いという結果でした。

日本中を驚かせた100億円規模の大型キャンペーンを機に、PayPayを使い始めた人は多いでしょう。その後、他社サービスが台頭してきたときに、自分のライフスタイルに合ったアプリを取り入れ、場所やタイミングによって使い分けるスタイルがイメージできます。

また、PayPayは加盟店に対し「初期費用&手数料0」を掲げており(期間限定などの条件あり)、この効果もあって小規模の事業者もPayPayだけは導入しているケースが多く見られます。「使えるお店の多さ」も、PayPayを併用するユーザーが多い背景にあるでしょう。

PayPay加盟店募集ページ

また、楽天ペイ、LINEPayのユーザーは併用率が高く、特にキャリア系決済アプリとの併用が多い傾向でした。自身のスマホキャリアが展開・提携するキャッシュレスアプリをメインで使いながら、クーポンやキャンペーン次第で楽天ペイやLINEPayと使い分ける人が多いのかもしれません。

また、楽天ペイは、冒頭のユーザー数での順位は4位でしたが、併用対象としては上位アプリよりも利用されている傾向です。3大キャリアとは競合せず併用がしやすいことと、楽天グループの強みが表れていると考えます。

楽天は、楽天銀行や楽天カード、ラクマからのチャージで還元率を上げるなどの仕掛けでユーザーの回遊を促進。この効果もあって、楽天ユーザーの大多数が楽天ペイを選択しているのでしょう。

楽天ペイキャンペーンページ

まとめ

キャッシュレスアプリの動向を深掘りすると、特に地方や高年層で勢いよく広がっていることが明らかになりました。

また、業界1位のPayPayは併用対象としても人気が高く、キャッシュレスアプリの王道的立ち位置を築きつつあります。約半分のユーザーが併用利用するキャッシュレスアプリは、特長を際立たせ、他と差別化することが今後重要になってくるかもしれません。

コロナも追い風となり、一層拡大するキャッシュレスアプリ。来年に控える東京オリンピックの頃には、インバウンド需要もあり一層勢いを増すことが予想されます。これから先どのように進展していくのか。今後の動向に注目です。

<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2018年12月~2020年11月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

関連する投稿


全国旅行支援開始!「新型コロナワクチン接種証明書」が最新スマホアプリインストールランキング上位に(2022年10月)

全国旅行支援開始!「新型コロナワクチン接種証明書」が最新スマホアプリインストールランキング上位に(2022年10月)

毎月更新のスマートフォンアプリインストール数ランキングTop5をまとめました。今月のランキングでも「マイナポイント」「マイナポータル」が相変わらず根強い結果の中、全国旅行支援開始と同時に「新型コロナワクチン接種証明書」が急浮上。そして、Z世代に特徴的と言われる「タイパ」の影響が映像業界にも大きく影響している?「TVer」の上位ランクインの裏には、ダイジェスト動画配信サービスが関係していると考えられそうです。


2023年の「母の日」のトレンドを予測!定番の「花」以外に伸びている需要とは?

2023年の「母の日」のトレンドを予測!定番の「花」以外に伸びている需要とは?

来年の「母の日」に向けて、今年や昨年のデータから近年のニーズを考察し、最近のトレンドや2023年にどんなギフトが流行りそうかについて調査・分析します。母の日に向けた企画やプロモーション検討の参考になれば幸いです。


みんなが気にしているのは何のデメリット?おすすめ情報が気になるものとは?

みんなが気にしているのは何のデメリット?おすすめ情報が気になるものとは?

インターネットで何かを調べるとき、慎重な人はメリットよりデメリットが気になりますよね。または、インターネット上のおすすめ情報にも敏感な人は多いと思います。 今回の調査は、デメリットやおすすめ情報を調べる人の特性について、どんなジャンルで検索されているかも含めて分析していきます。


みんなはどんなプチプラアイテムを買っている?支持される「プチプラ」の特徴と傾向を分析

みんなはどんなプチプラアイテムを買っている?支持される「プチプラ」の特徴と傾向を分析

さまざまなものが値上がりしている2022年。いま、世間ではリーズナブルな価格をコンセプトとする「プチプラ」商品への関心が高まっています。今回は1年を通してどのような「プチプラ」へのニーズがあるのか、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」のデータをもとに検証しました。


Manga app case study: Number of users & demographics among growing manga apps

Manga app case study: Number of users & demographics among growing manga apps

A look into the number of manga app users over the two-year period starting September 2020 shows remarkable growth, perhaps due in part to the COVID-19 stay-at-home. Here, we examine "LINE Manga," "Piccoma," "Shonen Jump+ (Shueisha)," "Magapoke (Kodansha)" and "Manga One (Shogakukan)."


最新の投稿


タイパとは?Z世代が重視する「タイパ至上主義」の背景とマーケティング事例

タイパとは?Z世代が重視する「タイパ至上主義」の背景とマーケティング事例

Z世代は、生活のあらゆる場面でタイパ(タイムパフォーマンス)を意識しています。「タイパ至上主義」という言葉が登場するほど、Z世代は時間効率を重視しているのです。この記事では、Z世代の購買心理・最新のトレンドを知るために、タイパの概要や価値観、マーケティング事例を解説します。


2022年中国の「独身の日=ダブルイレブン」商戦。最新のトレンド業界は?

2022年中国の「独身の日=ダブルイレブン」商戦。最新のトレンド業界は?

ダブルイレブン(W11)とは、毎年<b>11月11日に中国で行われている独身の日を祝うイベント</b>です。2022年のダブルイレブンでは、ECプラットフォームや店舗などの関係者が売上高を伸ばすことに力を入れていました。その中で加盟店が示す戦況報告からは、中国のマーケットで、新しい産業やブランドが急成長しているのを垣間見ることができます。 本記事では、2022年ダブルイレブンのトレンドとなった業界を中心にご紹介します。


Popular AI Image Generators, “Midjourney” and “Stable Diffusion.” Who are giving attention?

Popular AI Image Generators, “Midjourney” and “Stable Diffusion.” Who are giving attention?

We will investigate "Midjourney" and "Stable Diffusion" AI Image Generators, which allow anyone to generate images from keywords. Let’s look into it users, its purpose, the reason for its popularity, and its strengths. We will analyze the data of the interest group and analyze our user experience.


お菓子業界5社をマーケティング視点で企業研究! 大学生のデータドリブン就活|2022年最新版

お菓子業界5社をマーケティング視点で企業研究! 大学生のデータドリブン就活|2022年最新版

お菓子業界大手の「森永製菓」「江崎グリコ」「カルビー」「ブルボン」「不二家」。各公式サイトの集客状況に注目し、強みや施策の違いを調査します。2年半前に公開した同記事の最新版として、新たな発見をお届けします。


行動経済学の入門書籍20選!教科書や今人気のベストセラーも紹介

行動経済学の入門書籍20選!教科書や今人気のベストセラーも紹介

経済学に心理学を組み合わせる「行動経済学」。マーケティングとの親和性の高さ、そしてマーケティング活動のためのヒントがあるとされており、さまざまな場面で活用が進んでいます。行動経済学をビジネスに活かすには、そのエッセンスがよくまとまった本・書籍で学ぶのが近道です。今回は、ベストセラー本から教科書的なものまで、行動経済学についてまんべんなく学べるよう、20冊のおすすめ本を紹介します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら