主要3メディアの1月のコンテンツランキングをチェック
まず始めに、マーケター向けビジネスメディアの「マーケジン」「日経クロストレンド」「DIGIDAY」の1月のコンテンツランキングを見ていきます。マーケティング系メディアの人気記事から、マーケティング・広告業務に携わるビジネスパーソンの間で注目を集めていたトピックを調べてみましょう。
こちらは、各メディアにおいて1月に訪問者数が多かったトップ5の記事です。
「マーケジン」1月コンテンツランキング
(分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2021年1月〜2021年1月、対象デバイス:PC、スマートフォン)
「日経クロストレンド」1月コンテンツランキング
(分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2021年1月〜2021年1月、対象デバイス:PC、スマートフォン)
「DIGIDAY」1月コンテンツランキング
(分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2021年1月〜2021年1月、対象デバイス:PC、スマートフォン)
また、それぞれの1位は以下の3つのコンテンツでした。
▼マーケジン
Twitter、公式マークの認証プログラムを2021年1月20日から再開
https://markezine.jp/article/detail/35177Twitterは2021年1月20日より、休止していた公式マークの認証プログラムを再開することを発表した。これにより、ウェブやアプリのアカウント設定ページから、認証済みバッジの申請が可能に。申請者本人...
▼日経クロストレンド
話題の「Clubhouse」になぜハマる 起業家たちが語る“中毒性”
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00316/00045/米国発の音声SNS「Clubhouse」のブームが、日本にも飛び火している。米Alpha Explorationが2020年に開始したサービスで、テキストや動画ではなく、声で複数人とリアルタイムに雑談できる点に特徴がある。
▼DIGIDAY
アディダス は、なぜ リーボック の再建に失敗したのか?:ブランドの売却も視野に | DIGIDAY[日本版]
https://digiday.jp/brands/why-adidas-was-unable-to-resurrect-the-reebok-brand/アディダス(Adidas)は12月14日、「リーボック(Reebok)の戦略的代替案の検討を開始したと明らかにした。代替案にはリーボックの売却も含まれるが、それに限定されるものではない」という。広報担当者は「現在のところ決定は下されておらず、リーボック所有を継続することを決定する可能性もある」とメールで伝えた。
最も人気を集めた記事は?
続いて、3つのメディアの1位コンテンツを深掘りしていきます。まず、マーケジンの1位は、Twitterが休止していた「公式マークの認証プログラム」再開のニュースでした。
Twitterの認証済みバッジは、著名人や企業・ブランド、政府機関など、世間の関心を集めるアカウントが公式であることを示す仕組み。認証基準やプロセスが分かりにくいなどの批判があり2017年に休止しましたが、新たな認証ポリシーを再構築し、2021年1月から再開されることが発表されました。
企業のマーケターとしては、アカウントの著名性を示すTwitter認証プログラムの再開は興味深いニュースだったでしょう。また、新たな認証ポリシーに、自動化と人間による2段階のプロセスが採用されたことも話題となりました。
続いて、日経クロストレンドの人気コンテンツを見ていきます。
日経クロストレンドで最も閲覧数を伸ばしたのは、今年1月に日本でリリースされ、大きな話題となった音声版Twitter「Clubhouse」の成功要因を解説する記事でした。
Clubhouseは、日本では1月23日にiOS版がリリースされ、経営者やマーケターを中心にファンが急拡大。リリース当初はスタートアップ界隈で話題のサービスと言われていましたが、今ではビジネスマン、学生、主婦までも、利用者が拡大しています。
記事の中では、Clubhouseの基本操作のほか、人気の要因を解説。「思わぬ形で人との接点が生まれやすいこと」をハマる最大の理由としながら、
・招待制のマーケティング手法で希少性が演出されている。
・録音アーカイブとして残さないため、内輪話をしているような空気感が醸成されやすい。
・コロナ禍で失われた雑談に多くの人が飢えていた。
・テレワークでBluetooth対応の無線ヘッドセット利用者が増加し、利用環境が整っていた。
など、Clubhouseが今の時代に支持される理由を解説していました。一躍有名になったサービスが、なぜここまで話題になっているのか。サービスの概略に加え、スタートアップ経営社の声も交えながらプロの視点の考察が語られた点が、読者を楽しませたのではないでしょうか。
最後に、DIGIDAYの人気記事を見ていきます。
DIGIDAYの1位は、アディダスによるリーボックブランドの再建に関する特集記事でした。
記事では、アディダスが「リーボックの戦略的代替案を(ブランドの売却も視野に入れて)検討を開始した」と発表したことを受け、アディダスがリーボックを買収した以降のブランド再建戦略や、その成果がまとめられていました。
2006年にアディダスがリーボックを買収して以降、米国のスニーカー市場でのリーボックのシェアは衰退。リーボックは以下のような経過を辿っているとスポーツアナリストの解説を踏まえながら解説されていました。
・2016年には再建計画が発表され、コスト削減のために40店舗を閉鎖
・著名人とのコラボレーションへの投資や女性向け商品の強化
・2018年には売上が2%増加したものの、コロナの流行で再び減少
・現在はレトロのトレンドをうまく取り入れて1990年代に人気だったモデルを再リリース
また、アディダスはリーボックの買い手を探していますが、競合に売る気はないだろうと専門家からは推測されており、買い手はまだ見つかっていないといいます。
日本でも人気のスニーカーブランド「リーボック」の行方やアディダスの戦略は、マーケターとしても関心の高い話題でしょう。さらに、このコンテンツは米国版DIGIDAYの翻訳記事で、本国でのリサーチやインタビューなど国内メディアでは紹介されない独自の情報が多く紹介されていた点も、この記事が注目された理由ではないでしょうか。
マナミナ編集部が選ぶ1月の注目コンテンツ
続いて、マナミナ編集部が独自に選んだ1月の注目記事を紹介します。
まずはこちらです。
JX通信社のプロマーケター松本健太郎氏が、マーケティング書籍「ブランディングの科学」(著:バイロン・シャープ)を解説したまとめ記事。11のマーケティングの法則が記された「ブランディングの科学」は、マーケターの教科書と評される名著で、松本氏も記事内で「マーケターなら誰しも読むべき」と提言しています。
松本氏は、本書の結論は「ブランドの人気度(popularity)こそが核心だ」という巻末の主張だと解説。そして、この「人気度」を分かりやすく説明した書籍として「確率思考の戦略論」(著:森岡毅・今西聖貴)を紹介しています。さらに、「人気度」=「自社ブランドへの1人あたりの投票数」と表し、どのように投票数を増やすかなどの意見を述べています。
マーケティングの名著が要約されているだけでなく、プロのマーケターの視点の考察や、具体的なアクションが示されており、書籍と合わせて読みたい内容です。講師や解説者としても活躍さている松本氏の解説は初心者にも届きやすく、「ブランディングの科学」を教科書にしたマーケティング講義を受けたような満足感があります。マーケターなら押さえておきたい記事のひとつと言えるでしょう。
続いて、こちらの記事を取り上げます。
「で、それやったら売れんの?」という愚問|池田紀行@トライバル|note
https://note.com/ikedanoriyuki/n/n7cb2759a5475マーケティングを20年やってきて、それなりに、というか、かなり効果測定には向き合ってきた自負があります。 広告やマーケティング効果測定に関する本はだいたい読んだし、大学の先生たちとディスカッションを重ねたこともあります。 宣伝会議の広告効果測定講座や広報効果測定講座でも過去8年以上に渡って延べ1,000人以上の実務家へ問いを投げかけてきましたし、多くの企業で効果測定に関するコンサルティングも手掛けてきました。 その上で、「効果測定」(=マーケティング効果の検証)というテーマは、まるで出口のない深い森のように感じます。 でも、このテーマにちゃんと向き合わないと、これからより一層
ソーシャルメディアに強みを持つトライバルメディアハウス代表の池田紀行さんのnote記事で、テーマは「正しい効果測定」(=マーケティング効果の検証)です。20年のマーケティングキャリアを持つ池田氏の、効果測定に対する考えがまとめらています。
記事では、4つのマーケティング手法(施策)である「リスティング広告・リターゲティング広告」「テレビCM」「ブランディング広告・広義のPR」「CRM(ポイント制度)」の得意と不得意をポジショニングマップで表示。
そして、「目的が違うのなら手法も違い、手法が違うのなら効果測定も違う。右側のブランディング広告、PR、SNS運用などは意識変容施策(気持ちをつくる施策)なので、想起率、好意度、購入意向の3つを指標としたアンケート調査でないと取得できない」と述べています。
KPI=重要目標評価指標と、KGI=重要業績評価指標については、KPIはKGIを達成するための手段だと前置きした上で、「明確に分けるだけでも効果測定の食い違いが改善する」と主張。KGIの定め方を「売上と相関があり、施策によって可変なコミュニケーション指標に定めるべき」という助言で締めくくられています。
施策を正しく評価し次の一手を考えるためにも、効果測定は重要です。測定方法や定義付けに課題感を感じるマーケターも多いでしょう。本記事は、それらの悩みに応え、評価指標の設定や見直しに役立つコンテンツです。
最後に、こちらの記事をピックアップします。
Clubhouse分析メモ|Yuta Fukazawa|note
https://note.com/yfuka86/n/n28bae17d6dcdひさびさに衝撃を受けたサービスなので、感じたことをメモとして残しておかねばなるまいと思い、なぐり書きをした。 ほとんど直観的な分析で裏取り不十分な部分もあると思うので、指摘など歓迎したい。 teleful(自社でクローンとして作ってリリースしたが伸びなかったサービス)から得た知見も含む。 オープンとクローズドのバランス オープン=コンテンツより(youtube的)=結果的に多くの滞在時間はインフルエンサーやキラーコンテンツへと収斂する クローズド=コミュニケーションより(メッセンジャー/line的)=多くの滞在時間はごくパーソナルな距離の近い繋がりだけで消費される どちらかに寄り
AppBrew代表取締役の深澤雄太氏が、今話題のClubhouseのプロダクト成功要因を分析したメモ記事。Clubhouseをテーマにしたコンテンツは、日経クロストレンドでも1位を獲得しており、マーケターとしては外せないテーマです。
クロストレンドの記事ではClubhouseの基本操作も紹介しつつ、人気の要因として機能面の他にも「コロナ禍」という外的環境にも触れられており、Clubhouseの入門的なコンテンツでした。一方深澤氏は、Webサービス開発を手掛ける立場から、話題の要因をより深く分析しつつ、今後の発展性についても言及しています。
深澤氏は、Clubhouse成功の要因として
・オープンとクローズドのバランスが絶妙
・引き算のデザイン:保存されない、原則2人までの招待性など
・音声の低遅延性、安定性のクオリティの高さ
・フィードやイベントの作りこみが優れている
などを挙げています。
また、機能的な部分以外にも言及しています。初期のコミュニティ形成をクローズドで行い、熱量を高めてから一気にスケールさせるアプローチもバイラルで話題になった理由だと分析。将来性については、「少なくともアクティブ1億クラスのサービスに育っていく」という主張。局所的な話題だ、長期性がないなどの意見に対する深澤氏の考えを述べています。
経営者・開発者目線での分析なので、Clubhouseの成功要因を自社の施策やサービス開発の参考にしたいマーケターにとっては、読み応えのあるコンテンツになっています。
まとめ
Clubhouseの話題が特に盛り上がりを見せた1月でしたが、解説記事も様々な視点からの考察したものがありました。また、Clubhouse以外にも、Twitter の認証プログラム再開等、新年の始まりらしく話題に富んだ月だったのではないでしょうか。年末年始でまとまった時間があったことで、プロマーケターのブログでも充実したコンテンツが発信されていました。気になったコンテンツをぜひ参考にしてみてください。
<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「Dockpit」を使用し、2021年1月のネット行動ログデータを分析しました。※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。