“OMO”マーケティングを海外の先進事例から学ぶ

“OMO”マーケティングを海外の先進事例から学ぶ

オンライン、オフラインの境界を意識せず、顧客の購買意欲を創出するOMO(Online Merges with Offline)というマーケティング施策が広まっています。今回は、具体的なOMOを知るべく、海外の事例を紹介します。


OMOとは?

OMO(Online Merges with Offline)は、元Google China代表の李開復(リ・カイフ)氏が2017年に提唱した「オンライン、オフラインを行き来する顧客の動向に合わせ、それぞれを融合させてよりよいUX(顧客体験)を提供する」という概念です。

OMOを後押しするのは、スマホの普及やIoTの進化です。たとえば、店舗で商品を買う前にネットで口コミや評判を見るというように、購買に至るまでにはオフラインとオンラインを行き来するのが一般的になっています。また、これらの行動履歴がデータとして残り、マーケティングに活用できる環境も整っています。

オンラインとオフラインの垣根をなくすマーケティング施策「OMO」とは?

https://manamina.valuesccg.com/articles/1109

昨今、OMO(Online Merges with Offline)という、オンライン、オフラインの境界を意識せずに顧客の購買意欲を創出するマーケティング施策が広まっています。オンラインとオフラインの垣根をなくすOMOとは何か、解説します。

デジタル先進国・中国がOMOの先進国

OMOが進んでいる国のひとつに中国が挙げられます。なぜ中国がOMO先進国になったのか?その理由は、デジタル化のスピードの速さがあります。わかりやすい具体例としては、都市部のスマホ所有率は97~99%、モバイル決済プラットフォーム利用率もそれに準じる数値となっています。こうしたデジタル化の発展によってOMOが普及しています。

以下、OMO先進国である中国とアメリカのOMO事例を紹介します。

シェア自転車サービス:モバイク(摩拝単車)

モバイク(摩拝単車)は、シェアサイクルについているQRコードをアプリで読み取って解錠できる「シェアサイクル」サービスを提供する会社です。

中国では2017年頃にシェアサイクルが爆発的なブームとなり、事業者が急増しました。しかし、盗難や放置といった問題が多発して、多くの事業者は淘汰されてしまいました。

こうした状況にあってもモバイクが事業を継続できた理由は、社会的なインフラの一つとして定着したことと、、グループのマネタイズにつなげたいテンセント社からの出資が挙げられます。テンセントはQRコード決済のWeChatPay(微信支付)を持ち、ほかの事業と組み合わせればメリットがあると判断されたのです。

モバイクは、ライバル社のシェアサイクルに付いていたカゴやサドルの調整機能を備えた自転車の導入、利用審査時間の短縮、走行時のデータを健康管理機能として可視化などのサービス改善を続け、利便性=UXの向上を果たしています。

そしてもうひとつ、モバイクが好調の理由として、密を避ける移動手段として利用者数が増えていることも挙げられます。

医療アプリ:グッドドクター(好医生)

中国の大手保険会社である「平安保険」がリリースしているアプリが「グッドドクター」です。このアプリではチャット形式のオンライン上問診を行い、症状に応じた病院・科を紹介してもらえます。紹介だけではなく、その病院・科をそのまま予約できます。

ほかにも医者の口コミを確認できたり、ECで処方薬やサプリ、処方箋不要の漢方薬を購入できるといったサービスがあります。グッドドクターは2億ダウンロードを超える人気アプリですが、その背景には中国の医療事情があります。市民は症状を問わず、町医者ではなく大病院での受診を希望するため、診察までに数日を要してしまうというケースが出ていました。

グッドドクターを使えば、オンライン上で医師に症状を相談でき、そもそも病院に行くべき症状なのか、もし病院に行かなければならない場合、何科に行くべきかというアドバイスを受けられ、病院に行く患者数自体を減らせるようになります。つまり、グッドドクターが医療に関する市民のUXを向上させているのです。

これだけのサービス内容なのに、なぜ無料で提供できるのか?それは、グッドドクターから多くの状況データを収集・活用し、これらを平安保険のセールスにつなげているからにほかなりません。

平安好医生(Ping An Good Doctor)-互联网在线医疗|医药健康商城|健康服务管理一站式门户

http://www.pagd.net/

平安好医生(Ping An Good Doctor)是互联网在线医疗一站式门户,提供公司最新新闻、公告与通函、财务报告、投资者推介、公司业务简介、年度业绩发布会及平安好医生实时股票等信息。想了解更多信息,尽在平安好医生一站式门户。

自動車メディア:ビットオート(易車)

「ビットオート」は当初、車の販売店にユーザを送客するカーメディアでしたが、ビットオートでは「免許を取る、車を買う、車を使う、車を売る、そしてまた車を買う」という一連の流れを“カーライフサイクル”とし、これに関する20社以上の企業に投資しています。

ここから得られたデータによってカーライフサイクルを明らかにし、メディアのみならずメンテナンスアイテムを実店舗で販売、toCコンサルを行うなどし、オンライン・オフラインの垣根を超えて顧客本位のカーライフの提供、カーライフインフラに成長しています。

易车-价格全知道,买车不吃亏,中国领先的汽车网

https://www.yiche.com/

作为中国领先的汽车互联网企业,易车公司为中国汽车用户提供专业、丰富的互联网资讯和导购服务,并为汽车厂商和汽车经销商提供卓有成效的互联网营销解决方案。

アパレルアプリ:HelpJess

世界中の提携店舗にてオンラインでのショッピングできる、HelpJessアプリ。単なるオンラインショッピングだけではなく、実店舗のスタイリストやデザイナー、店員とオンラインで会話できるため、店舗で説明してもらっているように買い物できるのが最大の特徴です。

コロナ禍におけるロックダウンといった、かつてない状況に陥り苦戦を強いられる小売業にあって、オンラインでも実店舗にいる(=オフライン)ような感覚接客できる点が大いに注目を集めています。

無人販売システム:PICKUP TOWERS

ウォルマートがAmazonに対抗するべく構築した、顧客がWebサイトで購入した商品が店舗で受け取とれる巨大な(高さ約5m、幅2.4m)保管機械が「PICKUP TOWERS」です。

Amazonでのネットショッピングはいつでも・どこでも買い物できて便利ではありますが、宅配の受け取りで「日時を気にしなければならない」「宅配ボックスから商品を盗まれてしまうのではないか」といった新たなストレスが現れています。

自宅で注文し、任意のタイミングでPICKUP TOWERSにてピックアップする流れによって、前述のストレス解消、つまり顧客体験の向上につなげています。

まとめ

中国を筆頭に、OMOの流れは加速しています。新型コロナウイルス感染症の影響も考慮すると、これからの小売業はますますOMO化が求められるでしょう。

日本ではまだまだOMOが進んでいないので、自社の戦略、強みを改めて見直し、どのようなOMOを取り入れるかを検討すれば、さらなる飛躍のチャンスを手に入れられるのではないでしょうか。

OMOの国内事例はこちら↓

新しいマーケティング施策「OMO」の日本国内事例

https://manamina.valuesccg.com/articles/1294

スマートフォンの普及によって、新しいマーケティング施策として、オンラインとオフラインが融合した顧客体験(UX)を実現する「OMO(Online Merges with Offline)」が広まってきています。国内でも徐々に始まっているOMOの事例を紹介します。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


OMO マーケティング 事例

関連する投稿


2021年版!国内企業の最新DX事例15選

2021年版!国内企業の最新DX事例15選

DXでは、単なるIT化や部分的な効率化にとどまらず、デジタル技術で新たな価値を創造していくことが求められています。大企業においても、経産省がDXを推進する企業を選定するなどしています。今回は国内でも着実に成果を上げているDXの事例を紹介します。


マナミナ独自の市場調査事例9選

マナミナ独自の市場調査事例9選

消費者ニーズの多様性、市場の成熟化が進んでいる昨今、市場調査の重要性は日に日に増しています。マナミナでは独自の市場調査を行い、様々な業界の調査記事を数多く掲載しています。今回は市場調査に関連する記事や事例を、主にこれから市場調査を始めたいという方に向けてまとめました。


マーケティング戦略とは?立案方法から事例まで

マーケティング戦略とは?立案方法から事例まで

自社の商品・サービスを市場に普及させるには、一貫したマーケティング戦略が必要です。企業のマーケティング戦略立案に使われる3C分析・STP分析・4P分析などのフレームワークや、有名企業のマーケティング戦略事例をご紹介します。


意識&行動の両面から明らかにする真のカスタマージャーニーとは?|日経クロストレンドFORUMセミナーレポート

意識&行動の両面から明らかにする真のカスタマージャーニーとは?|日経クロストレンドFORUMセミナーレポート

コロナ禍で大幅に変化した消費者の意識と行動。そのどちらも捉えるために必要なのが、時系列ごとに顧客との接点や心理、行動を図式化した「カスタマージャーニー」です。消費者トレンドの変化をデータで解説するとともに、Web行動ログとアンケート調査を掛け合わせたカスタマージャーニー分析手法を、7月13日、日経クロストレンドFORUM2021でヴァリューズ執行役員の子安 亜紀子がご紹介しました。<br>※詳細なセミナー資料は無料でダウンロードできます。記事末尾のフォームよりお申し込みください。


身近な所にも!行動経済学の活用事例8選

身近な所にも!行動経済学の活用事例8選

人は時として非合理な判断をくだすという前提に立ち、どのような振る舞いをするのかを分析する行動経済学。「学」とつくので難しく感じるかもしれませんが、身の回りには行動経済学を元にした仕組みがたくさん存在しています。プロスペクト理論、サンクコスト効果、アンカリング効果、バンドワゴン効果の具体的な活用事例を見ていきましょう。


最新の投稿


誰でも簡単に3C分析ができるツール「Dockpit」にGoogleアナリティクスとの連携機能が搭載!

誰でも簡単に3C分析ができるツール「Dockpit」にGoogleアナリティクスとの連携機能が搭載!

直感的なダッシュボードで、誰でも簡単に3C分析(自社・競合・市場)ができる「Dockpit」に、Googleアナリティクス連携機能が搭載されました。Dockpit上でスピーディーにGoogleアナリティクスのデータ分析もできます。自社Webサイトの効果検証から競合・市場の把握までをシームレスに1つのツールで確認することが可能です。


2021年版!国内企業の最新DX事例15選

2021年版!国内企業の最新DX事例15選

DXでは、単なるIT化や部分的な効率化にとどまらず、デジタル技術で新たな価値を創造していくことが求められています。大企業においても、経産省がDXを推進する企業を選定するなどしています。今回は国内でも着実に成果を上げているDXの事例を紹介します。


アンケート×Webログを用いた飲食店選びに関する調査 ~ 外食シーン・利用媒体・人の視点で分析

アンケート×Webログを用いた飲食店選びに関する調査 ~ 外食シーン・利用媒体・人の視点で分析

新型コロナウイルスの感染拡大により、大きなダメージを受けた飲食業界。外食市場規模は、2021年7月には2019年比で48.1%にまで減少したとも言われています。コロナによって外食への意識が大きく変わる中、飲食店はどのように選ばれているのでしょうか。アンケートとWeb行動ログを用いて、消費者の飲食店選びの現状について詳しく分析しました。(ページ数|30p)


成長市場のクラフトビール、大手メーカーのWeb集客戦略は?キリン「スプリングバレー」が人気か

成長市場のクラフトビール、大手メーカーのWeb集客戦略は?キリン「スプリングバレー」が人気か

マイナス基調にあるビール市場のなかで成長を続けるクラフトビール市場。近頃は大手メーカーの参入が続き、競争が激化しています。そんななかで各社はどのような戦略を取っているのか。本記事では、大手ビールメーカーのクラフトビールに加え、Amazonで人気の定番クラフトビールをピックアップ。各ブランドのWeb集客の特徴や強みを分析していきます。


不動産企業Webサイトのユーザー数ランキングを調査。集客のポイントは「自社の強みの打ち出し」

不動産企業Webサイトのユーザー数ランキングを調査。集客のポイントは「自社の強みの打ち出し」

不動産業界の企業について、各社のWebサイトの集客力をユーザー数ランキングで調査しました。上位には三井のリハウスや大和ハウス工業、三井住友トラスト不動産などがランクイン。Webでの集客に成功している不動産企業が、実施している施策も併せて分析します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

最近話題のキーワード

マナミナで話題のキーワード


Web会議 ツール テレワーク zoom セミナー