Amazon Payを導入しているのはどんな企業か。楽天ペイとの比較も

Amazon Payを導入しているのはどんな企業か。楽天ペイとの比較も

Amazonが提供するID決済サービス『Amazon Pay』。Amazonでのショッピングにはもちろん、Amazonのアカウントを利用してAmazon以外の提携サイトでも決済できるサービスです。ID決済はファッションブランドや食料品などのオンラインストア、ネットコミックなどのデジタルコンテンツなどで導入が進み、身近な決済手段となってきました。今回はそんな『Amazon Pay』の利用状況や導入企業、楽天ペイとの比較などについて「Dockpit」を用いて分析します。


Amazon Payのサイト訪問ユーザー分析

まずはAmazon Payを利用するユーザーについて、マーケティングリサーチツール「Dockpit」を用いて分析していきます。

サイト訪問ユーザー数は増加、2年で3.5倍の伸び

Amazon Payのサイト訪問ユーザーの推移グラフは以下の通りです。2年間で3.5倍ものユーザーを獲得するまでに成長していることがわかります。

この期間で最もユーザー数が増えたのは2020年3月のまさに新型コロナ禍のステイホームが始まった時期でした。12月には月間ユーザー数過去最多を記録、クリスマス商戦、年末セールも一役買ったようです。

Amazon Payサイト訪問ユーザー数

Amazon Payサイト訪問ユーザー数

期間:2019年1月〜2020年12月
デバイス:PCおよびスマホ

若年層のAmazon Pay利用が多い

また、ユーザー属性は女性が53.6%でやや多く、年代は20代〜40代の割合が高く、特に若年層が多く占めました。

Amazon Payサイト訪問ユーザー属性

Amazon Payサイト訪問ユーザー属性

期間:2020年1月〜2020年12月
デバイス:PCおよびスマホ

Amazon Pay | 簡単で安心なオンライン決済を | アマゾンペイ

Amazon Pay | 簡単で安心なオンライン決済を | アマゾンペイ

Amazon Payサービスサイト
決済ページも同一ドメイン

Amazon Payを導入しているのはどんな企業か

次に、Amazon Payを導入している企業・サービスサイトを「Dockpit」の競合分析機能を用いて分析します。

日本郵便『クリックポスト』がAmazon Payに対応

まずはAmazon Payへ流入している外部サイトを見ていきましょう。

Amazon Payの流入元サイトランキング(Amazon Pay決済利用サイトと推定される)

Amazon Payの流入元サイトランキング(Amazon Pay決済利用サイトと推定される)

期間:2020年1月〜2020年12月
デバイス:PCおよびスマホ

1位はAmazon.co.jpでしたが、2位には日本郵政が入りました。

日本郵政は、2019年3月に全国一律運賃で荷物を送れるサービス「クリックポスト」の決済方法にAmazon Payを追加しました。フリマアプリやオークションの利用者が急増する中で非常にインパクトのある内容でした。

その後、2020年7月(新型コロナの影響で実際には9月以降)から全国約8,500の郵便局にAmazon Payを含むキャッシュレス決済を順次導入することも発表されました。このランキングデータを見ても、日本郵政のサービスでAmazon Payが積極的に用いられていることがわかります。1年間で539万セッションという実績は”本家”であるAmazon.co.jpに迫る勢いでした。

クリックポスト|日本郵便

続いて「出前館」「フジテレビオンデマンド(FOD)」から年間200万セッション以上の流入があり、新型コロナ禍のステイホーム、外出自粛の影響も受けたと推測されます。

また、ネット通販ASPも2社ランクインしました。昨今、ECサイトはASPを活用するのが定石となっていますが、利用できる決済サービスにAmazon Payが含まれるかどうかもサイトの価値を高める一つの条件となるかもしれません。

ファッション通販サイトではCoach OutletUNDER ARMOUR(アンダーアーマー)などグローバル企業が目立ちました。

グルメデリバリーで活用されるAmazon Pay

流入元サイトをカテゴリで見ると以下のグラフのとおりです。

Amazon.co.jp、日本郵政を除くと、
「グルメ デリバリー」「ファッション 通販」「動画配信」のジャンルで活用されていることがわかります。

Amazon Pay流入元サイト カテゴリ別ランキング

Amazon Pay流入元サイト カテゴリ別ランキング

期間:2020年1月〜2020年12月
デバイス:PCおよびスマホ

楽天ペイとの比較

日本国内において、ID決済でAmazon Payと競合するサービスに楽天ペイがあります。それぞれ利用されている企業の顔ぶれにどのような違いがあるかを分析します。

Amazon Payと楽天ペイのユーザー数推移

直近1年間のユーザー数の伸びは両者拮抗しているように見えます。この期間ではAmazon Payのトータルユーザー数が約300万UU上回りました。

「Amazon Pay」VS「楽天ペイ」サイト訪問ユーザー数推移

「Amazon Pay」VS「楽天ペイ」サイト訪問ユーザー数推移

期間:2020年1月〜2020年12月
デバイス:PCおよびスマホ

提携サイトで住み分け?通販に強いAmazon Pay、エンタメに強い楽天ペイ

次に、それぞれの流入元サイトをカテゴリで比較します。

「Amazon Pay」VS「楽天ペイ」流入元サイト カテゴリごとシェア

「Amazon Pay(青)」VS「楽天ペイ(赤)」流入元サイト カテゴリごとシェア

シェア:青/Amazon Pay 赤/楽天ペイ
期間:2020年1月〜2020年12月
デバイス:PCおよびスマホ

<Amazon Payの利用が多いカテゴリ>
・動画配信(FOD)
・通販ASP
・食品通販
・化粧品通販

<楽天ペイの利用が多いカテゴリ>
・書籍通販(電子マンガストア めちゃコミック、コミック シーモア)
・エンタメ企業(映画)
・音楽配信


Amazon Payは食品や化粧品、ファッションなど通販に強く、楽天ペイは書籍(主にネットコミック)や映画チケットなどエンタメ分野でよく利用されていることがわかりました。

※Amazon Payの「運送企業=日本郵政」、楽天ペイの「ポイント=楽天ポイント」など特定のカテゴリを除き、シェアを競い合うカテゴリを特定

(参考)楽天ペイ 流入元サイトランキング

楽天ペイ流入元サイトランキング

楽天ペイ流入元サイトランキング

期間:2020年1月〜2020年12月
デバイス:PCおよびスマホ

まとめ

Amazonが提供する電子決済サービス『Amazon Pay』について、ユーザー数推移と流入元サイトを分析しました。

ユーザー数は約2年間で3.5倍に増加、利用者は20代〜40代の若い世代が目立ちました。

Amazon Payへ流入している外部サイトを分析すると、1位のAmazon.co.jpに続いたのが日本郵政でした。これは2019年3月に「クリックポスト」の決済方法に追加されたことや、2020年に入ってその他の日本郵政のサービスにおいてもAmazon Payが利用可能になったことが影響していると考えられます。

続いて「出前館」「フジテレビオンデマンド(FOD)」から年間200万セッション以上の流入があり、新型コロナ禍のステイホーム、外出自粛の影響も受けたと推測されます。

また、競合する楽天ペイとの比較も行いました。

直近1年間のユーザー数は両者とも増加傾向にあり、ID決済サービスの広がりが見られます。

さらにそれぞれの流入元サイトをカテゴリで比較したところ、Amazon Payは食品や化粧品、ファッションなど通販に強く、楽天ペイは書籍(主にネットコミック)や映画チケットなどエンタメ分野でよく利用されていることがわかりました。

分析概要

全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2019年1月~2020年12月におけるユーザーの行動を分析しました。

「Dockpit」は、競合サイト分析や消費者のトレンド調査にとても役立ちます。もし宜しければ、無料版もありますので、下記よりご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

関連するキーワード


EC Dockpit 市場調査

関連する投稿


スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

書店や文房具店にズラリと並ぶ手帳。2024年は、手帳の売り上げが前年から4割も増えた店舗もあったとか。なぜ今、紙の手帳が盛り上がりを見せているのか、どんな人が注目しているのか、ニーズや使い方とあわせて調査しました。


ディーエムソリューションズ、越境EC事業化にあたっての意識・実態調査を公開

ディーエムソリューションズ、越境EC事業化にあたっての意識・実態調査を公開

ディーエムソリューションズ株式会社は、同社が運営する「ウルロジ」にて、全国の20-70代の男女でEC事業を運営している担当者や責任者を対象に「越境EC事業化にあたっての意識・実態調査」を実施し、結果を公開しました。


年末年始はどのサービスで何を観る?動画配信アプリの利用実態

年末年始はどのサービスで何を観る?動画配信アプリの利用実態

もうすぐ年末年始。時間のあるこのタイミングで、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスを利用してコンテンツを一気見しよう、という方も多いのではないでしょうか。今回は、「Prime Video」「Netflix」「U-NEXT」「Hulu」「Disney+」それぞれについて、ここ数年の年末年始の集客状況を調査。実際に年末年始に利用者が増えているのか、各サービスでどんなコンテンツに注目が集まっているのかを分析し、来たる2024年の年末年始を占いました。


話題の「リカバリーウェア」のターゲット層は?人気の4ブランドをデータから比較

話題の「リカバリーウェア」のターゲット層は?人気の4ブランドをデータから比較

日々の疲れを癒し健康的な生活へと回復させるためのサポートとして、医薬品やサプリ、健康食品など、巷にはさまざまな情報が溢れています。中でも最近よく見聞きするのが「リカバリーウェア」。着るだけで疲労感などが軽減されると謳う救世主的な商品ですが、一体どのような物で、どのような人たちの関心を掴んでいるのか、データを用いて検証します。


特化型SNS「Lemon8」はなぜ人気を伸ばしている? ユーザー属性からその魅力を分析!

特化型SNS「Lemon8」はなぜ人気を伸ばしている? ユーザー属性からその魅力を分析!

ここ一年の間に大きくユーザー数を増やしたSNS「Lemon8」。そのユーザーの多くは女性のようですが、いったいどのような魅力がユーザーを惹きつけているのでしょうか?また、他のSNSとはどんな違いがあるのでしょうか。Web行動ログデータを用いて、Lemon8ユーザーの人となりを分析し、その魅力と他SNSとの違いを考察します。


最新の投稿


デフォルト効果 ~ 心理的障壁を超えて

デフォルト効果 ~ 心理的障壁を超えて

日常的に使うことも多い「デフォルト」という言葉。使用環境によっては意味も大きく変わります。特に、本稿で解説する「デフォルト効果」では、人の行動心理に大きく関わってくる重要なワードとなるようです。元来保守的な生き物と言われている人間。私たち人間の思考の底にあるデフォルトやバイアス、保有欲など、それらをどのように意識し、効果的な活用をすれば良いのか、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が解説します。


【2024年最新】東南アジア3カ国実態調査 ~タイ・ベトナム・インドネシア~

【2024年最新】東南アジア3カ国実態調査 ~タイ・ベトナム・インドネシア~

日本と同じアジアでも、独特のお国柄や文化を擁す東南アジア。その中でも本レポートではタイ・ベトナム・インドネシアの人々の日常生活や価値観を明らかにし、最近注目されている「ライブコマース」「ローカル愛」「EV車」に関する実態を調査しました。※調査レポートは記事末尾のフォームより無料でダウンロードいただけます。


スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

スマホ時代に「紙の手帳」がブーム!人気の背景を調査

書店や文房具店にズラリと並ぶ手帳。2024年は、手帳の売り上げが前年から4割も増えた店舗もあったとか。なぜ今、紙の手帳が盛り上がりを見せているのか、どんな人が注目しているのか、ニーズや使い方とあわせて調査しました。


Sprocket、生成AIで特定セグメントの顧客像と会話ができる「ペルソナトーク 2.0」のβ版を提供開始

Sprocket、生成AIで特定セグメントの顧客像と会話ができる「ペルソナトーク 2.0」のβ版を提供開始

株式会社Sprocketは、生成AIによって作り出された特定のセグメントのペルソナと対話できる新機能「ペルソナトーク 2.0」のβ版を提供開始したことを発表しました。


A(エース)、電通・電通ライブ・アドビと共にAI主導型SNSマーケティングソリューション「VERTICAL」に参画

A(エース)、電通・電通ライブ・アドビと共にAI主導型SNSマーケティングソリューション「VERTICAL」に参画

株式会社A(エース)は、株式会社電通、株式会社電通ライブ、アドビ株式会社と共に、AI主導型SNSマーケティングソリューション「VERTICAL」に参画したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ