KATE(ケイト)の「リップモンスター」とは?
まず、「リップモンスター」について、その商品特徴を下記にまとめます。
・カネボウメイクアップブランド「KATE(ケイト)」が2021年5月に発売した口紅。
・つけたての色がそのまま持続し、落ちにくい・高保湿を兼ね備えた高発色リップ。
・唇から蒸発する水分を活用して密着ジェル膜に変化し、独自技術(※)により長時間の色持ちを実現。
※カネボウ独自の色持ち技術
・店舗販売7色・Web限定4色で各1,540円(税込)
メイクアップブランド「KATE」の「リップモンスター」
「リップモンスター」は発売月に検索が急上昇
それでは、メイクアップ化粧品のニーズの変化について見てみましょう。
「リップモンスター」がバズった原因を探るため、まずは『リップ』または『口紅』(以下、「リップ/口紅」)と検索したユーザーの推移を見てみましょう。
直近2年間の検索ユーザー数推移を見てみると、1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月を境目にユーザー数が大きく減少していることがわかります。その後も落ち込んだ数値のまま現在に至っています。
繰り返し発令される緊急事態宣言により継続的に不要不急の外出自粛を要請されメイクをする機会が減ってしまったことや、マスク着用で口元が隠れてしまうこともありリップメイクへの関心も下がったことがうかがえます。
「リップ/口紅」の検索ユーザー数推移
期間:2019年9月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
では、「リップモンスター」と検索しているユーザー推移はどうでしょうか。
発売月(2021年5月)と同時に検索数が急上昇しピークを迎え、その後下降はしているものの、引き続き注目されていることがわかります。
「リップモンスター」検索ユーザー数推移
期間:2020年9月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
「リップモンスター」の関心層は?
■「リップモンスター」は30代が3割以上と最も多い
次は、「リップモンスター」と検索したユーザーの属性を見てみましょう。性別では女性が9割以上となっていました。
「リップモンスター」検索ユーザー属性:性別
期間:2020年9月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
年代別では30代が3割以上と最も高く、次いで20代となっていました。20代と30代で6割以上を占めているという結果に。
「リップモンスター」検索ユーザー属性:年代別
期間:2020年9月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
■「リップ/口紅」は20代が3割弱と最も多い
「リップ/口紅」と検索したユーザーの年代別も見てみたところ、20代が3割弱と最も高く、次いで30代という結果でした。
「リップ/口紅」検索ユーザー属性:年代別
期間:2019年9月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
「リップモンスター」は30代、「リップ/口紅」は20代からの関心が高いようです。
マスク着用でリップメイクのニーズに変化
続いて、「リップ/口紅」と検索したユーザーの季節比較から、ニーズがどのように変化しているかを見てみましょう。
1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月までは『DHC』やコーセーの『Visee AVANT(ヴィセアヴァン)』などのブランド名検索が目立っていました。ブランド名以外には、『落ちない』ワードも検索されていますが、ボリュームとしては、そこまで大きくはありませんでした。
ただ、緊急事態宣言が発令された翌月の2020年5月以降は、マスク着用が常態化したこともあり『マスクにつかない 口紅』や『マスクにつかない リップ』、『マスク』ワードが目立っています。
緊急事態宣言以降、明確にユーザーの意識がかわり、”マスク移りしない”ことにニーズが変化していることがうかがえました。逆に、マスク着用時も、リップメイクをしたいという気持ちが表れていることも読み取れました。
「リップ/口紅」検索ユーザーの季節比較
期間:2019年9月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
「リップ/口紅」の20代・30代の検索ユーザーのニーズを知る
最後に、年代別でボリュームの多かった20代と30代に着目して見てみましょう。
■コロナ前後で20代と30代の検索数が逆転
直近2年間のユーザー数推移を見てみると、新型コロナウィルスの感染が国内で初めて確認された2020年1月を起点に20代と30代が逆転していることがわかりました。
その後も、入れ替わることなく推移していることがわかります。
「リップ/口紅」の検索ユーザー数推移:20代女性・30代女性
期間:2019年9月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
■30代は検索ワードに変化が
検索数が半減してしまった2020年4月以降、「リップ/口紅」と検索した20代、30代のユーザーの興味関心はどう変化したのかも見てみましょう。
20代は『シャネル』や『MAC』などのブランド検索や『おすすめ』がランクインしています。この傾向は2020年3月以前とほぼ変化はありませんでした。
「リップ/口紅」検索ユーザーの掛け合わせワード:20代女性
期間:2020年4月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
では、30代も見てみましょう。
20代同様、『シャネル』や『ディオール』などのブランド名が多く挙がっている中で、『マスク』ワードが「リップ/口紅」に次いでランクインしていました。
また、『落ちない』ワードもランクインしており、20代よりも”マスクにつかない・色移りしない”などのニーズがあることが読み取れました。
ちなみに、2020年3月以前は『ちふれ』や『オペラ』などのブランド名が上位を占め、『マスク』や『落ちない』は上位の顔ぶれには入っていませんでした。
「リップ/口紅」検索ユーザーの掛け合わせワード:30代女性
期間:2020年4月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
■30代は”マスクにつかない”リップを探している
『リップ/口紅』を検索したユーザーはどんなサイトに流入しているのでしょうか。20代、30代それぞれで見てみました。
まず、20代を見てみると、トップ10の内、9つがブランドサイトとなっていました。ブランドサイト以外では、コスメ・メイク・化粧品のクチコミ検索アプリ『LIPS』が唯一、5位にランクインしていました。
「リップ/口紅」検索ユーザーの流入サイト:20代女性
期間:2020年4月~2021年8月
デバイス:PCおよびスマートフォン
30代はランクインしているブランドサイトは5サイトとなっており、20代と比較すると半分と少なめでした。
それ以外は、『選び方』や『おすすめランキング』、『マスクにつかない』や『マスクをつけても落ちない』などコンテンツページがランクイン。
30代の流入サイトは20代と異なっていることが特徴的でした。30代へのアプローチはこうしたメディアの活用が有効と言えそうです。
「リップ/口紅」検索ユーザーの流入サイト:30代女性
期間:2020年4月~2021年8
デバイス:PCおよびスマートフォン
まとめ
今回は、「リップモンスター」や「リップ/口紅」を検索したユーザーについて調査しました。
マスク生活で「リップ/口紅」の関心層全体としては、20代の割合が大きいですが、中でも「マスクにつかないリップ」のニーズが高いのは30代のようです。
“マスク移りしないリップ”が30代のニーズとマッチしたことが、「リップモンスター」がバズった要因の1つと言えそうです。
新型コロナの影響で苦戦するメイクアップ化粧品ですが、ユーザーのニーズを分析し、うまく取り入れることでヒット商品が生み出されることがわかりました。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2019年9月~2021年8月におけるユーザーの行動を分析しました。
Dockpitには無料で利用できる機能もありますので、ぜひお試しください。
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