世界中で大人気。ドバイチョコとは?

2024年頃からスイーツ界に新たなジャンルとして認知され人気を集めた「ドバイチョコ」。SNSを通じて口コミが広がり、ドバイだけにとどまらず様々な国で注目されています。
ドバイチョコとは、中東の伝統菓子「クナーファ」の要素を取り入れたピスタチオ味の板チョコです。板チョコの中に入っている生地が独特のザクザク食感をしていることから、新感覚スイーツとして人々の興味を掻き立てています。
ちなみにクナーファとは、小麦粉と水でできた細い麺状の生地カダイフにチーズを挟んで焼きあげたスイーツのこと。上にシロップやピスタチオをかけて食べられます。ザクザクとした生地とトロトロのチーズの食感を楽しめるスイーツです。

中東の伝統菓子クナーファ
ドバイのチョコレート店「フィックス・デザート・ショコラティエ」が流行の発端
ドバイチョコの流行は、ドバイのチョコレート店フィックス・デザート・ショコラティエ(Fix Dessert Chocolatier)が2022年に発売した「Can’t Get Knafeh Of It(いくらあっても飽きない)」という板チョコから始まりました。
黄色と緑の絵の具を散らしたようなアーティスティックで高級感を感じる見た目が特徴です。外側はミルクチョコレートでできていて、内側にはピスタチオクリーム、カダイフ(細い麺状の生地)、タヒーニ(胡麻のペースト)が入っています。
フィックス・デザート・ショコラティエの人気商品Can’t Get Knafeh Of It
基本的にはアラブ首長国連邦(UAE)内でしか入手できず、ドバイ国際空港にある実店舗か、Deliverooというオンラインデリバリーサービスを通じてのみ購入できるようになっています。価格は1枚68.25ディルハム(2025年6月時点で約2670円)で販売されているとのこと。
アメリカのニュース放送局CNBCによると(※1)、2025年4月にはドバイ国際空港の実店舗で120万枚もの板チョコが売れたといいます。
(※1)
Why everyone is selling Dubai chocolate bars
https://www.cnbc.com/2025/05/31/walmart-shake-shack-trader-joes-dubai-chocolate.html
国外からの需要も高まる中、偽のオンラインショップも複数立ち上がっており、公式Instagramでは詐欺サイトに気をつけるよう注意喚起される事態にまで至っています。
見た目のインパクトと感覚に訴えかけるASMR動画によって大ヒット
ドバイチョコは、SNSでバズったことにより人気が急上昇しました。
広く認知されるきっかけとなったのは、インフルエンサーのマリア・ヴェヘラさんが2023年12月に投稿したTikTok動画でした。動画内では「Can’t Get Knafeh Of It」を含む3種類の板チョコを食べる様子を映しています。板チョコを割った時に中身がどろっとこぼれ落ちる様子や、ASMRのザクザクとした咀嚼音が人々の心を掴み、2025年6月時点で再生回数は1億2900万回を超えています。
見ためと音のインパクトが大きく、見ている人の感覚を刺激するSNS映えのする商品であったことが、この商品が大ヒットした理由として考えられます。そして多くの国の人があまり食べたことのない素材を使用している目新しさも、一度手にとって食べてみたいと思わせる要素となっています。
本物のドバイチョコが入手困難なことから、家でその食感を体験しようと再現する人も続出しています。食べる様子をシェアするASMR動画だけでなく、レシピの紹介動画も人気になるほど一大ブームとなっています。
リンツやゴディバなど、ドバイチョコに影響を受けた新商品が登場
SNSで絶大な人気を集めていながら実際に入手するのは難しいドバイチョコ。人々のドバイチョコへの欲求に応えるため、各国で続々とドバイチョコに影響を受けたピスタチオ関連の新商品が登場しています。
■リンツ(Lindt)
リンツ ドバイスタイルチョコレート タブレット
スイス発チョコレートブランドのリンツでは、「ドバイスタイルチョコレート」シリーズを展開しています。リンツ公式によると(※2)、日本で2025年3月にタブレット(板チョコ)タイプの商品を販売したところ、3日間で2万枚を完売し、オンラインショップの再入荷待ちが1万人を超えたとのこと。4月からは、一粒ずつのタイプや、タブレットタイプより細身のバータイプの商品も販売しています。
(※2)
日本初上陸したリンツの「ドバイスタイルチョコレート」に新シリーズの『プラリネ』と『バー』が登場!〜タブレットは販売開始3日で2万枚が完売!オンラインショップでは再入荷待ち1万人超え〜
https://www.lindt.jp/contents/chocolat-cafe/30243/
■ゴディバ(GODIVA)
ゴディバ ドバイチョコレート ショコリキサー
ベルギー発チョコレートブランドのゴディバでは、日本で「ドバイチョコレート ショコリキサー」というフローズンドリンクを6月20日から発売。ピスタチオとチョコレートが合わさったドリンクに、サクサクの揚げ麺が加わっているとのこと。その他にも、「ドバイチョコレート パフェ」や「季節のコロネ(ドバイチョコレート)」といったスイーツの形でもドバイチョコ商品を展開しています(※3)。
(※3)
ゴディバカフェにてドバイチョコレートにインスパイアされたパフェを新発売!「ドバイチョコレート パフェ」~2025年6月20日(金)より期間限定販売~
https://www.godiva.co.jp/news/news20250523_1.html
GODIVA Bakery ゴディパンに新商品登場!「季節のコロネ(ドバイチョコレート)」
~2025年6月4日(水)より数量・期間限定販売~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000787.000015355.html
■シェイクシャック(Shake Shack)
シェイクシャック ドバイチョコレートピスタチオシェイク
ハンバーガーチェーン店シェイクシャックのアメリカ店舗では、2025年4月にドバイチョコレートピスタチオシェイクを期間限定で販売。ピスタチオ味のシェイクにカダイフやピスタチオをトッピングしたものになっています。
その他にも、サーティワンアイスクリームとしてお馴染み、アイスクリーム店のバスキン・ロビンス(Baskin-Robbins)の一部海外店舗や、米スーパーマーケットのトレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)など、ドバイチョコスタイルの商品を販売するお店が増えています。
板チョコの形にとどまらず、アイスクリームやドリンクなど様々な形で展開されるドバイチョコ。アメリカや韓国で流行した影響を受け、2025年に入ってから日本でも注目度を増しています。今後どのような新商品が登場してくるかますます楽しみです。
大学ではポルトガル語と言語学を学び、常に様々な外国文化や言語に興味がありました。
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趣味は、海外エンタメ情報の追っかけとおうちでラテアート修行をすることです。