前月比上昇ではお金の情報サイトやマーケティングメディアが上位に
本記事ではユーザー数が上昇しているビジネスメディアを調査し、今後伸びると考えられるメディアについて分析していきます。分析についてはヴァリューズが提供するWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用い、「ビジネス メディア」カテゴリでのユーザー数前月比上昇ランキングと、6ヶ月上昇ランキングの2つを確認。そのなかからユーザー数が多いWebメディアをピックアップし、コンテンツやメディア施策を分析しました。今後の情報収集に役立ててみてください。
まずは、訪問ユーザー数の前月比上昇ランキングのTop30を下記に掲載しました。このなかから人気上昇中のビジネスメディアを探ります。
2021年8月の前月比急上昇ビジネスメディアサイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
■1位:@SEMINAR
1位は無料のマネーセミナーを選んで参加することができる「@SEMINAR」でした。こちらは8月の急上昇サイトランキングの22位にもランクインしています。ぜひ下記の記事もご覧ください。
ポップで分かりやすいと話題の新型コロナの説明書がTwitter流入でユーザー数急増|2021年8月急上昇サイト
https://manamina.valuesccg.com/articles/14992021年8月にユーザー数を伸ばしたWebサイトは? SaaS型のWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使うと、どんな人がどんなWebサイトを見ているのか、いろいろな切り口で簡単に調べることができます。今回はDockpitを使って訪問ユーザー数の前月比が急上昇したWebサイトを調査しました。
急上昇の原因をコンテンツランキングから探っていきましょう。
「@SEMINAR」の8月のコンテンツランキング(「Dockpit」競合分析より)
UU数を集めた上位のページは全てサイトのランディングページでした。リスティング広告やバナー広告といったWeb広告や検索結果を経由して訪問したユーザーが急増した模様です。
人生100年時代ともいわれる昨今、ポイ活や資産形成に注目が集まっています。特にコロナ禍で生活防衛の意識が高まり、投資を始める人や興味を持つ人が増えているのではないでしょうか。
■5位:DIGIDAY
5位には、メディアとマーケティングに焦点を当てたバーティカルメディア「DIGIDAY」がランクインしました。デジタルマーケティングに関する情報を多角的な視点で提供しています。
どのようなページに注目が集まったのか、コンテンツランキングで確認しましょう。
「DIGIDAY」の8月のコンテンツランキング(「Dockpit」競合分析より)
コンテンツランキング上位は以下の「DIGIDAYガイド: Z世代 の『メディア消費習慣』知っておくべきすべてのこと」についてのページでした。
Z世代とは1990年後半から2000年代に生まれた人を指す言葉です。Z世代とミレニアル世代はメディア消費行動が異なるため、ミレニアル世代をターゲットにしたマーケティング戦略はZ世代に通用しない面も見られます。Z世代へのマーケティング戦略がいまだ確立していない中で、そのメディア消費習慣を分析した記事に注目が集まったのではないでしょうか。
■23位:Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム
23位は、ヤフーが運営するクリエイターのための動画投稿プラットフォーム「Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム」でした。厳選されたクリエイターやインフルエンサーが制作したオリジナルコンテンツを提供しています。
ユーザー推移を確認すると、2021年3月や8月などでユーザー数が急増していることが分かります。
2020年9月~2021年8月の「Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム」のユーザー数推移(「Dockpit」競合分析より)
ヤフーでは各分野の専門家や有識者が個人として情報を発信する「Yahoo!ニュース 個人」を2012年にリリース。そこで培った支援のノウハウを展開し、Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラムが誕生しました。マイクロブログのTwitterや動画共有サービスのYouTubeなどのソーシャルメディアの登場により個人の情報発信力が飛躍的に高まった現代において、このような個人が発信者となるプラットフォームは今後も伸びると予想できます。
6ヶ月上昇ランキングの1位はNTT西日本のオウンドメディア。半年で着実に人気上昇
次に6か月前と比べてユーザー数が急上昇したサイトをDockpitの「6ヶ月上昇サイトランキング」から調査。じわじわと人気を集めるメディアを読み解きます。
2021年8月までの6カ月急上昇ビジネスメディアサイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
■1位:Biz Clip
1位はNTT西日本が運営するビジネス情報サイト「Biz Clip」です。半年間でユーザー数は400%以上増加しており、じわじわ人気を伸ばしています。
では1位の要因を半年間のコンテンツランキングから確認しましょう。
2021年3月~2021年8月の「Biz Clip」のコンテンツランキング(「Dockpit」競合分析より)
上位にはExcelのノウハウ記事が目立ち、ほかにもWindows11やSSDといったテック系テーマの記事が複数見られます。こうしたノウハウ系の記事でSEO対策を行い、自然検索からの流入を獲得しているのではないでしょうか。
メディアとしては上記のテック系記事以外にも多様な領域でビジネス情報を発信しているほか、連載や特集も積極的に組まれており、コンテンツ力の高さがうかがえます。電気通信業務を主力とするNTT西日本が運営するオウンドメディアとして着実に成長している模様です。
■5位:JBpress(日本ビジネスプレス)
5位は、ビジネス系オンラインメディア「JBpress」でした。経営者層やマネジメント層をターゲットに、国際情勢、最新ビジネス動向、イノベーションなどに関する情報を提供しています。こちらは前月比上昇ランキングでも15位にランクインしていました。
半年間のコンテンツランキングから人気の理由を探りましょう。
2021年3月~2021年8月の「JBpress」のコンテンツランキング(「Dockpit」競合分析より)
上位には東京五輪に出場する韓国選手団が放射性物質を懸念し、給食センターを独自に設置したことに関する記事がランクインしていました。JBpressではこうした韓国選手団の対応を批判していました。
JBpressは日経BPや時事通信ら既存メディアから独立した方々によって2008年に立ち上げられたメディア。オールドな紙媒体メディアの大衆化に対抗し、とがったメディアを作ることを目指しています。Web上での存在感をじわじわと増やしてきているのではないでしょうか。
■11位:ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
11位には「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」がランクイン。ウォール・ストリート・ジャーナルは世界的な影響力を持つ日刊経済新聞。ウォール・ストリート・ジャーナル日本版では米国版の記事から厳選した金融・経済の情報を日本語で提供しています。
半年間のコンテンツランキングから人気の理由を探りましょう。
2021年3月~2021年8月の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」のコンテンツランキング(「Dockpit」競合分析より)
上位のページは経済を主軸としたニュースが目立ちます。ウォール・ストリート・ジャーナルの大きな特徴は、経済を中心とした記事の質の高さ。比較的長文の記事が多く、ストレートニュースよりも分析や深く掘り下げた記事が多いです。世界のトレンドや潮流をしっかりと掴みたいと考える人への需要が高いと考えられます。
まとめ|情報収集用のメディアとして要注目
最後に8月に急上昇したビジネスメディアと半年間で着実に人気を集めたビジネスメディア、双方の増加要因をまとめます。
8月に急上昇したビジネスメディア1位は、マネーセミナーの「@SEMINAR」でした。コロナ禍で生活防衛の意識が高まり、投資や資産形成を始めたい人や興味を持つ人が増えているのではないでしょうか。一方、5位の「DIGIDAY」はデジタルマーケティング戦略に特化したバーティカルメディア。Z世代のメディア消費習慣を分析した記事に注目が集まりました。
6ヶ月上昇サイトランキングの上位には「JBpress」と「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」がランクイン。JBpressは日経BP、時事通信、中央公論などの元記者により設立された新メディアで、とがったメディアを作ることを目指しています。一方のウォール・ストリート・ジャーナル日本版は経済専門紙で、ストレートニュースよりも分析や深く掘り下げた記事が多いです。両サイトともマス向けというよりは想定読者層を絞ったターゲティングメディアに近く、コンテンツの質に優れていると言えるでしょう。
今回ピックアップしたメディア以外にも、ランキング上位で気になったビジネス系Webメディアがあればぜひチェックしてみてください。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。