中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国では、冷蔵牛乳やチーズ、バターなどはもちろん、日本では馴染みのない、常温保存が可能で半年以上鮮度を保つロングライフの牛乳やヨーグルトも親しまれています。基礎的な栄養補給が目的だった乳製品は、消費者のニーズに伴ってより高い付加価値が求められるようになりました。この記事では、現在の中国乳製品市場のトレンドを紹介します。


中国乳製品市場の現状

乳製品とは、生鮮牛(羊)乳および、それを主要原料として加熱・乾燥・冷凍・発酵などの加工で製造された、液体/固体の乳製品を指します。具体的には、粉ミルク、生乳、羊乳、バター、コールドドリンク/フード、チーズ、ミルクタブレット、クリーム、ヨーグルトなどを含み、さらに細かい下位分類が存在します。

これらを扱う中国乳製品市場は2026年、過去数年の伸び悩みを経て現在回復期に差し掛かっています。
2022年以降、中小規模の牧場がコスト面の圧力によって市場を撤退していく一方で、乳業会社が自社所有する牧場、牧畜グループおよび乳牛の数が増加し続けたことで、全体としての生産能力が拡張されて市場におけるニーズを大幅に超えるようになりました。その結果、生乳の価格が下落して企業利潤に圧力がかかったため、生産計画の調整や生産量の縮小が行われました。

それに伴った過去2年ほどの価格競争を経て、現在は乳製品における多くの品目の価格水準が回復し始めています。
Windのデータによると、2025年の乳業事業別売上高はわずかに低下したものの、2026年第一四半期には前年同期比4.88%回復しました。常温牛乳やチーズは増加傾向に回復、冷蔵牛乳は大幅成長を維持しており、数年にわたる下り坂を経て2026年に転換点を迎えるという指摘があります。

中国乳製品業界の企業分布について、華経産業研究院によれば「二強多強」と言われる突出した2社とその他有力企業が存在する状況にあります。伊利股份、蒙牛乳業という全国展開する大手メーカーが「二強」にあたり、「多強」として地域乳業メーカーの光明乳業、新乳業、三元股份、皇氏集団、天潤乳業などが並んでいます。

「二強」についてWindのデータによれば、伊利股份は2025年に売上高が1159億元を超え、純利益は115億元に達しました。同年、蒙牛の売上高は約822.45億元、親会社株主帰属純利益は約15.45億元に達しました。

↑伊利股份の人気商品・常温ヨーグルト「安慕希」シリーズ
https://img0.baidu.com/it/u=683899838,4001704356&fm=253&app=138&f=JPEG?w=800&h=1067

2026年第一四半期、馬上嬴のデータによれば乳製品品目比率は次の通りになりました。
まず、常温生乳が変わらず首位を保ち、50%近くを占めました。続いて冷蔵・常温ヨーグルトが10~20%を占め、アイスクリーム類や中高年用粉ミルク、冷蔵生乳、チーズなどがそれぞれ5%前後を占めています。
各品目の売上高推移は次の通りです。冷蔵生乳、中高年用粉ミルク、冷蔵ヨーグルトが割合と売上ともに増加し、売上高の成長率はそれぞれ前年同期比30.7%、27.4%、11.80%となりました。一方で、常温生乳、常温ヨーグルト、チーズの成長は伸び悩んでいます。全体比率が最も高い常温生乳の売上額は、好転しつつあるものの前年同期比3.10%低下となりました。

消費者は健康重視

以上のような市場推移の背景には、消費者のニーズが変化していることが挙げられます。
国家統計局のデータによると、昨年2025年の中国における一人当たりの乳製品消費量は増加幅3%以下にとどまり、特に従来の常温保存製品に影響が出ています。このような消費傾向について、消費者が乳製品に対して質を重視するようになっている点が広く指摘されています。

《2025中国乳製品リテラシーレポート》によると、大衆の乳製品における栄養価値に対する認知ポイントが13%近く上昇しており、消費者はベーシックな牛乳ではなく健康面の付加価値を有し、個人化したニーズを解決する製品を求めるようになりました。
中国農業大学の任発政氏によると、ライフスタイルが変わるにつれて消費者のニーズがハイエンド化、細分化する傾向にあり、良質なたんぱく質の補給が注目され、製品の機能面に期待が寄せられています。それに伴い、有機牛乳、低温殺菌牛乳など高付加価値乳製品の市場占有比率が上昇を続けています。

このように消費者の間では健康面のニーズが高まっており、高品質かつ健康や栄養のニーズを満たす機能性製品が求められています。

機能性乳製品が市場を拡大

機能性乳製品へのニーズの高まりに対して、各乳業会社は多様な製品を展開しています。
乳製品市場では生産技術の革新が起こっており、膜分離技術、生物発酵技術、スマート製造などの先進技術の利用によって、製品の栄養価値や口当たりが向上し、製品の種類も多様化するようになりました。
例えば、プロバイオティクス発酵技術の進歩により、ヨーグルトに含まれる善玉菌の生存率が90%以上に向上し、消費者の腸内環境に対するニーズに応えられるようになりました。

注目商品―蒙牛「ソフトミルク」

蒙牛が2025年末に発売した「ソフトミルク(軟牛乳)」は、不快感のない牛乳の飲用体験を提供する製品です。先端技術により乳糖ゼロかつ、栄養分子を47%小型化した栄養吸収効率の良い牛乳を実現し、「乳糖不耐症」という「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」症状によって牛乳を飲めない人のニーズに応えています。
中国に6.6億人いると言われている乳糖不耐症者にアプローチできるこの製品シリーズは、2億パックを超える売上を達成しました。

↑蒙牛の「ソフトミルク」。「もっと多くの人が飲める牛乳」というキャッチフレーズがついている。
https://www.mengniu.com.cn/news/group_news/detail/25979.htmlより

蒙牛はそのほか、食物繊維やビタミンなどを含む機能性牛乳を販売するなど、新たな成長市場を開拓し、液体牛乳事業の基盤を強化しています。

中国乳製品工業協会によると、2027年までに機能性乳製品の市場規模は1000億元を突破し、乳製品の中でも最有力な分野になることが予想されています。今後の市場はこのように、製品の質を重視する消費ニーズの変化によって、機能性乳製品の割合が拡大していく見込みです。

まとめ

中国乳製品市場は、過去数年の伸び悩みを脱して2026年には回復の兆しが見られています。
市場に影響を与える消費者のニーズは、健康意識の高まりによって乳製品の質を重要視する傾向にあり、それに伴い従来の製品を超えて健康面での高付加価値を有する機能性乳製品の開発が注目されています。このようなニーズに応える企業努力が、さらに市場を拡大していくことが予想されます。

参考文献URL

2026年中国乳制品行业现状及发展趋势分析,规模化、高端化、智能化加速推进「图」
https://www.huaon.com/channel/trend/1158228.html
乳制品行业如何回归初心?
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1863211859708556721&wfr=spider&for=pc
数据首发丨2026Q1乳制品市场回顾
https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_33155661
乳业拐点已至!2026年原奶周期反转,这些乳企有布局良机
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1866511405343994758&wfr=spider&for=pc
2026乳制品行业市场规模与未来趋势洞察
https://www.chinairn.com/scfx/20260507/175813276.shtml
从“喝不上”到“喝得好”:蒙牛软牛奶开创品类新赛道
https://zhuanlan.zhihu.com/p/2048840177557189356
这款“软牛奶”,专治喝奶不适
https://www.mengniu.com.cn/news/group_news/detail/25979.html

この記事のライター

早稲田大学大学院在学中。中国文学を学んでいます。

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