オウンドメディアとは
オウンドメディア(Owned Media)とは、企業が自社で保有しているメディアの総称のことをいいます。広義では、パンフレットや出版物、SNS、動画なども含まれますが、一般的には自社ブログやウェブサイトを指すことが多いです。例えば、企業独自のコラムなどで、ユーザーの関心を集めるような役立つ情報を提供します。
オウンドメディアは、「ペイドメディア(Paid Media)」と「アーンドメディア(Earned Media)」とともにトリプルメディアといわれており、それぞれの強みを生かしつつ弱みを補いながら活用するのが効果的とされています。
なお、ペイドメディアとは、企業が費用を支払って広告を掲載するメディアのことで、Web広告やTV、新聞などのマスメディア広告がその例です。アーンドメディアとは、ユーザーや消費者が自ら情報を発信するメディアのことで、SNSやブログなどが該当します。
オウンドメディアとコーポレートサイトの目的の違い
コーポレートサイトとは、自社の公式情報を発信するためのホームページのことで、会社の顔となるものです。これまでホームページは、企業概要の紹介やブランディングの一環として活用されてきました。しかし現在は、マーケティングをメインとするオウンドメディアで、ホームページの役割もこなすことが多いです。
オウンドメディアとコーポレートサイトは、似たような意味合いで使われることがありますが、利用する目的が異なります。
■オウンドメディアの目的
オウンドメディアは、情報発信をメインとしたマーケティング施策の一種であり、見込み顧客の獲得やコンバージョン(CV)まで誘導することが主な目的とされます。
オウンドメディアを通して情報発信すると、より広範囲なユーザーへアプローチが可能です。ユーザーに役立つ情報を提供することで、自社の専門性や独自性、信頼性などをアピールでき、共感を得やすくなります。
ユーザーが自社に興味を持ったり共感を得たりすると、自社の商品やサービスを紹介しやすくなります。オウンドメディア内に資料請求や問い合わせといった行動喚起(CTA)を設けることで、商談に結び付けることが可能です。
■コーポレートサイトの目的
コーポレートサイトの主な目的は、企業情報の公開やブランディングの強化、採用活動にあります。企業概要や沿革、事業内容、ビジョン、CSR(企業の社会的責任)といった企業情報を発信することで、自社の存在を広く認知してもらい信頼性を得ることを目指します。
企業理念やビジョンなどがわかりやすく提供できるように作られていると、ユーザーからの信頼を得られることや、企業ブランドのイメージアップにつなげることが可能です。また、採用活動においても重要な役割を果たしており、募集要項や福利厚生、社員インタビューなど、求職者に向けた情報も提供しているケースもあります。
オウンドメディアを運営するメリット
オウンドメディアを運営するメリットとして、主に次の2点が挙げられます。
・潜在顧客へのアプローチが可能
・CVまで促すことが可能
それぞれのメリットを詳しく確認していきましょう。
■潜在顧客へのアプローチが可能
オウンドメディアを運営することで、潜在顧客と関係性を築くことが可能になります。潜在顧客とは、まだ自社製品やサービスを知らない顧客のことです。
潜在顧客は、課題や悩みを抱えていながらもニーズに対する自覚がないだけなので、適切にアプローチすることで問題が解決し、取引につながる可能性が出てきます。
継続的に良質なコンテンツを提供できれば、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)も可能です。商品やサービスの契約決定までは多くの関係者が参加するため、検討時間が長くかかります。このような中で、定期的にコミュニケーションを取り、見込み顧客と信頼関係を構築できると、契約成立への可能性が高くなります。
■CVまで促すことが可能
オウンドメディアを運営することで、CVまで誘導する仕組みを構築することが可能です。
具体的なCVは企業によって異なり、たとえば以下のようなものが挙げられます。
・メーリングリストへの登録
・ホワイトペーパーのダウンロード
・問い合わせ
・商品やサービスの購入
質の高いコンテンツを多数掲載することで、顧客育成をしつつも、ユーザーの「商品やサービス、企業情報についてもっと知りたい」という関心を引き出すことが可能です。ユーザーの興味を引きつけられれば、CVまでのアクションを誘導しやすくなります。
オウンドメディアを運営するデメリット
一方で、オウンドメディアの運営には、企業にとって次のようなデメリットも存在します。
・コストがかかる
・工数がかかる
・リスクがある
・短期的に効果がでづらい
こういったデメリットのためにコンテンツの質が低下する可能性があり、オウンドメディアを運営することが逆効果になりかねません。効果的な運営をしていくために、継続的にリソースを割くことが求められます。
では、デメリットについて詳しく確認していきましょう。
■コストがかかる
オウンドメディアの運営には、特に人件費などのコストがかかるというデメリットがあります。
オウンドメディア内のコンテンツを作成するためには、情報収集や記事執筆など多くの行程が必要です。また、公開後も定期的に効果を測定し、必要に応じて記事の修正・加筆などをしなければなりません。また、SEO対策(※)を外部に依頼する場合は、さらにコストがかかる可能性があります。
※SEO対策:「検索エンジン最適化」のこと。自社サイトを検索エンジンで上位に表示させるための対策
■工数がかかる
オウンドメディア内のコンテンツをより上質なものにするために、多くの工数がかかる点もデメリットです。
コンテンツ作成における行程は、以下のような流れになります。
①ターゲットの設定
②キーワードの選定
③競合サイトの調査
④構成作成
⑤執筆
⑥公開
また、それぞれの行程において上司やリーダーなどに確認を依頼するとなると、修正や再検討が必要になることもあり、より多くの行程がかかる可能性があります。
■リスクがある
質の低いコンテンツを提供してしまうと、CVの成果が出にくくなるだけでなく、企業としてマイナスの評価を受けるリスクがあります。
ユーザーの疑問や問題を解決できるような内容でない場合、その企業に対して、信頼して商品やサービスを依頼するとは考えにくいでしょう。コストや専門性などの問題をクリアしながら、質の高いコンテンツを作成し続けることが大切です。
■短期的に効果がでづらい
オウンドメディアは、成果が得られるまでに時間がかかるため、短期的な効果が出づらいという点もデメリットです。一般的に、サイトの立ち上げ当初は、ユーザーの訪問回数やアクション数が少ないです。
コンテンツを継続して積み重ねていき、オウンドメディアとして豊富な情報を提供できるようになるまで、ある程度の期間が必要になるでしょう。定期的に数値をモニタリングし、CVにつなげられるよう対策を講じる必要があります。
オウンドメディアで使われるコンテンツ
オウンドメディアで利用されるコンテンツとして、主に以下のものがあります。
・コラム記事
・ホワイトペーパー
・導入事例/FAQ
それぞれのどのような内容なのか、活用方法などを確認していきましょう。
■コラム記事
コラム記事とは、自社が取り扱う商品やサービスに関する話題を取り上げ、ユーザーの悩みや課題を解決する方法を発信するものです。客観的な根拠に基づいて論理的に発信することはもちろん、企業の考えや視点を盛り込んでユーザーにとって有益な情報を提供します。
自社で取り扱う商品やサービスが、課題解決に役立つことを認知してもらえるような内容にすることがポイントです。問題解決方法が明らかにされていると、見込み顧客との関係を築きやすくなります。
まだ自社の商品やサービスの必要性に気づいていない潜在顧客を獲得するために、SEO対策用の上位化を目的としたコラムも存在します。
■ホワイトペーパー
オウンドメディアにおけるホワイトペーパーとは、自社が取り扱う商品やサービスの理解を得ることを目的とした資料のことをいいます。
企業は、見込み顧客にとって価値があると考えられる情報をまとめ、Webからダウンロードできる形式で提供することが多いです。ホワイトペーパーを入手したい見込み顧客が、企業名や担当者名、メールアドレスなどの連絡先を入力すると、ダウンロードできる仕組みとなっています。
見込み顧客の担当者の連絡先がわかれば、自社の商品やサービスについての情報やお得なキャンペーンを紹介したり、セミナーなどへの参加を呼びかけたりすることが可能です。
■導入事例/FAQ
導入事例や疑問を解決するためのFAQコンテンツは、いずれも確度の高いユーザー向けのコンテンツです。
オウンドメディアに導入事例を盛り込むと、導入を検討中の企業に対し、より具体的なイメージを提供できます。オウンドメディアを運営する目的には、集客・ブランディング・売り上げ・採用などがあるため、それぞれの目的別に成功事例を提供できると良いでしょう。
FAQ(Frequently Asked Questions)とは、「よくある質問」のことです。ユーザーから寄せられると想定される質問と、それに対する回答がまとめられています。FAQを掲載すると、問い合わせ件数が削減でき、電話がつながらない状態を回避できるため、顧客満足度の向上が期待できます。
また、「よくある質問」も検索エンジンの検索対象になるため、SEO対策にも効果的です。
成功するオウンドメディアのポイント
オウンドメディアの運営を成功させるポイントとして、次の3点があります。
・戦略設計
・コンテンツ運営
・PDCAサイクルの実施
3つのポイントにおいて、それぞれ経験と知見のある専門家がいると、より効果が期待できます。
■戦略設計
オウンドメディア運営をする際には、まずコンセプトを決めることが大切です。サイトが最終的に目指すゴールを明らかにすることで、コンテンツに一貫性を持たせることが可能です。
具体的には、「KPI(Key Performance Indicator)」を設定すると良いでしょう。KPIとは、「重要業績評価指標」を意味するもので、最終目標までの達成度を表わすものです。
また、ターゲットを明確に設定すると、ターゲットが抱えているであろう問題や悩みに即したコンテンツ作りができます。継続的に有益な情報を提供できると、CVまでつながる可能性が高くなります。
なお、ニーズに適したコンテンツを作成するには、検索エンジンの順位などの効果測定が欠かせません。定期的に測定を行い、戦略設計に活かすことが求められます。
■コンテンツ運営
オウンドメディアを活用するためには、継続的に新しいコンテンツを提供する必要があります。ユーザーにとって興味深い有益なコンテンツが問題解決の糸口になれば、自社への信頼性を高められるでしょう。
また、すでに公開してあるコンテンツも定期的に見直す必要があります。公開済みのコンテンツは、サイトの資産となり今後も集客に役立ちます。しかし、公開時から変更された内容があったり、ユーザーのニーズに合わない箇所も出てきたりするため、より良いコンテンツにするために見直しが必要なのです。
■PDCAサイクルの実施
戦略設計で定めたKPIに対して、導線再設計等のPDCAを回していくことが必要です。PDCAとは、「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Action(改善)」の各頭文字をとった言葉です。
Planから順番にすすめていきActionまでを終えたら、また最初のPlanに戻ってActionまで行い、それを繰り返していきます。単に作業をするだけでなく、必要に応じて修正や加筆などをして、より良いコンテンツの発信に努めます。
PDCAサイクルの実施において役立つKPIとして、以下のものがあります。
・検索順位
・コンテンツ数
・CV数
・PV数(ユーザーの閲覧回数)
・UU数(閲覧したユーザー数)
・オーガニック検索流入数(オーガニック検索からサイトへ流入した数)
これらの結果をもとに分析・評価しサイトの改善に役立てましょう。
■オウンドメディアをうまく活用しよう
オウンドメディアは、企業が自社で保有しているメディアの総称のことで、一般的には自社ブログやウェブサイトを指すことが多いです。情報発信をメインとしたマーケティング施策の一種であり、見込み顧客の獲得やCVまで誘導することが主な目的です。
オウンドメディアでは、より広範囲なユーザーへのアプローチが可能で、自社の専門性や独自性、信頼性などをアピールできます。その結果、自社の商品やサービスを紹介しやすくなり、オウンドメディア内に設けた資料請求や問い合わせから行動喚起することで、商談に結び付けやすくなります。
オウンドメディアを活用し、自社の商品やサービスの認知度を高め、優良な顧客と継続的な関係を持てるよう目指しましょう。
オウンドメディアのパートナーならヴァリューズ
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大学では経済学部で主に会計学を学び、2024年に新卒でヴァリューズに入社しました。現在はデータプロモーション局にて、弊社プロモーション事業のフロントを担当しています。