OMOとは?O2Oやオムニチャネルとの違いは?
OMOは、オンラインとオフラインを行き来する顧客の動向に合わせ、それぞれを融合させてよりよいUX(顧客体験)を提供するという概念です。そもそも顧客は、商品・サービスを入手するチャネルをオンライン、オフラインを意識せず、状況に応じて便利な方法を選んでいる、という前提があります。
OMOと類似する概念に「O2O」や「オムニチャネル」があります。O2Oは、オンラインとオフラインを切り分けて考え、双方間の行き来を促すというマーケティング施策です。オムニチャネルは、在庫や購買履歴の一元管理により機会損失の防止や、顧客満足度の向上を目指すものです。
O2Oやオムニチャネルは企業目線で手持ちのチャネルを有効活用したり、バックエンドを統合する施策ですが、OMOではオンラインとオフラインが融合した顧客体験(UX)を新たに設計することが多い所が違いです。
オムニチャネルの次に来る「OMO」とは?「O2O」との違いも説明
https://manamina.valuesccg.com/articles/1186オンラインとオフラインが融合した顧客体験を提供する「OMO(Online Merges with Offline)」が、オムニチャネルの次に来るマーケティング概念として注目されています。OMOの概念や特徴、オムニチャネルやO2Oなどの似た概念との違いについて説明します。
国内のOMO事例:BEAMS
BEAMSでは、2016年に店舗・ECで別々に存在していた会員情報や各販売チャネルの在庫を統合して一元管理(オムニチャネル化)するようになりました。
会員データの統合によって、顧客の購買履歴から興味のあるファッションを把握できるようになり、よりその顧客に寄り添ったターゲティング広告の配信やスタイリングの提案といった個別化されたコミュニケーションを実現しています。
これは「顧客」と「個客」両方を見ていくという発想に基づいていて、後者は一人ひとりの「個客」に対して、パーソナルな体験を提供していこうという方向性です。
また現代の購買行動では、ネットで事前に下調べしてから店舗で買うことも一般的になってきています。アパレルの場合は、店舗で商品のサイズや着心地を確認し、在庫のあるECで購入する流れもあり、オンラインとオフラインを意識しない買い物体験が、顧客の利便性を高めています。
BEAMS(ビームス)の公式サイトです。総合情報、直営通販サイト、店舗情報、特集、スタッフスタイリング、ブログなど、BEAMSのすべてをご紹介します。
国内のOMO事例:サントリーのコーヒースタンド「TOUCH-AND-GO-COFFEE」
サントリーが手掛けるコーヒー販売スタンド「TOUCH-AND-GO-COFFEE」。LINEで注文し、店舗(執筆時点ではTOUCH-AND-GO-COFFEE日本橋店のみ)で受け取る流れです。
TOUCH-AND-GO-COFFEEがユニークな点は、顧客がTOUCH-AND-GO-COFFEEのLINE公式アカウントを友だち追加し、トーク機能で注文できる点と、200以上の組み合わせから、自分好みのフレーバーをカスタマイズできるところです。さらに、注文した商品は5分ほどで完成するので、事前に注文しておけば、待ち時間ゼロで店舗にて受け取れるようになっています。
TOUCH-AND-GO-COFFEEに関しては、広告宣伝をほとんど行っていないにもかかわらず、サービス開始から20日後には3万人のLINE公式アカウントの友だち数に増加しています。その背景にはLINEという普及したプラットフォーム、そしてオンラインとオフラインが融合した従来にない体験が好評を博したことが考えられます。さらに、それがSNSで拡散され、さらなる顧客獲得につながっています。
海外のOMO事例でも、スマホから注文・決済して店舗で待ちなしに受け取るコーヒースタンドが出ていますが、こうしたユーザー体験を実現するには、いくつかの要素が必要です。
独自のアプリをインストールさせたり、独自の決済を実装して結果的にユーザーを集められないであろう状況を考えれば、LINEのような巨大なプラットフォームの出現や、モバイル決済がハードルにならない状況が、OMO普及の条件となっていることがわかります。
TOUCH-AND-GO COFFEE | ちゃんと選べてすぐ受け取れる、ボトルスタイル・カフェ | サントリー
https://touch-and-go-coffee.jp/スムーズな1日の始まりを。LINEでキャッシュレス注文、カスタマイズしたコーヒーを店舗ですぐ受け取れる「TOUCH-AND-GO COFFEE」
国内のOMO事例:Zoff
メガネ販売のZoffでは、店舗とオンラインストアのID連携を行い、顧客のレンズの度数・種類や保証書、検索などを一元管理しています。
こうした顧客情報の一元管理によって、EC・実店舗問わずフレームを選ぶだけで自分の視力・度数に応じたメガネを簡単に購入できるようになりました。
また、LINEと提携し、実店舗でメガネを購入した場合には、完成通知をLINEで受け取れるようにしています。顧客情報のデータ管理によって業務効率化を図るだけではなく、メガネユーザーがわずらわしいと感じていた「店舗まで足を運ぶ手間」を省き、メガネ購入にまつわる顧客体験の向上に成功しています。
Zoff公式通販。機能・デザイン性に優れためがね・サングラスを多数取り揃え。充実した保証・アフターサービスでお求めも安心。
日本でのOMO普及のカギは?
OMO先進国と言われる中国では、普及の基本的な条件である「モバイルネットワークの普及」「モバイル決済の普及」が日本よりも数段進んでいる背景があります。日本でも「◯◯Pay」による少額決済が急速に普及しつつありますが、モバイル決済の普及率は約43%と中国ほど普及していない現実があります。こうしたQRコード決済は、元々中国で「Alipay(支付宝)」「WeChat Pay(微信支付)」が社会的インフラと言えるほど普及したものが、日本にも入ってきた流れがあります。
新型コロナウイルス感染症の影響で不透明な状況になっているものの、観光立国を掲げ、オリンピックや2025年の大阪万博を控え、インバウンド需要を取り込んだり、少子高齢化が進み労働人口の減少が見えている日本で業務効率化を図るべく、政府もキャッシュレス化を推進する方向性を打ち出しています。
具体的には、政府の「未来戦略2017」ではキャッシュレス決済比率の目標として将来的には世界最高水準の80%程度を目指すとし、マイナンバーカードとキャッシュレス決済普及を目的とした「マイナポイント事業」を実施するなど、随時支援策も行っています。
モバイル通信がより高速化される5Gやキャッシュレス化の進展によって、日本でもOMO普及の条件が整ってくると予想されます。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の出現によって、ますますオンラインの需要が高まっているので、オンラインとオフラインという切り分けをしないOMO化がより求められるでしょう。
OMOの実現にあたっては、蓄積されたデータの有効的な運用を実現できるシステム構築や店舗での活用施策の十分な検討、つまりO2Oやオムニチャネルを土台として用意する必要があります。
これらを踏まえた上で上記の国内OMO事例を参考に、自社にあったOMOを模索してみてください。
■OMOの海外事例はこちら↓
オンライン、オフラインの境界を意識せず、顧客の購買意欲を創出するOMO(Online Merges with Offline)というマーケティング施策が広まっています。今回は、具体的なOMOを知るべく、海外の事例を紹介します。
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