2021年8月の急上昇サイトは?
こんにちは、マナミナ編集部です。まず早速、2021年8月の急上昇サイトランキングを見てみましょう。
2021年8月の前月比急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
こちらは、Web行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」のトレンド分析機能を用いて、Webサイト訪問ユーザー数の前月比Top30をランキング表示したもの。この中から注目のサイトを紹介することで、市場のトレンドを紐解いていきます。
戦後76年企画サイトやチャリティ番組の公式サイトがランクイン!
それでは、1位〜30位にランクインしたなかで、トレンドとして注目のサイトをいくつかご紹介します。
■11位:未来に残す 戦争の記憶
11位は、Yahoo! JAPANが運営する特集サイト「未来に残す、戦争の記憶」でした。こちらのサイトは、終戦から70年の節目を迎えた2015年に、戦争の記憶や記録を2115年へ伝える100年間のプロジェクトとして開設されました。
急上昇の原因を集客構造の推移から探っていきましょう。
2021年7月〜2021年8月の「未来に残す、戦争の記憶」の集客構造推移(「Dockpit」競合分析より)
7月と比較して外部サイトからの流入が急増したことがわかります。さらに外部サイトの流入元内訳を確認すると、Yahoo! ニュースやYahoo! JAPANなどグループサイトからの流入が大半を占めていました。
2021年8月の「未来に残す、戦争の記憶」の集客構造・外部サイトランキング (「Dockpit」画面より)
太平洋戦争の終戦記念日である8月15日に合わせて徐々に風化していく戦争の記憶や記録を訴えた当サイト。ネットメディア大手として社会的意義のある活動だと考えられます。Yahoo!の強固な顧客基盤を持つグループサイトも活用し、ユーザー数の急増を可能にしていました。
■14位:24時間テレビ キャッシュレス募金
14位は24時間テレビの「キャッシュレス募金」サイトでした。24時間テレビは、日本各地でチャリティーキャンペーン活動を行う毎年恒例の特別番組。視聴者からの寄付金を国内外の福祉・環境保護・災害復興の支援に役立てることを目的としており、今年は8月21日から22日にかけて開催されました。
通常、メイン会場である両国国技館で対面募金を実施していましたが、今年は去年に引き続き新型コロナウイルス感染予防の観点から、対面募金を中止しインターネット上で行えるキャッシュレス募金を実施。放送終了時点で募金額は4億円を超えるなど、今年も大きな反響がありました。多くの人が募金のために当サイトに流入したことが募金額からも伺えます。
■20位:@SEMINAR
20位にはマネーセミナーを開催する「@SEMINAR」がランクインしました。@SEMINARでは、無料のマネーセミナーを選んで参加することができます。
急上昇の原因をコンテンツランキングから確認しましょう。
「@SEMINAR」のコンテンツランキング(「Dockpit」競合分析より)
圧倒的にUU数を集めた1位のページは、@SEMINARのランディングページでした。
急上昇の背景として、資産形成・運用が必要になってきていることが挙げられます。給与・年金支給額・退職金は減少し物価は上昇する一方で、日本の金利は非常に低いです。そのため預金口座に預けているだけでは、将来のゆとりある生活や必要な老後資金を確保できない見込みが高まっています。こうした背景から金融知識を学びたいというニーズが高まっており、@SEMINARへの反応も大きかったのではないでしょうか。
SNSで大きな反響を集めて急上昇したサイトが複数ランクイン
■21位:諏訪中央病院
21位にランクインしたのは、長野県茅野市にある「諏訪中央病院」の公式サイトでした。
どのようなページに注目が集まったのか、コンテンツランキングで確認しましょう。
「諏訪中央病院」のコンテンツランキング(「Dockpit」競合分析より)
圧倒的にUU数を稼いだ1位のページは、以下のような「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」のページでした。
リンク先からPDFファイルをご覧ください。イラストつきで読みやすく、全体に目を通すことで理解が深まる内容となっています
新型コロナウイルスの基本知識や感染を防ぐためにやるべきことについてイラストを交えて手書きで解説した説明書を公開しています。ではどのようにユーザーがサイトに集まったのか、Dockpitの集客構造分析から探っていきましょう。
2021年7月〜2021年8月の「諏訪中央病院」の集客構造推移(「Dockpit」競合分析より)
7月と比較してSNSからの流入が急増したことがわかります。次にSNSの流入元内訳を確認すると、Twitterが大半を占めていました。
2021年8月の「諏訪中央病院」のソーシャル構成(「Dockpit」競合分析より)
「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書デルタ株編」は8月10日に諏訪中央病院のHPで公開されると、Twitterを中心としたSNSで「ポップで分かりやすい 」と話題となりました。詳細を知ろうとサイトに訪問するユーザーが急増したことがサイト急上昇に繋がったと考えられます。
■24位:認定NPO法人 抱樸(ほうぼく)
24位は、北九州を拠点に生活困窮者や社会からの孤立状態にある人々の生活再建を支援する認定NPO法人「抱樸」の公式サイトでした。
急上昇の原因をコンテンツランキングから探っていきましょう。
「抱樸」のコンテンツランキング(「Dockpit」競合分析より)
1位は「DaiGo氏の差別発言に関する見解と経緯、そして対応について」のページでした。
チャンネル登録者数が約240万人の人気ユーチューバーであるメンタリストのDaiGo氏は、2021年8月7日にYouTube上でホームレスや生活保護受給者に対する差別的な発言をしたことで、ネット上で批判が殺到しました。近年では、過激な内容で注目を集めるためにSNSで差別的な内容を投稿することが度々問題になっています。
今回の騒動で、生活困窮者やホームレスの支援を行う「抱樸」が反論の声明を発表し、世間からの関心を集めたのではないでしょうか。
■26位:釣りビジョンVOD
26位には「釣りビジョンVOD」がランクインしました。釣りビジョンは日本で唯一の釣り専門チャンネルで、釣りビジョンVODは釣りビジョンの公式動画配信サービスです。
サイトがどのように急上昇したのか集客構造から確認しましょう。
2021年8月の「釣りビジョンVOD」の集客構造(「Dockpit」競合分析より)
外部サイトやディスプレイ広告からの流入が多いことがわかります。外部サイトはポイントサイトからの流入が目立ちました。また、ディスプレイ広告ではプレゼントキャンペーンも実施されています。
釣りはコロナ禍で密が避けられるレジャーとして、若者や女性などからの人気が高まっています。夏休みの8月に釣りを楽しむ人も多かったのではないでしょうか。ネット広告に力を入れることで、興味を持った訪問者を急増させたと考えられます。
まとめ:特設サイトの急上昇が目立った
最後に8月に急上昇したサイトと、その増加要因をまとめます。
8月は特設サイトのランクインが目立ちました。11位の「未来に残す 戦争の記憶」は、終戦記念日に合わせて、強固な顧客基盤を持つグループサイトとの連携を強化することで、当サイトへの訪問者を急増させたと考えられます。14位には24時間テレビの「キャッシュレス募金」サイトがランクイン。対面募金を中止しインターネット上で行えるキャッシュレス募金を実施した結果、放送終了時点で募金額は4億円を超えるほどの反響がありました。
また、SNSを中心に大きな話題となったページを含むサイトも上位にランクイン。21位の「諏訪中央病院」では、「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」のページがTwitterを中心に「ポップで分かりやすい」と大きな反響を呼びました。24位の認定NPO法人「抱樸」では、メンタリストのDaiGo氏の差別発言に対して批判の声明を発表しました。
26位には「釣りビジョンVOD」がランクイン。コロナ禍で密が避けられるレジャーとして、若者や女性などから釣り需要が高まっていることが関係しているかもしれません。
本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのDockpitを使用しています。詳細な機能を知りたい方はぜひ無料版を使ってみてください。
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