消費者の「お得心」をくすぐりながらフードロスを減らせるアプリ「TABETE」とは?

消費者の「お得心」をくすぐりながらフードロスを減らせるアプリ「TABETE」とは?

食品業界のマーケターや、トレンドに敏感なマーケター層に向けて、食品のトレンドを分析します。今回のテーマはアプリ「TABETE」。食品ロスの削減を目的としたアプリですが、「社会貢献」だけではなく、「お得感」「達成感」を得られる工夫をしたことでユーザー数を増やしています。今回はそんな「TABETE」アプリについて、調査しました。


「TABETE」とは?

「TABETE」アプリ画面

「TABETE」アプリ画面

「TABETE」とは2018年4月にリリースした食品ロス削減を目指すアプリです。ホテルのビュッフェやパン屋など、売り場などの見栄えのためにたくさんの商品を並べておかなければいけない店はどうしても大量の食品ロスが発生します。まだ食べることが出来るのに廃棄しなければならない食材を割引価格で販売するプラットフォームが「TABETE」です。

店舗やホテルが販売しきれなかった商品を「TABETE」で出品し、ユーザーがアプリで商品を選択、購入手続きと決済を行います。指定した受け取り時間にユーザーが来店したら商品を渡すという流れです。決済はアプリで完結しており、その価格はおおむね2~3割引きされているといいます。パン屋なら福袋形式で色々なパンが入っていたり、ビュッフェならお弁当のように詰められていたりして、お得さと同時にワクワク感も味わえるのが特徴です。

さらに商品を購入することを「レスキューする」としているため、ユーザーは「ヒーロー」と呼ばれ、「食品ロス削減に貢献している」と良いことをしている感が高まる工夫もされています。

店舗側にとっても、店頭で値下げ販売をしてしまうとブランド価値を損なってしまったり、「いつも値下げするなら、今日も値下げされたら買おう」と日々の売上低下を招いてしまったりする恐れがあります。しかし、「TABETE」アプリを活用し消費者に見えないところで値下げをすることで、ブランド毀損を防げますし、「TABETE」を通してお店を認知させることで、新たな顧客獲得も期待できます。

実際、「TABETE」を導入した企業の86%以上が「TABETE導入による食品ロス削減効果を実感」しており、さらに41%以上が「TABETE導入が新規顧客獲得につながった」と回答しているとのことで、店側と客側のどちらにもメリットがあるのが良いですね。

「TABETE」は世代を問わず関心を持たれている

そんな「TABETE」をDockpitでも分析してみましょう。

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー数推移

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー数推移
(集計期間:2021年1月〜2022年11月、対象デバイス:スマートフォン)

アプリの利用者数推移を見てみると、特に2021年9月に急増しています。これは、株式会社ドトールコーヒーが運営する「エクセルシオール カフェ」の50店舗が「TABETE」を導入したタイミングと重なります。有名チェーンが参画したことでより知名度も上がり、利用者数も増えたことがうかがえます。

続いては、アプリ利用者の人となりも見てみましょう。

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー属性「性別」

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー属性「性別」
(集計期間:2021年1月〜2022年11月、対象デバイス:スマートフォン)

性別を見てみると、女性が6割を超えています。

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー属性「年代」

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー属性「年代」
(集計期間:2021年1月〜2022年11月、対象デバイス:スマートフォン)

年代は20代~50代まで比較的まんべんなく利用されていますね。「TABETE」では世代を問わず注目されていることがわかります。

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー属性「子供有無」

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー属性「子供有無」
(集計期間:2021年1月〜2022年11月、対象デバイス:スマートフォン)

子どもの有無は、ほぼ半々ずつでした。ホテルビュッフェのお弁当は一人暮らしの人が、パンの詰め合わせセットの場合は子どもがいる家庭が多く利用するなど、どのような世帯の方でも利用しやすいためだと思われます。お子さんのいる家庭だと食育として「フードロス」について話すきっかけにもなるかもしれませんね。

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー属性「世帯年収」

Dockpit 「TABETE」のアプリユーザー属性「世帯年収」
(集計期間:2021年1月〜2022年11月、対象デバイス:スマートフォン)

世帯年収は400万円未満が最も多く、年収が上がるにつれ徐々にユーザー数は減っていきます。2~3割引きで購入できるという「お得さ」が節約の一環としても好意的に受け止められているのかもしれません。

「エシカル消費」に関心のあるユーザーが多い

続いては、「TABETE」アプリ利用者が関心を持っているアプリについてみてみましょう。

Dockpit 「TABETE」ユーザー属性「関心アプリ」

Dockpit 「TABETE」ユーザー属性「関心アプリ」
(集計期間:2022年2月〜2023年1月、対象デバイス:スマートフォン)
※ランキングはリーチ差優先(一般ユーザーが利用する割合よりも、対象者の利用する割合が高かったアプリを優先して表示)

食系のアプリでは、マクドナルドがありますが、メルカリや無印のアプリが上位にランクインしていることから、エシカル消費に関心のあるユーザーに好まれていることがわかります。また、1位にランクインしているセブン‐イレブンのアプリは、エシカル対象商品を10個購入する毎に無料クーポンがもらえるなど、コンビニの中でも特にエシカル消費に関心のある人が利用していることが想定されます。

さらに、「story bank」も見てみましょう。「story bank」とは、消費者の検討背景やニーズ、購入のアクションを起こすきっかけを、実際のWeb行動データとアンケートデータから定量的に分析・把握することができるサービスです。

「特徴的なサイト」ではTABETEアプリ起動の前後180分間に、ネット人口全体と比べて特徴的に閲覧されていたサイトを確認することができます。

story bank「TABETE」ユーザー「特徴的なサイト」

story bank「TABETE」ユーザー「特徴的なサイト」
(集計期間:2022年1月〜2022年12月)

食品ロスになりそうな商品を扱う「MOOTTAINAI(もったいない)」や、賞味期限間際の商品を割引で販売する「Kuradashi」、フードロス削減BOX「fuubo」、賞味期限切れ・過剰在庫などを割引価格で販売する「全国もったいない市場」など、フードロスに関心が高いことがわかります。

また「購入チャネル」では「TABETE」アプリ利用者が、普段どんな場所で買い物をするかを確認することができます。

story bank「TABETE」ユーザー「購入チャネル」

story bank「TABETE」ユーザー「購入チャネル」
(集計期間:2022年1月〜2022年12月)

スーパーマーケットが最も多く、ドラッグストア・コンビニエンスストアが続くなど実店舗系が多い傾向にあります。3位にAmazonがランクインしているものの、ネットショッピング系は比較的低い傾向にあります。

さらに「買い物時の行動」も見てみましょう。

story bank「TABETE」ユーザー「買い物時の行動」

story bank「TABETE」ユーザー「買い物時の行動」
(集計期間:2022年1月〜2022年12月)

やはり最も高いのは「割引されている商品」で、「タイムセール商品」も2位に入りました。フードロスやエシカル消費に関心があることに加え、「安さ」「お得感」も重視している人が圧倒的に多いことがわかります。

最後に「興味関心」を見てみましょう。

story bank「TABETE」ユーザー「興味関心」

story bank「TABETE」ユーザー「興味関心」
(集計期間:2022年1月〜2022年12月)

最も関心が高いものは「グルメ、レストラン」そして「料理」でした。「安さ」「お得感」が大事だけど、安ければなんでも良いわけではなく、「美味しいものが食べたい」と考えている人が多いことがわかります。

まとめ

ここまでの分析をまとめると、「TABETE」アプリに興味がある人は以下の傾向があることがわかりました。
・子どもの有無や世代は問わない
・世帯年収は400万円以下が多い
・フードロスやエシカル消費に関心が高い
・実店舗での買い物が多く「安さ」「お得感」を重視
・美味しさにもこだわる
社会貢献とお得感、そして美味しさは相反する要素のようですが、これらをすべて実現することができる「TABETE」はこうした傾向のユーザーに刺さるアプリだったことがわかります!そして店舗側も双方にメリットがあることでヒットしたのではないでしょうか。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。

関連する投稿


【大阪・関西万博】地域・熱狂度別のデータで振り返る、ガチ勢注目のパビリオンは?

【大阪・関西万博】地域・熱狂度別のデータで振り返る、ガチ勢注目のパビリオンは?

2025年10月13日、184日間の会期を終えた大阪・関西万博は、一般来場者2,500万人を超える大きな賑わいを見せました。本記事ではWeb行動ログデータを用い、「地域」と「熱狂度」の2軸から来場者を分析します。「万博」と「USJ」の選択に地域差はあったのか。「コア層」と「ライト層」では、注目するパビリオンに違いが出たのか。データを紐解くと、属性によって異なる「万博の楽しみ方」が浮かび上がってきました。


物価高での消費行動調査2025|3人に1人が食料品を「代替品」へ移行。「バター→マーガリン」が代替1位に!

物価高での消費行動調査2025|3人に1人が食料品を「代替品」へ移行。「バター→マーガリン」が代替1位に!

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、国内の18歳以上の男女33,276人を対象に、直近2年間の物価高による消費行動変化に関する消費者アンケート調査を実施しました。また、WEB行動ログを使用し、WEB上における興味関心を分析しました。※本レポートは記事末尾のフォームから無料でダウンロードできます。


冬商戦の市場動向レポート 2025〜定着するブラックフライデー、「福袋」商戦の早期化など、最新トレンドを調査

冬商戦の市場動向レポート 2025〜定着するブラックフライデー、「福袋」商戦の早期化など、最新トレンドを調査

冬にはブラックフライデー、クリスマス、お歳暮、福袋など、複数の商戦期が存在します。特に近年ではブラックフライデーが国内でも定着し、 2025年の調査では認知率約85.8%、購入経験者約39.7%に達するなど、 年末商戦の起点として大きな存在感を示しています。増加するEC販路の現状も踏まえ、本調査では、2023年冬からの市場推移を時系列で整理し、主要商戦期におけるオンライン行動の変化を調査。また、この数年人気を集めている体験型ギフトの伸長も考察しています。冬ギフトや福袋などに関係するマーケティング担当の方などにおすすめです。※本レポートは記事末尾のフォームから無料でダウンロードいただけます。


Twitterが「X」になって早2年。若者が“Twitter呼び”を続ける理由をデータで考察

Twitterが「X」になって早2年。若者が“Twitter呼び”を続ける理由をデータで考察

SNSを代表する存在であったTwitterは、2023年7月24日に「X(エックス)」へ名称変更し、世の中を驚かせました。「X(旧Twitter)」という表記が使われるようになってから2年以上が経ちますが、日常生活やSNS上では依然として「Twitter」と呼ぶ人も多く見られます。本記事では、「Twitter」と呼ぶ人と「X」と呼ぶ人に、どのような違いがあるのかを分析しました。


「サナ活」ブームを数字で分析。HPアクセス急増、"近畿"で過熱か

「サナ活」ブームを数字で分析。HPアクセス急増、"近畿"で過熱か

現在、SNSを中心に「サナ活」という言葉が注目を集めています。高市首相の就任をきっかけに、彼女の愛用品に注目が集まり、関連商品の売り上げが急伸したという報道も見られます。本記事では、「サナ活」がもたらした経済的な影響とその支持層について、最新のデータをもとに分析しました。


ページトップへ