2022年3月の急上昇サイトは?
こんにちは、マナミナ編集部です。まず早速、2022年3月の急上昇サイトランキングを見てみましょう。
2022年3月の前月比急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
楽天のNFTプラットフォームがサイトユーザー数急上昇1位に!
それでは、1位〜30位にランクインしたなかで、トレンドとして注目のサイトをいくつかご紹介します。
■1位:楽天NFT
1位にランクインしたのは、「楽天NFT」でした。楽天が独自で開発したブロックチェーン上で発行されるNFTを活用し、動画や画像の閲覧・売却できるサービスです。セッション数の推移を確認すると、今年2/25のリリースから、セッション数は急上昇しています。
2021年4月~2022年3月 楽天NFTサイトセッション数(「Dockpit」競合分析より)
そもそもNFTとはNon Fungible Tokenの略で、簡単に言うとデジタルコンテンツのブロックチェーン上の権利書のこと。過去から現在までの取引履歴を暗号化し、コンテンツの真贋問題・不正コピーなどを抑制し管理することができる技術として、今世界的に関心を集めています。
楽天NFTは、楽天会員であれば、日本円やポイントで売買ができクレジット決済も可能。出品時の審査に通過すれば、個人間マーケットプレイスで自分のNFTコンテンツを売ることもできるので、仮想通貨やブロックチェーンの知識がなくても簡単に利用できるのが特徴です。
楽天NFTは、仮想通貨を使って世界中で売買できる従来のNFTとは異なり、閉鎖的な印象を持つという声も一部のSNSから見受けられます。しかし、主要プラットフォームである楽天がNFT事業に参入することは、NFT利用のハードルが下がることにもつながるでしょう。Webサイト訪問者数の急上昇も見られ、今後のNFT市場の動向に期待です。
■13位:ダイハツLOVE LOCAL
13位は、「ダイハツLOVE LOCAL」がランクイン。全国各地で開催されているダイハツイベントと共に、ドライブコース・ローカルグルメを紹介しています。
ダイハツ工業は強みとなるコンパクトカーの国内販売が好調なため、コロナ前から業績も回復しています。比較的女性に人気の車種が多いことも、ダイハツ工業の特徴でしょう。
今回ユーザー数が急増していた「ダイハツLOVE LOCAL」サイトは、全国の販売店で定期的に開催しているマルシェやツーリングイベントなどの情報を紹介しています。急上昇の要因を調査するため、集客構造を見てみました。
「ダイハツLOVE LOCAL」の集客構造(2022年1月~2022年3月、「Dockpit」競合調査)
ノーリファラーが大半を占めていることから、広告施策によってサイト認知が高まったことが想定されます。流入したユーザーがよく見るコンテンツを探るため、競合分析で深堀って調査をしてみると、ダイハツ工業主催のデイキャンプイベントレポートの閲覧が、多く見受けられました。
「ダイハツLOVE LOCAL」のコンテンツランキング(2021年4月~2022年3月、「Dockpit」競合分析)
2017年~2019年にかけて、ダイハツユーザー同士の交流イベントとして、各地の文化や四季折々の企画を盛り込み、全7回開催しています。会員専用サイトもあるため、デジタルでのつながりも強化していることが伺えます。
■21位:日清食品の完全栄養食プロジェクト
21位は「日清食品の完全栄養食プロジェクト」でした。日清食品グループの完全栄養食に対する取り組みをまとめた特設ページです。
コロナ渦による健康志向や食事の時短需要が高まり、“完全栄養食” という新しい体験が注目されています。これまでの ”栄養食” といえば、液体や粉末状の商品が多かったですが、近年通常の食事と変わらない味や見た目の食品が “完全栄養食” として食品市場に出現しています。
日清食品が完全栄養食に今取り組む理由として、世界的に大きな課題となっている “飽食”によるオーバーカロリーの結果、世界的に健康リスクが拡大していることが要因のひとつでしょう。
では、日清食品の完全栄養食プロジェクトの集客構造を競合分析から調べてみます。
「日清食品の完全栄養食プロジェクト」集客構造(2022年1月~2022年3月、「Dockpit」競合分析)
リスティング広告と自然検索による流入が7割強を占めていました。
ちなみに、完全栄養食というキーワードに関連して検索者が関心を抱くワードは何なのでしょうか。Dockpitでは特定クエリに関心を持つユーザーが、他にも関心を持っているキーワードを分析できます。この「関心ワード分析」をしてみたところ、1位・2位とも日清食品グループに関するワードがランクインしていました。リスティング広告の成果が出ていることが伺えます。
「完全栄養食品」関心ワード分析(2022年1月~2022年3月 、「Dockpit」キーワード分析)
日清食品の完全栄養食は、販売を一時停止、又は販売終了している商品もあり、SNSでは「今後の販売が待ち遠しい」「早く販売してほしい」という声が多く寄せられています。食品業界の老舗企業である日清食品グループ、これからも食を通じてどんな新しいことを発信していくのか、楽しみです。
3.11特設サイトや宮城の特産品サイトもユーザー数急上昇
■11位:3.11応援企画-Yahoo! Japan
11位は、Yahoo!Japanの「3.11応援企画」でした。今年の「3.11応援企画」では、これからできる東北支援として、3/11Yahoo!検索とLINEリサーチで「3.11」と検索すると、一人につきそれぞれ10円寄付する企画を実施しました。その結果、両社の合計で1,000万人強のアクセスがあり、約8,000万円の寄付が実現したそうです。
ユーザーがとても簡単に東北を支援することができるこの企画。どのようなユーザーが閲覧していたのか、Dockpitの競合分析で年代別属性と流入元を調べてみました。
「3.11応援企画」年代別ユーザー属性(2021年4月~2022年3月、「Dockpit」競合分析より)
「3.11応援企画」ソーシャル経由流入構成(2021年4月~2022年3月、「Dockpit」競合分析より)
ユーザー属性を見てみると20代と40代の方が比較的多く、ソーシャルからの流入構造を見てみるとTwitterに次いでYouTubeで認知している方が多く見受けられます。特集ページに合わせてYoutubeで動画も配信されており、拡散されたことが想定されます。
■16位:宮城旬鮮探訪 | 宮城の逸品が見つかる・買えるポータルサイト
16位にランクインしたのは、「宮城旬鮮探訪」でした。宮城県の特産品や、地産地消を積極的に取り組んでいる飲食店や宿泊施設を紹介しています。
宮城県は3.11の震災で影響のあった地域の一つ。あれから11年が経ち、追い打ちをかけるようにコロナウイルスが蔓延する事で復興の足止めにもなっています。そんななかオンラインを活用し、地元の多彩で豊富な食材とそれを活用した加工品の数々を知ることができるのがこのサイトです。
「宮城旬鮮探訪」集客構造(2022年1月~2022年3月、「Dockpit」競合調査)
3月にWebサイト訪問者数が急上昇した経緯を調査してみると、メールや広告からの流入があったことが伺えます。
Dockpitを活用し、どんなページがよく見られているか調査してみましょう。
「宮城旬鮮探訪」コンテンツランキング(2022年1月~2022年3月、「Dockpit」競合調査)
宮城といったら “牡蠣” や ”牛タン” 、お菓子なら ”萩の月” などが有名ですが、コンテンツランキングではこうした人気が顕著に現れていました。魚介や菓子、肉・卵・乳製品が上位を占めており、他の地域のお店では、あまり販売されていない商品も多く取り揃えています。
コロナ渦で家食が増える中、お取り寄せ食材を楽しむ方の利用もあったのではないでしょうか。
■29位:ちとせ割り
29位はSNSでも話題になっている「ちとせ割り」でした。対象施設で利用できる宿泊割引と飲食クーポンを期間限定で発行しています。
北海道の観光状況は、コロナウイルスの感染拡大・世界的影響により、2020年過去最大の減少幅になりました。
出典:北海道経済部(2020年)「北海道観光入込客数調査報告書」
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/databook/70729.html
2021年10月に販売された第一弾「ちとせ割り」では、GoToトラベルやどうみん割りとの併用も可能で、旅行需要の回復につながりました。そこで今年も第二弾として「ちとせ割り」を販売。割引内容としては、千歳市内のホテルや道外からも人気の支笏湖温泉街などの宿泊施設を対象に、ちとせ割り専用プランで予約すると、1泊1人5,000円割引で宿泊でき、さらに市内の飲食店で利用可能な飲食クーポンが、1人1泊2,000円分ついてきます。
第二弾の告知開始から3月の予約開始に向けて、ユーザー数・セッション数共に急上昇しています。
「ちとせ割り」セッション数(2022年1月~2022年3月、「Dockpit」競合調査)
どのように訪れているか集客構造を見てみると、ソーシャルや外部サイトで「ちとせ割り」を知ったユーザーや、既に「ちとせ割り」を知っている方(または過去利用した方)がサイトを訪れている傾向が見えてきました。
「ちとせ割り」集客構造(2022年1月~3月、「Dockpit」競合調査)
北海道では独自の感染対策 “新北海道スタイル” を宣言しており、千歳市も宿泊施設・店舗が一丸となって感染対策の取り組みを示しています。ポストコロナ・ウィズコロナの時代に沿って、今後私たちの意識・行動がますます変わっていくのではないでしょうか。
サイト急上昇の要因を考察
3月は広告流入の多い記事と季節要因で急上昇している傾向が多く、新サービス・新商品や自動車会社のブランドコンテンツ、3.11震災復興関連のサイトがランクインしていました。
1位の「楽天NFT」は、日本の大手企業が新しいマーケットプレイスに参入したという、画期的なサービスローンチに、SNSでは賛否両論ありました。Twitterでこのテーマに注目が集まっており、世界的な話題性が伺えます。
21位の「日清食品の完全栄養食プロジェクト」は、コロナ渦の健康志向・時短需要を捉え、カップヌードルなど独自の開発力を生かし約300メニューという豊富なラインナップの発売を想起させ、こちらもTwitterで拡散されています。どちらもSNSでの拡散が急上昇の要因として欠かせないものになっていることが伺えます。
【関連】SNS別の写真共有・拡散実態を調査 コロナ影響や写真共有者の動機も分析
https://manamina.valuesccg.com/articles/1640インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、国内の20~49歳の男女5,865人を対象に、SNSにおける写真共有・拡散に関するアンケート調査を実施いたしました。その中で、直近1年以内に写真撮影/SNS共有経験があると回答した2,370人のSNS別写真共有・拡散実態を分析いたしました。また、アンケート調査に加え、ヴァリューズが独自保有する消費者行動ログでも写真共有者の興味関心や意識を分析いたしました。<br>※詳細な調査レポートは記事末尾のフォームから無料でダウンロード頂けます
今回のトレンド分析結果をぜひ実務に活かしてみてください。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
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