『保険DX』事例を解説!第一生命とSOMPOひまわり生命のアプリを比較してみた

『保険DX』事例を解説!第一生命とSOMPOひまわり生命のアプリを比較してみた

新型コロナを契機に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の話題が頻繁に取り上げられています。日本経済新聞社と金融庁が主催した「Fintech Summit Symposium 2022」では『保険DX』がキーワードとなっていたりと、昨年からは保険DXにも注目が集まっています。例えば、契約手続きや変更手続きの他に、事故の連絡や保険金の支払いまで多くの手続きをネット上で完結できることも、デジタル化の1つと言えるでしょう。さらにDXにおける新たな顧客体験として挙げられるのがアプリです。今回は第一生命「健康第一」と、SOMPOひまわり生命「Linkx aruku」のアプリ事例を紹介します。


今回は業界大手の第一生命「健康第一」と、業界内でも先進的な取り組みが多いとされているSOMPOひまわり生命「Linkx aruku」のアプリを取り上げます。

まずは、それぞれのアプリの特徴を見ていきましょう。

第一生命「健康第一」のアプリの特徴

健康サポーターとなり、利用者にあった健康づくりを応援するアプリ
・健康診断書をかざして健康年齢を確認できる
・現在の生活習慣、健康状態を続けた場合の疾病リスクを確認できる ※生命保険業界初の機能
・歩数計測ができる
・目標歩数を達成するとコンビニで使える無料クーポンの抽選に毎週参加できる
・第一生命の契約者とその家族専用のプレミアムメニューがある

第一生命「健康第一」

SOMPOひまわり生命「Linkx aruku」のアプリの特徴

日々のお散歩・ウォーキングを楽しくする、健康のための歩数計アプリ
・日々のお散歩・ウォーキングを自動記録できる
・ランキング機能でモチベーションアップできる
・家族や友人と共有できるグループ機能がある
・みんなが共有した写真やメモ「あるメモ」で新しい発見ができる
・全国1,000以上のお散歩コースでお散歩を楽しめる
・その他に便利な機能も充実している

SOMPOひまわり生命「Linkx aruku」

ギミック系アプリはデジタル戦略の1つ

それぞれのアプリの特徴をみてもわかるように、ウォーキングなど健康づくりに対しちょっとした仕掛けがあって、日々を支えてくれるような、そして保険の枠組みを超える新たな体験価値を提供しているアプリとなっていることがわかります。

「健康第一」のアプリ利用者はTwitter上で『抽選キャンペーンで2度目の当選。スムージーをゲット。毎週が楽しみになります。』とコメントしています。
楽しく使い続けられるサービスによる体験価値の1つと言えるでしょう。

「Linkx aruku」利用者は『趣味の散歩が充実できる』や『散歩コースを楽しんでいる』など、日々のお散歩やウォーキングをアプリによって楽しんでいることがうかがえます。

また、地方自治体でも積極的にアプリを利用しています。

奈良市は「Linkx aruku」を使って、健康増進や生活習慣の振り返り、生活習慣病の予防などを目的にキャンペーンを実施。6,000歩以上歩いた日ごとに奈良市ポイント健康増進ポイント5ポイントが付与され、貯まったポイントは奈良市ポイント事業に基づき、特産品等に交換したり加盟店で使えるようで、健康と奈良市ポイントの両方を手に入れられるキャンペーンとなっているようです。

「健康第一」アプリは気候で利用者が変化?!

アプリをフックに先端的な取り組みをしていることがわかりました。

ここからは、ヴァリューズが提供するWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」で両アプリの直近1年間の利用者数推移を見てみましょう。

「健康第一」は年間60万人前後の利用者で推移していることがわかりました。“目標歩数を達成するとコンビニで使える無料クーポンの抽選に毎週参加できる”ことから、主に歩数計として利用している利用者が多いようで、6月の梅雨時期、7月-8月の暑い時期や12月-1月の寒い時期は天候・気候の理由からと推察されますが、利用者が減っていることが読み取れます。

また、「Linkx aruku」は11月以降微増しているものの、年間を通して大きな変化は見られませんでした。

アプリ利用者数推移

アプリ利用者数推移

期間:2022年2月〜2023年1月
デバイス:スマートフォン

年間では「健康第一」は240万人弱「Linkx aruku」は26万人弱の利用者がいることがわかりました。

「健康第一」は2017年3月に公開し、自分の顔写真を入力すると年齢を重ねた将来の顔や、体重の増減で変化する顔を表示するFaceAI機能が話題を集め、約2カ月で50万ダウンロードを超えたこともあり、順調に利用者が増加していることがわかります。ちなみに、このFaceAI機能は今現在は廃止されているようです。

アプリ基本指標

アプリ基本指標

期間:2022年2月〜2023年1月
デバイス:スマートフォン

アプリ利用者は50代以上の高年層

次は、アプリ利用者の属性を見てみましょう。

性別では、「健康第一」は男女がほぼ均等なのに対して、「Linkx aruku」は男性割合が7割弱と男性が多い結果となっていました。

アプリ利用者数属性:性別

アプリ利用者数属性:性別

期間:2022年2月〜2023年1月
デバイス:スマートフォン

年代別で見てみると、「健康第一」は50代が最も多く、次いで60代となっていました。「Linkx aruku」は60代が5割弱と半数が60代以上で占められています。

どちらのアプリも高年齢層との親和性が高いことがうかがえました。

アプリ利用者数属性:年代別

アプリ利用者数属性:年代別

期間:2022年2月〜2023年1月
デバイス:スマートフォン

「健康第一」アプリ利用者のニーズとは

※この調査は消費者の検討背景やニーズを、実際のWeb行動データから定量的に分析・把握することができるツール「story bank(ストーリーバンク) 」を用いて分析しています。

アプリを通じて取得したデータを活用することで、疾病予防や早期発見に繋がる機能の開発も可能となるかもしれません。では、アプリ利用者は実際に健康に関してどのような悩みを抱えているのでしょうか。

ここでは、「健康第一」アプリ利用者の「身体の悩み」についてのアンケート調査データから、ニーズを探ってみました。

青色の円形が”気にしていること”を表しており、「目の疲れ」や「肥満・メタボ」、「高血圧」等の日常的な悩みを抱えている人が多いようです。また、緑色の円形は”対策している”ことを表しており、「肥満・メタボ」、「高血圧」などの対策をしている人が多いこともわかりました。

「健康第一」はスタンダード機能に『健康タイプ(※)』が診断できることもあり、利用者のニーズともマッチしていることが考えられます。

※生活習慣病予備軍、血圧に注意、血液ドロドロ、糖質に注意、メタボ、隠れメタボ、血管老化、肝臓弱り気味、健康体の9つの健康タイプが診断できる
「健康第一」アプリ利用者の身体の悩み ※アンケート

「健康第一」アプリ利用者の身体の悩み ※アンケート

期間:2022年1月〜2022年12月

最後に「健康第一」アプリ利用者の前後180分間のWeb行動ログを分析し、他に特徴的に利用しているアプリを見てみましょう。

『COCOA』や『Google Fit』、『dヘルスケア』など健康管理系のアプリが特徴的に上位にランクインしています。病気を抱える前段階として、健康に不安を感じ始めたエントリー層と親和性が高いことが考えられます。

「健康第一」アプリ利用者の他に利用しているアプリ

「健康第一」アプリ利用者の他に利用しているアプリ

期間:2022年1月〜2022年12月

まとめ

今回は、第一生命の「健康第一」と、SOMPOひまわり生命の「Linkx aruku」のアプリについて調査・分析しました。

「健康第一」は歩数計としてアプリを利用している影響か、気候によって利用者の増減がみられました。両アプリとも、利用者は50代以上の高年齢層が多いこともわかりました。
また、アンケート結果からは「目の疲れ」や「肥満・メタボ」、「高血圧」等の日常的な悩みを抱えている人が多いようです。

中国では、保険会社がオンライン診療から処方薬の購入まで、様々な健康サービスを受けられるアプリ等もリリースされているようです。日本でも法規制等の課題はありますが、今後はこうした動きが加速すると思われ、さらに、顧客との接点作りにおいて大きな転換期となるのではないでしょうか。その上でデータ活用による顧客体験の向上がますます重要となるでしょう。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


レトロブームで再燃? コンデジやチェキ、写ルンですの消費者ニーズをデータで深掘り

レトロブームで再燃? コンデジやチェキ、写ルンですの消費者ニーズをデータで深掘り

「コンデジ」「チェキ」「写ルンです」。この言葉を聞いて懐かしいと思う大人は多いかもしれません。スマートフォンの普及によって、カメラを買う機会は減少傾向にありました。しかしながら、最近はZ世代の間で「レトロ」が注目を集め始め、コンデジブームがやってきました。データ分析を通してそれぞれのカメラの関心層を分析します!


データ活用を加速させる!「BIダッシュボード」事例集 | BIダッシュボードギャラリー

データ活用を加速させる!「BIダッシュボード」事例集 | BIダッシュボードギャラリー

社内外の様々なデータを可視化し、グラフを組み合わせて表現することで、データの傾向やパターンを明確にし、分析の精度を向上させる「BIダッシュボード」。関係者間の正しい情報共有や共通理解の促進も期待できます。本レポートでは、Tableauをはじめとする様々なBIツールの導入や構築支援を行ってきたヴァリューズが、これまでの活用事例を厳選して紹介します。業務改善や意思決定に利用するダッシュボードについて、具体的なイメージが欲しい!という方にもおすすめです。


人気デリバリーアプリ「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」のポジション分析 | コロナ初期からの変化は?【2024年最新版】

人気デリバリーアプリ「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」のポジション分析 | コロナ初期からの変化は?【2024年最新版】

ここ数年で需要が高まったデリバリーアプリ。コロナ禍に利用し始めた人も多いのではないでしょうか。デリバリーサービスが注目され始めて数年が経った今、需要はどう変化したのか、また各社アプリを今利用しているのはどのような人たちなのか、人気デリバリーアプリの「Uber Eats」「出前館」「menu」「Wolt」を比較しながら分析します。


平成女児に人気再燃のセーラームーンとプリキュアはなぜ数十年にわたり愛される? ファン層の特徴から分析!

平成女児に人気再燃のセーラームーンとプリキュアはなぜ数十年にわたり愛される? ファン層の特徴から分析!

30周年を迎えた「美少女戦士セーラームーン」と20周年を迎えた「プリキュア」。この2つの作品名を聞いたことがない方はいないでしょう。セーラームーンは特に女性人気が高く、プリキュアは男女どちらからも愛されているようです。本記事では、この2つの作品のファンについてより深く分析します。また、ファンの特徴から作品が愛される理由を考察します。


Social media usage among seniors! Mainly YouTube, with significant growth in TikTok usage

Social media usage among seniors! Mainly YouTube, with significant growth in TikTok usage

There’s often a lot of focus on social media use among young people. But we also want to look at trends among “digital seniors.” We will investigate seniors’ usage of Facebook, Instagram, X (formerly Twitter), YouTube, and TikTok, analyzing usage characteristics and comparing them to usage among those in their 20s.


最新の投稿


生成AIを知っている小学生は23%・保護者は53% そのうち利用に肯定的な保護者は約7割【ベネッセコーポレーション】

生成AIを知っている小学生は23%・保護者は53% そのうち利用に肯定的な保護者は約7割【ベネッセコーポレーション】

株式会社ベネッセコーポレーションは、全国の小学3年生から小学6年生とその保護者に、ChatGPTなどの生成AIの認知、利用経験や今後の利用意向、利用する上で大事だと思うことなどについてアンケート調査を実施し、結果を公開しました。


【2024年8月5日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年8月5日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


みんなの注目キーワードは?週間検索トレンドランキング(2024/07/01〜2024/07/07)

みんなの注目キーワードは?週間検索トレンドランキング(2024/07/01〜2024/07/07)

ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」をもとに、週次の検索急上昇ワードランキングを作成し、トレンドになっているキーワードを取り上げます。


データ・ワン、実店舗購買データを元に類似顧客を推計して配信する新広告ソリューションの提供開始

データ・ワン、実店舗購買データを元に類似顧客を推計して配信する新広告ソリューションの提供開始

株式会社データ・ワンは、株式会社NTTドコモが保有するドコモ独自の顧客プロファイリングAIエンジン「docomo Sense™」を活用した広告ソリューション「co-buy® Audience Plus(コーバイ・オーディエンスプラス)」の提供を開始したことを発表しました。このソリューションにより、データ・ワンが保有する小売事業者の購買データを元に類似顧客を推計し、質の高さとリーチ量を兼ね揃えた広告配信が可能となるといいます。


スマホゲームを毎日プレイする人が約7割!全世代の女性に好かれる「ディズニーツムツム」【クロス・マーケティング調査】

スマホゲームを毎日プレイする人が約7割!全世代の女性に好かれる「ディズニーツムツム」【クロス・マーケティング調査】

株式会社クロス・マーケティングは、スマホゲームを月1回以上プレイしている全国15~69歳の男女を対象に「ゲームに関する調査(2024年)スマホゲーム編」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ