スマートウォッチへの興味関心をWeb行動データで考察! 見えてきたApple Watch検索者の特徴とは

スマートウォッチへの興味関心をWeb行動データで考察! 見えてきたApple Watch検索者の特徴とは

新型コロナウイルスの感染拡大により、生活におけるデジタル活用のニーズが急増し、電子決済や健康管理のスマート化などがすすみました。さらに、新年度のスタートである4〜5月は、新生活に向けてウェアラブルデバイスの購入を検討する人も増える時期です。本記事では、スマートウォッチ、スマートバンド、スマートリングなどのウェアラブルデバイスの購買検討者について、その具体像を検索行動の分析や、Webサイト利用状況などを通じて調べていきます。


検索者は健康管理目的でスマートウォッチを検討か

『オムロン ウェアラブル血圧計』Web サイトのTOP画像

腕時計型のウェアラブル端末であるスマートウォッチ。心拍数や睡眠時間の測定といったヘルスケア機能だけでなく、手元でメッセージの確認、電話の通話やアプリの実行なども可能で、タッチスクリーンで操作できるタイプが一般的です。

通常は、健康管理機能やフィットネスのトラッキング機能が備わっており、心拍数モニタリングや運動トラッキングなどもできます。また、GPS機能やWi-Fi機能を搭載している場合もあり、位置情報の取得やインターネット接続も可能です。

Xiaomiによる「Redmi Watch 4」Webサイトより

では早速、スマートウォッチ検討者の特徴を分析していきましょう。なお、分析にはヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」や「story bank(ストーリーバンク)」を使用します。

まず、「スマートウォッチ」検索と一緒に検索されている“掛け合わせワード”の大まかなパターンを把握するため、Dockpitの機能「ワードネットワーク」を見てみましょう。

「スマートウォッチ」と検索した人のワードネットワーク
調査期間:2023年4月〜2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン

この図では、中央の「スマートウォッチ」ワードからノードでつながった5つの円(ワード)で、「スマートウォッチ」との関連性が高くなっています。方向性としては、「おすすめ」、「ガーミン」、「オムロン」といった機種やメーカーを探す検索ワードと、「血糖値」、「血圧」など、消費者のニーズが反映された検索ワードの2つがうかがえました。

「ガーミン」Webサイトより

スマートウォッチ検索者は「おすすめ◯◯選」のような評価記事を閲覧

次に、「スマートウォッチ」検索者が閲覧しているWebサイトのランキングを見てましょう。下記の図は、「スマートウォッチ」検索者の流入ページTOP20です。

「スマートウォッチ」検索者の流入サイトランキング(ユーザー数順)
調査期間:2023年4月〜2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン

流入サイトでユーザー数1位だったページは「スマートウォッチのおすすめ21選」という内容の記事となっていました。また、2位も同じような第三者によるランキング記事となっています。スマートウォッチ検索者は、まずはこうしたランキングサイトでプロダクトに対する評価情報を取得し、購入するスマートウォッチを絞り込んでいると考えられます。

また、13位の「Androidで使えるおすすめスマートウォッチ3選」テーマの記事や、16位の「iPhone対応スマートウォッチのおすすめランキング15選」記事など、スマートウォッチとスマホの連携という観点でまとめられた商品紹介ページもランクインしていました。スマートウォッチの検索者には、スマホとの対応について気になっている人もいると分かります。

Apple Watch検索者は最新シリーズが“買い”かどうか知りたい

Apple Watchによる「Apple Watch SE」Webサイト

スマートウォッチ市場においては、Apple Watchが特に人気です。Apple Watchは多くのユーザーが利用する基本的な機能に加えて、Apple Storeと連携して豊富なアプリケーションを提供しています。

スマートフォンとの連携機能を重視しているのであれば、Apple Watchに興味をもつユーザーは、iPhoneにも興味をもっていると予想されます。そこで、「Apple Watch」と「iPhone」の両方のワードを検索しているユーザーのデータを見てみましょう。

「Apple Watch」検索者から見た、「iPhone」検索者の割合
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン

上図は「Apple Watch」検索者から見た、「iPhone」の検索者データです。こちらを見ていくと、「Apple Watch」検索者のうち、7割を超えるユーザーが集計期間内に「iPhone」ワードも検索していたことがわかりました。Apple WatchはもともとiPhoneとのペアリングを想定して設計されており、Apple製品との親和性が高い点が特徴。やはり「Apple Watch」検索者はiPhoneにも興味をもって検索行動を行っていたことがうかがえます。

次に、Apple WatchとiPhoneの検索者の年齢、世帯年収などの特徴についても見てみましょう。以下の図は検索者の年代別割合を示すグラフです。

「Apple Watch」「iPhone」と検索した人の年代属性
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン

ネット利用者全体と比較すると、iPhone検索者において、特に20〜30代の若年層が「Apple Watch」を検索していたことがわかります。

次に世帯年収別に検索者属性を見てみます。

「Apple Watch」「iPhone」と検索した人の世帯年収
調査期間:2023年4月~2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン

世帯年収別で見ると、「iPhone」「Apple Watch」の検索者割合は400万円未満の世代でネット利用者全体と比べて10%ほど低い一方、600-800万円の世帯で割合がもっとも多い結果となっています。

では、「Apple Watch」検索に絞って、再びワードネットワークを見てみましょう。

「Apple Watch」と検索した人のワードネットワーク
調査期間:2023年4月〜2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン

「SERIES」や「9」、「8」といった2階層目の検索語から、Apple Watch検索では、シリーズごとの比較を目的とした検索が多くなされているようです。各シリーズがそれぞれ検討されているものの、Apple Watch 9とApple Watch 8などの最新シリーズを検討する人が多いようです。また、「バンド」という検索ワードからはスマートバンドも検討対象として上がっていることがうかがえました。

さらに「9」の下の階層には、「買うべきか」という検索ワードがあります。最新のApple Watchについては、これが“買い”なのかどうかを調べるユーザーもいるようです。購入後に後悔したくないという考えでしょうか。

次に、Apple Watchの検索者が閲覧したWebサイトを見てみましょう。下記の図は、「Apple Watch」の流入ページTOP20です。

「Apple Watch」検索者の流入ページ(ユーザー数順)
調査期間:2023年4月〜2024年3月
デバイス:PC、スマートフォン

8位の『Apple Watchでできること25選』という記事タイトルの流入ページから見ると、まずはApple Watchの機能の多様性や、iPhoneと併用して何ができるかといった点を気にしていると考えられます。

また、14位に分割払いに関するページがランクインしている点も興味深いです。分割払いでの購入を検討する層も一定いるのでしょう。そのほか、修理や充電などのサポートサービスとアフターサービスが気になっている人も一定数うかがえました。

まとめ

今回はスマートウォッチ検索者の具体像と興味関心について調査し、その中でも特に人気なApple Watchについて深掘りしました。

「スマートウォッチ」検索でのワードネットワークからは、ヘルスケアや運動時の身体状況トラッキングと関連させて検索しているユーザーが多く見られました。ヘルスケア目的でスマートウォッチの購入を考えているユーザーが多いと考えられます。

「スマートウォッチ」検索者は、まず「おすすめ21選」などのランキングサイトでスマートウォッチを探しているようです。そう考えると企業側がスマートウォッチを売るためには、こうしたランキングサイトに掲載されることが重要なポイントとなってくる……といえるかもしれません。

また、最新の「Apple Watch」検索のワードネットワークでは、Apple Watchのシリーズについて検索されているパターンが中心のようでした。「Apple Watch」検索者の中には「iPhone」検索を行っているユーザーが7割以上いて、両方に興味をもって検索している様子がうかがえます。世帯年収で見ると、600万円以上のユーザーの割合が高い一方で、流入コンテンツには分割払いに興味をもつユーザーも見られました。幅広い層がApple Watchの購買を検討しているといえるのではないでしょうか。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

現在は大学院でプロダクトプレイスメント広告の消費者評価と効果を研究しています。
中国出身で、学部では日本語を学んでいました。
趣味は、推し活と旅行です。
最近は山田くん、知念くんとちいかわにハマっています。

関連する投稿


拡大するフリーランス市場。スキルシェア・クラウドソーシング業界の動向を調査

拡大するフリーランス市場。スキルシェア・クラウドソーシング業界の動向を調査

仕事を依頼したい人と、請け負いたい人のマッチングを行うスキルシェア、及びクラウドソーシングサービス。人材不足の解消も期待されていますが、こうしたサービスのニーズは実際に高まっているのでしょうか?今回は、ココナラ、ワークス、ランサーズの3サービスを取り上げ、市場の動向を調査していきます。


mixi2のユーザー数"143万人"は今後増えるのか。他SNSと比較して考察

mixi2のユーザー数"143万人"は今後増えるのか。他SNSと比較して考察

2024年12月16日に突如としてリリースされた「mixi2」。mixi2を使ってるという声も聞こえ始めるなか、他のSNSと比べると、どの程度のユーザー数なのでしょうか。この記事では、mixi2のユーザー数を、X、Facebookなどの主要SNSと比較。現在の立ち位置を紹介するとともに、招待制の他のSNSであるClubhouse、Blueskyと比較し、初動のユーザー数の伸びを分析しました。また、今後ユーザー数がどう推移していくのかも考察しています。


キリン晴れ風、好調の背景にエコ志向の取り組みが Web行動データから人気の理由を考察!

キリン晴れ風、好調の背景にエコ志向の取り組みが Web行動データから人気の理由を考察!

これからの時代のスタンダードビールとして、「キリンラガー」や「キリン一番搾り生ビール」に続く、新たな定番となりつつある「キリンビール 晴れ風」。2023年4月に販売開始されて以来、ヒット商品として多数のメディアで取り上げられています。日々、続々と各ビールメーカーから新商品が登場するなかで、「晴れ風」はどのように人気を集めたのでしょうか。「晴れ風」の成功要因をデータから考察します。


スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

書店や文房具店にズラリと並ぶ手帳。2024年は、手帳の売り上げが前年から4割も増えた店舗もあったとか。なぜ今、紙の手帳が盛り上がりを見せているのか、どんな人が注目しているのか、ニーズや使い方とあわせて調査しました。


「未病」と「予防」におけるCEP(カテゴリーエントリーポイント)とは

「未病」と「予防」におけるCEP(カテゴリーエントリーポイント)とは

生活者が「予防」に取り組みはじめる“きっかけ”=CEP(※)とはどのようなものでしょうか?少し不調が出始めていたり健康診断の結果が悪かったりして「予防に取り組まなきゃ」と思っていても、なかなか行動に移せないこともあるでしょう。そんな「未病」の状態に着目して、ヴァリューズの持つWeb行動ログデータの分析から、実際に予防に取り組み始めた生活者の文脈と、ヘルスケア業界における課題を考察しました。 ※CEP(カテゴリーエントリーポイント)とは、「ある商品を購買または利用する際に、それを検討するきっかけとなる状況」のことを指します。


最新の投稿


約9割がChatGPTを信用していると回答!AIに頼りすぎてしまい自身のスキル低下に不安の声も【NSSスマートコンサルティング調査】

約9割がChatGPTを信用していると回答!AIに頼りすぎてしまい自身のスキル低下に不安の声も【NSSスマートコンサルティング調査】

NSSスマートコンサルティング株式会社は、業務でChatGPTを活用している会社員を対象に、「業務でのChatGPTの活用実態と信用度」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


ホットリンク、俳優・内田理央の公式Xアカウントを活用した「Xコラボパッケージ」の提供を開始

ホットリンク、俳優・内田理央の公式Xアカウントを活用した「Xコラボパッケージ」の提供を開始

株式会社ホットリンクは、俳優・内田理央をX広告に起用できる「コラボパッケージ」の提供を開始することを発表しました。


約7割が新規事業組織の組成に外部プロ人材を活用!課題に「社内のプロジェクト推進リソース」が最多【ビザスク調査】

約7割が新規事業組織の組成に外部プロ人材を活用!課題に「社内のプロジェクト推進リソース」が最多【ビザスク調査】

株式会社ビザスクは、企業の経営責任者や新規事業開発の責任者を対象に、「新規事業担当者の選定についてのアンケート」を実施し、結果を公開しました。


【2025年2月10日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2025年2月10日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


約7割が「ソロ活」経験あり!TOP3は「外食」「映画館」「温泉・銭湯・サウナ」【LINEリサーチ調査】

約7割が「ソロ活」経験あり!TOP3は「外食」「映画館」「温泉・銭湯・サウナ」【LINEリサーチ調査】

LINEリサーチは、10~60代の男女を対象に、ソロ活事情について調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ