「収納」の検索者はどんな人?ユーザー属性を調査
まずは、「収納」と検索したユーザーが直近2年間でどの程度いるのかを見てみましょう。
検索ユーザー数は2019年も2020年も、1月から5月にかけての検索が他の季節と比較して多くなっています。やはり新生活が始まる前後で部屋づくりに関心を持ち、ネットで情報収集するユーザーが多いようです。
下記のグラフでは2020年の5月に330万ユーザーとピークになっていますが、これはコロナ禍で「おうち時間」が増えたことによる影響だと考えられます。
「収納」検索ユーザー数の推移
(分析ツール:「Dockpit」、分析期間:2019年3月〜2021年2月、対象デバイス:PC、スマートフォン)
次に、検索ユーザーの属性を見ていきます。
▼「収納」検索者の性別構成比
▼「収納」検索者の年代別構成比
▼「収納」検索者の未既婚構成比
性別比は男性33.6%女性66.4%と、女性の方が高い割合を占めていました。年代比は30代が最も高く、次いで40代、20代が高い結果となっています。
また、検索数としては既婚のユーザーが多くなっている(54.3%)ものの、ネット利用者全体の比率と比較すると未婚のユーザーの検索数も多い形になっています。子供がいる家庭や、一人暮らしの若年層の女性の検索が多いと推測できます。
収納に悩む人は何を検索している?
続いて、「収納」はほかにどのようなキーワードと合わせて検索されたのかを見ていきます。
▼「収納」検索ワードのユーザー数ランキング
▼「収納」検索の掛け合わせワードのユーザー数ランキング
検索ワード・掛け合わせワードともに
1.「ニトリ」「無印」「ダイソー」などのブランド
2.「キッチン」「クローゼット」などの収納を検討している場所
の2種類がユーザー数の上位にランクインしていました。
次に、掛け合わせワードのネットワーク図を見てみます。
このワードネットワークでは、掛け合わせ検索件数が多く、関連性が強いワードが線で繋がれています。特定のワードに興味のあるユーザーは付近のワードにも興味を持つ傾向が高いことを示しており、潜在的な興味関心を把握できる分析手法です。
全体として、「ニトリ 収納」のようにブランドと収納を検討している場所をかけ合わせて検索している様子が伺えます。「ブランド名×アイデア」「場所×アイデア」のような検索ワードからは、ブランドが公式に発信する情報だけでなく、インターネット上の発信者の活用例やアイデアにも関心を持っていると分かります。
また、関心ワードからは「収納」検索ユーザーの持つ悩みを伺えます。
「ベッド下」「冷蔵庫上」「カウンター下」といったワードからは、「活用しにくい場所をうまく収納に活かしたい」というニーズが伺えます。一方で、「見せる収納」というワードもランクインしていました。従来の隠すための収納だけでなく、あえて見せることでおしゃれさを演出したいと考える、最近のトレンドがわかります。
人気の流入ページの特徴は?
次に流入サイトをチェックします。上位5サイトは以下の通りでした。
「収納」検索後の流入サイトランキング
サイトの種類は大きく3つに分類できます。
・楽天やAmazon、Googleといった購買・検索プラットフォーム
・関連するブランドのサイト(ニトリ)
・Roomclipやfolkなどの情報収集のためのWEBメディアやSNS
情報収集のためのサイトという観点から、メディアのfolk・LIMIA、SNSのRoomclipの3つのサイトを比較すると次のようになっています。
folk・LIMIA、Roomclipの基本指標比較
folk・LIMIA、Roomclipの集客構造比較
3つのなかで最もユーザー数が多いのはRoomclipです。集客構造に注目すると自然検索数がとびぬけており、やはりSNSとしてのコンテンツの多さという強みがメディアの2サイトと比較して現れていると言えるでしょう。
また、3つのサイトの併用状況を示したものが下のベン図です。
併用ベン図の数値詳細
3サイトのうち2つ以上を併用するユーザーが全体の40%程度となっており、収納を始めとしてインテリアに関心があるユーザーの情報収集力の高さがわかります。
最後に、「収納」検索ユーザーが閲覧したページです。こちらは、流入ページのランキングです。
「収納」検索後の流入ページランキング
このように、ブランドの通販ページや、ユーザーが悩みを抱えている場所の収納に関する情報をまとめるメディアのページの閲覧数を伸ばした形になりました。
まとめ
新生活が始まる春の前後に検索数が増える「収納」ですが、検索ユーザーは①「ニトリ」や「無印」などのブランド、②「キッチン」「クローゼット」などの場所、の2つにこだわりや悩みを持ち検索していることが分かりました。
また、ブランドが公式に発信する情報だけでなく、インターネット上の発信者のアイデアも求め、メディアやSNSなどからも積極的に情報を収集しています。「見せる収納」のようなトレンドや、多くのユーザーが解決できていない場所の悩みをうまく取り入れて情報発信をすることで効果的な集客が期待できそうです。
<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「Dockpit」を使用し、2019年3月~2021年2月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
2022年の春から、新卒としてヴァリューズに入社。