検索者は健康管理目的でスマートウォッチを検討か
『オムロン ウェアラブル血圧計』Web サイトのTOP画像
腕時計型のウェアラブル端末であるスマートウォッチ。心拍数や睡眠時間の測定といったヘルスケア機能だけでなく、手元でメッセージの確認、電話の通話やアプリの実行なども可能で、タッチスクリーンで操作できるタイプが一般的です。
通常は、健康管理機能やフィットネスのトラッキング機能が備わっており、心拍数モニタリングや運動トラッキングなどもできます。また、GPS機能やWi-Fi機能を搭載している場合もあり、位置情報の取得やインターネット接続も可能です。
Xiaomiによる「Redmi Watch 4」Webサイトより
では早速、スマートウォッチ検討者の特徴を分析していきましょう。なお、分析にはヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」や「story bank(ストーリーバンク)」を使用します。
まず、「スマートウォッチ」検索と一緒に検索されている“掛け合わせワード”の大まかなパターンを把握するため、Dockpitの機能「ワードネットワーク」を見てみましょう。
「スマートウォッチ」と検索した人のワードネットワーク
調査期間:2023年4月〜2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン
この図では、中央の「スマートウォッチ」ワードからノードでつながった5つの円(ワード)で、「スマートウォッチ」との関連性が高くなっています。方向性としては、「おすすめ」、「ガーミン」、「オムロン」といった機種やメーカーを探す検索ワードと、「血糖値」、「血圧」など、消費者のニーズが反映された検索ワードの2つがうかがえました。
「ガーミン」Webサイトより
スマートウォッチ検索者は「おすすめ◯◯選」のような評価記事を閲覧
次に、「スマートウォッチ」検索者が閲覧しているWebサイトのランキングを見てましょう。下記の図は、「スマートウォッチ」検索者の流入ページTOP20です。
「スマートウォッチ」検索者の流入サイトランキング(ユーザー数順)
調査期間:2023年4月〜2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン
流入サイトでユーザー数1位だったページは「スマートウォッチのおすすめ21選」という内容の記事となっていました。また、2位も同じような第三者によるランキング記事となっています。スマートウォッチ検索者は、まずはこうしたランキングサイトでプロダクトに対する評価情報を取得し、購入するスマートウォッチを絞り込んでいると考えられます。
また、13位の「Androidで使えるおすすめスマートウォッチ3選」テーマの記事や、16位の「iPhone対応スマートウォッチのおすすめランキング15選」記事など、スマートウォッチとスマホの連携という観点でまとめられた商品紹介ページもランクインしていました。スマートウォッチの検索者には、スマホとの対応について気になっている人もいると分かります。
Apple Watch検索者は最新シリーズが“買い”かどうか知りたい
Apple Watchによる「Apple Watch SE」Webサイト
スマートウォッチ市場においては、Apple Watchが特に人気です。Apple Watchは多くのユーザーが利用する基本的な機能に加えて、Apple Storeと連携して豊富なアプリケーションを提供しています。
スマートフォンとの連携機能を重視しているのであれば、Apple Watchに興味をもつユーザーは、iPhoneにも興味をもっていると予想されます。そこで、「Apple Watch」と「iPhone」の両方のワードを検索しているユーザーのデータを見てみましょう。
「Apple Watch」検索者から見た、「iPhone」検索者の割合
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン
上図は「Apple Watch」検索者から見た、「iPhone」の検索者データです。こちらを見ていくと、「Apple Watch」検索者のうち、7割を超えるユーザーが集計期間内に「iPhone」ワードも検索していたことがわかりました。Apple WatchはもともとiPhoneとのペアリングを想定して設計されており、Apple製品との親和性が高い点が特徴。やはり「Apple Watch」検索者はiPhoneにも興味をもって検索行動を行っていたことがうかがえます。
次に、Apple WatchとiPhoneの検索者の年齢、世帯年収などの特徴についても見てみましょう。以下の図は検索者の年代別割合を示すグラフです。
「Apple Watch」「iPhone」と検索した人の年代属性
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン
ネット利用者全体と比較すると、iPhone検索者において、特に20〜30代の若年層が「Apple Watch」を検索していたことがわかります。
次に世帯年収別に検索者属性を見てみます。
「Apple Watch」「iPhone」と検索した人の世帯年収
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン
世帯年収別で見ると、「iPhone」「Apple Watch」の検索者割合は400万円未満の世代でネット利用者全体と比べて10%ほど低い一方、600-800万円の世帯で割合がもっとも多い結果となっています。
では、「Apple Watch」検索に絞って、再びワードネットワークを見てみましょう。
「Apple Watch」と検索した人のワードネットワーク
調査期間:2023年4月〜2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン
「SERIES」や「9」、「8」といった2階層目の検索語から、Apple Watch検索では、シリーズごとの比較を目的とした検索が多くなされているようです。各シリーズがそれぞれ検討されているものの、Apple Watch 9とApple Watch 8などの最新シリーズを検討する人が多いようです。また、「バンド」という検索ワードからはスマートバンドも検討対象として上がっていることがうかがえました。
さらに「9」の下の階層には、「買うべきか」という検索ワードがあります。最新のApple Watchについては、これが“買い”なのかどうかを調べるユーザーもいるようです。購入後に後悔したくないという考えでしょうか。
次に、Apple Watchの検索者が閲覧したWebサイトを見てみましょう。下記の図は、「Apple Watch」の流入ページTOP20です。
「Apple Watch」検索者の流入ページ(ユーザー数順)
調査期間:2023年4月〜2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン
8位の『Apple Watchでできること25選』という記事タイトルの流入ページから見ると、まずはApple Watchの機能の多様性や、iPhoneと併用して何ができるかといった点を気にしていると考えられます。
また、14位に分割払いに関するページがランクインしている点も興味深いです。分割払いでの購入を検討する層も一定いるのでしょう。そのほか、修理や充電などのサポートサービスとアフターサービスが気になっている人も一定数うかがえました。
まとめ
今回はスマートウォッチ検索者の具体像と興味関心について調査し、その中でも特に人気なApple Watchについて深掘りしました。
「スマートウォッチ」検索でのワードネットワークからは、ヘルスケアや運動時の身体状況トラッキングと関連させて検索しているユーザーが多く見られました。ヘルスケア目的でスマートウォッチの購入を考えているユーザーが多いと考えられます。
「スマートウォッチ」検索者は、まず「おすすめ21選」などのランキングサイトでスマートウォッチを探しているようです。そう考えると企業側がスマートウォッチを売るためには、こうしたランキングサイトに掲載されることが重要なポイントとなってくる……といえるかもしれません。
また、最新の「Apple Watch」検索のワードネットワークでは、Apple Watchのシリーズについて検索されているパターンが中心のようでした。「Apple Watch」検索者の中には「iPhone」検索を行っているユーザーが7割以上いて、両方に興味をもって検索している様子がうかがえます。世帯年収で見ると、600万円以上のユーザーの割合が高い一方で、流入コンテンツには分割払いに興味をもつユーザーも見られました。幅広い層がApple Watchの購買を検討しているといえるのではないでしょうか。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
現在は大学院でプロダクトプレイスメント広告の消費者評価と効果を研究しています。
中国出身で、学部では日本語を学んでいました。
趣味は、推し活と旅行です。
最近は山田くん、知念くんとちいかわにハマっています。