AI検索で迷ったZ世代がたどり着くのはSNSではなく“Google検索"と"公式サイト”に【アウトオブザボックス調査】

AI検索で迷ったZ世代がたどり着くのはSNSではなく“Google検索"と"公式サイト”に【アウトオブザボックス調査】

アウトオブザボックス株式会社は、Z世代がAI検索にどこまで信頼を置いているのか、そして満足できない時にどのような行動を取るのかを調べるため、AI検索(ChatGPTなど)を使っている20代の男女を対象に、AI検索に関する調査を実施し、結果を公開しました。


Z世代の多くが、AI検索から高い確度の回答を得ている

「知りたいことがあってAI検索を10回した時に有効回答は何回得られるイメージですか?」と質問したところ、7回と回答した人が最も多く119人でした。次いで8回が78人、6回が58人となっています。

10回中10回が有効回答と回答した人も50人となっており、Z世代の多くが、AI検索から高い確度の回答を得ていると感じているように見えます。

しかし、10回と回答した人以外は有効回答を毎回得られているわけではありません。全体を4,020回(402人×10回)とすると有効回答が2,834回、無効回答が1,186回となります。

70%は有効回答なのでAI検索の精度は悪くないと言えるのではないでしょうか。

無効な回答を得ているのは全体の30%と考えると一見少なく感じますが、今回の結果から4,020回中1,186回は無効な回答と数字を並べて考えると決して少なくない、無視できない数字が見えてきます。

今回、有効回答を得られなかった人向けに、自由回答形式で「上記AI検索で有効回答が得られなかったと思う具体的な理由を教えてください。」と質問しました。以下に、回答を抜粋して紹介します。

■有効回答を得られなかった理由

「〇〇(地名)の観光地について教えて」と質問したところ、実際には存在しない観光地の名前と解説が含まれた回答が返ってきた。(女性/無職)
海外留学おすすめでAI検索したらその国の名産や観光地を紹介された事です(女性/会社員)
キャラクターの設定を教えてと聞いた所、プロフィールを書かれただけで詳しい情報は教えてくれなかったから。(男性/会社員)
手軽に作れる時短レシピを10個教えてと質問したら、5個しか送られてこなかった(女性/専業主婦)
英語の文章に対して説明して。と日本語で書いたら英語で説明された。(女性/会社員)
iPhone 17の新機能を教えてと質問したらiPhone 16の特徴について説明された。(女性/会社員)
すでにニュースになってる情報を尋ねたらそのような情報は出ていませんと回答された(女性/専業主婦)
病気のことを検索をしたら、色々な回答が混ざっているからか、冷やした方がいい、冷やさない方がいいという全く反対のこと2つを並べて解答してくることがあった。(女性/専業主婦)
「住宅ローンの審査に通りやすい年収と勤続年数の目安は?」と質問したところ、「金融機関によって異なります」とだけ返され、具体的な数値や傾向が示されなかったため、有効回答とは感じられませんでした。もう少し統計的な目安や実例が欲しかったです。(男性/会社員)
PayPayの残高の非表示解除のやり方を聞いたら画面にないボタンを押してと間違った手順を教えられた(女性/会社員)
歌詞だけ知っていて、曲名がどうしても思いつかなかった時に、「この歌詞の曲名なんだったか教えて」と質問したら、同じ系列グループの他の曲と回答されたことがある。(女性/学生)
ビジネスメールの修正をお願いしたところ、社内に送るメールだと伝えたにも関わらず明らかに社外への懇切丁寧なメールに修正された(女性/アルバイト)
部屋のレイアウトのアドバイスが欲しく、間取りを細かく文面で説明したうえ、写真添付したところ、全く別の部屋、間取りのレイアウトのイラストを回答されました(女性/無職)

AI検索で有効回答が得られなかった際、Z世代の次のアクションは「Google検索」が最多に

次に「AI検索で有効回答が得られなかった場合、次の一手はどうしますか?」と質問したところ、『Google検索』(304人)が圧倒的多数派となりました。続いて『Yahoo!検索』(84人)、『友人・知人に聞く』(79人)という結果になっています。

注目すべきは、AI検索に満足できなかったZ世代が、『インスタ』(50人)や『TikTok』(40人)といったSNSよりも、従来のGoogleやYahoo!の検索エンジンを優先しているという点です。

デジタルネイティブとも言われるZ世代ですら、最終的には「SNS」よりも「検索」という、従来の検索手段を信頼しているようです。

AI検索でギャップが大きいと感じる人が24.8%

次に「AI検索の結果とリアルとのギャップを点数で教えてください」と質問しました。

※1~5点を「ギャップが大きい」、6~10点を「ギャップが小さい」とします。

結果、6~10点(ギャップが小さい)に回答が集中し、全体の75.1%を占める結果になりました。大半の方が、AI検索とリアルのギャップは、ある程度少ないと感じているようです。

一方で、1~5点(ギャップが大きい)と回答した人は、全体の24.8%に上りました。

つまり、有効回答が得られたと思っていても、実際に情報を活用した際には、およそ4人に1人が期待とのギャップを感じている結果となりました。

AI検索に対する信頼度、92%のZ世代が完全には信頼を置いていない結果に

次に「AI検索の結果に対する信頼度を点数で教えてください」と質問したところ、『7点』(23.9%)がもっとも多い結果となりました。続いて『8点』(21.1%)、『6点』(16.9%)という結果になっています。「6~8点」が、全体の61.9%を占める結果となりました。

ここで着目したいのは、満点(10点)と答えた人がわずか8%である点です。つまり、92%のZ世代が、AI検索に対して完全には信頼を置いていないことになります。

また、信頼度が6~8点の人が61.9%を占めていることからも、Z世代の本音は「AIはそこそこ信頼できるが、完全ではない」という状況だと言えるのではないでしょうか。

今回、信頼度が10点未満で回答した方に対し、自由回答形式で「信頼度が10点満点ではない具体的な理由を教えてください。」と聞いてみました。いくつか、興味深い回答を抜粋して紹介いたします。

■具体的な理由

ソースがわからない、本当に正しい情報なのか不安(女性/会社員)
ソースが不明、あやふやなことも自信もって言われる(女性/会社員)
存在しない商品を存在するかのように回答された(女性/学生)
パンの作り方を、AIのレシピ通りに作ったが、パンとはいえないただ小麦を焼いたものができてしまった(女性/会社員)
ランチのおすすめを聞いたけれど、今は閉店していたり、営業時間が違ったり、そもそもない店もあったから(女性/専業主婦)
内容に間違いはないが、当たり障りない文言で具体性にやや欠けるから(男性/会社員)
自分の想定と違った回答だったから。(女性/会社員)
少し前の情報をもとに回答されたからです。(男性/会社員)
情報が古かったり、信頼しても良い情報か微妙なものが多いので結局自分で調べることになる(男性/自営業)
まだ完全に信用できるとは言えないから(男性/会社員)
AIに対して信じすぎるのも自分の頭を使ってない気がして嫌になりそうだから(女性/派遣社員)
2回同じニュアンスで質問したが返答が違った時があり完璧ではないのだと感じました。(女性/アルバイト)

回答を見てみると、「ソースが不明」を理由にした方は、情報の根拠が示されていないことから、情報の正確性を自分で確認する手間が発生するという課題を指摘する声が目立ちました。

「嘘・間違った情報」を挙げた方は、架空の店舗や商品の紹介、Googleとの検索結果の相違、古い情報が混ざっているといった、具体的な失敗の経験談を理由にしていることがうかがえます。

「回答内容が薄い」「答えが毎回違う」という回答からは、ユーザーが専門的な情報を求めながらも、AIの回答内容の限界や、出力の不安定さを課題として挙げている傾向が明らかとなりました。

AI検索が信頼されない理由「嘘・誤情報」「回答が薄い」「情報が古い」が大きな課題に

先ほど紹介したように、信頼度が10点未満で回答した方を対象に、その具体的な理由を聞く質問を行いました。

この自由回答の設問に関して、回答の分布を把握すべく、さらにカテゴリ分けを実施しました。(10点と回答した方が32人であったため、ここでは370人が回答しています)。

その結果「嘘・間違った情報」(102人)が最も多い結果となりました。続いて、「回答内容が薄い」(83人)、「情報が古い(66人)」となっています。

また、各回答の平均点を算出すると、次のような結果になりました。全回答で平均点が5.4点~7.3点の範囲に分布していました。低い点数をつけた回答が偏ると平均点が低いカテゴリが出てきますが満遍なく分かれていたので平均点が相対的に高くなりました。

【各回答の信頼度スコアの平均点】
1位:嘘・間違った情報(6.3点)
2位:回答内容が薄い(6.2点)
3位:情報が古い(6.8点)
4位:ソースが不明(6.3点)
5位:答えが毎回違う(6.8点)
6位:信頼しすぎてはいけない(7.1点)
7位:信用しきれない・信憑性が低い(6.3点)
8位:自分の求めている回答と違う(7.3点)
9位:その他(5.4点)

最も大きな課題は「嘘・間違った情報」です。102人が回答しており、AI検索の根本的な信頼性に関わる問題が存在することを示しています。

次に多かった「回答内容が薄い」(83人)も深刻な問題ではないでしょうか。ユーザーが本当に必要とする詳細な情報が、現状のAIには不足していることが明らかになりました。

また「情報が古い」(66人)という問題も無視できません。Z世代は最新の情報を求めており、生成AIがもつデータの古さが問題になっていることが伺えます。

※「AI検索の結果に対する信頼度を点数で教えてください」で「10点」と回答した方は、当自由回答の設問に回答していないため、平均点の算出に含んでいません。

AI検索で不安を感じた時、情報補填のために『企業の公式ホームページを見る』方が最多

次に「AI検索の回答結果の満足度が低い場合、より納得・情報補填をするためにどうしていますか?(複数回答可)」と質問したところ、『企業の公式ホームページ』が最多の結果となりました。次いで『サービスや商品のホームページ(189人)』、『口コミ・レビュー』(154人)という結果になっています。

ここで、Z世代の行動パターンが明確になりました。AI検索の信頼度が低い(10点は8%だけ)→ だからGoogle検索をする→企業の公式ホームページ、サービス・商品のホームページ、専門メディア、口コミ・レビューを探しているという一連の流れになっているようです。

注目すべきは、Z世代がSNS(インスタ、TikTok)ではなく、Google検索を経由して、企業の公式ホームページや専門メディア、口コミ・レビューといった「信頼できる具体的な情報源」を優先しているという点です。

Z世代は、AI検索で十分な回答が得られないと、より確かな情報を求めてGoogle検索を行い、企業の公式サイトや信頼できる情報源へと向かう行動をとっていることがわかりました。

Z世代が情報補完の行動で満足度を高める要因は「詳細情報の掲載」が32.6%

「上記の行動により信頼度が高まり、満足度を補完できた1番のポイントはなんですか?」と質問したところ、『詳しい情報が掲載されていた』(32.6%)がもっとも多い結果となりました。続いて『客観的なデータがあった』(19.7%)、『参考になる口コミがあった』(17.7%)という結果になっています。

AIの情報補完として、最も満足度を高める要因は『詳しい情報が掲載されていた』(32.6%)となっており、Z世代はAI検索の簡潔な回答では満足できず、より詳細で背景のある情報を求めているようです。

また、『客観的なデータがあった』(19.7%)と『参考になる口コミがあった』(17.7%)を合わせると37.4%となり、Z世代は「第三者による検証」や「実例」といった根拠を必要としていることが分かります。

この結果は、企業のホームページやメディア掲載の在り方にとって、重要な内容を示しているのではないでしょうか?AI検索時代にZ世代から信頼を得るには、単なる情報発信ではなく、詳細さや、客観性、実例を備えた情報こそが、企業のホームページやメディアにとって重要なのではないでしょうか。

調査概要

【調査期間】2025年11月4日(火)~11月9日(日)
【調査方法】インターネット調査
【調査対象】AI検索(ChatGPTなど)を使っている20代の男女
【有効回答数】402人
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

出典元:アウトオブザボックス株式会社

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000027435.html

※詳細については出典元の企業にお問い合わせください。

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インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)とメディアプラットフォームnoteを運営するnote株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:加藤貞顕、以下 note)は、AI検索時代におけるネットユーザーの行動変容とコンテンツの新しい「発見・信頼・訪問」の構造に関する共同調査を実施し、レポートを公開しましたのでお知らせします。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

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