新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

リリースされてから、Z世代を中心に強い支持を集めている「BeReal(ビーリアル)」。2023年初頭から人気を集め始めていますが、いまだにその人気は衰えていません。2024年7月には、日本で広告事業を本格化しはじめたことが大きな話題になりました。今回は、BeRealの最新動向をデータを用いて分析するとともに、広告ビジネスの可能性を調査していきます。


独特の“縛り”で人気の「BeReal」とは

BeRealは2020年に公開されたフランス発のSNSアプリで、毎日ランダムな時間に来る通知に従い、2分以内に加工なしの写真を投稿するという、独特の“縛り”が課されたもの。短い制限時間は、リアルな日常を発信することを目的としており、このとき、内カメと外カメの両方が同時に撮影されることが大きな特徴です。

BeRealアプリ

「加工できない」「投稿時刻はアプリが決める」「自撮りと周囲を必ず写す」など制限が多いアプリですが、Z世代を中心に人気を集めています。日本では、2023年1月ごろから広がり始め、Z世代総合研究所(Z総研、東京・渋谷)が行った、Z世代女子に対する調査「2024年上半期トレンドランキング」で「流行ったコト・モノ」の1位と「流行った言葉」の2位にBeRealがランクインするほどの人気ぶりでした。

また、「BeReal」はユーザーのニーズに合わせて積極的に機能の改善を進めています。2024年2月には公式アカウント機能「RealPeople and RealBrands」を開始しました。

「BeReal」の公式アカウント機能「RealPeople and RealBrands」プレスリリースより

著名アーティスト、ブランド、スポーツチーム、大学などのリアルな姿を見られるということで好評のようです。日本では人気YouTubeクリエイターのコムドットのリーダー、やまとが日本人として初の公式アカウントを開設しました。Z世代にとって「リアルの共有」が大切な価値観になってきているのかもしれません。

このように、BeRealは進化を続け、ユーザーを飽きさせない工夫がなされているようです。BeRealの2023年10月時点のデータについて、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

Z世代トレンド、盛らないSNS「BeReal.」のユーザーはどんな人?Z世代の「脱・加工」は本当に起きている?

https://manamina.valuesccg.com/articles/2991

Z世代を中心に最近流行の兆しを見せている新しいSNS「BeReal.」。いったいどのようなアプリなのか、どのようなユーザーが使っているのか。既存のSNSとの比較から、その利用実態を調査しました。

本記事では、BeRealアプリがヒットした当初と比較して、ユーザー層はどのように変化してきたのかをデータを使って分析していきます。

なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行える株式会社ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。

「BeReal」月間起動ユーザー数は直近1年で約4倍に

BeRealは、どのようなユーザーから支持を集めているのでしょうか。まず初めに直近2年間の月間アプリユーザー数の変化を見ていきます(月間アプリユーザー数:月に1回以上アプリを利用した人数)。

「Bereal」アプリユーザー数推移

「BeReal」アプリユーザー数推移
期間:2022年10月~2024年9月
デバイス:スマートフォン

昨年から引き続き、ユーザー数は現在まで増加し続けています。2023年に、ヒットアプリとして様々なメディアに取り上げられて以来、とどまることを知りません。ちょうど1年前である2023年9月のユーザー数と比較すると、2024年9月時点でのユーザー数は、4倍近くに増加しています。

BeRealは大規模なマーケティング戦略に頼るのではなく、口コミや友人同士の紹介を通じてユーザーを増やしています。ここまでユーザー数を伸ばし続けていられるのは、BeRealがZ世代のニーズに的確に刺さるサービスを提供しているからなのでしょうか。また、BeRealの投稿はInstagramなど他のSNSにシェアできます。他のプラットフォームを通じて、より多くのユーザーに認知されるようになったこともユーザー拡大の一因かもしれません。

続いて、さらにユーザー層の理解を深めるために、ユーザーの属性をみていきます。

男女は半々、20代は8割以上

「BeReal」アプリユーザーの男女割合

「BeReal」アプリユーザーの男女割合
期間:2022年9月~2024年9月
デバイス:スマートフォン

アプリユーザーの男女割合は、半々であることがわかりました。男女問わず利用されているのが実状のようです。続いて、アプリユーザーの年代割合を見ていきます。

「BeReal」アプリユーザーの年代割合

「BeReal」アプリユーザーの年代割合
期間:2022年9月~2024年9月
デバイス:スマートフォン

アプリユーザーの8割以上が20代であることがわかりました。やはり、Z世代の男女を中心に人気を集めていることがわかります。

一方でBeRealのCEOロフェ氏は「現在はZ世代が優先だが、ミレニアル世代(1980~95年ごろ生まれ)からX世代(60年代半ば~80年ごろ生まれ)などのユーザーもアプリに参加してくれたらうれしい」と述べており、今後どのようなユーザー層を獲得していくかにも注目です。

[参照] トップが語る、Z世代トレンド1位の理由

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/01552/?i_cid=nbpnxr_index

通知が来たら2分以内に撮影して投稿する必要がある写真SNS「BeReal」は、若者から絶大な支持を受けている。移り気なZ世代やα世代の心をつかみ、躍進する秘訣は何か。かつてVoodooでZ世代向けアプリのCEOを務め、BeRealの新CEOに就任したアイメリック・ロフェ氏に聞いた。

月あたり起動日数の多いヘビーユーザーが増加。InstagramやXに追随

BeRealは毎日撮影を求める通知が届くため、頻繁にアプリを開くことを求められます。毎日アプリの起動を促される中で、どの程度ユーザーはアプリを使用しているのかを知るために、2022年10月から2024年9月までの月平均アプリ起動日数推移を見ていきます。

「BeReal」アプリユーザーの月平均アプリ起動日数推移

「BeReal」アプリユーザーの月平均アプリ起動日数推移
期間:2022年10月~2024年9月
デバイス:スマートフォン

1年前と比較して月平均の起動日数は4日程度増加しています。また、2024年9月時点では、平均で月に12.8回も起動されています。

この数字は、SNS市場のリーダーである「Instagram」や「X」と比べてみるとどうなのでしょう。

「Bereal」「Instagram」「X」アプリユーザーの月平均アプリ起動日数推移

「BeReal」「Instagram」「X」アプリユーザーの月平均アプリ起動日数推移
期間:2022年9月~2024年9月
デバイス:スマートフォン

1年前はまだ開きがありましたが、ここ数ヶ月のデータで見ると、InstagramやXの平均起動日数と比較しても大きくは劣らないほどであることがわかります。日々の生活にBeRealがますます定着してきていることが読み取れます。

また、起動日数ごとのユーザー割合を、2つの時期(2023年4月〜2023年9月・2024年4月〜2024年9月)に区切って見てみました。

「BeReal」アプリユーザーの月平均アプリ起動日数分布

「BeReal」アプリユーザーの月平均アプリ起動日数分布
期間:2023年4月~2023年9月(上)2024年4月~2024年9月(下)
デバイス:スマートフォン

月に半分以上使っている割合は、2023年4月からの半年だと約12.1%に対し、2024年の4月からの直近半年の場合は、31.3%になっています。

アプリの認知度が上がりユーザーが増えると、ライトユーザーの割合が高くなってもおかしくないにもかかわらず、「BeReal」は2日に1度以上アプリを起動するユーザーの割合が高まっていることがわかりました。

広告ビジネスを開始したBeReaⅼ、初広告主はNetflixという衝撃

2024年7月から「BeReal」は、広告ビジネスを導入しています。これにより、企業がアプリ上で商品やサービスを宣伝することができるようになりました。国内初の広告主はNetflixです。ドラマ『バトルロワイヤル』の広告を出稿していました。

この動きは、身近な人との繋がり、ありのままを表現することを重視している点で他のSNSとは大きく異なる「BeReal」にとって大きな試みともいえます。

自然でリアルな広告が求められる可能性がある

広告出稿側の視点から見ると、BeRealではどのような切り口で訴求するとよいのでしょうか。BeRealは「リアルな瞬間」を投稿するというコンセプトが特徴的です。そのため、広告も自然でリアルな体験に基づいた内容が好まれるかもしれません。過度に編集された広告や過剰な演出よりは、日常的な使用シーンを自然に取り入れた広告や、リアルな体験を共有できるキャンペーンが効果的だと考えられます。

また、前述しましたが、2024年1月からはBeReal上で有名人・企業・スポーツチームなどが公式アカウントを公開するサービス「RealPeople and RealBrands」を立ち上げています。ユーザーは既存のSNS体験よりもさらに身近な感覚でブランドと関わることを望んでいるのかもしれません。企業側としては、著名人やブランドと連携し、「普段から利用している」という信頼感を持った形での広告展開が可能です。これにより、広告がより親しみやすく、リアルな日常に溶け込むように見せることができるでしょう。

BeRealでの広告をユーザーにより受け入れてもらいやすくするには、どういった工夫ができるでしょうか。この点をデータで考察するため、「BeReal」ユーザーの買い物時の行動を見てみます。

なお分析にはWeb行動データとアンケートデータを用いたペルソナ分析やクラスタ分析で、誰でも簡単に顧客理解ができる、株式会社ヴァリューズの分析ツール「Perscope(ペルスコープ)」を用います。

口コミ・評判、新商品の情報を重視している

「BeReal」ユーザーの購入時の行動(左)、購入時の重視点(右)

「BeReal」ユーザーの購入時の行動(左)、購入時の重視点(右)
対象期間:2023年9月~2024年8月
デバイス:スマートフォン

購入時の行動と重視点から、ネット人口全体と比較して店員のおすすめや口コミ・評判を重視する傾向が強いことがわかりました。商品の実際の使い方や体験談をベースにした広告コンテンツが「BeReal」ユーザーに受け入れられやすいかもしれません。また、新商品に対しても高い興味を示す傾向にあるため、話題性の高い新商品を積極的にBeRealで発信するのも良さそうです。

BeRealと相性の良いジャンルの特徴はあるのでしょうか。「BeReal」ユーザーの興味関心を見ていきます。

以下はBeRealユーザーが興味関心をもつカテゴリを可視化したデータです。アンケート結果をもとにリーチ率*を縦軸、特徴値*を横軸にとっています。

*リーチ率:対象者のうち、アンケートで当該項目に回答した人数の比率
*特徴値:対象者のリーチ率−ネット人口全体のリーチ率

ゲーム、恋愛、ヘアケア、ファッションに興味あり

「BeReal」ユーザーのカテゴリ別リーチ率、特徴値

「BeReal」ユーザーのカテゴリ別リーチ率、特徴値
対象期間:2023年9月~2024年8月
デバイス:スマートフォン

ゲーム、恋愛、ヘアケア、ファッション、コスメ、写真、カメラ、音楽鑑賞などに興味があることがわかります。このようなジャンルの商品について、使っている様子や口コミなどがわかるようなコンテンツを作ると良いのかもしれません。

まとめ

今回はBeRealの最新動向について調査していきました。BeRealは、新しい機能を追加しながらZ世代のニーズにこたえ、現在も着々とユーザー数を増やしています。月平均起動日数も増加傾向にあり、SNSのリーダー的存在のInstagramやXに追いつきそうな勢いです。

また、BeRealは広告ビジネスをNetflixから始め、大きな注目を集めました。アプリユーザーの傾向からゲーム、ヘアケア、ファッション、コスメ、カメラ、音楽鑑賞に関係する商品について、実際の使い方や体験談をベースにした広告コンテンツが「BeReal」ユーザーに受け入れられやすいと考えられました。

今後、どのようにしてBeRealはサービスを拡大していくのでしょうか。これからの動きにも目が離せません。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザでキーワード分析やトレンド調査を行えます。無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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▼また、分析では生活者理解のためのリサーチエンジン『Perscope』を使用しています。『Perscope』では国内最大規模のWeb行動×アンケートデータを活用し、誰でも いつでも 簡単に"生活者起点のマーケティング活動"を実現することができます。無料デモもありますので、興味のある方は下記よりぜひお申し込みください。

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この記事のライター

2025年入社予定の大学4年生です。

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