「食品EC市場」に新型コロナが与えた影響とは?

「食品EC市場」に新型コロナが与えた影響とは?

MIKATA株式会社が運営する『ECのミカタ』の記事によると、2020年度の国内食品通販市場規模は、小売金額ベースで前年度比13.1%増と初めて4兆円を突破し、2桁成長していることがわかります。新型コロナによる巣ごもり需要が追い風となり、お取り寄せグルメ系ECや、生鮮食品や酒類のEC、D2Cによる家庭向け宅配も加速しているようです。今回は「食品EC市場」業界に着目し、Web行動ログ分析ツール「Dockpit」の業界分析機能を使って調査・分析します。


食品通販は年間で1億人を超える巨大マーケット

まずは、ヴァリューズが独自に定義する「食品 通販」カテゴリで食品EC市場の概観を見てみましょう。

ヴァリューズが提供するWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」で調査したところ、食品通販は年間で1億を超えるユーザー数がいる巨大なマーケットであることが、改めてわかりました。1人当たりページビュー数も約66PVとなっており、サイトを回遊していることがわかります。

「食品 通販」カテゴリの年間基本指標

「食品 通販」カテゴリの年間基本指標

期間:2020年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

食品通販のユーザー数はコロナ以前よりも増加し定着

続いて、直近2年間の「食品 通販」カテゴリのユーザー数推移を見てみましょう。

2019年11月は3千万人台だったのに対し、1回目の緊急事態宣言(2020年4月~5月)でユーザー数が4千万人台にまで伸びていることがわかりました。そこから、緊急事態宣言が解除されると減少し、再び緊急事態宣言が発令されると増加するというサイクルを繰り返し現在に至っています。

2021年10月のユーザー数は2年前の2019年11月と比較しても112%となっており、新型コロナ以前よりもユーザー数が増加しており定着している様子がうかがえました。

「食品 通販」カテゴリのユーザー数推移

「食品 通販」カテゴリのユーザー数推移

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

20代割合が2年前と比較して3.4ポイントUP

次は、「食品 通販」カテゴリのユーザーの属性について見てみましょう。

性別では、男女比率はほぼ均等でした。

「食品 通販」カテゴリのユーザー属性:性別

「食品 通販」カテゴリのユーザー属性:性別

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

年代別では、40代が最も多く、ネット利用者全体と比較すると50代、60代が高めとなっていました。

「食品 通販」カテゴリのユーザー属性:年代別

「食品 通販」カテゴリのユーザー属性:年代別

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

年代別の推移も見てみたところ、この2年間で20代割合が増加していることがわかりました。

2019年においては、20代割合は7~8%となっており1割に満たなかったのが、徐々に増加していき2021年10月には10.4%となり3.4ポイントも増加していることがわかります。また、1回目の緊急事態宣言(2020年4月~5月)期間に、20代・30代の若年層の割合が増加していることも特徴的でした。

今まで、食品ECにそこまで興味がなかった層も、新型コロナの影響で外出自粛になり、食品ECに頼らざる得ないかたちになったのかもしれません。

「食品 通販」カテゴリのユーザー属性推移:年代別

「食品 通販」カテゴリのユーザー属性推移:年代別

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

健康食品サイトも人気

では、「食品 通販」カテゴリでの業界シェアも見てみましょう。

「サントリーウエルネス」が5.8%とトップで、次いで「コープデリeフレンズ」が4.6%、「楽天西友ネットスーパー」が3.8%という結果でした。トップ5の内、健康食品のサイトが2社ランクインしており、ユーザーの健康への意識の高さがうかがえました。

「食品 通販」カテゴリの業界シェア

「食品 通販」カテゴリの業界シェア

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン
※セッション数で集計

男性は健康食品サイト、女性は食品ECサイト

各サイトをユーザー属性別(縦軸:年齢、横軸:性別)にマッピングしたところ、下記の傾向にあるようです。

高年層男性

「自然食研」や「やずや」、「サントリーウエルネス」などが人気

若年層男性
「マイププロテイン」が人気
高年層女性
「食材宅配 Oisix(オイシックス)」や「山田養蜂場」、「タマゴ基地オンラインショップ」などが人気
若年層女性
「楽天西友ネットスーパー」や「シャトレーゼ」、製菓・製パン材料の「cotta」などが人気
「食品 通販」カテゴリのポジショニングマップ:性別×年代別

「食品 通販」カテゴリのポジショニングマップ:性別×年代別

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

また、性別(横軸)と平均滞在時間(縦軸)でも見てみたところ、男性は「サントリーウエルネス」や「自然食研」などの健康食品サイト、女性は「食材宅配 Oisix(オイシックス)」や「楽天西友ネットスーパー」などの食品ECサイトをよく利用しており、食品ECサイトは健康食品サイトと比較すると滞在時間が長いこともわかりました。

中でも、スポーツ栄養食品サイトの「マイプロテイン」は、様々な種類のプロテインを取り揃えていることもあり、他の健康食品サイトと比べるとじっくり閲覧していることが特徴的でした。

「食品 通販」カテゴリのポジショニングマップ:性別×平均滞在時間

「食品 通販」カテゴリのポジショニングマップ:性別×平均滞在時間

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

コロナ1年目と2年目を比較

ここからは、2019年11月~2020年10月までをコロナ1年目、2020年11月~2021年10月までをコロナ2年目と定義し、比較してみました。

コロナ2年目に浮上した「松弁ネット」

「食品 通販」カテゴリの流入キーワードを見てみたところ、全体的に大きな変化はないものの、コロナ2年目に「松弁ネット」というワードが上位にランクインしていることがわかりました。

「松弁ネット」とは、ネットで簡単にお弁当を予約して、店舗で受け取れる松屋フーズの弁当予約サイトです。

「食品 通販」カテゴリの流入キーワード

「食品 通販」カテゴリの流入キーワード

期間:2020年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

「食品 通販」カテゴリの流入キーワード

「食品 通販」カテゴリの流入キーワード

期間:2019年11月〜2020年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

さらに、この「松屋フーズの弁当予約【松弁ネット】」のユーザー数推移を見てみると、1回目と2回目の緊急事態宣言で大きくユーザー数を伸ばしていることがわかりました。

特に2021年は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が続き、外食を控えた内食化の広がりが大きく影響しているようで高い水準のままユーザー数をキープしています。

また、期間限定テイクアウト応援企画!松弁ネット「20%ポイント還元キャンペーン」開催などのキャンペーンも実施し、巧みに集客していることもうかがえました。

松屋フーズの弁当予約【松弁ネット】のユーザー数推移

松屋フーズの弁当予約【松弁ネット】のユーザー数推移

期間:2019年11月〜2020年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

松屋フーズの弁当予約【松弁ネット】

「nosh-ナッシュ」はユーザー数の昨対比が約3倍に迫る!

続いて、コロナ2年目を基準にユーザー数の多い順にWebサイトの顔ぶれを見てみました。

上位は、「サントリーウエルネス」、「自然食研」、「山田養蜂場」、「海の元気倶楽部(ニッスイ)」、「タマゴ基地オンラインショップ」など、サプリメントなどの健康食品サイトが多くを占めていることがわかりました。これらのほとんどのサイトはコロナ1年目と比較してもユーザーを伸ばしていることから、新型コロナが影響してより健康に気を使うようになったのかもしれません。

また、健康食以外に注目して昨対比を見てみると「dミールキット powered by Oisix」は約2.5倍、「食べチョク」は約1.5倍、「Cake.jp(ケーキジェーピー)」は約1.8倍、「nosh-ナッシュ」に関しては約2.8倍の3倍に迫る勢いでユーザーを伸ばしていることがわかりました。

「食品 通販」カテゴリのユーザー数比較

「食品 通販」カテゴリのユーザー数比較

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

緊急事態宣言がフックに

ユーザー数が増加しているこれら4つのサイトについて少しだけ掘り下げたいと思います。
まず、各サイトの特徴は以下の通りです。

<dミールキット powered by Oisix>
ドコモが提供する、週に1回、1週間分の「ミールキット」が自宅に届く食材宅配サービスです。Oisixのあんしん・安全な食材で、おいしい手作りごはんを実現

食べチョク>
利用率No.1の産直通販サイト。品質にこだわる農家・漁師から旬の食材を直接お取り寄せできるオンラインの直売所。

<nosh-ナッシュ>
ヘルシー・糖質制限のお食事・スイーツの宅配サービス。数十種類のメニューからお好きなものを選べます。

<Cake.jp(ケーキジェーピー)>
5,000種類以上のケーキ・スイーツを取りそろえている、ケーキ・スイーツ・お菓子の通販・お取り寄せサイト。

4サイトの直近2年間のユーザー数推移を見てみたところ、「dミールキット powered by Oisix」は2020年11月に前月の2倍のユーザー数になっており、そこから順調にユーザー数を伸ばしていることがわかりました。

「食べチョク」は1回目の緊急事態宣言(2020年4月7日~2020年5月25日)でユーザー数を大きく伸ばし、一旦減少したものの、2020年7月からは増加傾向にありユーザー数が定着しているようです。

「nosh-ナッシュ」は1回目と2回目の緊急事態宣言で増加しており、直近では100万人を超えて安定しています。

「Cake.jp(ケーキジェーピー)」はコロナ1年目から増加しており、2020年末に大きくユーザー数を伸ばしているがわかります。そこから減少しているものの、コロナ2年目は1年目よりも多くのユーザーが訪問していることがわかりました。

これらのサイトは新型コロナ拡大で発令された緊急事態宣言の影響を大きく受けているのはもちろん、おうち時間をより充実させたいという需要が高まり、普段より美味しくて高品質の食品のお取り寄せをしたいというユーザーの要望を満たせる食品を提供し、ユーザーの気持ちを掴んだこともユーザー数増加に寄与していると思われます。

「dミールキット powered by Oisix」、「食べチョク」、「Cake.jp(ケーキジェーピー)」、「nosh-ナッシュ」のユーザー数推移

「dミールキット powered by Oisix」、「食べチョク」、「Cake.jp(ケーキジェーピー)」、「nosh-ナッシュ」のユーザー数推移

期間:2019年11月〜2021年10月
デバイス:PCおよびスマートフォン

まとめ

今回は、「食品 通販」カテゴリの直近2年間についてまとめました。

食品EC市場は、年間のユーザー数が1億人を超える巨大なマーケットであることがわかりました。

新型コロナが影響して、ユーザー数はコロナ前よりも増加し定着していることがうかがえます。また、コロナ前と比較すると20代割合が増加していることも特徴的でした。

男性は健康食品サイト、女性は食品ECサイトを好んで利用しているようです。

新型コロナが追い風となり、「松屋フーズの弁当予約【松弁ネット】」や「dミールキット powered by Oisix」、「食べチョク」、「Cake.jp(ケーキジェーピー)」、「nosh-ナッシュ」などが人気となっているようです。

2022年度は、2021年度に持ち越された特需の反動減になる見通しもあり、これらのサイトの動向に注目したいと思います。

分析概要

全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2019年11月~2021年10月におけるユーザーの行動を分析しました。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


Yakult 1000…Why is it making a buzz on the internet? Why many are posting about it on social media

Yakult 1000…Why is it making a buzz on the internet? Why many are posting about it on social media

We will analyze food trends targeting marketers who are sensitive to trends in the food industry. The focus is ‘Yakult 1000.’ We hear about ‘Yakult 1000’ everywhere these days, but why has it become so popular? Let’s find out the reason behind Yakult’s popularity by analyzing the search data.


BASEFOOD・Huel・完全メシのサイトユーザー数を比較!「完全栄養食」の市場拡大に迫る

BASEFOOD・Huel・完全メシのサイトユーザー数を比較!「完全栄養食」の市場拡大に迫る

食品業界のマーケターや、トレンドに敏感なマーケター層に向けて、食品のトレンドを分析します。今回のテーマは「完全栄養食」。この言葉自体はまだなじみが薄いかと思いますが、「BASE BREAD」「完全メシ」などはコンビニで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。今回はそんな「完全栄養食」3種類の検索ワードデータから、「完全栄養食」が秘めるポテンシャルを分析します。


2022年上半期「バズりワード」を発表!北京五輪、大人様ランチ、povo2.0などの検索数が急上昇

2022年上半期「バズりワード」を発表!北京五輪、大人様ランチ、povo2.0などの検索数が急上昇

2022年も既に半分が経過しました。上半期も色々な出来事がありましたが、どのようなコトやモノ、人などが話題になったのでしょうか。検索数が急上昇したワードを振り返り、2022年上半期のトレンドを分析しました。


【事例集】3C分析を具体的に解説!テンプレートよりも簡単なやり方

【事例集】3C分析を具体的に解説!テンプレートよりも簡単なやり方

3C分析とは、市場・顧客、自社、競合の3つの視点から対象を分析し、マーケティング戦略を考える手法の一つです。しかし、「具体的に分析をイメージできない」、「テンプレートで上手く進められない」方もいるかもしれません。 本記事では、3C分析の目的やメリット、具体的な事例集、テンプレートより簡単なやり方を解説します。とくにWebサイトの分析にお困りの方は、最後までお読みください。


【調査リリース】2022夏の旅行トレンド全国調査 ~ 夏の国内旅行予定はコロナ前水準に回復、 旅先に求めるのは“定番の観光スポット”

【調査リリース】2022夏の旅行トレンド全国調査 ~ 夏の国内旅行予定はコロナ前水準に回復、 旅先に求めるのは“定番の観光スポット”

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、国内の20歳以上の男女7,632人を対象に、今夏の旅行予定に関する消費者アンケート調査を実施しました。またヴァリューズが保有する約250万人の独自消費者パネルを活用したインターネット行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用して、消費者の旅行動向を分析しました。


最新の投稿


コンテンツマーケティング最新動向レポート(2022年8月版)|ホワイトペーパー

コンテンツマーケティング最新動向レポート(2022年8月版)|ホワイトペーパー

国内外のSEO対策・SNSでの集客法など、コンテンツマーケティングに関する最新情報をまとめてご紹介。検索順位に影響する指標とは?TikTokの今後は?コンテンツマーケター必見のレポートを、毎月お届けします。


競合分析を効果的に活用するためのポジショニングマップの作り方

競合分析を効果的に活用するためのポジショニングマップの作り方

競合分析を経てマーケティング戦略を立案するには、自社が市場のどのポジションを狙うかが大事。「ポジショニングマップ」は、市場のどの分野で自社の競争優位を確立するか整理するのに役立つツール。今回はポジショニングマップの基本から作り方までを解説します。


中国における洗濯・ボディケアのトレンドとは?「身の周り」に関する調査レポート

中国における洗濯・ボディケアのトレンドとは?「身の周り」に関する調査レポート

洗濯アイテム、お風呂用品など、消費者がどんな日用品を好んでいるのかを把握するのは、中国でのビジネスを考える上で重要です。今回は、そんな中国消費者の「身の回り」に注目し、現在のトレンドを調査しました。(ページ数|25ページ)


実例でイメージを掴む!競合調査の事例集

実例でイメージを掴む!競合調査の事例集

競合調査の必要性やツールを使った分析の話は聞いていても、そのメリットや実際のイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。膨大なWeb行動ログデータ等を元に各社のユーザー属性や集客構造を把握したり、自社との差分を洗い出して改善施策に活かした例など、具体的な事例をご紹介していきます


「マスク」をめぐって ~ 少子化・行動経済学

「マスク」をめぐって ~ 少子化・行動経済学

米国の起業家でありテスラ最高経営責任者のイーロン・マスク氏の日本に対するツイートが話題になり、改めて浮き彫りになった日本の少子化問題。また、新型コロナウイルスの予防対策の1つであるマスク着用をめぐっては、世論でも様々な意見が見られます。2つの「マスク」をめぐって、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が考察します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら