radikoやDiscord、Clubhouse〜音声コンテンツ市場3サービスのユーザー数や属性を調査

radikoやDiscord、Clubhouse〜音声コンテンツ市場3サービスのユーザー数や属性を調査

音声コンテンツ市場のサービス動向を調査しました。取り上げたのはradiko(ラジコ)、Discord(ディスコード)、Clubhouse(クラブハウス)の3サービス。それぞれのサービス概要に加え、ユーザー数推移、ユーザー属性について集計しています。音声コンテンツ市場の分析にお使いください。


3つの音声関連サービスを調査

コロナ禍によるおうち時間の増加もあり、ますます注目が集まっている音声関連アプリ市場。最近では音声によるSNS「Clubhouse」も話題となりました。

ただし、音声コンテンツ市場はコロナ以前も注目されていました。「耳の暇」の解消というキーワードもあり、マナミナでも以前、調査記事を公開しています。

音声コンテンツ市場を調査。radiko利用者は700万人超、Voicyは若者に人気

https://manamina.valuesccg.com/articles/551

注目が集まる音声コンテンツサービス「radiko」「audible」「Voicy」の違いとは? ユーザー数とデモグラフィック属性を調べ、サービスの特徴を考察しました。

こちらの過去記事では「radiko」「voicy」「audible」という3つの音声コンテンツのユーザー数を調べ、その特徴やデモグラフィック属性などについて分析しています。

今回は、前回特にユーザー数の多かった「radiko」のほか、最近利用者が増加している「Discord」、話題になった新興サービスの「Clubhouse」の3サービスを取り上げ、分析をおこなっていきます。

まず、各サービスの概要を簡単に見ていきましょう。

1.ネットでラジオが聴ける「radiko」

1つ目の音声コンテンツサービスは「radiko(ラジコ)」です。

radikoはインターネットでラジオが聴けるサービス。各放送局のラジオ番組をパソコンやスマートフォンから無料で聴くことができます。有料会員になると「エリアフリー」や「タイムフリー」機能が付与され、時間に関わらず全国のラジオが聴けるようになります。

2.招待制の音声SNS「Clubhouse」

2つ目は「Clubhouse」です。こちらは招待制の音声SNSで、自分が招待されたら2人のユーザーを招待できるようになっています。Clubhouseの主な機能は、音声会話ができるチャットルームの作成です。このチャットルームで発言するには主催者から招待を受ける必要がありますが、聞くだけならばClubhouseユーザーであれば基本的に誰でも参加可能です。

3. 通話・テキストサービス「Discord」

3つ目は「Discord」です。様々なテーマ別にトークルームを作り、通話やチャットなどができるサービスです。仲のいい友達や、共通の趣味を持つ仲間たちのたまり場のような雰囲気を売りにしています。

画面共有やコミュニティのメンバー管理のしやすさなどから、特にオンラインゲームプレイヤーの間でのコミュニケーションツールとしての利用が盛んです。

radikoのユーザー数推移は

2019年5月~2021年4月「radiko」ユーザー数推移
※対象デバイス:PC&スマートフォン
※Webサイトとアプリのユーザー数を合算

次に、radikoのユーザー数推移を見てみましょう。上のグラフのとおり、radikoの2021年4月の月間アクティブユーザー(MAU)数は約877万人と、日本の音声コンテンツ市場で圧倒的な数字となっています。

ユーザー数推移の様子に目を向けてみましょう。コロナ以前の2019年5月の段階で、MAUは約745万人。その後、最初の緊急事態宣言が発令された直後の2020年4月には約847万人まで上昇し、その後も増加しています。

近年、視覚情報なしに完結する音声コンテンツに注目が集まっていることは先述の通りです。スクリーンを見ることなしにコンテンツを楽しめるので、スペースのない満員電車や、手や目を使う諸作業中でもBGMのように楽しむことが出きます。ユーザー数推移を見ると、新型コロナウイルスの影響で自宅に滞在する時間が増えたことに後押しされて、ユーザー数が増えている可能性が伺えます。

Clubhouseのユーザー数推移

2020年11月~2021年4月「Clubhouse」ユーザー数推移
※対象デバイス:PC&スマートフォン
※Webサイト(www.joinclubhouse.com) とアプリのユーザー数を合算

Clubhouseは米国で2020年4月にローンチされ、日本には2020年12月に上陸しました。その後SNSなどで多数の芸能人やビジネス関係者が参加を表明し、一般人の間でも話題が沸騰。グラフに見られるように、2020年12月の日本上陸から2月にかけて急速にユーザー数を増やしました。2021年2月時点での月間ユーザー数は100万人を突破し、約108万人と推定されます。

しかし翌月以降急激に失速し、2021年4月現在の月間利用者数はピーク時の5分の1程度の約21万人程度となっています。Clubhouseが求心力を失った理由を考えてみましょう。以下のようなことが考えられるかと思います。

1.Clubhouseはライブ利用しかなく、アーカイブも残らないため、情報収集が目的の場合あまり効率的でない可能性がある。
2.とりとめのない雑談になりがち。また、配信のテーマに偏りがあり、玉石混淆である。

今後コロナ禍が落ち着いた場合、手軽な出会いや交流を求めてClubhouseを用いていた人々がさらに離脱していくことも考えられます。また、現在は芸能人などがClubhouseで一般のユーザーと交流する余裕がありますが、これは外出がしにくい今のご時世ならではのことかもしれません。有名人の雑談や、彼らとの交流に興味を持って参加したユーザーも、コロナ禍の沈静化とともに離れていく恐れがあります。

しかし、上で述べた2つの理由のうち、「とりとめもない雑談になりがち」という点は発信側から見れば参入しやすいということであり、メリットとも捉えられます。効率的に情報収集をするのには確かに最適ではないかもしれませんが、音声コンテンツの大きな強みである「ながら聞き」をする分にはちょうど良いと言えるかもしれません。こういった使い方に慣れ親しむユーザーが増えていけば、今後Clubhouse復調の可能性はあるのではないでしょうか。

Discordのユーザー数推移

2019年5月~2021年4月「Discord」ユーザー数推移
※対象デバイス:PC&スマートフォン
※Webサイトとアプリのユーザー数を合算

最後にDiscordです。グラフを見ると、Discordは2020年5月以降に徐々にユーザー数を増やし、現在は約291万人のユーザーを獲得しています。右肩上がりにユーザー数が増えていることがうかがえます。

Discordは、年代別のユーザー割合にその特徴が表れています。以下の、アプリユーザーの年代別属性グラフをご覧ください。

2020年5月~2021年4月「Discord」アプリの年代別ユーザー割合
※対象デバイス:スマートフォン

利用者の半数以上が20代という結果になっており、20〜30の若年層割合はなんと8割以上。Discordは若い世代に人気のあるサービスであると言うことができるでしょう。オンラインゲームのプレーヤーも主に若年層であると考えると、つじつまが合います。

まとめ

本稿では音声コンテンツ3アプリの月間アクティブユーザー数やユーザー属性から、それぞれのサービスの強みや特徴を分析しました。音声を切り口にした3サービスながら、それぞれの強みは異なる点にありました。

・「いつでもどこでもラジオが聴ける」ことが最大の強みであるradiko。コロナ禍においても堅調にユーザー数を伸ばしています。
・Clubhouseは日本においては有名人の話題性で多くの人が参入しましたが、リリース当初の勢いを大幅に失っています。サービスのメリットや使い方が周知されていくことで復調する余地があるかもしれません。
・若いゲーム世代に求心力があるDiscordは順調にユーザー数を伸ばしていました。eスポーツ市場の興隆とともに、さらに認知が高まる可能性も考えられます。

【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2019年5月〜2021年4月
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

ウィーン大学への留学を経て京都大学文学部卒業。
外資系大手ITコンサルティング会社に勤務後、フリーランスライターに転向。

関連する投稿


Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Capsule toys, or “Gacha Gacha,” have become popular globally with people all ages for their affordability and collectability, especially in Japan, with the establishment of Gacha Gacha specialty stores. We will analyze the user segment interested in Gacha Gacha and explore how companies can apply it in marketing.


人気急拡大「ガチャガチャ」の関心層をデータで分析! マーケティングに活かした事例も紹介

人気急拡大「ガチャガチャ」の関心層をデータで分析! マーケティングに活かした事例も紹介

「カプセルトイ」、通称「ガチャガチャ」は、子どもから大人まで幅広い層に愛され続けてきました。小さなカプセルに入っている多様なアイテムは、価格の手ごろさとコレクション性から、今や世界中で人気を博しています。特に、ここ数年で日本では、「ガチャガチャの専門店」ができるなどさらに人気が急拡大しています。本記事では、ガチャガチャに興味を持つユーザー層を分析するとともに、企業においてどのようにマーケティング戦略に活かせるかを考察します!


【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

SNS上のバズやトレンドへの感度が高く、流行を生み出す世代として注目のZ世代。企業のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高めるためには、顧客ライフサイクルが長いと思われる若い世代の獲得は避けて通れません。そこで今回は、「メンズメイク」「メンズコスメ」への関心が高まっているという背景から、Z世代男性の美容に関する意識や購買行動を、ミレニアル世代と比較しながら調査。美容潜在層を顕在層にするために、どのような環境やきっかけが必要なのか、現役Z世代アナリストが分析しました。


The latest trends provoke “empathy for real-life negative situations”? Analyzing popular characters and events

The latest trends provoke “empathy for real-life negative situations”? Analyzing popular characters and events

To generate buzz in a systematic manner, rather than by chance, it is important to look for commonalities in why certain things become a trend. We will analyze recent trends such as "cat memes," popular characters, and events to determine "what people are supporting these days, and why."


現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!早くも「夏」の準備開始?「母の日」プレゼント選びも(2024年5月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!早くも「夏」の準備開始?「母の日」プレゼント選びも(2024年5月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第19弾となる今回は、Z世代とミレニアル世代の検索キーワードランキングから、「夏」「母の日」の2テーマを取り上げてZ世代のトレンドをお送りします。Z世代の準備・楽しみ方が気になる「夏」、「母の日」のプレゼント選びの悩み など、データとリアルな声を掛け合わせ、Z世代のニーズを読み解きます。


最新の投稿


生成AIの普及はまだこれから?マーケティング業務経験者の約8割が生成AIを業務利用したことがない【NEXER調査】

生成AIの普及はまだこれから?マーケティング業務経験者の約8割が生成AIを業務利用したことがない【NEXER調査】

株式会社NEXERは、Strh株式会社のサポートを受け「マーケティング業務と生成AI」に関するアンケートを実施し、結果を公開しました。


僕と私と、Z世代への街頭アンケート・サンプリング配布を含むプロモーションプランを提供開始

僕と私と、Z世代への街頭アンケート・サンプリング配布を含むプロモーションプランを提供開始

僕と私と株式会社は、一般財団法人日本ファッション協会との協業を通じて、Z世代への街頭アンケート調査、サンプリング配布、コンテンツ作成等のマーケティング・プロモーション支援の提供を開始しました。


Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Capsule toys, or “Gacha Gacha,” have become popular globally with people all ages for their affordability and collectability, especially in Japan, with the establishment of Gacha Gacha specialty stores. We will analyze the user segment interested in Gacha Gacha and explore how companies can apply it in marketing.


302リダイレクト(302 Found)とは?使用目的や設定、SEOへの影響も解説

302リダイレクト(302 Found)とは?使用目的や設定、SEOへの影響も解説

Webサイトにアクセスしたユーザーを別のURLへと一時的に転送する方法として、「302リダイレクト」があります。サイトのメンテナンスやリニューアルなどを行う際に使用されますが、「301リダイレクト」との違いや、SEOへの影響などが気になっている人も多いのではないでしょうか? 本記事では「302リダイレクト」が使用されるケースや、SEOへの影響、使用する際の注意点などについて解説していきます。


20代~30代の女性の約6割は今"ひろめたい"と思っているものがある!ひろめたいものは「推し」が最多【eBay Japan調査】

20代~30代の女性の約6割は今"ひろめたい"と思っているものがある!ひろめたいものは「推し」が最多【eBay Japan調査】

インターネット総合ショッピングモール「Qoo10」を運営するeBay Japan合同会社は、若年女性の問題に向き合い支援する一般社団法人 若草プロジェクトと共同で、全国の20代から30代の女性を対象に「情報発信・情報収集に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ