コロナ禍から1年、化粧品への消費者ニーズはどう変わった?業界動向をデータで振り返る

コロナ禍から1年、化粧品への消費者ニーズはどう変わった?業界動向をデータで振り返る

化粧品のトレンドについて調査する新企画。ヴァリューズのマーケティングコンサルタントである私、伊東茉冬が気になる話題について調査していきます。 今回の調査は前回の記事に引き続き、新型コロナウイルスの影響についてです。 コロナ禍から約1年、化粧品への消費者の意識はどのように変化してきたのか、データから振り返り、今後の動向について予想します。


こんにちは。私はデータマーケティングの会社・ヴァリューズでコンサルタントを務めている伊東と申します。

株式会社ヴァリューズ マーケティングコンサルタント 伊東茉冬(いとう・まゆ)
新卒では出版社に就職。営業・社長秘書を務めたのち、ヴァリューズに入社。現在は事業会社に対してマーケティング支援を行っている。

新型コロナウイルスの感染拡大から約1年。感染者増の波は数回にわたって生じ、在宅勤務が当たり前の状況になりました。現在の生活スタイルは今後も長く続くことが見込まれ、マーケティングにおいてもオンラインで消費者とコミュニケーションを取る手法が模索されています。

今回は、前回の記事『コロナで生まれた化粧品への新たなニーズとは?美容にまつわる消費者の「不」をデータから読み解き、コミュニケーション設計まで考える』に引き続き、新型コロナウイルスの化粧品業界への影響について、調査していきます。

この1年での消費者ニーズの変化や、それに対する化粧品会社の対応について、データから読み解きます。

▼2020年9月公開のこの記事も参考にしてみてください。

コロナで生まれた化粧品への新たなニーズとは?美容にまつわる消費者の「不」をデータから読み解き、コミュニケーション設計まで考える

https://manamina.valuesccg.com/articles/1025

化粧品のトレンドについて調査する新企画。ヴァリューズのマーケティングコンサルタントである私、伊東茉冬が気になる話題について調査していきます。 今回の調査は前回の記事に引き続き、新型コロナウイルスの影響についてです。 新型コロナウイルスの影響が長引く中、化粧品業界へはどのような影響が及んでいるのか。 また、このような状況でも消費者にアプローチする方法は無いのか、Web行動データやアンケート調査を基に分析します。

時系列で見る消費者ニーズの変化

まず、化粧品と一口にいっても、メイクアップ、スキンケアとそれぞれのカテゴリに分かれます。
それぞれの商品カテゴリで、消費者ニーズにどのような変化があるのか、時系列で分析しました。

方法としては対象となる検索ワードを選定し、その検索者数の推移を俯瞰することで、消費者ニーズを考察します。

メイクアップ(ベースメイク)

メイクアップのうちベースメイクのカテゴリでは、「ファンデーション」「化粧下地」の検索ワードを対象に分析します。

この2つのキーワード推移を見ると、緊急事態宣言の発令されていた2020年4月に大きくユーザー数が減少しているものの、5月にはユーザー数が戻っていることがわかります。ただし、元の水準には戻り切っておらず、ファンデーション、化粧下地ともに約2割ほど減少した数値で推移しています。

メイクアップ(ポイントメイク)

メイクアップの「ポイントメイク」では、口紅(リップなど類似ワード含む)、マスカラ、アイシャドウの3つの検索ワードを対象に分析を行いました。

口紅は2020年4月にユーザー数がほぼ半減していますが、その後も回復することなく、低い数値で推移しています。これはマスクが必須の生活になった影響が大きいと考えられます。

一方、マスカラやアイシャドウは2020年4月に減少はしているものの、その後ユーザー数は回復し、おおよそ元の水準に戻っています。口紅を除外した下の図もご覧ください。

▲口紅を除外したユーザー数推移データ

さらに、2019年の5~7月と2020年5~7月を比較すると2020年の方が検索者数が多く、マスクから見える部分、アイメイクに特に力を入れていそうなことがわかります。

スキンケア

スキンケアでは、化粧水、乳液、美容液の検索ワードを対象として分析を行いました。

スキンケア関連のキーワードについては、2020年4月に一度減少はしているものの、2020年5月には上昇しており、その後はおおよそ元の水準で推移をしています。
メイクアップ系のキーワードと比べて減少したまま、ということはありませんが、大きく伸びているということも無いようです。

スキンケアは日常的に行うことなので、コロナ禍の影響も少ないです。しかし、新たな生活様式が定着しつつある今、一時期流行っていた「おこもり美容」のように、特別にスキンケアに関心が高まる、ということも直近ではないのかもしれません

コロナ禍でも伸びている会社は?

次に、化粧品通販カテゴリのサイトで、2020年2月と2021年2月を比較し、ユーザー数が増えているサイトをランキングで見てみます。

この中で、EC販売が中心の化粧品会社でなく、主に店頭や百貨店で取り扱いがあるブランドをピックアップして分析したいと思います。そこで今回は、アクセーヌ、POLA、エスティローダーを対象とします。

この3社のユーザー数を比較してみると、下記のようになっていました。

アクセーヌは2021年2月にユーザー数が急増しており、前年同期比が高くなっていたようです。POLAは2020年6月以降、徐々にユーザー数が上昇傾向ですが、2020年12月に大きくユーザー数が伸びた後は2021年1月・2月ともにユーザー数が底上げされています。また、エスティローダーは2020年10月~12月にユーザー数が伸びています。

アクセーヌは広告での集客により、ユーザー数を伸ばしているようです。アクセーヌは敏感肌でも使えるスキンケア商品を展開していますが、花粉で肌荒れが起きやすい時期に合わせて集客を強化しているのかもしれません。

また、POLAも同様に広告により集客を伸ばしていますが、2021年1月の新商品「リンクルショット メディカル セラム」発売前あたりから広告を強化しています。

さらに、POLAサイトでは自然検索での流入数も伸びていることがわかります。

エスティローダーは2020年10月~12月にユーザー数が伸びていますが、これは自然検索流入によるものと、メールやノーリファラー経由の流入が伸びている影響のようです。

▲メール経由でのエスティローダーサイトへの流入数推移

エスティローダーは2020年10月からクリスマスコフレの予約が開始しており、その影響で自然検索が伸びていること、また、メルマガ施策などを実施していることが伺えます。

クリスマスコフレは毎年盛り上がる商材ですが、2020年はWEBでの購入を検討する人が増えたと考えられます。
コロナ禍で楽しみが減ってしまった中、特別感やイベント感を楽しみたい人が予約や購入をされたのかもしれません。

このように、百貨店や店頭が中心であった化粧品ブランドも、徐々にWEBにユーザーが流れてきていることがわかります。

商品ニーズに変化はあるのか?

冒頭、メイクアップ関連キーワードや、スキンケア関連キーワードから消費者の関心の変化を定量的に分析しましたが、続いて、消費者の商品への注目ポイントが変化しているのかを分析します。

まず、ファンデーションについてデータを見てみます。コロナ禍以前の1年間、2019年3月~2020年4月において、「ファンデーション」検索者が「ファンデーション」を検索する前後3時間で調べていたワードを、クラスタリング手法を用いてグルーピングしました。

掛け合わせワードをグルーピングすることで、検索者のファンデーションに関する注目ポイントを分析することができます。すると、下記のように6つのクラスタに分かれました。

パウダーファンデーションやリキッドファンデーション、ミネラルファンデーション、クッションファンデーション、BBクリームのように、ファンデーションの種類に大きく分かれるのと、40代/50代といった年齢や、プチプラといった価格面での検索が多いことがうかがえます。

さらに、新型コロナウイルスの影響後、2020年3月~2021年4月についても同様にキーワードをグルーピングします。

すると、2019年3月~2020年2月と同様、リキッドファンデーションやクッションファンデーション、ミネラルファンデーションといったファンデーションの種類が見られるほか、40代/50代といった年齢の検索が見られます。

また、コロナ前との違いとしては、「マスクにつかないファンデーション」といったコロナ禍ならではのキーワードが上がっているのと、V3ファンデーションという新商品のキーワードが見られます。

V3ファンデーションとは、ハリアップ効果の期待できるファンデーションで、2020年3月以降話題になっているファンデーションです。

V3エキサイティングファンデーションTOP

https://spicare.b-eek.info/

ファンデーションの革命とも言える” V3エキサイティング ファンデーション”の登場です。海綿から抽出される天然針 「スピキュール」をファンデーションへ贅沢に配合。お問合わせは、SPICARE正規特約代理店BEEKまで。

ちょうどコロナ影響が出始めたタイミングでの発売にも関わらず、検索者が増加しており、注目を集めていたことが分かります。

メイクアップへの関心が低下傾向にある中でも、話題性で消費者の関心を得ていると言えそうです。

ファンデーション検索者の興味関心や悩みの変化は?

ここからは、ファンデーション検索者がどんな人なのか、さらに深堀りして分析していきます。具体的には、そのほかに興味を持っていることは何なのか、どのような身体の悩みを抱えているのか、といった点をアンケート調査も活用しながら調べます。

興味関心の変化

「ファンデーション」を調べている人たちがほかにも興味を持っていることについては、コロナ前後で変化はあるのでしょうか。「ファンデーション」検索者のアンケート回答を基に見てみます。


▼コロナ前(2019年3月〜2020年2月)

▲2019年3月~2020年2月ファンデーション検索者の興味関心(アンケート回答)

▼コロナ後(2020年3月〜2021年2月)

▲2020年3月~2021年2月ファンデーション検索者の興味関心(アンケート回答)

図の見方としては、右に行くほど「ファンデーション」検索者の特徴値が高く、全体に対して特徴的に関心を持っている、という意味になります。また、上に行くほど回答者のボリュームが多い(ファンデーション検索者に占める割合が高い)という見方になります。ですので、右上に行くほど「ファンデーション」検索者が特に興味関心を持っている内容となります。

コロナ影響前後1年で比較すると、変化としてはまず、「ダイエット」の項目が右上に変化しており、関心が高まっていることが分かります。「コロナ太り」というワードができるくらいなので、やはりダイエットへの関心は高まっていると言えそうです。逆に、国内旅行についてはやはり関心が低下していることがわかります。

全体的に、コロナ影響のあるものが変化しており、コスメ、化粧品に対する関心は高いままのようです。

身体の悩みの変化

続いて、「ファンデーション」検索者の身体の悩みの変化について、コロナ前後で調べます。こちらもアンケート回答を基にしています。


▼コロナ前(2019年3月〜2020年2月)

▲2019年3月~2020年2月ファンデーション検索者の身体の悩み(アンケート回答)

▼コロナ後(2020年3月〜2021年2月)

▲2020年3月~2021年2月ファンデーション検索者の身体の悩み(アンケート回答)

興味関心と同様に特徴を見ていくと、乾燥肌や冷え性で悩む人は減っていますが、体のゆがみや肌荒れで悩む人が増えたことがわかります。マスクをすることにより肌荒れが増えていると想定すると、肌の負担にならないファンデーションが求められているかもしれません。

一方、睡眠不足は大幅に減っていて、敏感肌やアレルギーも減っており、在宅勤務が増えるなどの生活の変化により、睡眠時間が増えたり、アレルギーなども落ち着いているのではないかと考えられます。自粛によるストレスはありつつ、生活の変化によりストレスが減った人も多いのかもしれませんね。

まとめ

新型コロナウイルスの拡大から約1年、化粧品業界は大きな影響を受けていますが、消費者の関心にはどのような変化があったのかを中心に分析を行いました。

まとめると、下記のことが言えそうです。

・スキンケアへの関心は維持しているものの、メイクアップ商品は減少傾向
・化粧品ブランドによってはWEBでの集客、販売に力を入れる動きが見て取れる
・コロナ禍でも、クリスマスコフレやV3ファンデーションなど関心を集めている商品は存在する。
・興味関心は若干変化しているものの「ファンデーション」検索者においてはコスメ・化粧品への関心は高いまま
コロナ前後で身体の悩みは変化しており、生活の変化が影響していそう

今回の調査は以上です。いつまで新型コロナウイルスの影響が続くのか、まだまだ先が見えない中ではありますが、消費者の関心の変化をモニタリングしつつ、アプローチする機会を探っていくことが今後も重要になると考えられるでしょう。

※本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのDockpitを使用しています。詳細な機能を知りたい方はぜひ無料版にご登録ください。
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※この記事には英語版もあります(This article also has an English version. Click on the link below.)

One year after the COVID-19 pandemic, how did Japanese needs for cosmetics change? Data analysis of industry trends

https://manamina.valuesccg.com/articles/1480

This is a new project to investigate trends in cosmetics in Japan. It has been about a year since the coronavirus outbreak, and the data will give us a retrospective look at how Japanese consumer attitudes toward cosmetics have changed, as well as a forecast of future trends.

この記事のライター

株式会社ヴァリューズ マーケティングコンサルタント 伊東茉冬(いとう・まゆ)
新卒では出版社に就職。営業・社長秘書を務めたのち、2019年にヴァリューズに入社。現在は化粧品、日用品、住宅業界などの事業会社に対してマーケティング支援を行っている。

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