9月の急上昇アプリランキングを調査
まず、アクティブユーザー数の前月比が高い順にアプリをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。
2020年9月の急上昇アプリランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
電子ギフトを利用した「読売新聞オンライン」が1位に
■1位:読売新聞オンライン
1位にランクインしたのは読売新聞が提供する「読売新聞オンライン」でした。概要は以下の通りです。
運営:読売新聞
特徴:国内外のニュースを配信している読売新聞のデジタルサービスの利用が可能
リリース:2020年7月
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「読売新聞オンライン」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より )
読売新聞オンラインのユーザー数は約28万人、前月比+約392%となっています。グラフから今月に入り大幅にユーザー数を獲得したことがわかります。
こちらのアプリでは9月17日から以下のアプリリリースキャンペーンを行なっていました。
アプリをダウンロードした読者会員の方は、電子マネー等1万円分が1,000人に当たる抽選に毎日参加できるというものです。大手新聞としての認知度や信頼の資産を基に、電子ギフトをフックにすることでユーザー数の獲得に成功したと言えるでしょう。
新聞は定期購読が一般的であるため、他社サービスに切り替えるための手続きコストがかかりやすく、スイッチングコストが高い商材です。電子ギフトを利用してアプリユーザーを獲得することで、競合紙の顧客や新聞未購読層といった新規顧客の拡大への寄与を狙った施策とも考えられます。
■2位:ブロックスケープ
2位はブロックパズルゲームの「ブロックスケープ」でした。アプリの概要は以下の通りです。
運営:PeopleFun
特徴:木製ブロックを湧くに当てはめ列を揃えていくシンプルなブロックパズルゲーム
リリース:2019年11月
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「ブロックスケープ」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より )
ブロックスケープのユーザー数は約50万人、前月比+約194%でした。
こちらのアプリは単純ですが進むにつれてどんどん難しくなる要素もあり、中毒性の高いパズルゲームです。9月上旬にAPPLIONにて無料ゲームの注目トレンドゲームとして紹介されていました。スマートフォンアプリ専門のメディアに取り上げられたことで認知度を獲得し、ユーザー数を伸ばした側面もあるのではないでしょうか。
■3位:SUGAR - 憧れのあの人と2人で直接トーク
3位は双方向ライブ配信アプリ「SUGAR」でした。SUGARは、有名人のライブ配信を観ることができる上、抽選でテレビ電話もできるアプリです。芸能人の佐藤健さんが利用しており話題になりました。アプリの概要は以下の通りです。
運営:SUGAR Inc.
特徴:アーティストとファンをライブ動画でつなぐ動画配信アプリ
リリース:2018年9月
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「SUGAR」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より )
SUGARのユーザー数は約37万人、前月比+約141%でした。ユーザー数は7月に大きく減少しましたが、9月に持ち直したことわかります。
SUGARでは9月15日に三浦翔平さんと佐藤健さんのライブを配信。アプリのサーバーが一時落ちてしまうほどの盛況ぶりでした。佐藤健さんのライブは約2ヶ月ぶりで、今回のライブ配信を契機にユーザー数を回復させたのではないでしょうか。
リニューアルアプリやファッションアプリがランクイン
その他上位にランクインした注目アプリをご紹介します。
■5位:Rakuten Fashion
5位にランクインしたのは、楽天公式ファッション通販アプリ「Rakuten Fashion」でした。概要は以下の通りです。
運営:Rakuten,Inc.
特徴:楽天が取り扱うブランドのアイテムをオンラインで購入できる
リリース:2020年6月
では次に、このアプリのユーザー数の推移を見ていきましょう。
「Rakuten Fashion」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より )
上のグラフから、ユーザー数は9月に入り再び大きく伸びたことがわかります。
Rakuten Fashionは9月にAutumn SALEを開催。同月の上旬に楽天スーパーセールも同時開催され、割引額の大きさから注目を集めました。こうした中、Rakuten Fashionのサイト内で以下のようなポイント還元アップの広告を打ち出していました。
セール目当てでRakuten Fashionのサイトに流入したユーザーに対し、ポイントをフックにした広告施策を打つことでアプリユーザー数を増加させたと考えられます。
■6位:ハードオフ
6位は全国のハードオフグループ店舗で使える公式アプリ「ハードオフ」でした。アプリの概要は以下の通りです。
運営:HARDOFF SP APP
特徴:ハードオフグループ店舗でのお買い物や買い取り成立時でポイントが貯まる
リリース:2018年11月
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「ハードオフ」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より )
ハードオフは9月1日にアプリを全面リニューアル。グラフを見ると、以前の水準と比べて2倍ほどMAUが増えていることが分かります。
大きな変更点として新しいアプリではポイントを貯めることができ、店頭での商品購入の際に【1ポイント=1円】として使えるようになりました。アプリのリニューアルを機に新規ユーザーの獲得に成功したのかもしれません。
■7位:GO タクシーが呼べるアプリ 旧MOV × JapanTaxi
7位にランクインしたのはタクシー配車アプリ「GO」でした。日本のタクシー配車アプリとしては最も歴史の長い「JapanTaxi」とDeNA発の「MOV」が統合し、2020年9月1日から「GO」の提供が開始されました。アプリの概要は以下の通りです。
運営:株式会社Mobility Technologies
特徴:タクシーをアプリで呼べる
リリース:2018年12月 (2020年9月にGOに名称変更)
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「GO」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より )
GOのユーザー数は約61万人、前月比+約82%でした。
GOはMOVをベースにしており、基本的なユーザーインターフェースもほとんどMOVのままです。9月1日の統合により、JapanTaxiユーザーを吸収したと考えられます。
タクシー配車サービスの競争は熾烈です。GOは統合によってMOVとJapanTaxiの両方が提携しているタクシー会社に対応し、利用できる機会や地域も拡大。ほぼ日本全国、いつでもどこでもタクシー配車できるという点で「GO」のプレゼンスは強固なものになったと言えるでしょう。
まとめ
最後に9月の急上昇アプリと、アクティブユーザー増加の背景を振り返ります。
1位の読売新聞オンラインは電子ギフトをフックに新規顧客の拡大を見込んだと考えられます。結果、大手新聞としての認知度や信頼の資産を基に、電子ギフトをフックにすることでユーザー数の獲得に成功したと言えるでしょう。
また、季節性も今月のランキングに反映されていました。5位のRakuten Fashionは、秋セールによってWebサイトに集客し、さらにポイントをフックにアプリへ誘導する設計だったと考えられます。
その他上位にはリニューアルアプリのランクインが目立ちました。特に7位にランクインしたGOは、競合サービスとの統合により新規ユーザーの獲得だけでなく、タクシー配車業界における存在感を増したと言えるでしょう。
本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。無料機能もございますので、より詳しいデータが気になる方は、ぜひサイト・アプリデータで国内トレンド把握につなげてみてください。
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